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ZEN-LA-ROCK × NONCHELEEEがDIGる、北九州市にしかない魅力

北九州市
インタビュー・テキスト
山田祐一郎
撮影:勝村祐紀 編集:木村直大
ZEN-LA-ROCK × NONCHELEEEがDIGる、北九州市にしかない魅力

田口商店 小倉店:膨大な在庫量と店主の知識に圧倒されるレコード屋

コアな音楽ファンがいること。そのファンたちによる熱狂が独自のノリ、一体感を生み出していること。その源流には、MEGAHERTZやHIVEという確かな文化発信スポットがあったのだとあらためてわかった。

そしてもう1つ、小倉の音楽シーンを語る上で外せないのが、レコード屋「田口商店 小倉店」だ。ここは福岡市のけやき通り沿いに本店を構える同店の姉妹店で、現在は経営も別になり、屋号だけがその歴史を伝えるばかり。普段、福岡の店によく訪れるというNONCHELEEEは、初めて訪れた小倉の「田口商店」に入るなり、眼を輝かせながら、「おお、やっぱりラインナップ、違いますね!」と声を弾ませた。

田口商店の店内で商品をチェックする2人
田口商店の店内で商品をチェックする2人

ZEN-LA-ROCK:以前、音楽仲間に連れられて訪れたことがあるんです。やっぱりこういう仕事をしていると、その土地、地域のレコ屋はマストですから。東京に帰って別の仲間に「小倉の田口商店に行った」と言うと、即「あそこ、良かったでしょ!」と言われて。この店は東京でもかなり名前が通っていますよ。

ZEN-LA-ROCK

ZEN-LA-ROCKもそう言いつつ、その目ではわずかな時間も無駄にはできないといったように、すでにレコードをチェックしていた。

現在の店主は川上秀壮さん。この店には26年前、バイトで入ったのが始まり。現在は先代からこの店を受け継ぎ、一方で、NEO FANTASTICというグラムロックバンドのギター&ボーカルとしても活動している。

川上秀壮(田口商店 小倉店)
川上秀壮(田口商店 小倉店)

川上:NONCHELEEEさんが言うように、福岡ともラインナップは違いますよねえ。うちは歌謡曲が充実しているかな。あと価格もリーズナブルだと思いますよ。あ、そうだ、ゼンラさん、こんなのありますけど、聴いてみます?

川上さんはそう言って、いくつかのレコードをかけてくれた。北九州市が生まれた年に記念して作られた“北九州音頭”、漫談に魅せられ、その漫談にジャズのエッセンスを添えた松鶴家千とせによる名盤“わかんねェだろうナ(夕やけこやけ)”、かつて全国ヒットも飛ばした北九州発のバンド「ラブマシーン」による楽曲、北九大の軽音楽部のメンバーが昭和49年に卒業記念にプレスしたレコードといったように、そのサジェストはZEN-LA-ROCK、NONCHELEEEを唸らせた。

次々と推薦盤を出してくる川上
次々と推薦盤を出してくる川上

松鶴家千とせ “わかんねェだろうナ(夕やけこやけ)”の7インチ
松鶴家千とせ “わかんねェだろうナ(夕やけこやけ)”の7インチ

ZEN-LA-ROCK:この川上さんのオススメが、はずさないんですよね。以前も良い感じの楽曲をオススメしてもらって、さすがだと感心しました。

確かにこの場にはおそらく何万という音源がストックされていると思うが、例えば「~ありますか」と尋ねると「~はないけど、こういうのもお好きじゃないですか?」「~のレコードはないけど、CDだったらありますよ」と返ってくる。一つひとつの楽曲を深く理解し、この在庫の全てを把握しているのだろう。圧倒的な記憶力だ。

NONCHELEEEはこの日、大量のカセットテープを購入した。これだけ買っても2,000円以下という価格設定
NONCHELEEEはこの日、大量のカセットテープを購入した。これだけ買っても2,000円以下という価格設定

NONOCHELEEE:北九州の田口商店は初めてでしたが、かなりの収穫でした。これだけまとまってカセットが残っている店ってそうないですよ。カセットテープって曲飛ばしが容易ではないので、想像しなかったものが激流のように入ってくるから好きなんです。ジャケットもイラストやデザインの参考になりますしね。

宝の山を前に大満足の表情を浮かべた
宝の山を前に大満足の表情を浮かべた

GALLERY SOAP:北九州カルチャーの源流。東京とも違う独自の立ち位置でアジアを見る

食文化、そして音楽の話題を通して、北九州の独自性が随分と浮かび上がってきたように思う。NONCHELEEEが「渋谷と横浜」に例えたような、電車で1時間くらいの距離感で、随分と街の様相が異なるような面白さが、ここ福岡においても、博多・天神と北九州によって体感できるのだ。

そして博多・天神と北九州の違いは、食、音楽だけでなく、カルチャーそのものにも表れている。実はMEGAHERTZのジミーさんがオープニングスタッフとして勤めていた「GALLERY SOAP(ギャラリーソープ)」は、北九州のカルチャーのど真ん中であり、ここを知らずして北九州のカルチャーは語れない。その誕生は1997年にまで遡る。

アートの展示以外にも、即興音楽や舞踏などのイベント、カフェバーとしても機能するSOAPは高い天井が印象的なスペース。音楽家・大友良英などもつながりが深い
アートの展示以外にも、即興音楽や舞踏などのイベント、カフェバーとしても機能するSOAPは高い天井が印象的なスペース。音楽家・大友良英などもつながりが深い

宮川:ギャラリーといっても、ギャラリーそのままではないんですよね。アートスペースだし、トークイベントを開催することもあれば、バンドによるライブもありますし、普段はBARでもあるので、なかなか一言では説明しにくいんですよ。

そう語るのは、GALLERY SOAPのディレクター・宮川敬一さん。作家という顔も持つ宮川さん自身のことまで含めて詳細に説明すると、それだけで記事が何本もできてしまうのでここでは割愛するが、宮川さんがいたという事実が、北九州市に大きな文化的恩恵をもたらしたということだけは記しておきたい。宮川さんは、近年では『北九州国際ビエンナーレ』、ホテルアジアプロジェクトといった案件も手掛けている。

宮川敬一(GALLERY SOAP)
宮川敬一(GALLERY SOAP)

開業からの20年間で宮川さんが積み上げてきたのが、海外とのつながり。小倉という一地方都市でありながらも、東京を飛び越え、海外との接点ができるような仕組みを常に考えてきたのだという。

宮川:特にSOAPが開業した当初、地方のアーティストが飛び出していく先の出口がなくって。東京以外にそんな出口があるといいなと思っていました。

 

世界にアンテナを張ってきた宮川さんによれば、例えば、インドネシアのアートシーンはとても活発で、特に古都・ジョグジャカルタはジャワ美術の中心と言われるだけあり、その成熟ぶりには目を見張るものがあるのだという。

NONOCHELEEE:確かにアジア全体でアートシーンが盛り上がっている空気は感じます。中国もアツいですが、国の事情もあって表現に制約があったりします。その点、ジョグジャは良いですよね。

自身が台湾などで活動を展開しているということもあり、目下、興味のあるところだったNONCHELEEEがすかさず反応した。

 

宮川:地方のギャラリーはどうしても東京を見がちですよね。同じことをしてもしょうがないですから、私はアジアを見ています。

ただ、アジアに目は向いていますが、積極的にハブになりたいというわけでもないんです。誰でも良いということはなく、やはりフィットする人と組みたいと思っています。海外に限らず、オープン当初から、馴れ合いは嫌だと思っていましたから、本当にリスペクトできる人やモノを紹介してきたつもりです。

宮川さんは、そんな信念を言葉に力を込めて語ってくれた。

 

Kabui:北九州カルチャーの新しい発信基地

北九州のカルチャーの幹がGALLERY SOAPなら、その幹からたくましく伸びる枝の1つが「Kabui(カブイ)」だ。2016年の開業以来、巷で話題のカルチャー発信基地である。僕が北九州が面白いという話を聞くようになったのも、この店の存在が大きい。2人は初来店ということもあり、店に入ると、まずはゆっくりと店内を見渡した。

Kabuiの店内を見渡す2人とKabuiの都合希視寛(とごうきみひろ)
Kabuiの店内を見渡す2人とKabuiの都合希視寛(とごうきみひろ)

NONOCHELEEE:僕のイラストを使ってくれている薬院(福岡市内の地名)の麺酒場「つどい」のつながりもあって、お店の存在だけは知っていましたが、良い空間ですね。僕、昔から万力が好きなんですが、それが空間のアクセントになっていて最高です。

左から:ZEN-LA-ROCK、NONCHELEEE、都合希視寛

NONCHELEEEが注目した万力について、店主の都合希視寛さんはこう教えてくれた。

都合:すぐにバラせるように、仮止めしている状態なんです。今はこうやって雑貨や食品、アパレルを並べていますが、催しごとの際は、全部棚をどかしてしまって広いスペースを作り出しています。

東京から「スナックアーバン」のママをお招きして料理教室を開催したこともありますし、久留米から「コーヒー カウンティ」の店主や、その友人でもある料理家・あっこさんにお集まりいただいてイベントをしたこともありますよ。

都合希視寛

Kabuiは都合さんが言うように物販のお店でもあるが、コーヒースタンドでもあり、イベントスペースでもあり、ちょっとお酒を飲むこともできる。

都合:この店を始めるにあたり、最初に取り扱いを決めたのが乾麺の冷麦でしたから。確かにアパレルの世界には長く身を置いていたんですが、だからといって、アパレルだけの店にするつもりもなく、好きなものを集めて、紹介したいなというくらいの気持ちでセレクトしています。

そう言いながら、アイスコーヒーを差し出してくれた。一方で、ZEN-LA-ROCKも店のラインナップに感動する。

ZEN-LA-ROCK:これ、TACOMA FUJIじゃないですか。ほかにも知人が手掛けている商品もあるし、置いてあるものたちに過剰な親近感を覚えますね。東京にもないような不思議な集合体じゃないですか。

一つひとつ丁寧に淹れてくれたアイスコーヒーで、取材陣一同もホッとひと息。ローカルの仲間たちが集う場所になっている
一つひとつ丁寧に淹れてくれたアイスコーヒーで、取材陣一同もホッとひと息。ローカルの仲間たちが集う場所になっている

左から:NONCHELEEE、ZEN-LA-ROCK

基本的にストリートブランドが好きだから、扱うブランドもそっち寄りになっていると言う都合さん。店舗の内装には、GALLERY SOAPともつながりのある北九州市在住のストリートアーティストであり、スケーターのBABUさんが携わるなど、都合さんの仲間たちによって生まれた空間には、北九州を超越した、無二の空気が流れていた。そんな自身の店について、都合さんはこう語る。

都合:ここは西小倉っていう、小倉の隣にある駅が最寄りなんです。まあ、小倉からも歩いて来れるんですけど、ちょっと離れているんですよね。この距離感がちょうどよくって。自分のペースで働けるから、こういう感じでもやっていけるんでしょうね。

左から:NONCHELEEE、都合希視寛、ZEN-LA-ROCK

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サイト情報

リリース情報

FNCY『AOI夜』
FNCY
『AOI夜』

2018年7月13日(木)配信リリース

イベント情報

『Singing Pictures』
『Singing Pictures』

2018年8月10日(金)~9月8日(土)
会場:韓国 ソウル Whistle Gallery

プロフィール

ZEN-LA-ROCK(ぜんらろっく)

a.k.a.の『COMBINATE FUTURE』はニューヨーク伝説のアーティストRAMMELLZEE(ラメルジー)の命名。ラッパーとしては勿論、CAPブランドNEMESの運営、楽曲提供、AbemaMix等でのDJ活動と多岐に渡りROCKしている。自身のレーベル『ALL NUDE INC.』からは現在26タイトルをリリース。まさかのMAGiC BOYZに電撃加入&卒業を経て4枚目のアルバム『HEAVEN』をリリース。2018年夏には鎮座DOPENESS,G.RINAとのグループ『FNCY』を結成し楽曲発表をした。

NONCHELEEE(のんちぇりー)

音楽活動と並行し、2014年にイラスト活動を本格スタート。飲食店や器ブランドなどの看板&商品イラストを多数担当する。タレントの渡辺直美さんがプロデュースするブランド『PUNYUS』のウエアにイラストが採用され話題に。グラフィティアーティスト・KYNEと共同でクリエイティブスタジオ『ON AIR』を立ち上げ、2018年Kazuma Ogata、徳利、Centoを加えた5人で運営。今年4月からLOVE FM(76.1MHz)でONAIRメンバーによるラジオ番組『ON AIR presents HOT』も始まった。

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