今週の編集部まとめ
毎週火曜日更新 2020年12月8日- BACKNUMBER
編集部員の、ちょっとひとこと
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分断の地層に触れる #04
何度でも書きますが、「#02」で引用した細野晴臣さんの言葉を出発地点に、1999年以前とそれ以降を隔てていると思われる文化的な分断について考えています。最近思うのは、20世紀の日本の文化とは「日本に暮らす作家たちがどのように海外の文化を受容して、再解釈し、提示してきたか」という歴史そのものなのではないか、ということで。当然といえば当然のことかもしれませんが、こう言い換えることで視界が少しクリアになる気がします。めちゃくちゃ大づかみな見方なので、いろいろ取りこぼしてしまうものもあるかと思いますが。
話を戻すと、「#01」で紹介した若林恵さんへのインタビュー記事にある、「ネットカルチャーとそれまであった日本のアンダーグラウンドなカルチャーが、なぜかあまりうまく接続できなかった」という言葉で象徴されるような、日本の文化に横たわる「分断」(それは都市開発や経済、そもそも若者の数みたいなことも当然関係しているはず)を見つめるには、インターネットの登場とその影響、海外文化と日本に暮らす自分たちとの距離、そして上で書いたような「20世紀の日本の文化」のあり方そのものを、ある種総合的に捉える必要があるのではないかと考えています。
そうはいってもその道のりは険しく、目を通すべき本や資料は積み重なるばかりではあるのですが、例の分断を飛び越えて国内外で支持を集めるアーティストのことを考えることで何かヒントを得られるのではないか? と、そんなことを考えている現在です。それはたとえば、小山田圭吾さんや坂本慎太郎さんのようなアーティストなのですが、彼らの足跡を辿ったり、音楽そのものに注意深く耳を傾けると見えてくるものがあるように思います。先日掲載した坂本慎太郎さんの記事は、『Point』のリイシューのタイミングで作ったCorneliusの記事と併せて読むのがおすすめです。(続く) -
秘密基地としての日記
この1年ほど、軽いメモ書き程度の日記をつけています。ネットの発展以降、自分の日々の思いや、行動の記録、見た映画や読んだ本の感想などは、ブログやSNS、アプリといった他人に公開されることが前提になっている場所に書く方が増えました。しかし今の私に必要だったのは、「自分しか知らない場所」でした。自身の考えを整理したり、その考えを記録したりしておきたい。けれど、それを誰にも共有したくない。そんな自分にとっての秘密基地のような場所。それは、ミュージシャンの入江陽さんが大分に行ったときにも言っていたことで、入江さんはかつて秘密基地としてレンタルスペースを借りていたと言いますが、私の場合はそれが日記帳になっています。