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エレ片が14年続けてこられたわけ。アートのように作られるコント

エレ片が14年続けてこられたわけ。アートのように作られるコント

エレ片『光光☆コントの人』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:永峰拓也 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)

アート作品の考え方のような、やついのコントの作り方

―ところで、その前の「新コントの人」から新しいことをやろうと思ったのはなぜですか?

やつい:パターン化して飽きちゃったんだよね。こういうコントがあって、こういう笑いがあって、それで終わりっていう定型が見えてて、それをお客さんもなんとなく期待して待っている、って空気があったので、一回全部やめようと。

片桐:僕なんかはこれが年に1回だから飽きたという感じはそれほど。以前、10周年のときに両国国技館でイベントをやったじゃないですか。

今立:俺の結婚発表と合わせてね(参考記事:エレ片10周年&今立、電撃結婚おめでとう! 国技館ライブを熱弁)。

片桐:それがあったからライブを1年間お休みしたら、自分のなかで「あ、今年はないんだな……」っていう喪失感がありました。だからその1年後に「新コントの人」をやったのがとても新鮮で。さらに新しいことやろう、っていう始まりでもあったから。

片桐仁
片桐仁

―具体的にどんな実験、チャレンジをしてみたのですか?

やつい:なんだろう……。面白い / 面白くないっていうロジックじゃなくて、全部イメージから作ったところはありますね。たとえば、丸いかたちが好きなら丸いものを置くところから始めるとか。猪も、本当に黄色い猪のオブジェを僕の家に飾っていて「こいつ可愛いなあ」って思ったことがきっかけですし。あとは、見た映画の雰囲気をコントに落とし込もうとか、蟹ってみんなリストバンドつけててかっこいいな、とか。

今立:いいとこ(産地)の蟹はそうだよね。

―日本海の蟹とか(笑)。産地保証のバンドですね。

やつい:そういうものを「デザイン」してる感覚。三姉妹もデザインだし、『カフェ女子ババア』も、祭壇が真ん中にあって、バックに大きな文字がばんっと出るっていうデザインから始まってる。オチがつかずにすべてがいい加減に終わるのもデザイン。笑いのために辻褄を合わせないっていうのは、『ピカピカ』でかなり大切にしていたことです。もちろん、笑わせ方は自分たちが面白いと思うものを選んではいますけど。

―聞いていると、アートの作品を作る考え方に似ているなと思いました。源になるイメージがあって、そこに肉付けしていく。

やつい:やってることはバッカバカしいですけどね(笑)。

片桐:お客さんにとってはデザイン関係ないしね。逆にその先入観で見られても困っちゃうし。

今立:わりと攻めたことをしたからライブは心配もありましたけど、あらためてDVDで見返すと全部いいなーって自分で思いました。通して見ると楽しい。これはいままでになかった感覚。

今立進(エレキコミック)
今立進(エレキコミック)

―それがサーガ感を感じた理由かもしれません。

今立:ライブでやってるときは「この笑いは伝わるか? 伝わらないか?」って気持ちはいっぱいありますからね。サーガ感どころじゃない(笑)。

片桐:そこが単独ライブのよさでしょう。「どう攻める?」ってことを毎回考えるし。

今立:何回も公演があるから、その都度トライできるのもありがたい。

片桐仁が悩む、演劇ではできてエレ片ではできない「面白いこと」

―コントって話で言うと、片桐さんは最近コントする機会が減っていると。

片桐:そうそう。俳優ばかりやっていて、ここ(エレ片)でしかコントできてないんですよ! はからずもエレ片ライブが特別な場所になっているという。でも、けっこうしんどい。台本はあるにしても、いざ舞台に立つと2人が台本の外に飛び出していっちゃうので。「え、そっち行っちゃうの? 追いつけない!」っていうのはいっつもあります。

―アドリブですか?

片桐:うん。本番でも稽古でも感じます。エレキコミックの2人のなかでのツーカーみたいなものがどうしてもあるから、それを「なるほどそういうことか」って発見するのは、14年もやってるいまも全然あります。そのなかで、僕はどんどん(コントが)できなくなっている感じ。

―それは腕が衰えてるってことですか?

片桐:そーなんですよー。「何が面白いんだっけ?」「どうしたら俺、面白くできるんだ?」って、どんどんわからなくなってくる。逆に、演劇はけっこうわかるんですよ。

今立:すごいじゃん。

片桐:まあね。こうしたらもっとウケるな、とか。人の演技を見ても理屈がわかるというか。でもエレ片に関しては……本当に……できない……。

まあよく考えれば、今までもできてたかっていうとね……。ラーメンズでも全部やってもらってたしね。エレ片は「片桐仁」という生身の人間でもってウケることの最大限をやろうっていうのがテーマですから。

片桐仁

―じゃあ、エレキコミックのおふたりは片桐さんをどう見てますか?

やつい今立:(無言)

片桐:(涙声で)なんか言えよー!

今立:うーん。

やつい:えーと……人気のある人とよく仕事をしている人。

片桐:あ、はいそうですね。それはあります。僕は人気ないです! ……もうね。自分で言っちゃいますけどね。2人のコンビのなかに片桐っていう3人目がいるとね、そりゃあ違いますよ!

やつい:うーん……うーん?

片桐:なんか言えよぉ!!!

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リリース情報

『光光☆コントの人』
『光光☆コントの人』

2020年1月29日(水)発売
価格:3,666円(税込)
PCBE-56333

本編:
光猪 / オープニング / 三姉妹 / 夕陽の詩人 / カフェ女子ババア / 三兄弟 / UFO / エンディング

特典映像:
片桐催眠キックボクシング
エレ片3人による副音声コメンタリー

出演:やついいちろう(エレキコミック)、今立進(エレキコミック)、片桐仁

プロフィール

エレ片
エレ片(えれかた)

エレキコミックのやついいちろう・今立進、片桐仁からなるお笑いユニット。2006年から放送しているラジオ番組『JUNKサタデー エレ片のコント太郎』(TBSラジオ)を放送、ライブ活動も精力的に行なう。

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