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コムアイの東東京開拓ルポ 多国籍な移民との出会いから始まる調査

BLOOMING EAST
インタビュー・テキスト
宮田文久
撮影:江森康之 編集:山元翔一、宮原朋之
コムアイの東東京開拓ルポ 多国籍な移民との出会いから始まる調査

「東京は住むには静かすぎる」という外国人旅行者の言葉

ポップミュージックの世界で華々しく活躍するコムアイが、その先鋭的な感覚を解放して、自由を感じ取れる場所。それはどんな場所だろうか?

「東京の東側には、もっとそういう場所がありそう」――それこそが、彼女が今回のプロジェクトに参加した動機だったようだ。「BLOOMING EAST」を主催するNPO法人トッピングイースト理事長・清宮陵一も、コムアイの言葉を受けながら、今回のプロジェクトの狙いについて語ってくれた。

清宮:アウトプットの仕方、いわば結果を最初から決めないで、まずはリサーチから始めたかったんですね。このレポートも含め「入り口」からプロジェクトの過程そのものにたくさんの人に触れてもらえると、結果も大きく変わってくるんじゃないかな、と。

コムアイさんとは「ここでこれをやってください」というオファーではなく「いつどこで何をどうするか」という根本から始めたかった。今日はリサーチでもありますが、まずは東東京そのものと「チューニング」をしてもらいたかったんです。

清宮陵一
清宮陵一

「そのために、できるだけ座標の異なる3つの場所に、一緒に行ってみたいと思った」と清宮が語る旅路は、まさに空港のようにオープンに人が行きかう八丁堀のホステル『WISE OWL HOSTELS』から始まった。

『WISE OWL HOSTELS』の前にて
『WISE OWL HOSTELS』の前にて

「外」からの目線では、この東京はどのように見えるのだろう? ちょうどその日ステイしていた、英国出身、香港在住のバーンズさんファミリーに、コムアイが語りかける。「普段暮らしている香港は国際的な都市だから、東京も、こうした様々な国からの人々が集まるホステルも、私たちにとっては心地いい」と語ってくれた彼らは、コムアイの旅路にひとつのヒントを与えてくれた。

「香港ではみんなが叫んでいるから、とてもうるさい(笑)。東京はみんなとても静かだから、旅をしたりステイしたりするにはすごく気持ちいい場所です」「でも、住むとなったらちょっと静かすぎるかな」――そう笑う彼らの言葉が、旅のスタートを飾ることになった。

バーンズさんファミリー
バーンズさんファミリー

 

 

私たちはもしかしたら、この静かな東京で、聞き逃している何かがあるのかもしれない。その「ざわめき」を聞くために、コムアイは隅田川を越え、さらに東へ進路をとった。

葛飾区四ツ木で、ハードな現実を生きるエチオピア人家族の笑顔に出会う

2か所目に訪れたのは、葛飾区四ツ木にある「リトルエチオピアレストラン」。葛飾区には近年、エチオピア人たちによるコミュニティーができている。2016年にオープンし、なかなか日本では食べることのないエチオピア料理を提供してくれるこの店は、オーナーのエフレムさんが、妻のティババさんと一緒に経営している。

「リトルエチオピアレストラン」の店先にて
「リトルエチオピアレストラン」の店先にて

エフレムさん夫妻と娘のベタちゃん
エフレムさん夫妻と娘のベタちゃん

店の扉をコムアイが開ける。その次の瞬間には、エフレムさん夫妻の娘であるベタちゃんとコムアイが意気投合していた。まさに一瞬の出来事。カメラマンがレンズを向けると恥ずかしがって「やだー!」と嫌がるベタちゃんだが、コムアイが一緒に写ろうとするとノリノリでポーズをとってくれる。

「私、昔は髪がピンクだったこともあるんだよ!」「嘘―っ!?」という微笑ましいやりとりが続く。自分にとって心地いい場所――先ほどの彼女の言葉を実感するような風景が、そこには広がっていた。

 

 

「お名前は?」と取材班が尋ねると、「サクラ!」とベタちゃんは答える。日本で生まれ育った彼女は、当然ながら日本語が堪能で、本名とは別に、自ら日本での名前も考えている。そんなベタちゃんの姿には、圧倒的なまでのリアリティーがある。

ベタちゃん
ベタちゃん

 

 

コムアイとベタちゃんの様子を和やかな表情で見守っていたエフレムさん夫妻が、自慢の料理でもてなしてくれた。それぞれ異なる辛さのスパイスで煮込まれた牛レバーやハチノス、種々の野菜を、インジェラと呼ばれる厚手のクレープのような生地で包んで食べる。

 

 

 

口に入れた瞬間、「美味しい!」とコムアイも喜んだくらい、芳醇なスパイスの味わいとモチモチとしたインジェラが織りなすハーモニーは、体験したことのない驚きに満ちていた。エフレムさんによれば、インジェラは本来テフという穀物の粉だけを発酵させて作るが、それでは酸っぱさが際立つため、日本の人々の舌にも合うよう米粉も混ぜたオリジナルのレシピにしているという。

 

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プロジェクト情報

BLOOMING EAST x コムアイ サーヴェイ

本サーヴェイは、これからも続きます。今後も東東京を軸にして、多様な価値観や文化と出会いながらプロジェクトを進めていくにあたって、お話を伺わせていただける方や訪問場所についての情報を募集しています。現在東京に住まわれている(または過去に住んでいたことがある)外国にルーツを持つ方、様々な文化や背景を持つコミュニティ、外国籍の方々と一緒にプロジェクトを実践されている方、関連するイベント情報など、メールにてお寄せください。

プロジェクト情報

BLOOMING EAST

「BLOOMING EAST」は、東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、NPO法人トッピングイーストの三者共催により「東京アートポイント計画」の一環として実施されています。

プロフィール

水曜日のカンパネラ(すいようびのかんぱねら)

2012年の夏、初のデモ音源“オズ”“空海”をYouTubeに配信し始動。「水曜日のカンパネラ」の語源は、水曜日に打合せが多かったから……と言う理由と、それ以外にも、様々な説がある。当初グループを予定して名付けられていたが、現在ステージとしてはコムアイのみが担当。「サウンドプロデュース」にKenmochi Hidefumi、その他、「何でも屋」のDir.Fなどが、活動を支えるメンバーとして所属。以降、ボーカルのコムアイを中心とした、暢気でマイペースな音楽や様々な活動がスタートしている。

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