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日韓をつなぐYonYonと台湾の9m88 同世代インディー音楽家対談

日韓をつなぐYonYonと台湾の9m88 同世代インディー音楽家対談

Our Favorite City 〜ニッポン×タイワン オンガクカクメイ〜
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
通訳:池田リリィ茜藍 編集:後藤美波(CINRA.NET編集部)

長引く新型コロナウイルスの感染拡大がライブやフェスなどに深刻なダメージを与えている一方、創作・表現活動を支援するためのオンラインツールやプラットフォームがコロナ禍で急成長するなど、「クリエイターエコノミー」の到来によって世界中のエンターテイメントはいま、大きく変容しようとしている。

そんななか、日本と台湾のインディーズ音楽の交流を目的としたプロジェクト「Our Favorite City ~ニッポン×タイワン オンガクカクメイ~」が今年5月よりスタート。同プロジェクトで行われているYouTube企画の8月のゲストとして、日本を拠点に活動する韓国生まれ、東京育ちのDJ / シンガーソングライターYonYonと、台湾のシンガーソングライター9m88(ジョウエムバーバー)の出演が決定した。

大手レコード会社や事務所に所属せず、現在はインディペンデントな活動を行っている同世代の二人。国内外問わずさまざまなジャンルのアーティストと積極的にコラボレートしながら異なる文化の「橋渡し」をするなど、グローバルな視点を常に大切にしているところにも共通点を感じる。多くのアーティストが思うようにライブやファンとのコミュニケーションができなくなり、望むと望まざるにかかわらず大きな変化が求められているいま、YonYonと9m88はどのような展望を考えているのだろうか。

「Our Favorite City」の主催であり、次世代ファンメディア「Bitfan」を開発運営する株式会社SKIYAKIの行達也の言葉も交えながら、二人に話を聞いた。

創作の自由度やお金の制約。YonYonと9m88が考える、インディペンデントな活動の利点と困難

―YonYonさんとバーバー(9m88)さんは、お互いの活動についてどんな印象をお持ちですか?

YonYon:私はバーバーさんのお名前を、自分も出演した2019年の『SUMMER SONIC』のときに初めてお見かけしました。私が出演したのは違う日だったため、実際にライブを見ることはできなかったのですが、『サマソニ』の「ASIAN CALLING」枠は毎年楽しみにしていて、そこで知って音源を聴くようになりました。

バーバーさんは、1980年代から1990年代にかけての音楽やファッションに影響を受けつつ、そこにR&Bやヒップホップの要素を混ぜ合わせることで、どこか懐かしいのに新しさも感じさせる音楽にしているのが面白いと思いました。

YouTubeなどで着用されている衣装もとっても素敵ですよね。MVのビジュアルイメージやファッションに対する意識がとても高いことがわかります。ご自身の世界観をしっかり持っている方なのかなと。

YonYon<br>ソウル生まれ東京育ちというバックグラウンドを持ち、DJ、シンガーソングライター、音楽プロデューサー、ラジオパーソナリティとしてマルチに活動するクリエイター。KIRINJI、黒田卓也、Yaeji、Joe Hertzなど、様々なシーンのアーティストへの客演参加を積み重ね、2021年3月24日に自身初となる1st EP『The Light, The Water』をリリース。また、日韓のプロデューサーとシンガーを楽曲制作というかたちでつなぐ「The Link」プロジェクトを経て、自身主宰の音楽レーベル「Peace Tree」を2021年に立ち上げた。様々なシーンの架け橋となり、音楽を通じて愛と平和の木を育み続けている。
YonYon
ソウル生まれ東京育ちというバックグラウンドを持ち、DJ、シンガーソングライター、音楽プロデューサー、ラジオパーソナリティとしてマルチに活動するクリエイター。KIRINJI、黒田卓也、Yaeji、Joe Hertzなど、様々なシーンのアーティストへの客演参加を積み重ね、2021年3月24日に自身初となる1st EP『The Light, The Water』をリリース。また、日韓のプロデューサーとシンガーを楽曲制作というかたちでつなぐ「The Link」プロジェクトを経て、自身主宰の音楽レーベル「Peace Tree」を2021年に立ち上げた。様々なシーンの架け橋となり、音楽を通じて愛と平和の木を育み続けている。

9m88:ありがとうございます。私はYonYonさんのことを、Yaejiとのコラボ曲で初めて知りました。そこから最新EP『The Light, The Water』も聴かせてもらったのですが、とても洗練された電子音楽だなと思いました。

ちょっと前にリリースされた、SIRUPさんとのコラボ曲“Mirror(選択)”も印象的でしたね。日本で活動するアーティストとしてのオリジナリティを持ちながら、それをグローバルなかたちで発信されているところにも共感します。

9m88(じょうえむばーばー)<br>台北生まれ、ニューヨークに留学経験のあるソウルシンガー。2018年12月、日本で限定版7インチシングル『九頭身日奈 / Plastic Love』を発売。2019年1月、レコード発売記念ツアーで来日。2019年8月、1stアルバム『平庸之上 Beyond Mediocrity』をリリースした。2021年に、初のジャズ作品そしてアルバムもリリースする予定。
9m88(じょうえむばーばー)
台北生まれ、ニューヨークに留学経験のあるソウルシンガー。2018年12月、日本で限定版7インチシングル『九頭身日奈 / Plastic Love』を発売。2019年1月、レコード発売記念ツアーで来日。2019年8月、1stアルバム『平庸之上 Beyond Mediocrity』をリリースした。2021年に、初のジャズ作品そしてアルバムもリリースする予定。

―YonYonさんは、日韓の注目すべきプロデューサーとシンガーをつなぎ、制作した楽曲を配信しプロモーションしていくプロジェクト「The Link」を立ち上げるなど、DJ以外の活動も積極的にされていますよね。

YonYon:私は出身が韓国、育ちが日本なので、どちらの国にも素晴らしいアーティストの友人がたくさんいます。彼らをお互いの国に紹介する、「橋渡し」のような役割ができないかなと思って始めたのが「The Link」でした。

実際にやってみると、橋渡しはできてもその先のリスナーの耳元に音楽を届けるところまでは、まだまだ力が及んでいないと感じます。そこを解決するために、まず私自身が一人のアーティストとして発信力を持つことが大切なのではないかと思うようになりました。なのでいまは、一旦「The Link」を温存しておき、「YonYon」というアーティストを育てることに注力を注いでいるところです。

「The Link」プロジェクト第2弾として2018年に発表されたYonYonとSIRUP、韓国のプロデューサー2xxx!のコラボ曲“Mirror(選択)”

―なるほど。お二人は大手レーベルに所属せず、インディペンデントな活動をされていますが、そのメリット、デメリットをどのように感じているのでしょうか。

9m88:私は2015年に自分の作品をYouTubeで公開してデビューし、かれこれ6年になります。その間、大手のレーベルに所属しようかと考えたこともありました。

やはりバジェットの問題が大きいんですよね。例えば音源を制作する場合でも、インディペンデントだと大きな予算を組むことは難しい。使用するスタジオや機材のレベルも、それを理由に妥協しなければならず、クオリティそのものにも影響を与えてしまうのは大きなデメリットです。

音源が完成し、ミュージックビデオを制作する際にも同様の問題に悩まされます。しかも、どれだけいい音楽をつくり上げたとしても、多くの人の耳に届けるためには大変な宣伝費がかかります。常にバジェットの面で悩まされるのが辛いところです。

2021年6月にリリースされた9m88の最新曲“Tell Me”。DJ MITSU THE BEATSとの共作曲 

9m88:では、なぜいまもインディペンデントで活動しているかといえば、メジャーに所属しているアーティストに比べると、創作における自由度はかなり担保されているからです。

潤沢な予算を使ってプロモーションに力を入れているメジャーアーティストの場合、所属レコード会社や事務所の社員の給料を稼がなければならないという現実を考えると、どうしたって「売れる / 売れない」の価値基準を持たなければならない。おのずと創作における自由度は減っていきますよね。もちろん、インディペンデントのアーティストは商業的なことをまったく考えなくてもいいというわけではないのですが。

2019年にリリースされた9m88のアルバム『平庸之上』(Apple Musicはこちら

YonYon:バーバーさんのおっしゃるとおりです。インディペンデントな活動の一番のメリットは、自分が好きなスタイル、好きなタイミングで作品をつくって世に出せることだと思います。

デメリットはバジェットの面に加えて、その時々のプロジェクトによって必要な数のスタッフを自分で雇うことになるので、それをまとめて動かすための時間や労力が必要とされるという点もあると思います。

事務所やレーベルに所属しているアーティストは、そういった細々したやりとりを任せられるスタッフさんがたくさんいるので、自分の作品に集中することができる。そういう面では、時間とお金の使い方こそインディペンデントアーティストにとっての最大の課題なのかもしれないですね。

2021年3月にリリースされたYonYonの1st EP『The Light, The Water』(Apple Musicはこちら

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サービス情報

「Our Favorite City ~ニッポン×タイワン オンガクカクメイ~」
「Our Favorite City ~ニッポン×タイワン オンガクカクメイ~」

日本と台湾、2つの国のインディーズ音楽の交流を目的としたプロジェクト。音楽情報をメインに台湾の最新情報を幅広く発信。

リリース情報

80KIDZ
『Your Closet feat. YonYon』(7インチアナログ)

2021年8月18日(水)発売
価格:2,200円(税込)
KMKN85

1. Your Closet feat. YonYon (Original)
2. Your Closet feat. YonYon (yonkey Remix)

VivaOla
『Juliet is the moon』(CD)

2021年9月1日(水)発売
価格:2,800円(税込)
RDCA-1067

1. Saving Grace (Intro)
2. Not Enough For You
3. My Moon (feat. ZIN)
4. Love you bad (feat. YonYon)
5. All This Time
6. Goodbye
7. Waste
8. Mixed Feelings
9. Over The Moon (feat. Sagiri Sol)
10. Two Years (Outro)

9m88
『Tell Me (Prod. by Mitsu the Beats)』

2021年6月9日(水)配信

プロフィール

YonYon(よんよん)

ソウル生まれ東京育ちというバックグラウンドを持ち、DJ、シンガーソングライター、音楽プロデューサー、ラジオパーソナリティとしてマルチに活動するクリエイター。KIRINJI、黒田卓也、Yaeji、Joe Hertzなど、様々なシーンのアーティストへの客演参加を積み重ね、2021年3月24日に自身初となる1st EP『The Light, The Water』をリリース。また、日韓のプロデューサーとシンガーを楽曲制作という形で繋ぐ「The Link」プロジェクトを経て、自身主宰の音楽レーベル「Peace Tree」を2021年に立ち上げた。様々なシーンの架け橋となり、音楽を通じて愛と平和の木を育み続けている。

9m88(じょうえむばーばー)

台北生まれ、ニューヨークに留学経験のあるソウルシンガー。2018年12月、日本で限定版7インチ・シングル『九頭身日奈 / Plastic Love』を発売。2019年1月、レコード発売記念ツアーで来日。2019年8月、1stアルバム『平庸之上 Beyond Mediocrity』をリリースした。2021年に、初のジャズ作品そしてアルバムもリリースする予定。

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