
アイナ・ジ・エンドの心の内を込めた『THE END』 亀田誠治と語る
アイナ・ジ・エンド『THE END』- インタビュー・テキスト
- 柴那典
- 撮影:永峰拓也 編集:後藤美波(CINRA.NET編集部)
BiSHのアイナ・ジ・エンドが、初のソロアルバム『THE END』をリリースした。
アルバムは、収録された全12曲すべての作詞作曲をアイナ自らが手掛けた1枚。2018年9月にリリースされたソロデビュー曲“きえないで”でもタッグを組んだ亀田誠治が、既発曲“死にたい夜にかぎって”以外全曲の編曲とサウンドプロデュースを担当している。
BiSHとしての活動と並行し、天性のハスキーボイスを活かしてボーカリストとしても活躍するアイナ・ジ・エンド。ソロ活動は彼女の「本心」を綴る場として、どんな意味合いを持ったのか。コロナ禍の制作環境は楽曲にどんな表情をもたらしたのか。
アイナ・ジ・エンドと亀田誠治の2人に、心血を注いで作り上げた1枚を語ってもらった。
亀田誠治が、椎名林檎をカバーしたアイナの歌声に感じた衝撃。「『人類、進化したな』と思ったんです(笑)」
―まずは亀田さんとアイナさんが出会ったきっかけについて教えてください。
亀田:2018年の『VIVA LA ROCK』というフェスですね。フェスの中で「VIVA LA J-ROCK ANTHEMS」という、J-POPやJ-ROCKの名曲をアーティストが生演奏でカバーするというステージがあって、そこで椎名林檎さんの“本能”をやりたいというアイデアが出てきた。「誰が歌うのがいいだろう?」という話の中で、僕とスカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)の加藤(隆志)くん、ピエール中野(凛として時雨)、残念ながら亡くなってしまった津野米咲(赤い公園)というメンバー全員一致でBiSHのアイナちゃんがいいという話になって、それでオファーしました。
そのステージで僕は初めてアイナちゃんのソロの歌声を聴いたんですけれど、それが正直、本当に素晴らしくて。「人類、進化したな」と思ったんです(笑)。それまで、林檎さんの曲をカバーすることを自分の中で封印してきたんですよ。それはオリジナルを超えられない気がしていたから。でもアイナちゃんとのステージで、初めて超えられた気がした。それくらい素晴らしいパフォーマンスでした。

亀田誠治(かめだ せいじ)
1964年生まれ。音楽プロデューサー・ベーシスト。これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、エレファントカシマシ、大原櫻子、GLIM SPANKY、山本彩、石川さゆり、東京スカパラダイスオーケストラ、MISIAなど数多くのプロデュース、アレンジを手がける。2004年に椎名林檎らと東京事変を結成。2019年より自ら実行委員長を務める日比谷音楽祭を開催。同年、世界に挑む若手音楽家とアスリートや彼らを支え育成に努めるコーチ、その発展・改革に挑むリーダーに贈られる「第2回服部真二賞」を受賞。
アイナ:あの時は緊張しすぎて直前まで胸をさすってたんで、過呼吸の人みたいになってました。でも、いざステージに上がってみたら、一人ひとりパワーがすごくて。演奏しているというよりみんなで歌ってるくらいの熱量があって、すごく心強かった。その頃は1人で歌った回数もそんなになかったので「こんな世界があるんだ」みたいに感じました。ありがたい経験でした。
アイナ・ジ・エンド
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバー。
全曲作詞作曲の1st AL"THE END"を2021年2月3日にリリースし、ソロ活動も本格始動。
―2018年9月にはソロデビュー曲“きえないで”がリリースされています。これも亀田さんのプロデュースですが、『VIVA LA ROCK』の手応えから話が進んでいったんでしょうか。
アイナ:そうですね。お忙しいですし、安易にお声がけできるような方ではないとは思うんですけど、私も「亀田さんじゃなきゃイヤだ」って思ってたし、社長の渡辺淳之介(WACK代表取締役)さんも「亀田さん以外はない」っていう強い意見があって。沢山打ち合わせをして、お願いしようということになりました。
アイナ・ジ・エンド“きえないで”MV
―“きえないで”はアイナさん自身が作詞作曲した曲ということですが、亀田さんはソングライターとしてのアイナさんには、どんな印象がありましたか?
亀田:“きえないで”はアイナちゃんが生まれて初めて作曲した曲なんだよね?
アイナ:はい、そうです。
亀田:どの曲も、そういう曲の誕生のストーリーや背景になることを、アイナちゃんの口から丁寧に話してくれるんです。デモ音源は本当にボイスレコーダーで録った日常のメモみたいなものなんですけれど、そこにすら1人の人間の人生が詰まってるみたいな感じがあって。アルバムもそうなんですけど、“きえないで”のときは、とにかく「この子はやっぱりすごいんだ」と思いました。音源はすごくプリミティブなんだけど、めちゃくちゃアーティストとしてのポテンシャルがある。下手すると火傷するくらいの熱量を感じました。
リリース情報
- アイナ・ジ・エンド
『THE END』初回生産限定盤(2CD+Blu-ray) -
2021年2月3日(水)発売
価格:11,000円(税込)
AVCD-96646/7/B[CD1]
1. 金木犀
2. 虹
3. NaNa
4. 粧し込んだ日にかぎって
5. ハロウ
6. きえないで
7. 日々
8. STEP by STEP
9. 静的情夜
10. 死にたい夜にかぎって
11. サボテンガール
12. スイカ[CD2]
1. 20-CRY- / アイナ・ジ・エンド [from 加藤ミリヤトリビュートアルバム『INSPIRE』]
2. 不便な可愛げ feat. アイナ・ジ・エンド / ジェニーハイ
3. 光の涯 feat. アイナ・ジ・エンド / SUGIZO
4. SING-A-LONG feat. アイナ・ジ・エンド / DISH//
5. 2 FACE / MY FIRST STORY
6. Bacteria / SEXFRiEND [from『hide TRIBUTE IMPULSE』]
7. 偽りのシンパシー [Vocal:アイナ・ジ・エンド] / MONDO GROSSO
8. パート・オブ・ユア・ワールド / アイナ・ジ・エンド [from『Thank You Disney』]
9. Break The Doors feat. アイナ・ジ・エンド / TeddyLoid
10. TO THE END feat. アイナ・ジ・エンド / TeddyLoid[Blu-ray]
・a-nation 2020
1. スパーク
2. 死にたい夜にかぎって
3. きえないで
・HINA-MATSURI 2020
1. SMACK baby SMACK
2. きえないで
・GREEN ROOM FESTIVAL'18
1. 偽りのシンパシー [Vocal:アイナ・ジ・エンド] / MONDO GROSSO
2. 光 [Vocal:アイナ・ジ・エンド] / MONDO GROSSO
・Music Video
1. 金木犀
2. 虹
3. 死にたい夜にかぎって
4. きえないで
・スペシャルコンテンツ『アイナのすべて』
- アイナ・ジ・エンド
『THE END』Music盤(2CD) -
2021年2月3日(水)発売
価格:4,290円(税込)
AVCD-96648/9[CD1]
1. 金木犀
2. 虹
3. NaNa
4. 粧し込んだ日にかぎって
5. ハロウ
6. きえないで
7. 日々
8. STEP by STEP
9. 静的情夜
10. 死にたい夜にかぎって
11. サボテンガール
12. スイカ[CD2]
1. 20-CRY- / アイナ・ジ・エンド [from 加藤ミリヤトリビュートアルバム『INSPIRE』]
2. 不便な可愛げ feat. アイナ・ジ・エンド / ジェニーハイ
3. 光の涯 feat. アイナ・ジ・エンド / SUGIZO
4. SING-A-LONG feat. アイナ・ジ・エンド / DISH//
5. 2 FACE / MY FIRST STORY
6. Bacteria / SEXFRiEND [from『hide TRIBUTE IMPULSE』]
7. 偽りのシンパシー [Vocal:アイナ・ジ・エンド] / MONDO GROSSO
8. パート・オブ・ユア・ワールド / アイナ・ジ・エンド [from『Thank You Disney』]
9. Break The Doors feat. アイナ・ジ・エンド / TeddyLoid
10. TO THE END feat. アイナ・ジ・エンド / TeddyLoid

- アイナ・ジ・エンド
『THE END』CD盤(CD) -
2021年2月3日(水)発売
価格:3,300円(税込)
AVCD-966501. 金木犀
2. 虹
3. NaNa
4. 粧し込んだ日にかぎって
5. ハロウ
6. きえないで
7. 日々
8. STEP by STEP
9. 静的情夜
10. 死にたい夜にかぎって
11. サボテンガール
12. スイカ
プロフィール
- アイナ・ジ・エンド
-
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバー。天性のハスキーボイスとエモーショナルなパフォーマンス、表現力が高く評価されMONDO GROSSO、SUGIZO(LUNA SEA)、ジェニーハイ他、数々の外部アーティストとコラボや、企業TVCMソングを担当する等、業界内の評価も高い。2020年2月3日に、約1年に及ぶ制作活動から生まれた本人作詞作曲による全12曲を収録した初のソロアルバム「THE END」のリリースが決定。いよいよソロ活動を本格化。2月19日より初のソロツアーを名古屋、大阪、東京で開催。チケットは既に全公演即日完売。2021年、最も注目の表現者。
- 亀田誠治(かめだ せいじ)
-
1964年生まれ。音楽プロデューサー・ベーシスト。これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、エレファントカシマシ、大原櫻子、GLIM SPANKY、山本彩、石川さゆり、東京スカパラダイスオーケストラ、MISIAなど数多くのプロデュース、アレンジを手がける。2004年に椎名林檎らと東京事変を結成。2007年第49回、2015年第57回の日本レコード大賞では編曲賞を受賞。2019年より自ら実行委員長を務める日比谷音楽祭を開催。同年、世界に挑む若手音楽家とアスリートや彼らを支え育成に努めるコーチ、その発展・改革に挑むリーダーに贈られる「第2回服部真二賞」を受賞。