特集 PR

ノスタルジーを胸に前に進む。音楽家HANCEが迎えた40代の現在地

ノスタルジーを胸に前に進む。音楽家HANCEが迎えた40代の現在地

HANCE
インタビュー・テキスト
飯嶋藍子
編集:後藤美波(CINRA.NET編集部)
2021/05/26

40代の新人アーティスト、HANCEが初めてのアルバム『between the night』を完成させた。ジャズ、ソウル、ラテン、フォークなど様々なサウンドが複合的に鳴り響く今作は、「大人の、大人による、大人のためのノスタルジーミュージック」をテーマに掲げ制作されたもの。最新の楽曲はもちろん、20代の頃に制作した楽曲も歌詞を全て書き直すなど、「大人の音楽」へのアップデートを試みている。

20代の頃大手事務所に所属しつつも3か月で退所し、会社経営の道へと進んだHANCE。「本業は会社」と語る彼が、いま、このタイミングで自身の音楽活動を本格化させたのはなぜなのか? ミュージシャンとして、経営者として、デュアルワークで人生を楽しむ彼が考える、心地いい環境のつくり方とは。経歴を追いながらじっくり聞いた。

20代で一度は大手事務所に所属するも、「逃げるようにやめた」理由

―アルバムを聴かせていただきましたが、異国情緒のあるサウンドと日本語の歌詞が溶け合っていて、1枚通していろいろな場所に連れて行ってもらえるような感覚がありました。今作が1stアルバムということですが、HANCEさんはいつ頃から音楽制作や演奏を始められたのですか?

HANCE:私の祖父が、医者でありながら広島交響楽団の創立メンバーのひとりで、指揮者をしていたんですよ。なので、家にグランドピアノやバイオリン、アコーディオンやギターなど、本当にいろいろな楽器やレコードがあって。

そんな祖父から小学校高学年のときにクラシックギターを譲り受けたんです。弾くことができなかったので家に飾っていたのですが、毎日見ているうちに弾いてみたいなという気持ちになったのが最初のきっかけです。

HANCE(はんす)<br>2020年9月、1stシングル『夜と嘘』でデビュー。デビュー曲“夜と嘘”は3か月でYouTubeで100万再生を記録。サウンドプロデュースは、野宮真貴のツアーサポート、中島美嘉、青木カレン等、レコーディング参加で活躍する石垣健太郎が担当。2021年5月26日、待望のファーストアルバム『between the night』をリリース。
HANCE(はんす)
2020年9月、1stシングル『夜と嘘』でデビュー。デビュー曲“夜と嘘”は3か月でYouTubeで100万再生を記録。サウンドプロデュースは、野宮真貴のツアーサポート、中島美嘉、青木カレン等、レコーディング参加で活躍する石垣健太郎が担当。2021年5月26日、待望のファーストアルバム『between the night』をリリース。

―当初はどのような音楽を演奏していたのですか?

HANCE:母が敬虔なクリスチャンで教会学校に行かされていたこともあり、ギターも教会の牧師さんに教わっていました。最初に弾いていたのはほとんど賛美歌です。だからルーツは教会音楽ですね。それはいまの音楽につながっているかなと思います。ぼくは島根県の田舎出身なので、原風景みたいな感覚はもちろん日本の音楽に対しても持っています。

―お祖父さんやお母さん、幼少期の頃の感覚や影響が色濃いんですね。

HANCE:そうですね。あと、祖父は開業医で、本業と並行しながら音楽活動をしていて、ぼくも自分で会社をやりながら兼業ミュージシャンとしてやっているので、スタンスも一緒だなと思います。

HANCE

―本格的に音楽活動を始めたのは、大学に入ってからですか?

HANCE:いまの流れだと正当な音楽教育を受けてそうな感じですけど、音大も出ていなければ音楽専門学校も行っていなくて。

―音楽体系や理論を学んだうえでの、現在のサウンドなのかと思っていました。

HANCE:いえ、習うっていうのがとにかくダメだったんですよ。小さい頃は親に連れられてピアノとか習っていたんですけど、幼稚園くらいで早々と挫折して。学校の音楽の授業も好きじゃなかったです。だから音楽に対して苦手意識があったんです。

いまも楽譜は読めないですし、専門知識もそんなにないんですよ。牧師さんからは子どもでも歌えるような曲を教わっていましたが、ギターの基礎をしっかり学んだというわけではなくて。いまはある程度、複雑なコードもおさえられるようになりましたが、アレンジの核になる部分は、プロデューサーの石垣(健太郎)さんに担っていただいています。

HANCEの1stシングル“夜と嘘”

―20代の頃には大手事務所に所属したということですが、どういう経緯で契約に至ったんですか?

HANCE:20代前半に、ぼくともうひとりでユニットをやっていて、デモMDをいろんなところに送っていたんです。そこで声をかけていただいた大手事務所に3か月くらい所属していたことがあるっていうくらいです。結果的に逃げるようにやめたんですけどね。

―なぜ逃げるようにやめたんですか?

HANCE:いやあ~……辛かったからですね(笑)。社長直々にとにかく曲をつくってこいと毎日言われて。1週間に1度曲を持って行って、「×」「△」「◯」をつけられるんです。1曲1曲、自分の感情を込めてつくっているわけですけど、「◯」なんてほとんどつかないし、持って行っては「×」をつけられて、自分自身を否定され続けるような感覚になりました。

―キャリアの初期で事務所に所属するってアドバンテージのような気もしますが、それでもやめようと思うくらい辛かったのですね。

HANCE:事務所に入ることで可能性が広がるイメージを持つ方が多いと思うのですが、ぼくの場合はその逆に感じたんです。会社組織があって、いろいろな人が関わっているなかで、制作部や社長が求めるものに対して、針の穴を通すようにやっていくっていうことが……思い描いているものとすごく違うなと。大人になった自分からすると、そのやり方に納得できる部分もあるんですけど、当時は窮屈さを感じていました。

HANCE

―スパルタで成長する人もいるとは思うのですが、HANCEさんにとっては環境が合わなかったんですね。

HANCE:そうですね。正直若かった部分もありますが、結局音楽をつくる人にとって大事なのは、自分がつくりやすい環境を整えるということだと思うんです。事務所からはいろんなアドバイスをいただけたので、いまは感謝のほうが大きいですけど、当時のぼくはプライドを傷つけられたように感じて、「自信を持ってつくる」ことができなくなっていく感覚がありました。

Page 1
次へ

リリース情報

HANCE『between the night』
HANCE
『between the night』

2021年5月26日(水)配信

1. 序章
2. 夜と嘘
3. SMOKE
4. マーブルの旅人
5. Suzy
6. COLOR
7. escape
8. SUNNY
9. Making Shadow
10. バレンシアの空
11. ミッドナイト・イン・カフェ
12. Rain

プロフィール

HANCE(はんす)

2020年9月、1stシングル『夜と嘘』でデビュー。デビュー曲『夜と嘘』は3ヶ月でYouTubeで100万再生を記録。台湾のiTunes Store・R&Bソウルトップソングで6位。Apple Music R&B/ソウルトップミュージックビデオランキングで、モンゴルで2位、ボリビアで5位にチャートイン。2ndシングル『バレンシアの空』はキルギスタンのJ-POPチャートで1位、マカオ、アルメニアで4位。4thシングル『Rain』はボリビア、アルメニアのJ-POPチャートで2位、4位を記録。その他、カザフスタン、ウクライナ、香港なども続き、急速に海外リスナーを獲得している。サウンドプロデュースは、元ピチカートファイブの野宮真貴のツアーサポート、中島美嘉、青木カレン等、レコーディング参加で活躍する石垣健太郎が担当。ソウル、フォーク、ラテン、ジャズなど、グローバルな質感をミニマルなアコースティックサウンドにブレンド。今後の活躍が注目されるシンガーソングライター。2021年5月26日、待望のファーストアルバム『between the night』をリリース。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

あらかじめ決められた恋人たちへ“日々feat.アフロ”

何かを我慢することに慣れすぎて忘れてしまいそうになっている「感情」を、たった10分でこじ開けてしまう魔法のようなミュージックビデオ。現在地を確かめながらも、徐々に感情を回転させていくアフロの言葉とあら恋の音。人を傷つけるのではなく、慈しみ輝かせるためのエモーションが天井知らずの勢いで駆け上がっていった先に待ち構えている景色が、普段とは違ったものに見える。これが芸術の力だと言わんばかりに、潔く堂々と振り切っていて気持ちがいい。柴田剛監督のもと、タイコウクニヨシの写真と佐伯龍蔵の映像にも注目。(柏井)

  1. 2003年生まれのLAUSBUBが語る 人生を変えたテクノとの出会い 1

    2003年生まれのLAUSBUBが語る 人生を変えたテクノとの出会い

  2. アニメと共振するテン年代のUSラッパーたち。響き合う作品世界 2

    アニメと共振するテン年代のUSラッパーたち。響き合う作品世界

  3. B'zが松本隆トリビュートアルバムで“セクシャルバイオレットNo.1”カバー 3

    B'zが松本隆トリビュートアルバムで“セクシャルバイオレットNo.1”カバー

  4. 窪塚洋介×太田信吾 肛門へ射し込む希望の光。健康と生活を考える 4

    窪塚洋介×太田信吾 肛門へ射し込む希望の光。健康と生活を考える

  5. Adoが歌唱出演 タマホーム新CM「ハッピーソング Ado篇」放送開始 5

    Adoが歌唱出演 タマホーム新CM「ハッピーソング Ado篇」放送開始

  6. 中川政七商店と隈研吾がコラボ 『Kuma to Shika』全10アイテム限定販売 6

    中川政七商店と隈研吾がコラボ 『Kuma to Shika』全10アイテム限定販売

  7. レイ・ハラカミ没後10年 プラネタリウム作品『暗やみの色』を再上映 7

    レイ・ハラカミ没後10年 プラネタリウム作品『暗やみの色』を再上映

  8. YOASOBI×ユニクロ「UT」のコラボTシャツが7月販売 無料配信ライブも 8

    YOASOBI×ユニクロ「UT」のコラボTシャツが7月販売 無料配信ライブも

  9. ヒップホップ・南米音楽との融合『NOMAD メガロボクス2』 9

    ヒップホップ・南米音楽との融合『NOMAD メガロボクス2』

  10. 黒人ゲイ男性として生きる人々描く記録映画『タンズ アンタイド』無料配信 10

    黒人ゲイ男性として生きる人々描く記録映画『タンズ アンタイド』無料配信