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アジアのアート&カルチャー入門 Vol.1 AFRA×CHITO対談

アジアのアート&カルチャー入門 Vol.1 AFRA×CHITO対談

黒田隆憲
撮影:相良博昭

いま、アジアを中心に、ストリートダンスシーンが面白いことになっている。もともとはヒップホップカルチャーの1つとして誕生したストリートダンスは、いまやバレエをルーツとしたコンテンポラリーダンスシーンからも大きな注目を集めており、遂にはパリ・オペラ座のエトワールがストリートダンサーを起用して作品を制作発表するなど、シーンのクロスオーバー化が急速に進んでいる。日本でストリートダンスといえば「やんちゃ」なイメージはいまだに否めないが、小中学校の体育科目に「ダンス」が加わるなど、ダンサーレベルの底上げ、一般化は急速に進んでおり、今後のシーンはさらにドラスティックに変化していくことが予想されるだろう。

そんな中、日本とアジアを代表するストリートダンサーたちが一堂に会するイベント『DANCE DANCE ASIA -Crossing the Movements』と『Shibuya StreetDance Week 2015』が今秋開催。そこで今回は、絵本の古本屋を経営しながら現役ダンサーとして活躍するCHITOと、ジャンルの垣根を越えて活動するヒューマンビートボクサーのAFRAで、ヒップホップカルチャーの意義、ストリートダンスシーンのいまを振り返る対談を行なった。進化し続ける「ストリートカルチャーのいま」を、二人はどのように見ているのだろうか。

僕にとって絵本を集めるのは、新しいダンスを振り付けたり、レコードを「掘る」のと同じ感覚。核にあるのはヒップホップなんですよね。(CHITO)

―今日の対談場所は、CHITOさんが今年吉祥寺にオープンした絵本専門の古本屋さん「Mein Tent」です。そもそもダンサーであるCHITOさんが、このお店を始めようと思ったキッカケはなんだったんですか?

CHITO:自分でも不思議なんですよ。絵本は子どもの頃にたくさん読んでいたけど、いわゆる「絵本好きの大人」でもないですし。ある日、「そういえば絵本専門の古本屋ってないのかな?」って思いついて、「ひょっとして誰もやってないんじゃない?」って盛り上がったんです。でも、インターネットで「絵本 古本屋」と検索したら、出てくる出てくる……。それで一度挫折しているんですけど(笑)。

CHITOが吉祥寺にオープンした絵本専門の古本屋「Mein Tent」
CHITOが吉祥寺にオープンした絵本専門の古本屋「Mein Tent」

―いまは調べたらすぐわかっちゃうから、ある意味やりにくいですよね。

CHITO:でも、そのアイデアはずっと気になっていて、ダンサーをやりつつ絵本を買い続けていたら、2年で3、4千冊集まったので、今年2月に店をオープンしました。僕にとってはダンスを踊ることも、この店を開くこともまったく同じで、自分なりのエンターテイメントのつもりなんですよ。

AFRA:そこが面白いよね(笑)。

CHITO:もともとは劇場や舞台が好きで、自分のダンスカンパニーを作りたいというところから始まっているんです。シルク・ドゥ・ソレイユとかディズニーランドも大好きで、遊びに行ってもついついライバル目線で「うわ、くやしい!」「ああ、やられた!」って気持ちになる(笑)。それで、自分が表現できる場所を作りたいと思って、このお店をオープンしました。だからお店は、等身大の舞台作品みたいなもの。本屋だけど幕がついていますし、イベントをやるときも、幕を開けるところから始まるんですよ(笑)。

左から:CHITO、AFRA
左から:CHITO、AFRA

―8月にはこのお店で、AFRAさんと「読み聞かせ」イベント『カーテンアケロ!』をされたそうですね。もともとお二人はヒップホップやクラブカルチャーのシーンで出会われたんですか?

AFRA:そうですね、共通の知人が主催するイベントで。CHITOさんは舞台全体をディレクションしていて、その中で僕はヒューマンビートボックスとダンサーのコラボをしました。CHITOさんは、描く世界はメルヘンだけど、生き方がヒップホップ。そのときもストイックな印象で、自分の描く世界に揺るぎない自信があり、子どものダンサーに対しても的確な指示をパシッと出していました。アーティストとしての確固たるヴィジョンがある。人の心に突き刺さる言葉をちゃんと持っている人だなあって。

―8月の「読み聞かせ」イベントはどんな感じだったんですか?

AFRA:僕がヒューマンビートボックスで「読み聞かせ」をやるとしたら、どんな絵本が面白いかな? と考えて、『もこ もこもこ』(作:谷川俊太郎、絵:元永定正)とか『んぐまーま』(作:谷川俊太郎、絵:大竹伸朗)とか、擬音をフィーチャーした絵本が面白そうだなって。で、何冊か選んで、どういう順番でやろうかとか、つかみはこの絵本かなとか、子どもたちが引き込まれるような世界観を作ることを一生懸命考えましたね。

Mein Tent

絵本を読むCHITOとAFRA

CHITO:素晴らしかったです。AFRAくんには『おならうた』(作:谷川俊太郎、絵:飯野和好)をビートボックスでやってもらいました。おそらくヒップホップ初じゃないですか、おならのビートボックスって(笑)。そうやって二人で構成を相談していたときに思ったのは、DJがレコードをつないだり、舞台でダンスを踊るのと一緒だなってこと。最初はこの曲で行こう、ここで一度落として、最後はまたこれで盛り上げようとか。

AFRA:物語というか、舞台的でもありますしね。あと、絵本の世界ってすごいなと思いました。何でもない日常を取り上げていても、その切り取り方が新鮮で、そういうものの見方、センスは参考にしたいって思いました。ほんとアイデアの宝庫だなあと。

CHITO:ここにある本一冊一冊すべてに物語が詰まっているんですよ。そう考えるとすごいですよね。全てが扉で、どれを開けても面白い世界へ連れて行ってくれる。さらに3世代くらい読み継がれている絵本もあるわけで、もうニーナ・シモンやアレサ・フランクリンのレコードみたいなものなんです(笑)。僕にとって絵本を集めるのは、新しいダンスを振り付けたり、レコードを「掘る」のと同じ感覚。いつだって核にあるのはヒップホップなんですよね。

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イベント情報

『DANCE DANCE ASIA -Crossing the Movements』東京公演

2015年10月28日(水)~11月1日(日)
会場:東京都 三軒茶屋 世田谷パブリックシアター

10月28日出演:
タイムマシーン
Red Print
PHILIPPINE ALLSTARS
Sem'udacha

10月29日出演:
SNAZZY DOGS
TAPDANCERIZE
S.I.N.E
free line

10月30日:
s**t kingz
BIG4
THE ZOO Thailand
Nicol.Crossence

10月31日昼公演出演:
梅棒
Moreno Funk Sixers
S.I.N.E

10月31日夜公演出演:
BLUE TOKYO
Memorable Moment
PHILIPPINE ALLSTARS

11月1日出演:
東京ゲゲゲイ
Hilty & Bosch
THE ZOO Thailand

料金:
一般 S席4,000円 A席3,000円
通し券 20,000円(S席のみ、チケットぴあ、ローソンチケット、e+でのみ取り扱い)

イベント情報

『Shibuya StreetDance Week 2015』
『A Frame』公演

2015年11月23日(月・祝)14時開演、18時開演(開場はそれぞれ30分前)
会場:東京都 渋谷 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
出演:
The90sASIA(ザナインティーズアジア)
TAISUKE
KATSUYA
YU-YA
Ruu
IBUKI
KAZANE
KYOKA
youki
KTR
SAKI
Maitinhvi(ベトナム)
MAMiQ(インドネシア)
Peach Pauline(マレーシア)
Salt(インドネシア)
TE DOUBLE D Y_TEDDY(マレーシア)
Zyro Santos(フィリピン)
演出:
oguri(s**t kingz)
Jillian Meyers
スズキ拓朗
料金:一般3,000円 学生2,000円(全席指定)

プロフィール

AFRA(あふら)

1996年にN.Y.セントラルパークで見たThe RootsのビートボクサーRahzelのパフォーマンスに衝撃を受け独学でビートボックスを始める。高校卒業後N.Y.へ単身渡米、映画『Scratch』出演や、唯一の日本人として出演したビートボックスドキュメンタリー映画『Breath Control』などにも出演。2003年、日本人初のヒューマンビートボックスアルバムとなる『Always Fresh Rhythm Attack!!!』をリリース。スペイン『SONAR』(2005、2006年)、オーストラリア『BIG DAY OUT 2006』、ノルウェー『numusic2006』など世界各地の音楽フェスティバルに出演するほか、FUJI XEROX のテレビCMや、adidas Originals 09SS 全世界キャンペーンCMなどにも出演している。

プロフィール

CHITO(ちと)

冨樫チト。本名である。フランス童話『みどりのゆび』のチト少年にちなんで両親から命名される。富士の裾野の大自然の中、植物画と読書と空想の幼少期を過ごす。早稲田大学在学時よりプロダンサーとしての活動を開始。 舞台演出、振付、インストラクター、バックダンサーなど、踊りに関わる全てに携わる傍ら、持ち前の遊び心で、空間演出、デザイナー、リゾートホテルのライブラリーの選書、壁画の製作、ライブペイントによる3Dトリックアートの製作など、無数のわらじを履く。2015年2月、フランソワ・バチスト氏として、住まいのある吉祥寺に絵本児童書専門古書店、「MAIN TENT」をオープン。氏の部屋をそのまま移動させた小さな絵本屋から、エンターテイメントを発信している。

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