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CHAIやCreepy Nutsら注目株が集う、次世代ロック研究開発室とは

次世代ロック研究開発室
テキスト
天野史彬
編集:矢島由佳子
CHAIやCreepy Nutsら注目株が集う、次世代ロック研究開発室とは

次世代のスターになりうる「本格派の新人アーティスト」を一気に紹介

「次世代ロック研究開発室」とは、Sony Musicが「本格派の新人アーティストと遊び場を作ろう!」という意志のもと、新たに立ち上げた部署。この「研究開発室」が主催するイベント『第一回研究発表会』が、6月14日、新宿LOFTにて開催された。

メインステージとバーステージの2ステージ制で開催されるなか、メインステージのトップバッターを飾ったのは、神戸出身の3ピースバンド・w.o.d.。すでに『RO69JACK』や『出れんの!?サマソニ!?』でも入賞経験のあるバンドで、その音楽性は、ダーティーでグルーヴィー、しかし、どこかあっけらかんとしたキャッチーさも持ち合わせたロックンロール。

この日本においては、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT~髭の流れを汲む存在と言えるだろう。ファンキーなリズム隊が生み出す身体的な快楽性と、サイトウタクヤ(Vo)のボーカリゼーションに宿る内面的な叫びが、1曲の中にコントラストを描いているところがなにより魅力的だった。

w.o.d.

w.o.d.
w.o.d.

続くバーステージのトップバッターには、大阪の4ピースバンド・ハンブレッダーズのフロントマン、ムツムロアキラが弾き語りで登場。MCで「ロックンロールは、言葉を前に伝える文学だと思うんです」と言ってのける潔さを持ち、前傾姿勢でアコギを掻き鳴らす、その直情的な姿が、今の時代においてはかなり新鮮に映った。

曲も、「学校」や「恋愛」といった思春期性溢れるモチーフが多く、この歌に宿ったピュアネスは、この先、もっと広い世界と繋がっていく中で、どのように変化するのか(あるいは、しないのか)……先を見てみたいと思わせる存在だった。

ムツムロアキラ(ハンブレッダーズ)
ムツムロアキラ(ハンブレッダーズ)

続いてメインステージに登場したのは、5ピースラウドバンド・Survive Said The Prophet。すでに『KNOTFEST』や『PUNKSPRING』など、パンク / ラウド系の大型フェスにも出演し、海外でのレコーディングも経験する実力派で、ヘヴィーなラウドロックはもちろん、エレクトロを昇華したポップなものや、流麗なバラードなど、様々な展開を見せていくステージングの「魅せ方」はさすが。

「自分を見つけて、他人を見つけて、自分が変わるんだ」というメッセージをMCで突き刺すように投げかけ、音楽で一気に熱狂の渦へと誘う――ロックバンドにとって、オーディエンスといかに「ドラマ」を共有するのかはひとつの命題となるが、彼らは見事に、オーディエンスを自分たちのドラマに巻き込んでいた。

Survive Said The Prophet

Survive Said The Prophet
Survive Said The Prophet

8月2日発売、3rdアルバム『WABI SABI』のリードトラック

続くバーステージは、神戸出身の4ピースバンド・ムノーノ=モーゼスが登場。本人たちは「夏の権化!夢の中シティーパンクバンド」というキャッチコピーを掲げているようで、筆者には「夏の権化」かどうかはよくわからなかったが、「夢の中シティーパンク」というのは、割と納得できてしまった。

そのメロディーは夢の中をたゆたうような揺らぎと輝きを孕んでいるが、バンドのアンサンブルはソリッドでパンキッシュ。サウンドの系譜としては、初期のおとぎ話や踊ってばかりの国を思わせる。不機嫌なのかご機嫌なのか判然としない、どこか人を喰ったような四人の佇まいもとてもよかった。

ムノーノ=モーゼス
ムノーノ=モーゼス

CINRA.NETでも特集した、今バズを起こしているあのバンドも

続くメインステージに登場したのは、「コンプレックスはアートなり!」という全肯定的な価値観を掲げる4ピースオンナバンド・CHAI。去年あたりからじわじわとバズを起こしてきた彼女たちだが、今年は『SXSW』を皮切りにした全米ツアーも実施、2nd EP『ほめごろシリーズ』もリリースして、実力・認知共に更なる飛躍を遂げている(インタビュー記事:CHAIインタビュー USツアー後に日本人コンプレックスを大肯定)。

DEVOやTom Tom Clubなどを参照しながら、「異文化を取り入れる」ことと「自分を肯定すること」を直結させる彼女たちの鳴らす歪なファンクミュージックは、その「歪さ」をチャームへと変換させることになによりの強みがある。この日の演奏は、四人それぞれのバンド内での役割がハッキリし、それぞれの意志が音に反映され始めた今のCHAIの成長を強く感じさせるもので、すでにバンドが次のステージに向けて走り出していることを感じさせる頼もしいものだった。

CHAI

CHAI

CHAI

CHAI
CHAI

バーステージのトリを飾ったのは、w.o.d.やムノーノ=モーゼスと同じく、こちらも神戸出身の4ピースバンド、The Songbards。andymoriの系譜を継ぐ、シンプルで端正なバンドサウンドと透き通る歌声、そしてフォーキーで詩情溢れるメロディーが持ち味のバンドで、その音の中には、まるで雑踏の中を口笛でも吹きながらすり抜けていくような軽快さと、日常の不条理と内省的に向き合い、部屋で孤独に涙を流すような切なさが絶妙に同居している。

ときとして、「バンド」という表現形態自体が前時代的なものとして扱われることもあるが、僕らの行き場のない気持ちの置き場所として、まだまだ「バンド」は必要なのだと思わせてくれる稀有な存在だ。

The Songbards

The Songbards
The Songbards

最後はCreepy Nutsが、業界ディスもエンターテイメントに昇華した圧巻のステージを披露

そして、この日全体のトリを飾ったのは、MCのR-指定とDJ松永からなるヒップホップユニット、Creepy Nuts。この日のCreepy Nutsが最高だったのは、このイベントが、いわゆる「業界人」向けのイベントであることをステージ上から断罪したうえで、会場に数多くいた業界関係者に牙をむくと同時に、そうした「怒り」も「業界」もすべてを飲み込んでエンターテイメントへと昇華してみせたこと。

冒頭、フロア前方にいるオーディエンスの盛り上がりとは裏腹に、フロアの後方に大勢いた関係者たちのノリの悪さをステージ上から指摘(この日はフロアの1/3程が関係者スペースになっていた)。「音楽を盛り上げたくてこの業界に入ったんじゃないのか?」とか、「お前ら、本当にプロの大人か?」という鋭い言葉を突き刺しながら、しかし、曲が始まれば、MCとDJ、それぞれの卓越したスキルで一気に会場を飲み込んでいく。そのショウマンシップと実力は圧巻だった。

Creepy Nuts

Creepy Nuts

Creepy Nuts
Creepy Nuts

きっと、Creepy Nutsのように「本当のこと」を言いながら、実力ですべてを凌駕していくアーティストたちがこの先の音楽の道を作っていくのだろう。この日は、バンドミュージックの新たな可能性をたくさん垣間見たと同時に、Creepy Nutsによって音楽業界のコンベンションイベントの在り方にメスが入れられたという点においても、次世代を作る新しい価値観が溢れた夜となった。

イベント情報

『次世代ロック研究開発室 presents 「第一回研究発表会」』

2017年6月14日(水)
会場:東京都 新宿 LOFT

出演:
[MAIN STAGE]
Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)
CHAI
Survive Said The Prophet
w.o.d.
[BAR STAGE]
The Songbards
ムノーノ=モーゼス
ムツムロアキラ(ハンブレッダーズ)

プロフィール

Creepy Nuts
Creepy Nuts(くりーぴー なっつ)

MCバトル日本一のラッパー「R-指定」とターンテーブリストであり、トラックメイカーとして活躍する「DJ 松永」による1MC1DJユニット。業界屈指のスキルを持つこの2人だからこそ実現できる唯一無二のライブパフォーマンスは必見。2016年1月20日にリリースされた1st MINI ALBUM『たりないふたり』はスマッシュヒットを記録。テレビや雑誌を始め、数多くのメディアにも取り上げられ、ラジオではニッポン放送『オールナイトニッポン R』のパーソナリティーを務めるなど、話題に事欠かない。現場でも、クラブやライブハウスから大型ロックフェスまで、シーンを問わず数多くの観客を魅了している。

CHAI
CHAI(ちゃい)

ミラクル双子のマナ・カナに、ユウキとユナの男前な最強のリズム隊で編成された4人組、「NEO - ニュー・エキサイト・オンナバンド」、それがCHAI。誰もがやりたかった音楽を全く無自覚にやってしまった感満載という非常にタチの悪いバンドで、2016年の春以降、突然いろんな人が「CHAIヤバい」と韻を踏みながら口にし始め、ある日突然ノンプロモーションなのにSpotify UKチャートTOP50に代表曲『ぎゃらんぶー』が突如ランクイン! (※最高位36位)。2017年SXSW出演と初の全米8都市ツアーも決定し、4月26日に今現在のCHAIのヤバさがすべて詰め込まれた2nd EP『ほめごろシリーズ』をリリース。その常軌を逸したライブパフォーマンスを観てしまった全バンドマンがアホらしくなってバンド解散ブームすら起こりかねないほど、彼女たちに触れた君の2017年度衝撃値ナンバーワンは間違いなく「NEOかわいいバンド」、CHAIだよ!

Survive Said The Prophet
Survive Said The Prophet(さばいぶ せいど ざ ぷろふぇっと)

通称「サバプロ」は2011年に東京にて結成。精力的に全国ツアーを繰り返し、ステージの大小に関わらず常に全力でエモーショナルなパフォーマンスと、スタイリッシュなアートコンセプトは各地で着実に評価され、話題の絶えないニューカマーとして注目を集める。2015年、自主レーベルより初の全国流通作品『Course Of Action』をリリース。全国ツアーを行い、渋谷クアトロで行われたファイナルを大成功に収める。2016年、メンバーチェンジを経てZESTONE RECORDSと契約。同年8月には、IssuesやCrown The EmpireなどでビルボードTOP ROCK ALBUM No.1を幾度も獲得し、多数のヒットを世に輩出してきた名プロデューサー、クリス・クラメット(Kris Crummett)を起用し、2ndアルバム『FIXED』をリリース。約半年に渡り全国津々浦々、43本まわった『FIXED』のリリースツアーのファイナルとして行なったO-WESTでのワンマン公演はソールドアウトとなった。その勢いは留まることなく、2017年5月、再び渡米し、前作に引続きクリス・クラメットとのタッグでニューアルバム『WABI SABI』を制作。音楽シーンに新たなページを見出し、等身大の「エモーション」定義するインターナショナル・ロック・バンドとして新たなカルチャーのアイコンとなる。8月2日に3rdアルバム『WABI SABI』をリリースする。

w.o.d.
w.o.d.(ダブリューオーディー)

兵庫県出身。現代においては稀なNIRVANAやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTなどの刹那的なロックのロマンチシズムを体現できるポテンシャルを持った3ピースバンド。2015年より現メンバーで活動をスタートさせ、同年にRO69JACK入賞。2016年には『出れんの!?カミコベ!?』グランプリ獲得、『出れんの!?サマソニ!?』CREATIVEMAN賞獲得など様々な大規模オーディションで賞を総なめにしてきた。

The Songbards
The Songbards(ざ そんぐばーず)

2017年3月より「The Songbards」として地元・神戸を中心に活動を開始。UKロック・andymoriなどに影響を受けたツインギターボーカルと、疾走感あるライブパフォーマンス、息の合った4人のコーラスワークが魅力。今年5月には『COMIN'KOBE'17』ワールド記念ホールのステージにオーディションを勝ち抜き初出場。6月『SAKAE SP-RING』(名古屋)、7月『見放題』(大阪)サーキットにも続々出演決定。神戸では毎月1度4時間に及ぶBAR形式のライブ企画もおこない精力的に活動中。

ムノーノ=モーゼス
ムノーノ=モーゼス

2015年夏に神戸にて結成された4ピースバンド。「夏の権化、夢の中シティーパンクバンド」を掲げ、シティーポップや青春パンク、UKロックなど、メンバーそれぞれの持つ背景が反映されたサウンドに、Vo.若月のストレートな歌声が重なる。個人的な一瞬の感情を捉えた歌詞と相まって、感情的で、どこか切ない気持ちにさせる音楽となっている。2016年8月に初のライブを終え、大阪、神戸を中心にライブ活動を行っている。バンド名は、Dr.小崎がタンザニア留学の折に交流した現地担当者、モーゼスの無能さに由来している。

ハンブレッダーズ
ハンブレッダーズ

高校1年の頃、文化祭に出演するために結成。本番で地獄のようなライブをするも、「音楽ってヤバいな」と気付きバンドを続けることに(同時に、人生も狂った)。2016年の4月に前任ベーシストまっちゃんが卒業。後任にサークルの後輩でらしが加入し、新生ハンブレッダーズとしてブイブイ活動中。スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました、ハンブレッダーズです!

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