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音楽イベントは飽和している?クリエイティブマンとCINRAが議論

音楽イベントは飽和している?クリエイティブマンとCINRAが議論

『Alternative Tokyo』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:垂水佳菜 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

2010年代において一般社会での認知を獲得し、行楽の一ジャンルとなった「フェス」は今も市場規模を拡大し続け(ぴあ総研調べ)、春先から秋口にかけて全国で毎週のように開催されるほど、その数自体も増えている。一方、「フェスやイベントは飽和している」との声も多く聞かれるようになったなか、改めてその価値を問い直し、挑戦的な姿勢を示しているのが、クリエイティブマンと渋谷のライブハウスWWW / WWW X主催の『Alternative Tokyo』と、CINRA.NET主催の『CROSSING CARNIVAL』である。

両者に共通する問題意識をひと言で言うならば、それは「探究心の行方」である。スマートフォンを使えば誰でも気軽に自分の好きなものにアクセスできる現代において、現場でなければ体感できないこととは何なのか? そして、巨大化の進むメガフェスや、DIYならではの個性を発揮する地方発信のフェスに対して、都市型フェスだからこそできることとは? クリエイティブマンの平野敬介とCINRAの柏井万作に、プロモーターとメディアそれぞれの視点で語り合ってもらった。

ネットが普及する以前は、イベントって自分の好きなものを見つけに行く場所だったなと。(柏井)

—『Alternative Tokyo』は2012年に初開催されましたが、まずはスタートさせた経緯を話していただけますか?

平野:僕のなかで前身となる関わったイベントが2つあるんです。1つめは、『宇多川町ロック・フェスティバル(ウダロック)』というイベントで。『フジロック』がはじまった1997年のあとに、インディーアーティストでそれに対抗する場所を作れないかってことで老舗インディレーベルオーナーの方々と1999年から3回開催したんです。渋谷のCLUB QUATTROを使って、高田渡さんや早川義夫さんから、DMBQ、突然段ボール、54-71、怒髪天、灰野敬二、ECD、浜田真理子、マジカル・パワー・マコといった方たちに出演いただきました。

—すごいメンツですね。

平野:このイベントは自由な表現形態をどう見せるかというショーケースでもあって、「お客さんに何を感じてもらうか?」っていうトライアルだったんです。なので、音楽だけではなく、当時パルコの4階にあったCLUB QUATTROの入口で、裸の男女が布団のなかで抱擁し合ってる姿を見せたりして。そのタイトルが『ジョン&ヨーコ』っていう(笑)。

—まさに(笑)。

平野:いろんな表現がそこにはあったから僕らも触発されて、ショーケースとしてはありえないことをやってみようと思ったし、そのときにイベントに対して開眼した気がします。もう1つ大きかったのが、2009年に初開催した『De La FANTASIA』というイベントです。

細野晴臣さんのマネジメントを長くやってらっしゃった東榮一氏を中心に、テレビ朝日、ぴあの有志と一緒に立ち上げて、初回が恵比寿LIQUIDROOMで3デイズ、そのあとに新木場STUDIO COASTで開催しました。細野さんはもちろん、The High Llamasやヴァン・ダイク・パークス、それに高橋幸宏さんはじめ、SAKEROCK、AOKI takamasaも絡めて。

『De La FANTASIA 2010』ビジュアル
『De La FANTASIA 2010』ビジュアル

—こちらもまたすごいメンツですね。

平野:2009年ごろは、ちょうどフェスバブルがひと段落して、ただデカいフェスでいろいろ観られれば楽しいってだけじゃなくて、特異な個性を持ったフェスなりステージなりに参加する音楽探究心を持っているお客さんが見えやすくなっていたんですよね。なので『De La FANTASIA』は、そういった人に向けつつ、そこにもうちょっとポピュラリティーを加えたようなイメージで開催しました。それも3回で完結したんですけど、その2つのイベントのマインドを継承していくスタンスで、『Alternative Tokyo』をはじめたんです。

—それが、「商業的な音楽や方法論的な流行音楽とは一線を引き、時代の流れに捕われない普遍的な音楽を中心に、ART展示やトークセッション等を通じてそれぞれのコンテンツを紹介する」ことを理想とし、実践していく『Alternative Tokyo』の精神につながると。

平野:そうですね。

平野敬介(CREATIVEMAN PRODUCTIONS)
平野敬介(CREATIVEMAN PRODUCTIONS)

柏井:『ウダロック』をやられていた当時の渋谷はどんな雰囲気だったんですか?

平野:ちょうど渋谷系が落ち着きはじめたころで、その裏で「デス渋谷系」とも称されていた暴力温泉芸者とかBOREDOMS、DMBQが出てきて、HMV渋谷が面白かった時期ですね。今みたいに平均化してなくて、かつてあった「NYLON100%」(ニューウェイヴ喫茶店)みたいなコアなお店が点在してた。

今は、ググればどこに何があるかわかるじゃないですか。でも当時は、「書を捨てよ、町へ出よう」じゃないですけど、実際に足を運んで、人と話をして、そこで情報を得て、好きなことを見つけてのめり込んでいくっていう時代の最終期間だったような気がします。

柏井:イベントって、まさにそういう場所としての側面がありますよね。特にネットが普及する以前は、自分の好きなものを見つけに行く場所だったなと。さきほど平野さんが「探究心」とおっしゃっていましたけど、イベントがある種のメディアになっていて、そのなかで新しいものに出会ったときの感動がめちゃくちゃあったことを覚えています。

平野:そう、何かしらの出会いを求めて、そこに行けば自分が獲得できるものがあるっていう側面はありましたね。

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イベント情報

『Alternative Tokyo』
『Alternative Tokyo』

2019年3月16日(土)
会場:東京都 渋谷 WWW、WWW X

出演:
[MUSIC]
活躍中(近田春夫+恒田義見+高木英一)
蓮沼執太フィル
曽我部恵一 抱擁家族
トリプルファイヤー
折坂悠太
イ・ラン
カネコアヤノ(バンドセット)
SONGBOOK PROJECT
青葉市子
『BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE』
[ART]
市原えつこ
[Talk Session]
<ポピュラーミュージックの行方>
近田春夫
曽我部恵一
柴那典
料金:6,500円(ドリンク別)

『CROSSING CARNIVAL - visual edition-』
『CROSSING CARNIVAL - visual edition-』

2019年4月3日(水)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST

出演:
indigo la End
odol
The fin.
Film & Stage Visual Producer:KITE
料金:3,900円(ドリンク別)

『CROSSING CARNIVAL'19』

2019年5月18日(土)OPEN 13:00 / START 14:00(予定)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、clubasia、WOMB、TSUTAYA O-nest

出演:
後日発表

料金:4,800円(ドリンク別)

プロフィール

平野敬介(ひらの けいすけ)

ワールドミュージック・コンサートの企画、制作で著名だった「カンバセーション&カムパニー」、「パルコ」音楽事業部にてクアトロ・レーベル/クラブクアトロ事業を経て、2003年よりクリエイティブマンプロダクション所属。マーケティング部、邦楽部各長を歴任後、現“平野ルーム”室長。サマーソニックではシーサイド・ヴィレッジ、ガーデンステージの業務に従事し、現在「Peter Barakan's LIVE MAGIC」、「Blue Note JAZZ Festival」等担当。

柏井万作(かしわい まんさく)

1981年、東京都生まれ。2006年に取締役として株式会社CINRA立ち上げに参加。創業時から現在までカルチャー情報サイト『CINRA.NET』の編集長としてサイトの運営を行っている。カルチャーECサイト『CINRA.STORE』や入場無料の音楽イベント『exPoP!!!!!』、カルチャーフェス『NEWTOWN』などの立ち上げ&運営責任者を務める。

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