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勝井祐二と山本精一が語る 踊るという文化とROVOが瀕する転換点

勝井祐二と山本精一が語る 踊るという文化とROVOが瀕する転換点

ROVO『ROVO』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:池野詩織 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

「新しいやり方を獲得していかなきゃいけないし、それは会場、主催者、演者だけではできない」(勝井)

―これまでの野音と同じような感覚で来ている人も見受けられたわけですか?

勝井:もちろん、コロナで大変な状況だってことを全く知らない人はいないだろうし、来てくれたお客さんみんなそれぞれ意識は持ってたと思うんです。ただ僕らの場合、やってる音楽が音楽なんで、盛り上がってしまうんですよ。

それで、最後の曲で数名が野音のときと同じようにステージ前に来てしまった。きっと、あの人たちも考えてやったことではあると思うんです。「ROVOのライブはこうあるべきだ」みたいなね。

『MDT Festival 2018』より / 撮影:ABE KATSUNORI,WATANABE KAZUHIRO and  DENDA TARO
『MDT Festival 2018』より / 撮影:ABE KATSUNORI,WATANABE KAZUHIRO and DENDA TARO
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勝井:でも、僕らの感覚とはズレがあったので、本編終了後のMCで「今は前と同じことをやってるんじゃダメで、これからの新しいクオリティを作っていかなきゃいけない」って、その場で伝えたんですよ。それはちゃんと通じてくれたと思います。

―山本さんから「実験」という言葉もあったように、まさに今は前例のない状況で、トライアルを重ねることで新しいあり方を見つけ出していく。その最初の一歩だったというか。

勝井:コロナが来て、この先いつどういうふうに収束するかはわからないけど、2019年以前の日比谷野音にあのまま戻りたいとはもう思ってないし、戻れないと、そのとき強く思いました。やっぱり、新しいやり方を獲得していかなきゃいけないし、それは会場、主催者、演者だけではできないんです。その場に参加している人全員で、考えを共有していかないと、コロナ以降の新しいやり方、新しいクオリティは獲得できない。それは『LIVE FOREST』をやってみて、初めて実感したことでした。

山本精一が日々見つめる、アンダーグラウンドの音楽文化とライブハウスの実情

―難波ベアーズの店長でもある山本さんには、ライブハウスの実情についてもお伺いしたいです。

山本:みんなでいろいろ考えてはいるんですけど、はっきり言って、全然アイデアが出ないです。ライブハウスは日銭稼ぎの場所なので、銭が入ってこないとどうしようもないんですよ。配信で儲かるのは人気のある人が出てるハコで、僕らみたいなアングラなハコは全然儲からない。

今は無理やりブッキングを入れてますけど、お客さんは来ないですね。コロナの行方がある程度わかって、恐怖心みたいなものが払しょくされない限りは、どんなことをやっても元には戻らないです。僕らが努力しても、お客さんが来てくれないとしょうがない。

山本精一(やまもと せいいち) / 撮影:ABE KATSUNORI,WATANABE KAZUHIRO and  DENDA TARO<br>1958年7月16日兵庫県生まれ。世界的な評価を得ている大阪のオルタナティブユニット・Boredomsに中心メンバーとして1986年~2002年まで在籍。現在は、人力トランスバンドのパイオニア・ROVOをはじめ、多くのユニットで主に作曲・編曲を担当。現在に至るまでアヴァンポップの最前衛の一人であるが、いわゆる「アヴァンギャルド」の範疇にいる音楽家ではない。また、大阪市浪速区のライブハウス「難波ベアーズ」の店長を1987年から現在まで務めており、関西インディーズシーンの重要人物である。
山本精一(やまもと せいいち) / 撮影:ABE KATSUNORI,WATANABE KAZUHIRO and DENDA TARO
1958年7月16日兵庫県生まれ。世界的な評価を得ている大阪のオルタナティブユニット・Boredomsに中心メンバーとして1986年~2002年まで在籍。現在は、人力トランスバンドのパイオニア・ROVOをはじめ、多くのユニットで主に作曲・編曲を担当。現在に至るまでアヴァンポップの最前衛の一人であるが、いわゆる「アヴァンギャルド」の範疇にいる音楽家ではない。また、大阪市浪速区のライブハウス「難波ベアーズ」の店長を1987年から現在まで務めており、関西インディーズシーンの重要人物である。

勝井:この間、久々に新宿ピットインの昼間の公演に出演して、あそこは今40人に制限してやってるんですけど、それでもお客さんすごい少なくて(スタンディングの場合は約200人収容可能)。で、馴染みの店員さんに「昼だから客少なかったね」って言ったら、「今は夜もお客さん少ないですよ。なかなか40人も来ないです」って言われて……難しいですね。

山本:ホントに難しい。とりあえず、うちの場合は昼くらいからスタジオ貸しをしてます。大阪のライブハウスは今スタジオ貸し多いですね。バンドの連中もドネーションみたいな気分で借りてくれて、それはホントにありがたい。カンパ箱みたいなのを店の前に置いてるんですけど、それもめちゃめちゃ入れてくれるんですよ。ホントにありがたい。今はそういうのでしのいでる状態です。

勝井:今、東京のライブハウスも去年だったら4か月先まで取れなかったようなところが、「来週空いてます」みたいな感じで。だから、最近は「その日空いてるんだったら、何かやろうか」って、ちょうど昨日もそんな感じで、10日前に決めて、中村達也くんと2人でライブをやったんですよ。そうやってわりと思いつきでライブを入れてみる、みたいなことはしてますね。

山本:僕もコロナ以降自分のライブは増えました。まず自分のところが埋まらないから自分で出るという(笑)。でもホントに、今って直近でも土日が空いてたりして、そうなると、ライブの本数自体は増えますね。

4月にはGEZANが主催する「十三月」が旗振り役となり、難波ベアーズ支援のオムニバスCD『日本解放』がリリースされた
4月にはGEZANが主催する「十三月」が旗振り役となり、難波ベアーズ支援のオムニバスCD『日本解放』がリリースされた(詳細を見る

勝井:ベアーズで山本さんがやった「無観客無配信、後売りチケット」ってあったじゃないですか? あれは画期的でしたね。

山本:そんなコンセプチュアルなものではないというか、妙な思想みたいなものは入ってなかったんだけどね。

勝井:後売りチケットって結構売れたんですか?

山本:すごく売れた。

勝井:ドネーション的な意味合いも多かったんでしょうね。

山本:ドネーションです。チケット代も、いくらでもよかったんで。

―ベアーズを愛している人の多さの表れでもありますよね。

山本:感動しました。俺、嫌われてると思ってたんで。

勝井:そんなことないですよ(笑)。

山本:あと、通販がすごいなって思いましたね。こういう状況だから、寄付って感覚もあって買ってくれてると思うんですけど、ホントにめっちゃ買ってくれて、会場売りのレベルじゃない。それもホントにありがたいです。

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リリース情報

ROVO『ROVO』
ROVO
『ROVO』(CD)

2020年9月9日(水)発売
価格:2,970円(税込)
WGMPCI-071

1. SINO RHIZOME
2. KAMARA
3. ARCA
4. AXETO
5. NOVOS
6. SAI

イベント情報

『ROVOニューアルバム『ROVO』発売記念LIVE』

2020年10月23日(金)
会場:愛知県 名古屋TOKUZO
開場 19:00 / 開演 19:30(2部制:換気休憩あり)
自由席:限定50席
前売:4,000円(ドリンク別)

2020年10月25日(日)
会場:東京都 渋谷TSUTAYA O-EAST
開場 18:00 / 開演18:30(2部制:換気休憩あり)
指定席:限定300席
前売:4,300円(ドリンク別) / 当日:5,000円(ドリンク別)

プロフィール

ROVO
ROVO(ろぼ)

「何か宇宙っぽい、でっかい音楽をやろう」と、勝井祐二と山本精一を中心に結成。バンドサウンドによるダンスミュージックシーンの先駆者として、シーンを牽引してきた。驚異のツインドラムから叩き出される強靱なグルーヴを核に、6人の鬼神が創り出す音宇宙。音と光、時間と空間が溶け合った異次元時空のなか、どこまでも昇りつめていく非日常ライブは、ROVOでしか体験できない。国内外で幅広い音楽ファンから絶大な信頼と熱狂的な人気を集める、唯一無二のダンスミュージックバンド。2020年9月9日、12枚作目となる新作『ROVO』をリリースした。

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