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暮らしと仕事と遊びとアート。すべてを越えて繋がる東東京の生活

暮らしと仕事と遊びとアート。すべてを越えて繋がる東東京の生活

『隅田川 森羅万象 墨に夢』(通称『すみゆめ))
インタビュー・テキスト
杉原環樹
撮影:江森康之 編集:宮原朋之(CINRA.NET編集部)

スカイツリーによって若者カルチャーが強くなると思っていけど、泥臭い感じは変わらなかった(笑)。(TARO)

―野木さんは、最近このエリアに引っ越しされたそうですね。

野木:そうなんです。今年2月に川向いの浅草に来ました。それ以来、隅田川沿いをよく散歩しています。東京の東側に住むのも、こんなに水の香りを感じながら暮らすのも初めてなので、すごく楽しい。そのなかで偶然、『すみゆめ』の存在も知り、参加しようと思いました。

その前は、高円寺に住んでいたんです。そのときから自分の徒歩圏内の生活に密着した場所で演奏するのが好きで、高円寺でも、「小杉湯」という銭湯で働きながら音楽イベントを開いていました。

野木青依(のぎ あおい)<br>桐朋学園大学音楽学部卒業。2018年8月オーストラリア・メルボルンにて開催された『第5回全豪マリンバコンクール』第3位並びに新曲課題における最優秀演奏賞受賞。2ndアルバム『踊りにおいでよ』を今年5月にリリース。
野木青依(のぎ あおい)
桐朋学園大学音楽学部卒業。2018年8月オーストラリア・メルボルンにて開催された『第5回全豪マリンバコンクール』第3位並びに新曲課題における最優秀演奏賞受賞。2ndアルバム『踊りにおいでよ』を今年5月にリリース。
2020年8月9日(日)~2021年2月7日(日)『隅田川 森羅万象 墨に夢』
2020年8月9日(日)~2021年2月7日(日)『隅田川 森羅万象 墨に夢』(サイトを見る

野木:なぜ、そんな活動をするかというと、張り切って訪れる音楽ホールのようなかしこまった場所だけではなく、銭湯のような身近な場所を訪れるノリでも音楽に触れてほしいと考えているからです。高円寺時代は銭湯の番台もやっていて、そこで地元の人たちと毎日おしゃべりをしていた経験が、いまの活動につながっています。このエリアでも、銭湯での演奏活動はしたいと思っているのですが……。

北條:そういう話に協力してくれそうな銭湯はこの地域にたくさんあります。よければ紹介しますよ。

野木:ありがとうございます(笑)。そうした寛容な雰囲気を、日々感じています。

―野木さんもそうですが、このエリアに住む表現者も増えているのでしょうか?

北條:表現者かどうかはわかりませんが、人口が増えているというデータがあって、みんなこの地域を「住む場所」として認識し始めているんだ、と感じます。というのも、20年前の僕自身は、どうにかしてこの地域を抜け出したいと思っていたんですよ。

北條:それこそ高円寺とか下北沢とか、とにかく東京の西側に行きたかった。でも、あるとき、あちらに行かなくてもこの場所でできることがあるんだ、と気付いたんです。

きっかけは、2001年に自分たちで『向島博覧会』という展覧会をやったことです。建築家の友達と盛り上がって勢いでやったイベントだったんですが、発想を自分たちで組み立てられるなら、やりたいことはどこでもできると思った。

そういう活動を地道に続けていて、最近では地元からも外の人からも共感してもらうことが増えたと感じます。言葉にしにくいこのエリアの空気みたいなものに共感してもらうことが多くなりました。

『五感工場』(2000年)墨田区向島の撚糸工場 『向島博覧会』参加展 撮影:中里和人 / 向島に残る空き工場(元撚糸工場)をボランティアスタッフたちと2か月にわたり片付け、向島の街をとり下ろした作品を工場の備品や空間とコラボレーションさせた写真インスタレーション
『五感工場』(2000年)墨田区向島の撚糸工場 『向島博覧会』参加展 撮影:中里和人 / 向島に残る空き工場(元撚糸工場)をボランティアスタッフたちと2か月にわたり片付け、向島の街をとり下ろした作品を工場の備品や空間とコラボレーションさせた写真インスタレーション

TARO:その空気に惹かれて、さらにアーティストやデザイナーが引っ越してきて、まちが変わってきたと思うんです。でも、面白いのは、2012年にスカイツリーが完成してマンションがたくさん建つというとき、これからはこのエリアにも若者がたくさん集まって高円寺みたいなカルチャー色の強いまちになるのかなと思っていたら、そうはならなかった(笑)。ハードは変わっても、ちゃんと泥臭い感じがあるんですよね。

―高円寺というか中央線沿線がいまのようになるのは戦後だから、まちの歴史という意味では圧倒的に厚みが違いますもんね。

TARO:観光地になろうとしてなり切れなかったって意味では、同じ東東京の谷中(台東区)みたいな場所とも違うんですよね。

東京スカイツリーと浅草を最短で繋ぐ、連絡歩道橋「すみだリバーウォーク」を渡る
東京スカイツリーと浅草を最短で繋ぐ、連絡歩道橋「すみだリバーウォーク」を渡る

野木:高円寺もアーティストが多く住んでいるまちですが、「地元」という感じはそこまでなかった。みんな「高円寺」に憧れて集まってきていてエネルギーに溢れています。こちらはより生活に根ざしているというか、地に足がついてる感じがあって落ち着きますね。

TARO:さらけ出し方が違う気がします。人の生活の見え方というか。

北條:ちょっと前までは玄関を開けたらすぐ部屋という家が多かったので、夏場、開けっ放しの玄関から上半身裸でちゃぶ台に座っているおっちゃんが見えちゃうような環境なんですよ。路地の延長線上に家があるような感じで、家に住んでるというより、「まちに住んでいる」という感じ。

路地全体を使って暮らしている人が多い。いまだにそういう人は多くて、一方で嫌がる人もいるけど、逆にそういうところがすごく好きなんですよ。

浅草から「すみだリバーウォーク」を渡った一行はリニューアルオープンした隅田公園にて一休み
浅草から「すみだリバーウォーク」を渡った一行はリニューアルオープンした隅田公園にて一休み
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イベント情報

『隅田川 森羅万象 墨に夢』
『隅田川 森羅万象 墨に夢』

2020年8月9日(日)~2021年2月7日(日)
会場:隅田川テラス、隅田公園、すみだ生涯学習センター(ユートリヤ)、YKK60ビルAZ1ホール、両国門天ホール、すみだパークギャラリーささや、sheepstudio、Token Art Centerほか区内各所

隅田川を眺めるプロジェクト

BUGHAUS

隅田川の音あつめワークショップ~Song for 隅田川をつくろう~

野木青依×Vegetable Record×工藤葵

『すみゆめの七夕』
EAT&ART TARO「江戸野菜のくすり箱」

「くすり箱」のお味や効能はいかに?Zoomで開く「TAROさんのおやつの時間」
2020年9月12日(土)15:00~16:00

プロジェクト情報

喫茶野ざらし

キュレーターの青木彬、建築家の佐藤研吾、アーティストの中島晴矢による現代生活と表現の在り方を考えるアートプロジェクト

プロフィール

北條元康(ほうじょう もとやす)

東京都墨田区向島で工務店を経営。幼少の頃より職人に囲まれて育ち、モノ作りが好きになり、自身も大工として施工を熟す。2001年頃より、向島でのアーティスト活動に従事し、以後アート制作の為各地を巡る。2011年次世代の工務店のあり方を模索する為に、ポスト工務店BUGHAUSを立ち上げる。2019年より、工務店の隣の廃工場を利用し、イベントや制作物を作る。

EAT&ART TARO(いーとあんどあーと たろう)

調理師学校卒業後、飲食店勤務を経てギャラリーや美術館などでケータリングや食のワークショップ、カフェプロデュースなどを行っている。これまでに、自分で購入したものが次の人のものになってしまう、おごることしかできないお店「おごりカフェ」や、瀬戸内海の島々で作った「島スープ」、昭和の料理本を調査収集し、レシピ再現などを行う「レトロクッキング」、美味しいおにぎりを食べるためだけに参加者と共に運動会をする「おにぎりのための、毎週運動会」など食をテーマにした作品を多数発表している。

野木青依(のぎ あおい)

桐朋学園大学音楽学部卒業。2018年8月オーストラリア・メルボルンにて開催された「第5回全豪マリンバコンクール」第3位並びに新曲課題における最優秀演奏賞受賞。自粛期間中に制作した、自身のマリンバ演奏・歌唱による2ndアルバム『踊りにおいでよ』を5月に配信リリース。その他、音楽を通して生活を祝福するインスタレーション『Celebration at home』を写真家、工藤葵と発表。モデルとしても活動。『URBAN SENTO』メインビジュアルモデル『HOUGA Short Movie』出演他。

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