特集 PR

Easycomeが見つけた活動の道しるべ 誰かの人生の一部になる歌を

Easycomeが見つけた活動の道しるべ 誰かの人生の一部になる歌を

Easycome『レイドバック』
インタビュー・テキスト
天野史彬
編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2020/07/27

「『心ギュッ』みたいな感じ(笑)。そういう気持ちが、行き場を失くした結果、曲になっていくような気がします」

―落合さんの書く歌詞には、「旅」というモチーフがよく描かれていると思うんです。それは、「さぁ、いくぞ!」と力強く旅立っていく感覚というよりは、悲しみや痛みが伴ったうえでの出発であったり、あるいは、今いる場所から、過去いた場所に思いを馳せている感覚があると思うんです。

落合:そうですね……普段、そういうことを考えているような気もするし。曲を書くときって、めちゃめちゃ感情が振り切れたときで、それを「残しておきたいな」って思うんですよね。それは、悲しいときもあるし、「よくわからんなぁ」ってときもあるんですけど……でも、「最高にハッピー!」とか、「めちゃめちゃ悲しくて死にそうです」ってことではないんです。

本当に、なんともいえない感じ……テンションぶち上げでもないし、怒りもあんまりないです。なんなんでしょう……「心ギュッ」みたいな感じ(笑)。そういう気持ちが、行き場を失くした結果、曲になっていくような気がします。

Easycome『Easycome』収録曲

ちーかま:……落合は、普段から謎めいているというか。わからんことは多いんですけど。

落合:(笑)。

ちーかま:でも、「わからんでもいいかな」って思うんですよね。いろんな人に、「この歌詞はどういう意味なん?」とか「これはなんの歌なの?」って訊かれるんですけど、落合はそれに答えないんです。それを見て、私も、「答えなくていいし、答えないでいてほしいな」と思います。答えは知らなくていい。

でも、私のなかの答えはあるし、聴いている人にも答えはあるだろうし。私の答えが、聴いている人に伝わってほしいとも思わない。でも、私なんかよりよっぽど、リスナーの人には、落合の歌詞は伝わるんじゃないかと思う。私はあくまでもパイプっていう感じで、聴いてくれている人は、私よりも深く、落合の歌詞のことを私の歌から感じとってくれているイメージがあります。

7月12日に開催された『Easycome 2nd Tour』大阪・梅田Shangri-La公演より / 撮影:阪東美音
7月12日に開催された『Easycome 2nd Tour』大阪・梅田Shangri-La公演より / 撮影:阪東美音

―落合さんの感覚って、すごく独特ではあると思うんです。「わかってもらえなくてもいい」と思いながら、世に作品を発表していく。落合さん自身は、自分が書いた曲や歌詞が「伝わる」ということを、どう捉えているのでしょう?

落合:共感とかは、「別にいいや」って思うけど。でも、ちょっと前に、歌詞にめちゃめちゃ共感したことがあって。

―どなたの曲ですか?

落合:初恋の嵐の“Untitled”っていう曲なんですけど。僕、そもそも音楽を聴いても歌詞はあんまり聴かないんですよ。だから、みんなが……って、「みんな」って誰やって話ですけど(笑)、他人が作った曲を聴いて、「これは俺のための曲や」とかいう人がいるじゃないですか。「なにを言うとんねん」と思っていたんですけど、初めてその気持ちがわかって。

初恋の嵐“Untitled”を聴く(Apple Musicはこちら

落合:「誰かが書いた歌詞で救われることもあるんやな」って思ったんです。「そう思えることって、こんなにもいいもんなんやなぁ」とも思ったし。俺にとっては、初恋の嵐がその曲をどんな思いで作ったかは関係ないんですけど、でも、曲を作っていれば、こんないいこともあるんだなと思いましたね。自分の曲でそうなってほしいとは言わないけど、「そういうこともあるんだな」と思いました。

「自分たちの音楽が、誰かの一瞬のなにかになってほしい」――マイペースに活動してきたEasycomeが見つけた、自分たちらしい活動の道しるべ

―Easycomeは、この先どうなっていくんでしょうね。

ちーかま:私個人としては、「今までの感じだけで、バンドを続けていくのはイヤだなぁ」と思いはじめている部分もあって。他のみんなはどうかわからないけど、やっぱり、「音楽は遊びでやっているんです」っていうものダサいし、やるなら、ちゃんと売れたいなって気持ちになってきています。少し、尖りが減ってきたのかもしれない(笑)。

―落合さんはどうですか?

落合:僕は、最初から「まぁ、売れるやろ」って思ってきたんで(笑)、今もそんな感じなんですけど。

Easycome『風の便りをおしえて』(2016年)収録曲

―『レイドバック』に、ちーかまさんの言う「売れたい」という気持ちは込められていると思いますか?

ちーかま:う~ん……そこにまで意識が至れなかったかもです(笑)。今回、初めてディレクターに入ってもらったんですけど、歌の課題がいっぱい見えました。「もっとこうしたいな」とか「こういう歌い方ができないな」とか、いっぱい見えるものがあって。

今までの作品は、レコーディングで歌っているときは「今、最強だな」と思うんですけど、あとから聴き返して「げぇ」と思うことが多くて。でも、今回はそういう感じではなくて、初めて明確に見えるものがあったレコーディングでした。だから、次の作品が楽しみだなって思います。向上心はあったほうがいいなと思いますね、やっぱり。

Easycome

―先ほどちーかさまんは、シャムキャッツやミツメのことを、「生活に馴染む音楽」とおっしゃったじゃないですか。彼らのような場所を目指すのならば、Easycomeの音楽は、聴き手の生活のなかに、どんな居場所を見つけたいと思いますか?

ちーかま:……ある時期にめっちゃハマった曲を、あとから聴き返して、ブワってそのときのことを思い出すことってあるじゃないですか。

―ありますね。

ちーかま:誰かにとっての、そういう音楽になりたいなと最近は思います。前までは、「ずーっと自分たちの音楽を好きでいてほしい」と思っていたんです。でも今は、ある程度、時間が経たないと感じることができない感情に惹かれている感じがします。

Easycome『Easycome』収録曲

―そう思うきっかけがあったんですか?

ちーかま:私が高校生の頃に、一時期、集中して聴いていたアーティストがいて、そのアーティストの曲を、最近、10年ぶりくらいに聴いたんですよね。そうしたら、本当に「心ギュッ」みたいな気持ちになって……「こういうときに、落合は曲作りたくなるんかなぁ」って思うような。

落合:うん。

ちーかま:私は別に、ずっとそのアーティストのファンだったわけでもないし、そもそも、そのアーティストはもう活動していないし。それでも、音楽を残して、それをどこかで誰かが聴いた、という事実があるだけで、ひとつの感情を生み出せる。……それが、すごく不思議だし、すごいことだなと思ったんです。だから、今はもう自分たちのことをずっと好きでいてもらうことに固執しなくなって。むしろ、ずっと好きだったらそういう気持ちにはなれないと思うんですよね。

―きっとそうですよね。

ちーかま:今は、自分たちの音楽が、誰かの一瞬のなにかになってほしいなと思います。

撮影:Misa Shinshi
撮影:Misa Shinshi
Easycome『レイドバック』を聴く(Apple Musicはこちら

Page 4
前へ

リリース情報

Easycome『レイドバック』
Easycome
『レイドバック』(CD)

2020年7月15日(水)発売
価格:1,595円(税込)
NCS-10239

1. スピーチ
2. タペストリー
3. pass you by
4. 描いた果実
5. crispy crispy

プロフィール

Easycome
Easycome(いーじーかむ)

2015年8月、大学のサークル仲間と組んだバンドからメンバーチェンジ、改名を経て「Easycome」を結成。大阪・南堀江knaveで初ライブ開催。2016年9月、1stミニアルバム『風の便りをおしえて』を会場限定販売と一部の店舗での販売開始。2017年8月、2ndミニアルバム『お天気でした』をリリース。2018年12月、サポートドラマーとして参加していたDr.johnnyが正式メンバーとして加入。2019年7月、1stアルバム『Easycome』をリリースし「タワレコメン」にも選出される。2020年7月15日、1st EP『レイドバック』をリリースした。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

BIM“Wink”

BIMの新作『NOT BUSY』より“Wink”の映像が公開。ゆるめに結んだネクタイは軽妙洒脱でも、背伸びはしない。どこか冴えない繰り返しのなかで<だって俺らの本番はきっとこれから>と、吹っ切れなさもそのままラップして次へ。BIMの現在進行形のかっこよさと人懐っこさがトレースされたようなGIFアニメが最高にチャーミング。(山元)

  1. BiSHから届いた胸が詰まるような手紙。全員で語る空白の数か月間 1

    BiSHから届いた胸が詰まるような手紙。全員で語る空白の数か月間

  2. VTuber集結『NHKバーチャル文化祭』にキズナアイ、シロ、さだまさしら 2

    VTuber集結『NHKバーチャル文化祭』にキズナアイ、シロ、さだまさしら

  3. YOASOBI楽曲の原作小説集『夜に駆ける YOASOBI小説集』9月刊行 3

    YOASOBI楽曲の原作小説集『夜に駆ける YOASOBI小説集』9月刊行

  4. 著名人が選ぶ『ゲーム・オブ・スローンズ』ベストエピソード一挙放送 4

    著名人が選ぶ『ゲーム・オブ・スローンズ』ベストエピソード一挙放送

  5. 芦田愛菜『星の子』永瀬正敏と原田知世が「あやしい宗教」信じる両親役 5

    芦田愛菜『星の子』永瀬正敏と原田知世が「あやしい宗教」信じる両親役

  6. 星野源、去年11月のニューヨークライブの模様をNHK総合で地上波初オンエア 6

    星野源、去年11月のニューヨークライブの模様をNHK総合で地上波初オンエア

  7. 森七菜が歌う“スマイル”カバー配信リリース ホフディランがプロデュース 7

    森七菜が歌う“スマイル”カバー配信リリース ホフディランがプロデュース

  8. 田丸雅智×曽我部恵一が登壇『真夏のショートショート食堂』オンライン開催 8

    田丸雅智×曽我部恵一が登壇『真夏のショートショート食堂』オンライン開催

  9. のん×林遣都が共演 大九明子監督、綿矢りさ原作の映画『私をくいとめて』 9

    のん×林遣都が共演 大九明子監督、綿矢りさ原作の映画『私をくいとめて』

  10. もう、人間と自然は共生できない 環境学者・五箇公一インタビュー 10

    もう、人間と自然は共生できない 環境学者・五箇公一インタビュー