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Nulbarichのスタジオを取材。メンバーは何人? 結成秘話も聞く

Nulbarichのスタジオを取材。メンバーは何人? 結成秘話も聞く

KORG
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)

結成からわずか2年足らずで日本武道館公演をソールドアウトさせ、CMやドラマ、映画にも楽曲が起用されるなど、今や押しも押されもせぬ存在のNulbarich。アシッドジャズやファンク、ネオソウルといったブラックミュージックを基軸としながら、J-POPに通じる大衆性をも内包した楽曲が、人々の琴線を震わせています。

マスコットキャラクター「ナルバリくん」をアートワークのモチーフにしたり、総勢11名のメンバーたちを楽曲ごとに入れ替え多彩なアンサンブルを作り上げたりと、どこか謎めいた活動内容を行ってきたNulbarich。バンドの頭脳であるボーカリストJQさんのプライベートスタジオを訪ね、様々な秘密に迫りました。

ピアノからドラム、そしてDJへ。JQのマルチな才能と知識の背景

小さい頃から音楽が好きだったというJQさん。「聴くこと」よりも「演奏すること」に興味があり、4歳から7歳までピアノを習っていました。

JQ:小学校に上がると今度は吹奏楽クラブに入り、ずっとパーカッションをやっていました。それもあって、中高に進むといろんなバンドから誘いがありましたね。ドラマーって常に人手不足じゃないですか(笑)。だからいくつか掛け持っていて、そのおかげでいろんなジャンルの音楽に触れることができたと思います。

JQ。プライベートスタジオにて
JQ。プライベートスタジオにて

本格的に音楽をのめり込むきっかけとなったのは、高校生のときにThe Fugeesがカバーした“Killing Me Softly With His Song”を聴いたこと。それまで耳にしてきた音楽とはまったく違う種類のものだと、衝撃を受けたそうです。

JQ:イントロがあって、Aメロ、Bメロと進んでサビで盛り上がる、みたいな「起承転結」じゃないんですよね。ドラムだけのループの上で、ローリン・ヒル(The Fugeesのボーカルの1人)が歌い上げていて。サビでようやくベースが入ってくるというシンプルさ。それでみんなが「いえーい!」ってノッてるのが、最初はよくわからなかったんですけど、だからこそどんどん引き込まれて、気づけばハマっていました。

JQ:DJに興味を持つようになったのもそこからです。最初はとにかく、ターンテーブルを操作するのが楽しかったんですけど、レコードやCDをたくさん買って、深堀していくうちに、リスナーとしての面白さに目覚めていったんです。

足しげくレコード屋に通っているうち、DJプレミア(ヒップホップデュオ「Gang Starr」の1人)の魅力にハマったJQさん。彼がプロデュースを手掛けたナズやJAY-Z周りを掘り下げていく一方で、The Neptunes(ファレル・ウィリアムスとチャド・ヒューゴの2人によるプロデューサーチーム)やティンバランド、ウィル・アイ・アムといったプロデューサーにも魅了され、自分でも曲作りをするようになっていきます。

JQ:最初はどうやって作ったらいいのかわからなかったので、とりあえず彼らが使っている機材、サンプラーとオールインワンシンセを揃えることにしました。オールインワンシンセは当時、KORG「TRITON」とヤマハ「MOTIF」が主流でしたが、ファレル・ウィリアムスがTRITONを使っているらしいと知り、おじいちゃんに頼んで買ってもらったんですよね。

KORG「TRITON」。現在も愛用している
KORG「TRITON」。現在も愛用している

「音楽をやる方が世の中の役に立てるんじゃないか?」と思った

そこから本格的に曲作りをスタートしたJQさん。夢中で続けているうちに、気づけばプロデューサー / トラックメイカーとして仕事をするまでになっていました。

JQ:大人になって就職して……という概念がそもそもなくて。進路を決める頃になっても、「きっと最終的に、好きなことをして生きていくんだろうな」くらいの感覚でいたんですよね。小さい頃からずっと続けていたのは音楽だったし、今さらすべてをリセットしてどこかへ就職するなんてことは考えられなかった。というか、消去法で考えても「音楽をやる」という選択肢しか残らなかったです。その方がきっと、世の中の役に立てるんじゃないか? って。その頃はまだ「歌」には目覚めてなかったので、とにかく裏方でもなんでも音楽にまつわる仕事をしていこうと決めていました。

JQ:最初は、とにかく自分の声が大嫌いだったんですよ。きっと誰もが経験したことあると思うんですけど、自分が想像している声と、それをテープに録って客観的に聞いた声って、全然違うじゃないですか。それがもう、イヤでイヤで……(笑)。人から「変な声」と言われたこともあったので、それを気にしていた部分もあったかも。なので、自分がバンドのボーカリストになるなんて思ってもいなかったです。一度だけ、KEMURIとかをカバーするスカバンドを組んで、そこでボーカルをやったくらいですかね。

そんなJQさんが「歌」に目覚めたのは、意外にも仕事がきっかけだったそうです。楽曲提供のコンペなどに自作曲のデモを送る際、クライアントへの説得力を増すためにはやはり「仮歌」が必要と判断したJQさんは、自分で「歌入れ」をするようになっていきました。

JQ:相変わらず自分の声は、そんなに好きだったわけじゃないんですけどね。でも練習すると、その成果が目に見えてわかることが楽しかったというか。目標を定めてクリアしていくことの「達成感」みたいなものですよね。未だにボーカルレコーディングをしているときは、あくまでも自分の声を素材として、なるべく距離を取るように心がけながらテクニカルな部分を確認するようにしています。「ブレスの成分はちょうどいいか、ピッチやタイミングは大丈夫か?」みたいにね。

自分を表現したいと思って手に入れた、Nulbarichという場所

2016年、JQさんを中心にNulbarichが結成されます。メンバーは、彼がプロデュースや楽曲提供の仕事の中で出会った友人たち。当初はそれほど積極的な活動をするつもりはなく、「いつか一緒にバンドができたらいいね」とお互い「挨拶がわり」に言葉を交わす程度のモチベーションでした。

JQ:そもそもは「50歳とか60歳になったときに、趣味程度で音を合わせられたら最高だなあ」くらいにしか考えてなかったんです。おそらく、自分でも「表現したい」という気持ちはあったんでしょうね。いろんな人に楽曲提供をしていく中で、「やっぱり自分の曲は、自分で歌った方が説得力あるな」とも感じました。自分で作ったメロディは、どういうニュアンスで歌ったらいいのか自分が一番よくわかる。もちろん、裏方としてベストを尽くすこともすごく楽しいんですけど、それとは別に自己表現の場を求めていたのかもしれないです。それも、フロントマンとしてグイグイ前に出るというよりは、日々感じていることを曲にしてパッケージしたかった。そういう意味でもNulbarichは、自分にとって心地のいい場所です。

1stシングル『Hometown』(2016年6月発売)収録曲

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機材リスト

DAW ソフト

Avid「Pro Tools」
Apple「Logic Pro」
Ableton「Live」

アウトボード

Neve 1066
Urei 1176

音源

KORG「TRITON」

Arturia「V Collection 5」

Sequential Circuits「Prophet-5」

Studio Electronics「MIDIMINI」

ギター

Fender「STRATOCASTER」

ベース

Fender「Jazz Bass」

電子ドラム

Roland「V-Drums」

サンプラー

AKAI「MPC2000XL」

マイク

NEUMANN「U-47 TUBE」
NEUMANN「U87Ai」
audio-technica「AT4050」

スピーカー

FOCAL「CMS40」
YAMAHA「NS-10M」
GENELEC「7350A」

リリース情報

Nulbarich『Blank Envelope』通常盤(CD)
Nulbarich
『Blank Envelope』通常盤(CD)

2019年2月6日(水)発売
価格:3,024円(税込)
VICL-65116

1. Blank Envelope (Intro)
2. VOICE
3. Silent Wonderland
4. All to Myself
5. JUICE
6. Sweet and Sour
7. Kiss You Back
8. Toy Plane
9. Ring Ring Ring
10. Focus On Me
11. Super Sonic
12. Stop Us Dreaming
13. I’m Home (Outro)

  • Apple Musicで聴く
  • イベント情報

    『Nulbarich ONE MAN TOUR 2019』

    2019年3月31日(日)
    会場:宮城県 仙台 PIT

    2019年4月7日(日)
    会場:北海道 Zepp Sapporo

    2019年4月10日(水)
    会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

    2019年4月13日(土)
    会場:広島県 BLU LIVE HIROSHIMA

    2019年4月17日(水)
    会場:愛知県 Zepp Nagoya

    2019年4月19日(金)
    会場:福岡県 Zepp Fukuoka

    2019年4月20日(土)
    会場:香川県 高松 festhalle

    2019年4月24日(水)、4月25日(木)
    会場:東京都 青海 Zepp Tokyo

    2019年5月9日(木)
    会場:東京都 TOKYO DOME CITY HALL

    プロフィール

    Nulbarich
    Nulbarich(なるばりっち)

    シンガー・ソングライターのJQが (Vo.) がトータルプロデュースするNulbarich。2016年10月、1stアルバム『Guess Who?』リリース。その後わずか2年で武道館ライブを達成。即ソールドアウト。日本はもとより中国、韓国、台湾など国内外のフェスは既に50ステージを超えた。生演奏、またそれらをサンプリングし組み上げるという、ビートメーカー出身のJQらしいスタイルから生まれるグルーヴィーな音は、バイリンガルなボーカルと溶け合い、エモーショナルでポップなオリジナルサウンドへと昇華する。「Null(何もない)」けど「Rich(満たされている)」。バンド名にも、そんなアンビバレントなスタイルへのJQの想いが込められている。

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    一聴・一見すると繊細に織られたアンサンブルに柔和な印象を抱く。が、極太のベースがリズムとメロディの両方を引っ張っていく様は超アグレッシヴでもある。観客も含めて会場に漂う空気は一貫して緩やかなものでありながら、なによりも3音の鋭い合気道を存分に楽しめるライブ映像だ。ビルドアップした低音に歌心を置くスタイルはまさに今だし、音の余白も心地いい。ポップとエッジィの両極をあくまで愛嬌たっぷりに鳴らす台湾出身の3ピースバンド、その魅力を1カット1カットが十二分に伝えている。(矢島大地)

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