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東京とバンコク。対面できない交流の果てに行き着く身体の表現

東京とバンコク。対面できない交流の果てに行き着く身体の表現

『フェスティバル/トーキョー20』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:豊島望 編集:宮原朋之(CINRA.NET編集部)

普遍的で共有可能なものが限りなく薄い東京という空間

―東京とバンコク、お互いの進捗は随時フィードバックしあいながら進めてきたわけですよね。そのなかで気づきや交感のようなものはありましたか?

タイム:ありました。東京チームの思考を聞いていると、曽根さんたちはエモーショナルな感情を大事にしてると感じます。

いっぽう僕らは、もうちょっとコンテンツ主義的というか……。バンコク人なら一般的に感じる物事を「ネタ」として扱いすぎているようにも思ったんです。

バンコクチームのリサーチの様子
バンコクチームのリサーチの様子

タイム:それもあって「もっと個人的な感情要素入れたいよね!」みたいな話はしています。実際、メンバーそれぞれに個性があって、社会的、政治的な感情が強い人もいれば、ちょっと違う人もいますからね。

曽根:わかります。東京をリサーチ対象にしているからといって、私たちが都民を代表することはできないと思うんですよ。自分が感じる「東京らしさ」は、結局は「私の東京」であって「みんなの東京」とは絶対に言い切れない。

むしろ、普遍的で共有可能な東京を持てない、共有の可能性が限りなく薄いのが東京という空間だとも思うんです。もんじゃ焼を東京らしいと思う人もいれば、そうじゃない人もいるように。

曽根千智

―食べ物で言うと、一般的な江戸前寿司のイメージと、時代ごとに変遷してきた江戸前寿司とはだいぶ隔たりがありますし。火を通したタネを具にしてた時期があったり。

曽根:そういう意味でも、集団ではなくインディビジュアルな方面に東京チームは軸足を移していったわけです。タイムさんが言ってた「感情」というのはそのことを指しているのだと思います。

タイム:そのとおりです。

曽根:バンコクチームの作品は、東京と比べて、お客さんが直接的にバンコクらしさを味わえるような展示になるだろうなという印象ですね。いっぽうで、そこにお客さんが能動的に関われる余白はどのぐらい生まれるだろうかとも思っています。

その課題はそっくりそのまま東京チームにも返ってくると思うんですよ。私たちの展示が、どうもわかりやすいものにはなりそうにないので(苦笑)。

タイム:でも、その曖昧さが僕たちの持つ東京のイメージかも。結果的に東京らしいものになる気がします。

圧倒的な距離の隔たりは交流にどんな影響を及ぼすのか

―都市ごとのアイデンティティーの違いが露わになりそうで楽しみです。ここで、話を少し未来、つまり実際に展示が始まった後に移していきたいと思います。コロナで自由に行き来できない状況ですから、おそらく両チームともお互いの展示を実際に見ることはできないでしょう。そうすると「会えないままで、それは交流と呼べるのか?」という問題が浮上してきます。

『トランスフィールド from アジア』が大事にしてきた「交流」についてはどう考えていますか?

曽根:私個人の所感としては、いまの状況にそれほど隔たりを感じていないんです。Facebookでやりとりを進めていて、相手の記録してきた映像や資料に触れているだけで「(都市を考えるために)そんなアングルもあるのか!」って何度も驚かされるんですね。

実際に会わなくても、オンライン上でできることはたくさんある。それは交流やコミュニケーションの本質を揺るがすものではない、というのが私の考えです。

東京チームとバンコクチームが揃った初めてのミーティングの様子
東京チームとバンコクチームが揃った初めてのミーティングの様子

タイム:まったく同感です! 味とか匂いの要素に関しての伝達は難しいですけど、それはコロナが流行する以前からそうであったわけで、むしろ例えば言語翻訳の面ではSNSやテクノロジーの恩恵がはるかに大きい。

コミュニケーションに問題はないです。もちろん、コロナが落ち着いた後は会いたいですよ(笑)。

曽根:会いたいねー!

チャナポン・コムカム
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イベント情報

『フェスティバル/トーキョー20』
『フェスティバル/トーキョー20』

会場:東京都 池袋 東京芸術劇場、トランパル大塚、豊島区内商店街、オンライン会場ほかで開催

『トランスフィールド from アジア F/T × BIPAM 交流プロジェクト The City & The City: Divided Senses』

10月30日(水)~11月1日(日)13:00~18:00

会場:
・東京芸術劇場 シアターウエスト
・F/T remote(オンライン配信)※11/2以降に予定。スケジュールなどの詳細は決まり次第、F/T公式HPにて発表します
金額:参加無料・予約優先

プロフィール

曽根千智(そね ちさと)

1991年生まれ、兵庫県出身。青年団演出部所属。大学在学中に受けた平田オリザの演劇の授業に衝撃を受け、観劇を始める。卒業後、人材系IT企業にて研究開発職につく傍ら、無隣館3期演出部に所属。現在は退職し、演出、劇場制作、ドラマトゥルクとして活動している。出演作品に『よみちにひはくれない』(2018年、世界ゴールド祭)作・演出作品に『遊行権』(2019年、アトリエ春風舎)など。2019年度、セゾン文化財団創造環境イノベーションプログラム採択。

チャナポン・コムカム(ニックネーム:タイム)

1995年生まれ、バンコク出身。ポーチャン芸術大学で絵画の学士号、シルパコーン大学で視覚芸術の修士号を取得。絵画、写真、サウンドアート、ビデオアート、インスタレーションアート、レディ・メイドのオブジェクトなど多様な手法を用い、2017年以後はグループ展、パフォーマンスアートのショーケース、実験的サウンドアートのショーケースなどで作品を発表している。既成の芸術手法と自然による偶発的な要素、ファウンド・オブジェを組み合わせ、隣り合わせにある芸術と日常の関係を表現、現在は、2021年5月の初個展に向けて準備中。

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