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菅野薫らDentsu Craft Tokyoが個の時代に語る、「チーム」の価値

菅野薫らDentsu Craft Tokyoが個の時代に語る、「チーム」の価値

Dentsu Craft Tokyo
インタビュー・テキスト
村上広大
撮影:鈴木渉 編集:石澤萌(CINRA.NET編集部)

帰属意識を持たずに個として働いていると、会社のアイデンティティが揺らいでくるんですね。(鎌田)

―この「Dentsu Craft Tokyo」は、電通クリエーティブXを運営母体にしつつも、徳井さん率いるQosmo、鎌田さんのspfdesign Inc.、そしてカワシマさんのStudio Kawashimaといったそれぞれに独立した会社が参画しています。実際に働いてみていかがですか?

徳井:ここで仕事をしていると自然発生的に会話が生まれるんですね。例えば、新しい技術のプロトタイプみたいなものを作っていると「それ、何ですか?」みたいに聞かれることも多くて、そこから話が広がっていくことで着想を得る場合もあるんです。

徳井直生(とくい なお)<br>2009年にQosmoを設立。「Computational Creativity and Beyond」をモットーにAIと人の共生による創造性の拡張の可能性を模索。近作にAIを用いたインスタレーション作品群やブライアン・イーノのミュージックビデオの制作など。また、AI DJプロジェクトと題し、AIのDJと自分が一曲ずつかけあうスタイルでのDJパフォーマンスを国内外で続けている。
徳井直生(とくい なお)
2009年にQosmoを設立。「Computational Creativity and Beyond」をモットーにAIと人の共生による創造性の拡張の可能性を模索。近作にAIを用いたインスタレーション作品群やブライアン・イーノのミュージックビデオの制作など。また、AI DJプロジェクトと題し、AIのDJと自分が一曲ずつかけあうスタイルでのDJパフォーマンスを国内外で続けている。

―異なる専門性を持つ人が集まることで、アイディアの幅が広がっていくんですね。

鎌田:一緒にいる仲間が30人ちょっといるのはすごく刺激になります。それでいてシェアオフィスと決定的に違うのは、「いつか仕事をするかもしれない人」ではなく「そのうち絶対に仕事をする人」が集まっていることなんです。だから、すごく会社に近い感覚で働くことができるし、一緒に成長したいと思える。

カワシマ:それぞれがインデペンデントでありながら、このチームをどう動かしていくかを同じ視座で考えているんですね。しかもプロジェクトに応じてフレキシブルに形を変えられる柔軟さもあるっていう。

鎌田貴史(かまだ たかし)<br>1979年神戸生まれ。カナダ留学後、都内デザイン会社での勤務を経て、2003年に.SPFDESIGNを屋号にフリーランスとして独立した後、2006年にspfdesign Inc.として法人化。様々な企業のブランドサイト・プロモーションサイト・ECサイトなどの企画・ディレクション・アートディレクション・デザイン・開発を手がける。代表作は、とらや、UNIQLO CALENDAR、多田屋など。
鎌田貴史(かまだ たかし)
1979年神戸生まれ。カナダ留学後、都内デザイン会社での勤務を経て、2003年に.SPFDESIGNを屋号にフリーランスとして独立した後、2006年にspfdesign Inc.として法人化。様々な企業のブランドサイト・プロモーションサイト・ECサイトなどの企画・ディレクション・アートディレクション・デザイン・開発を手がける。代表作は、とらや、UNIQLO CALENDAR、多田屋など。
カワシマタカシ<br>1981年生まれ。慶應義塾大学卒業後、2004年に渡米。アーティストとして作家活動を行う傍ら、AKQAなどのクリエーティブ・エージェンシーにて活動。日本人として初めてGoogle Creative Labに参画。Chrome Experiments、AI Experimentsなどテクノロジーとアートの境界でその可能性を模索する施策を担当する。2019年に帰国、Studio Kawashimaを設立。
カワシマタカシ
1981年生まれ。慶應義塾大学卒業後、2004年に渡米。アーティストとして作家活動を行う傍ら、AKQAなどのクリエーティブ・エージェンシーにて活動。日本人として初めてGoogle Creative Labに参画。Chrome Experiments、AI Experimentsなどテクノロジーとアートの境界でその可能性を模索する施策を担当する。2019年に帰国、Studio Kawashimaを設立。

―このメンバーはどのように決まったのでしょうか?

菅野:徳井くんと鎌田さんとは、これまで何度も一緒に仕事をしていて、僕らと連動するとすごくいいシナジーが生まれるんじゃないかと感じてDentsu Craft Tokyoにお誘いしました。両社とも面白いスタイルで仕事をしている会社なので、いろんなタイプの人やチームと結びつくといいなと。

カワシマさんに関しては全く逆で、プロジェクトを一緒にやりたいと思ったのが先でした。彼がまだGoogle Creative Labに在籍しているときに一緒に仕事しないかとお声掛けしたのですが、その大きなプロジェクトを一緒に動かしていくために、こういう組織が必要になると感じてDentsu Craft Tokyoにお誘いしたという手順です。なので、一緒に組織をやると面白そうなものができるんじゃないかという予感があってお誘いしたケースと、必要に迫られてというケースがありますね。

―いまの菅野さんの話を受けて質問したいのですが、徳井さん、鎌田さん、カワシマさんはどういった気持ちで参画を決めたのでしょうか?

徳井:すごくありがたいなと思ったのが正直なところです。Qosmo自体、AIや機械学習にフォーカスすることでやることが先鋭化し、それによっていいチームになっている感覚はあるんです。その一方で、研究者気質の人が多いので、社会との繋がりを持ちにくくなっているというか、世の中への発信が難しいなと感じることもあって。そういう息苦しさのあったタイミングだったので、少数精鋭のよさがありつつも、いろんな人と組んで仕事ができるのはいいなと思いました。

左から:菅野薫、徳井直生
左から:菅野薫、徳井直生

鎌田:会社のメンバーが3人だった頃、3人で1つのプロジェクトに取り組むこともあるんですが、おのおの違うプロジェクトに呼ばれることもありました。そうやって社外の人たちと臨機応変にチームを組んで働いていると、メンバーが自分の会社にいることの意味が揺らいでくるんですね。会社への帰属意識の有無とは関係なく、個人として仕事をやっていくスタイルが成立していくので。

そんなときに組織の壁を超えてチームを作りたいという話を菅野さんから聞いて、自分が言語化できないでいたけど意識していたことをやってくれた気がして。そこにすごく共感しましたね。

カワシマ:僕はこれまでアメリカにいて、いつかは日本に拠点を移したいなという思いがありました。でも、どこかの会社に帰属したいというわけでもなく、かといって1人でやっていくのもどうなんだろうって。だから、同じような世界で活躍しているクリエイターと机を並べて働けることにすごく刺激を感じるし、新しいチャレンジになる予感がありました。

左から:鎌田貴史、カワシマタカシ
左から:鎌田貴史、カワシマタカシ

1つの会社ですべてをカバーしていくのではなく、得意な領域が違う人たちとアライアンスを組んでやっていくのはすごく合理的。(徳井)

―これまでは「個の時代」という言葉が使われることが多かったですが、その揺り戻しとして「チームの時代」になりつつあり、「Dentsu Craft Tokyo」もその流れの中で誕生した印象がありますが、いかがでしょうか?

菅野:Dentsu Craft Tokyoの立ち上げをFacebookに投稿したら1000くらい「いいね!」が付いてびっくりしたんですけど、Whatever(dot by dot、PARTY New York、PARTY Taipeiの3社が合併してできた新しいチーム)の富永勇亮さんが「素敵な試み。仕組みは違えど、思想はきっと同じだから、共感します。」とその投稿をシェアしてくれたんです。それを見て、やっぱり、今このタイミングに、同じような課題意識を持っている人はいるんだなあと。とても嬉しかったです。

菅野:あと佐藤ねじさんのブルーパドルや深津貴之さんのTHE GUILDなんかもフリーランスの集団になっていると聞きました。それぞれのチームのやり方を詳しく知っているわけではないのですが、才能のある個人が緩やかに連合するというか、一緒にいる素晴らしさはなんとなく感じていると思うんです。だから、個人の能力と組織のチーム力、その両方のよさを発揮できる場所が求められているのかもしれないですよね。

Dentsu Craft Tokyoは、構想して1年半くらいかかって実現しましたが、同時期に立ち上がったCHOCOLATE inc.もそういう感じですか? 違う? 詳しくないくせに、勝手に仲間を増やそうとしてすみません(笑)。

徳井:いまって技術の進化がどんどん早くなっているから、1つの会社ですべてをカバーしていくのではなく、得意な領域が違う人たちとアライアンスを組んでやっていくのはすごく合理的な気がします。

左から:菅野薫、徳井直生
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プロジェクト情報

Dentsu Craft Tokyo
Dentsu Craft Tokyo

「Dentsu Craft Tokyo」は、各社に所属するクリエーターやプロデューサーたちが中目黒に立ち上げたオフィスに集結し共に働く、会社と組織、エージェンシーとプロダクション、クリエーティブとプロデュース、広告とそれ以外の枠組みを超えた、着想力×制作力×実現力が同居するクリエーティブハウスです。

プロフィール

菅野薫(すがの かおる)

2002年電通入社。データ解析技術の研究開発業務、国内外のクライアントの商品サービス開発、広告キャンペーン企画制作など、テクノロジーと表現を専門に幅広い業務に従事。主な仕事:本田技研工業インターナビ「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」、Apple App Storeの2013年ベストアプリ「RoadMovies」、東京2020招致最終プレゼン「太田雄貴 Fencing Visualized」、国立競技場56年の歴史の最後の15分間企画演出、GINZA SIXのオープニングCM「メインストリート編」、サントリー山崎蒸溜所「YAMAZAKI MOMENTS」、NTTドコモ「FUTURE-EXPERIMENT.JP」、BjörkやBrian EnoやPerfumeとの音楽プロジェクト等々活動は多岐に渡る。受賞歴:JAAAクリエーター・オブ・ザ・イヤー(2014年、2016年)/カンヌライオンズチタニウム部門グランプリ/D&AD Black Pencil(最高賞)/One Show Automobile Advertising of the Year/London International Awardsグランプリ/Spikes Asiaグランプリ/ADFESTグランプリ /ACCグランプリ/TIAAグランプリ/Yahoo! internet creative awardグランプリ /文化庁メディア芸術祭大賞/Prix Ars Electronica栄誉賞/STARTS PRIZE栄誉賞/グッドデザイン金賞など、国内外の広告、デザイン、アート様々な領域で受賞多数。

徳井直生(とくい なお)

2009年に(株)Qosmoを設立。Computational Creativity and BeyondをモットーにAIと人の共生による創造性の拡張の可能性を模索。近作にAIを用いたインスタレーション作品群やブライアン・イーノのミュージックビデオの制作など。また、AI DJプロジェクトと題し、AIのDJと自分が一曲ずつかけあうスタイルでのDJパフォーマンスを国内外で続けている。 東京大学 工学系研究科 電子工学専攻 博士課程修了。工学博士。2019年4月より、慶応義塾大学メディア・政策研究科准教授(SFC)を兼務。

鎌田貴史(かまだ たかし)

1979年神戸生まれ。神戸工業高等専門学校都市工学科卒業。カナダ留学後、都内デザイン会社での勤務を経て、2003年に.SPFDESIGNを屋号にフリーランスとして独立した後、2006年にspfdesign Inc.として法人化。様々な企業のブランドサイト・プロモーションサイト・ECサイトなどの企画・ディレクション・アートディレクション・デザイン・開発を手がける。代表作は、とらや、UNIQLO CALENDAR、多田屋など。2007年カンヌ国際広告祭Young Creatives日本代表、シルバー獲得。カンヌ国際広告祭、OneShow、Clio、New York ADC、AdFest、London International Awards、D&AD、New York Festival、GoodDesign賞、TIAAなど国内外の受賞歴多数。

カワシマ タカシ

1981年生まれ。慶應義塾大学卒業後、2004年に渡米。文化庁新進芸術家海外研修員として、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)にてメディアアート修士課程修了。アーティストとして作家活動を行う傍ら、AKQAなどのクリエーティブ・エージェンシーにて活動。日本人として初めてGoogle Creative Labに参画。Chrome Experiments、AI Experimentsなどテクノロジーとアートの境界でその可能性を模索する施策を担当する。2019年に帰国、Studio Kawashimaを設立。

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