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Tempalay、覚醒す。壊れゆく世界に生きる切なさとおかしみを音に

Tempalay、覚醒す。壊れゆく世界に生きる切なさとおかしみを音に

Tempalay『ゴーストアルバム』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:関信行 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

Tempalayのニューアルバム、その名も『ゴーストアルバム』がものすごいことになっている。

そもそもTempalayは、小原綾斗、John Natsuki、AAAMYYYというそれぞれが独立したクリエイティビティを持つ音楽家の集団だ。その3人の個の才気がこれまで以上に際立ち、いびつな様相でせめぎ合いながら、しかし絶妙なバランスで三位一体となった音楽像は、レコーディングのサポートベーシストにBREIMENの高木祥太を迎えることで痛快なまでにブラッシュアップされている。

ファンクをはじめとするブラックミュージックやヒップホップの昇華の仕方も含めて海外の音楽シーンとの同時代性にも富みながら、今の日本に生きるバンドだからこそ鳴らせる比類なきサウンドが聴こえる。彼ら特有の時空がねじれたようなサイケデリックな音像の中で、日本古来の祭りの情景が付帯したようなオリエンタルかつプリミティブな気配が躍動するリズムの快楽。紋切り型の表現とは遠く離れた領域で自由を謳歌するかのごときストレンジでキャッチーな上モノのフレーズや歌メロ。それらの集積によって不可思議なポップネスをドバドバと放出する楽曲の求心力と推進力。この絶妙なバランスは、本当に底知れない。

さらに小原が描く歌詞は、森羅万象に対する畏怖の念のような視座を持ちつつ、これまでのSF的な舞台設定のさらに向こう側をいく、「肉体的に死なないために脳内をあの世に飛ばしながら音楽で遊ぶ」というイメージを浮かばせる。何かを表現することで現代というこのリアルディストピアを生き抜こうではないか──筆者は本作からそんなメッセージさえキャッチした。

このインタビューを実施したタイミングではアルバムは未完成であり(取材は2月上旬。ミックス、マスタリング前の楽曲も含む12曲をもとに取材を敢行)、メンバー3人は作品について語ることを難儀していたところもあったが、それでも『ゴーストアルバム』が生まれた背景やそれぞれのマインドチェンジなどを率直な言葉で語ってくれた。

左から:John Natsuki、小原綾斗、AAAMYYY<br>Tempalay(テンパレイ)<br>『FUJI ROCK FESTIVAL』、アメリカの大型フェス『SXSW』を含む全米ツアー、アジア圏内でも各国ツアーを行うなど、自由奔放にシーンを行き来する新世代バンド。2020年12月9日、ワーナーミュージック内レーベル「unBORDE」よりメジャー第一弾シングル『EDEN』を配信リリース。2021年3月には、前作から約1年9か月ぶりとなる4thアルバム『ゴーストアルバム』をリリースする。
左から:John Natsuki、小原綾斗、AAAMYYY
Tempalay(テンパレイ)
『FUJI ROCK FESTIVAL』、アメリカの大型フェス『SXSW』を含む全米ツアー、アジア圏内でも各国ツアーを行うなど、自由奔放にシーンを行き来する新世代バンド。2020年12月9日、ワーナーミュージック内レーベル「unBORDE」よりメジャー第一弾シングル『EDEN』を配信リリース。2021年3月には、前作から約1年9か月ぶりとなる4thアルバム『ゴーストアルバム』をリリースする。

壊れゆく現実世界の空気を反映させつつも、「メッセージ性はない」と断言。Tempalayは音楽でなにを描いているのか?

―本当に今のTempalayだからこそ創造できる刺激的で底知れないアルバムだと思っていて。森羅万象に対する目線が真ん中にありつつ、これまであったSF的な舞台設定のさらに向こう側に意識を飛ばしながら、音楽的にも劇的に新しいフェーズに踏み入れようという気概を感じる。もっと言えば、リアルディストピアのような様相が現実のものになっている今、肉体的に死なないためにイマジネーションをあの世に飛ばしながら誰にも似ていない音楽をクリエイトして楽しむみたいな感触もあるなと。曲順としてもラストの“大東京万博”から1曲目に向かって辿っていくような聴き方もできるし、それは輪廻転生のような構成でもあるなとか、深読みしだすと止まらないんですけど(笑)。

Natsuki(Dr):いや、それがうれしいです(笑)。

小原(Gt,Vo):こっちはそういう感想を聞いてるのが楽しいですけどね。でも、普段から会ってるからこそインタビューの入り方が難しいですよね(笑)。

―前に(小原)綾斗と飲んだときに「インタビューが原稿になったときの整理されてる感じがイヤだ」という話になって、そういうことも踏まえながらできる限り素直なインタビュー記事にしたいと思っていて。まずは現時点での率直な手応えを聞かせてもらえますか。

小原:まだミックスも全曲は終わってないので、ここから今より絶対によくなると思うんですけど、手応えがあるものはできた気がしますね。う~ん……でも、難しいですね。

―あきらかにフェーズが変わったと思うけどね。

小原:ほんまですか? 今回、“大東京万博”以外は最初のアレンジから(BREIMENのフロントマンの高木)祥太に制作に入ってもらったので、それが音的にも影響出てるのかなと思います。

Tempalay“シンゴ”を聴く(Apple Musicで聴く / Spotifyで聴く

小原:アレンジというか──今回、特殊なレコーディング方法だったんですよ。今までは僕が作ったデモをスタジオに持っていって、みんなでアレンジを練っていく感じだったんですけど、今回はコロナの影響もあって、リモートでデータのやりとりをして、データ上で一度デモを完成させていったんですね。

それを持ってレコーディング前にスタジオにみんなで入ってベースとドラムの骨組みを作って。そこで祥太のアイデアも加わっているので今までとは違う要素が入ってると思います。ただ、自分の曲の作り方に関してはいつもと変わらないですけどね。ひとつのテーマを抽象的になぞっていくように曲を作っていくという。ただ、その曲の内容から感じることが、身近なものに置き換えられるところがあるのかなとは思います。でも、メッセージ性はないですけどね。

―「メッセージ性はない」という態度をとってるかもしれないけど、このアルバムからリスナーがキャッチできるメッセージ性はめっちゃあるでしょ。

小原:めっちゃありますかね? 基本的に僕の中であったらいいなと思うのは、郷愁なんですよね。人って自分の心象に(創作物が)触れたときに、なんとも言えない胸がギュッとなる感覚があると思うんですよ。その郷愁感に触れられたらいいなとはいつも思っていて。

―音楽を聴いてある場面の匂いを思い出すことがあったり。

小原:そうそう。それって間違いなく「いい感覚」であると思ってるので。今回のアルバムは聴いてる人の琴線に触れやすいんじゃないかなとは思います。

左から:John Natsuki、小原綾斗、AAAMYYY
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リリース情報

Tempalay
『ゴーストアルバム』初回限定盤(CD+DVD)

2021年3月24日(水)発売
価格:4,400円(税込)
WPZL-31811/2

[CD]
1. ゲゲゲ
2. GHOST WORLD
3. シンゴ
4. ああ迷路
5. 忍者ハッタリくん
6. 春山淡冶にして笑うが如く
7. Odyssey
8. 何億年たっても
9. EDEN
10. へどりゅーむ
11. 冬山惨淡として睡るが如し
12. 大東京万博

[DVD]
『TOUR 2020』新木場STUDIO COAST公演のライブ映像、ドキュメンタリー、インタビューなど収録
<収録曲>
・脱衣麻雀
・SONIC WAVE
・のめりこめ、震えろ。
・Festival
・革命前夜
・テレパシー
・深海より
・カンガルーも考えている
・大東京万博
・New York City
※DVDは初回限定盤に付属

Tempalay
『ゴーストアルバム』通常盤(CD)

2021年3月24日(水)発売
価格:3,080円(税込)
WPCL-13277

1. ゲゲゲ
2. GHOST WORLD
3. シンゴ
4. ああ迷路
5. 忍者ハッタリくん
6. 春山淡冶にして笑うが如く
7. Odyssey
8. 何億年たっても
9. EDEN
10. へどりゅーむ
11. 冬山惨淡として睡るが如し
12. 大東京万博

イベント情報

『ゴーストツアー』

2021年4月1日(木)
会場:愛知県 名古屋 DIAMOND HALL

2021年4月3日(土)
会場:岡山県 岡山 YEBISU YA PRO

2021年4月4日(日)
会場:大阪府 大阪 なんばハッチ

2021年4月14日(水)
会場:北海道 札幌 cube garden

2021年4月16日(金)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2021年4月22日(木)
会場:福岡県 福岡 BEAT STATION

2021年4月23日(金)
会場:広島県 広島 VANQUISH

2021年4月24日(土)
会場:香川県 高松 DIME

2021年5月8日(土)
会場:新潟県 新潟 GOLDEN PIGS RED

2021年5月9日(日)
会場:石川県 金沢 AZ

2021年5月12日(水)
会場:東京都 ZEPP HANEDA

2021年5月13日(木)
会場:東京都 ZEPP HANEDA

プロフィール

Tempalay(テンパレイ)

『FUJI ROCK FESTIVAL』、アメリカの大型フェス『SXSW』を含む全米ツアー、アジア圏内でも各国ツアーを行うなど、自由奔放にシーンを行き来する新世代バンド。2015年9月にリリースした限定デビューEP『Instant Hawaii』は瞬く間に完売。2016年1月に1stアルバム『from JAPAN』、2017年2月に新作EP『5曲』を発売。2017年夏にGAPとのコラボ曲“革命前夜”を収録した2ndアルバム『from JAPAN 2』をリリース。2018年夏、AAAMYYY(Cho,Syn)が正式メンバーに加わり、新体制後にリリースしたミニアルバム『なんて素晴らしき世界』が各方面から高い評価を得る。2019年6月、怒涛の時代をTempalayという新しい音楽の形で表現した3rdアルバム『21世紀より愛をこめて』をリリース。2020年12月9日、ワーナーミュージック内レーベル「unBORDE」よりメジャー第一弾シングル『EDEN』を配信リリース。2021年3月には、前作から約1年9か月ぶりとなる4thアルバム『ゴーストアルバム』をリリースする。

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