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あの人の音楽が生まれる部屋 vol.27 GLIM SPANKY

あの人の音楽が生まれる部屋 vol.27 GLIM SPANKY

KORG
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:中村ナリコ

「こんな世界観のあるバンド、音楽業界が放っておくはずがない!」という根拠なき自信

松尾さんが高校3年生のとき、『閃光ライオット』に出演。GLIM SPANKYは全国5500組の中、14組のファイナリストに選ばれます。そのとき同じファイナリストだったのが、ズットズレテルズやThe SALOVERS、挫・人間といったバンドたちでした。彼らの音楽に対する真剣な姿勢に、二人は「洗礼を受けた」と振り返ります。

松尾:それまで「音楽で食べていく」と言っても、地元にいる人たちからは「絵空事」だと笑われることが多かったんです。でも、『閃光ライオット』で当たり前のように音楽を生業にしようとしている人たちと出会って、「そうか、これは夢じゃないんだ。絵空事じゃないんだ」と思えたのは大きなきっかけでした。それで「絶対に音楽で生きていこう」と決めて上京したんです。

亀本:そのタイミングでGLIM SPANKYは僕とレミさんの2人組になったんですけど、とにかく、根拠のない自信だけはありました。お客さんが1人とか2人のときもあったのに、「絶対僕たちは大丈夫!」と思っていましたね。たぶん、バカだったんだと思います。でも、そのくらいがちょうどいいんですよ。あんまり深く考えてたら、きっと躊躇してたから。

左から:松尾レミ、亀本寛貴

松尾:それまでバンド編成だったのが急に二人になったので、その形でライブハウスを回っていた最初の数年は、とにかく試練でした。でも私たち、活動の初期から音源だけじゃなくてステージングにもこだわってたし、衣装やSE、アートワークでも自分たちを表現していたので、「こんな確固たる世界観を持ってるバンドを、音楽業界が放っておくわけがない!」ってずっと信じ続けていましたね。

想像していた世界とは違った、メジャーの世界。いしわたり淳治からのアドバイスも吸収

GLIM SPANKYは、見事メジャーデビューへの切符を手にして、2014年6月に1stメジャーミニアルバム『焦燥』をリリース。そして翌年7月に完成した1stフルアルバム『SUNRISE JOURNEY』は、いしわたり淳治さんや亀田誠治さん、高田漣さんらをプロデューサーに迎え、1stシングル『褒めろよ』や、映画『リアル鬼ごっこ』の主題歌となった同名曲など、バラエティーに富んだアレンジの楽曲を収録。GLIM SPANKYの引き出しの多さを見せつける内容でした。

松尾:私、スーパーカーがすごく好きだったんです。特に、(いしわたり)淳治さんの言葉遊びのような歌詞の世界が好きだったんですけど、淳治さんが近年他のアーティストに提供している歌詞は、また全然違いますよね。その振り幅の大きさが信頼できると思って、プロデュースをお願いしたんです。淳治さんから、「GLIM SPANKYは、多少のコミカルさが必要だ」って言われたんですよ。「ロックとは、かっこよくもあるし、面白くもあるものだ」って。それと、「歌詞は日記ではないから、自分にしかわからない言葉で自分に向けて書くものではない」と言われたことも印象に残っています。大昔から、歌というのはみんなで共有されてきたものだから、「みんなの歌」になれるような歌詞のほうが響くよね、って。

スタジオ機材、松尾レミの飾り
スタジオ機材、松尾レミの飾り

自分たちの世界観をメジャーというフィールドで活かすためにはどうしたらいいのか。どこを削って、どこを広げればいいのか。そういったことを一緒に考えてくれるプロデューサーやディレクターに出会えたことは、GLIM SPANKYにとってエポックメイキングな出来事だったようです。

松尾:それまでの自分は完全に「インディーズ脳」で……「メジャーなんて、どうせ大人がいいようにアーティストを飼いならす場所だろ」みたいに思ってたんですよ(笑)。「メジャーに行っても、私は絶対に自分たちを変えないし」というふうに身構えてました。でも、淳治さんも亀田さんも、私たちの意見をちゃんと受け止めてくれたし、その上でどうすべきか考えてくれた。だから私たちも、それに対してまた前向きな意見が言えたんですよね。それで、最終的なジャッジはこちらに任せてくれる。本当にいいチームに出会えたと思っています。

亀本:自分たちがインディーズだった頃に想像していた、窮屈でやりにくい世界では全然なかったです。何の制約もないし、インディーズのときと何一つ変わらず活動させてもらってます。それに、僕たちGLIM SPANKYが目指しているのって、「万人に届く音楽」なんですよ。だからバンド側もスタッフ側も、目指しているゴールは一緒。かと言って、スタッフから「レミちゃん、もうちょっとスカート短めで、胸元出して」とか、突拍子もない変なことを要求されることもないですし(笑)。逆にスタッフから「もうちょっとGLIMらしくてもいいんじゃない?」って言われるくらいだから。

左から:松尾レミ、亀本寛貴

GLIM SPANKYの根源にあるのは「心を閉ざした大人になりたくない」

そして、1月27日にリリースされたGLIM SPANKYの2ndミニアルバム『ワイルド・サイドを行け』は、ストレートなメッセージ性がさらに研ぎ澄まされ、自らを鼓舞するような内容から、聴き手へと真っ直ぐ向かうものへと変化しています。メジャーデビューを果たし、自分たちのファンと直接触れ合う機会も増え、責任感や使命感のようなものを感じ始めているのでしょうか。

松尾:伝えたいメッセージを決めたら、回りくどい言葉は使わず、真っ直ぐ書き進んでいったからこそ、これだけストレートな歌詞になったのかなって思います。単にボソっとつぶやいただけでは伝わらないということは、これまでの活動の中で痛感していたし。伝えるためにはうざいくらいストレートでいいと思うんです。それがダサくなるか、ちゃんと人の心に届くかは、ミュージシャンの力量が問われるところ。「私が歌えば、どんなストレートな歌詞でも絶対にダサくならない」という気持ちで歌っていますね。

GLIM SPANKYの音楽の根源にあるのは、「怒り」なのではないでしょうか。高校時代、大人の前で夢を語って笑われたこと、「バンドで食べていく」と決心したときに絵空事だと周囲から反対されたこと。その悔しさ、怒りをバネにした楽曲が、彼らには多く存在します。それを個人的な感情としてぶつけるのではなく、普遍的な言葉にしているからこそ、多くの人たちに届くのでしょう。

松尾:そうですね、基本的に怒っています(笑)。子どもが真剣に夢を話しているのに、それを大人が笑うっていうのは、かなり衝撃的な体験だったんですよ。私の歌詞は「大人とは?」というテーマのものが多いんですけど、そのきっかけとなった出来事のひとつです。でも、きっとあのとき笑った人たちも、昔は夢を持っていたのだろうし、社会に揉まれながら生きていると「純粋な心」は隠したり閉ざしたりしないといけないのかなって。今は、そういう人たちにも届けて、その心を開けてやりたいという思いもありますね。そして、自分自身はその「純粋な心」をずっと忘れずにいたい。私、9歳のときから誕生日が怖くて。大人になりたくなくて、ピーターパン症候群みたいな感じだったんですよ。これから60歳になっても70歳になっても、ずーっと「大人になりたくない」と思っているような大人になりたいです(笑)。

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スタジオ機材リスト

コンピューター
Apple「Mac Book Pro」

DAWソフト
Apple「Logic Pro X」

オーディオインターフェース
Native Instruments KOMPLETE Audio 6

ギター
Gibson「Les Paul Special」
Gibson「Les Paul Deluxe」

チューナー
KORG「Pitchblack」

エフェクター
Electro Harmonix「STEREO MEMORY MAN WITH HAZARAI」
YAMAHA「GE-10M II Graphic Equalizer」
ARC Effects「BIG GREEN」
Fulltone「FB-3 FAT BOOST 3」
ZVEX EFFECTS「Vexter Series Fuzz Factory」
LINE 6「M5 STOMPBOX MODELER」
Electro Harmonix「Nano Small Stone」

MIDIキーボード
KORG「nanoKEY2」

キーボード
KORG「Liverpool」

リリース情報

GLIM SPANKY『ワイルド・サイドを行け』初回限定盤
GLIM SPANKY
『ワイルド・サイドを行け』初回限定盤(CD+DVD)

2016年1月27日(水)発売
価格:2,700円(税込)
TYCT-69097

[CD]
1. ワイルド・サイドを行け
2. NEXT ONE
3. BOYS&GIRLS
4. 太陽を目指せ
5. 夜明けのフォーク
[DVD]2015年10月17日赤坂BLITZワンマン公演
1. サンライズジャーニー
2. 焦燥
3. MIDNIGHT CIRCUS
4. ダミーロックとブルース
5. 褒めろよ
6. WONDER ALONE
7. リアル鬼ごっこ
8. NEXT ONE
9. 大人になったら
10. さよなら僕の町

GLIM SPANKY『ワイルド・サイドを行け』通常盤
GLIM SPANKY
『ワイルド・サイドを行け』通常盤(CD)

2016年1月27日(水)発売
価格:1,620円(税込)
TYCT-60077

1. ワイルド・サイドを行け
2. NEXT ONE
3. BOYS&GIRLS
4. 太陽を目指せ
5. 夜明けのフォーク

イベント情報

GLIM SPANKY
『“ワイルド・サイドを行け”ツアー』

2016年4月2日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 SPADE BOX

2016年4月3日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:大阪府 心斎橋 JANUS

2016年4月16日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

プロフィール

{アーティスト名など}
GLIM SPANKY(ぐりむ すぱんきー)

1960~70年代のロックとブルースを基調にしながらも、新しさを感じさせるサウンドを鳴らす、松尾レミ(Vo,Gt)と亀本寛貴(Gt)による男女2人組新世代ロックユニット。2007年長野県内の高校にて結成。2009年には10代バンドの登竜門であるコンテスト『閃光ライオット』で、全国5500組の中から14組のファイナルに選ばれる。2014年6月に1stミニアルバム『焦燥』でユニバーサルミュージック Virgin Musicよりメジャーデビュー。その後、水原希子出演スズキ「ワゴンRスティングレー」のCMに、松尾レミがカバーするジャニス・ジョップリンの“MOVE OVER”が使われ、松尾レミの歌声は大きな反響を呼び、昨年から既に8つものCMで歌唱を担当。2016年1月27日、2ndミニアルバム『ワイルド・サイドを行け』をリリース。2人の野望は「日本語の楽曲で世界に打って出ること」。

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