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水曜日のカンパネラ、人気の起爆剤となった「MV」について語る

『TOKYO MUSIC ODYSSEY』
テキスト
小田部仁
撮影:小見山峻
水曜日のカンパネラ、人気の起爆剤となった「MV」について語る

音楽にまつわるアート作品を間近で見ることのできた展覧会

3月4日から6日の3日間にわたって、渋谷space EDGEで行われた『SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION』。音楽とアートの密なる関係性の「現在」を見せる展覧会と銘打たれただけあり、オフィス街のはずれにある会場には3日間を通じて多くの観客が詰めかけた。

筆者は最終日の6日に足を運んだのだが、制服姿の10代の学生から日本のポップスの歴史をそのまま見てきたようなシニアまで、幅広い客層のオーディエンスでごった返していた。写真家・太田好治が撮影したBRAHMANのアーティスト写真を、カメラを首からかけた少年が息を飲んでじっと見つめ、きゃりーぱみゅぱみゅのステージ衣装を、シックな赤いコートに身を包んだマダムが興味深げに観察している光景が見られた。

『SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION』会場風景
『SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION』会場風景

貴重なアーティスト写真のプリントやジャケットに使用されたイラストの原画など、なかなか生で見ることの叶わない作品群が一挙に見られるということで、音楽リスナーだけでなくクリエイターの卵たちにとってもたまらない展示会だったのではないだろうか。

満席となった、水曜日のカンパネラの映像を語り合うトークショー

展示会と並行して行われた、音楽とアートの「今」を語るトークショーには、貴重な組み合わせによるトークセッションを聞こうと多くの観客が集まった。最終日である6日は「進化するミュージックビデオの今」というテーマで、水曜日のカンパネラのコムアイ、児玉裕一監督、山田智和監督によるトークショーが、ライター・三宅正一の司会で行われた。

三宅正一、コムアイ、児玉裕一、山田智和
三宅正一、コムアイ、児玉裕一、山田智和

コムアイが「絶対に見たかった」という理由で実現した、今回の児玉監督と山田監督の組み合わせ。両監督ともに水曜日のカンパネラのミュージックビデオ(以下、MV)をディレクションしており、児玉監督は“ラー”、山田監督は“ナポレオン”と“メデューサ”を担当している。コムアイにとって、年齢がたった5つほどしか変わらない山田監督は「同志」という存在、対して、椎名林檎やPerfumeなどのMVも手がけ第一線で活躍する児玉監督は、これまで関わってきた映像作品が各アーティストの活動に及ぼした影響力の大きさから、「育ての親」というような印象を持っているという。

水曜日のカンパネラはデビュー以来、CDの全国リリースよりも先に多くのMVを発表した。“桃太郎”や“千利休”などユーモアと工夫に溢れたMVが、知名度の拡大に大きな役割を果たしてきた。それだけに、昨年10月に発表された“ラー”に、水曜日のカンパネラが日本のMV界の本丸である児玉監督を起用したのは、若い映像監督たちにとっては「事件」だったと山田監督はいう。児玉監督自身も「水カンとやったことでだいぶ、僕は若いクリエイターに恨まれている(笑)」と、冗談めかしながら述べていた。

しかしながら、百戦錬磨の児玉監督にとっても水曜日のカンパネラのMV製作は、「ついに(依頼が)来てしまった」と思うほど気合の入るものだったという。コムアイは“ラー”のMVのために描かれた絵コンテの「量」と「質」に驚いたそうだ。実際に会場で展示されていた絵コンテは、そのまま漫画として読めそうなほど描きこまれた内容と量で、児玉監督のこのMVにかけた熱意が感じられるものだった。

絵コンテの展示風景
絵コンテの展示風景

三人の視点から語る、いいMVとは?

「水曜日のカンパネラをやり始めた理由は、MVを作るためだったと言っても過言じゃない」と言うコムアイ。しかしながら、有名な監督だからいいわけではないという。トラックメイカーであるケンモチヒデフミが作った楽曲を聴いた時に見えるビジョンを具現化するために、チューニングがピタッとハマるような監督とコラボレーションすることが、何より大事なのだそう。

コムアイ(水曜日のカンパネラ)
コムアイ(水曜日のカンパネラ)

両監督も現在のMVを取り巻く現状に対して、同じく共鳴するような考えを持っている。「百円だろうが1億円だろうが、いい映像に製作費用は関係ない。工夫が大事」と述べたのは児玉監督。“ラー”で、これまでの水曜日のカンパネラのイメージを宇宙まで拡張する、壮大なスペクタクルの映像を作り上げながらも、原点に立ち戻るその姿勢に映像クリエイターとしてのスピリットを感じた。この言葉に山田監督は「YouTubeの広がりによってMVの重要性が上がっている今だからこそ、もっといい映像を作りたい」と、闘志を燃やした。

最後に、地方からこの日のために上京してきたという、映像ディレクター志望の学生から質問の手が挙がった。「映像を作る際に、様々な事情でやりたいことをやれないという壁にぶつかることはあるか?」という質問に、コムアイも児玉監督も山田監督も口を揃えて述べたのは、「壁なんかあったっけ?」という返答だった。「逆境を逆手にとって自分でも想像もしなかった場所にたどり着きたい」という思い。それはすなわち、この展覧会で展示されていた音楽と共振して生まれたコマーシャルなアート作品たちの全てに通ずるスピリットだったのではないだろうか。

イベント情報

『SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION』

2016年3月4日(金)~3月6日(日)
会場:東京都 渋谷 space EDGE

『ART EXHIBITION』参加作家:
飯嶋久美子
植本一子
オオクボリュウ
太田好治
上岡拓也
児玉裕一
サイトウユウスケ
神藤剛
高橋由季(コニコ)
谷口恭介
谷端実
cherry chill will
東市篤憲
西村ツチカ
magma
町田ヒロチカ
本秀康
山根慶丈
YKBX
鷲尾友公
料金:無料

『CREATOR'S SESSION』
2016年3月5日(土)17:00~18:00
トーク:
福田哲丸(快速東京)
富永勇亮(dot by dot inc.)
2016年3月6日(日)15:00~16:00
トーク:
evala
YKBX
2016年3月6日(日)17:00~18:00
トーク:
コムアイ(水曜日のカンパネラ)
児玉裕一
山田智和

『TOKYO MUSIC ODYSSEY』

「TOKYO MUSIC ODYSSEY」とは、スペースシャワーTVがプロデュースする、音楽を中心に音楽と親和性の高いカルチャーも巻き込んで開催する複合イベントです。素晴らしい音楽の発信、新しい才能の発掘を通して、音楽の感動を多くの人に伝え、体験できるリアルスペースを提供します。私たちの心を揺らし、人生を豊かにしてくれるアーティスト、クリエイターが最高に輝く場所を創ることを目指します。そして、未来へ続く音楽文化の発展へ貢献していきます。「TOKYO MUSIC ODYSSEY」は5つのコンテンツで構成、イベントを開催いたします。(オフィシャルサイトより)

番組情報

『TOKYO MUSIC ODYSSEY 2016 SPECIAL』

2016年3月27日(日)22:00からSPACE SHOWER TVにて放送
リピート放送:
2016年4月5日(火)22:00から
2016年4月11日(月)25:00から

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