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「音楽映画ブーム」を問う カンパニー松尾×松居大悟×高根順次

「音楽映画ブーム」を問う カンパニー松尾×松居大悟×高根順次

『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:豊島望

スペースシャワーTVが仕掛ける新しいイベント、『TOKYO MUSIC ODYSSEY 2016』。アーティストやクリエイターを表彰する新しいアワードの創設や、今後活躍するであろうニューカマーのショーケースライブ、そしてスペースシャワーTVがこれまで生み出してきたステーションIDをはじめとしたアートの展示会など、同時多発的に展開される「新しい音楽とカルチャーの祭典」の中に、近年スペースシャワーTVが力を入れている映画事業をフィーチャーした『MOVIE CURATION』という催しがある。そこでは、『完全版BiSキャノンボール2014』『私たちのハァハァ』などスペ―スシャワーTVが制作に関わっている映画や、巷間をにぎわせている音楽映画の数々が、トークショーやライブとともに上映されるという。

そこで今回は、スペースシャワーTVの映画プロデューサー・高根順次、『完全版BiSキャノンボール2014』の監督を務めたカンパニー松尾、そして『私たちのハァハァ』や数多くのミュージックビデオを手がける松居大悟の三人に集まっていただき、昨今の音楽映画ブームの内実から、それぞれの映画が意図したもの、そしてスペースシャワーTVの音楽映画が目指すものなど、さまざまなことを話してもらった。

ファンしか観ないような音楽ドキュメンタリー映画は前から結構あったけど、今はちょっと状況が違う。(松尾)

―カンパニー松尾監督の『劇場版BiSキャノンボール2014』と、松居大悟監督の『私たちのハァハァ』という、昨年高根さんがプロデュースをした2本の作品をはじめ、近年「音楽」と関係した映画が、数多く作られています。その状況について、どのように考えていますか?

松尾:取り上げるミュージシャンのファンしか観ないような音楽ドキュメンタリー映画は、前から結構あると思うんですよね。だけど、今はちょっと状況が違っていて……音楽のドキュメンタリー映画を劇場で流すと、そのミュージシャンのファンだけではなく、ドキュメンタリー映画のファンも観に来てくれるんです。

―確かに、高根さんが最初にプロデュースした松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ3D』や松尾さんの『劇場版BiSキャノンボール』も、そのアーティストのファン以外の人が多く観に来ていたという印象があります。

松尾:そのミュージシャンのファンのためだけの上映会だったら、単純にかっこいいライブ映像を流していればいいわけですけど、今の音楽ドキュメンタリーというのは、そういうものじゃないですよね。その作品がドキュメンタリーとして面白いのかどうかが、今は問われているような気がします。まあ、だからと言って、日本の音楽映画のレベル自体が上がったとは思わないんですけど……。

カンパニー松尾
カンパニー松尾

高根:ファンだけに向けたものって、ちょっと閉鎖的な感じがするというか、ファンじゃない人が観たら、あまり琴線に触れないものがほとんどだったりするじゃないですか。ミュージシャンだって、もちろん既存のファンには届けたいけれど、やっぱり新しい人にも届けたいと思いながら音楽を作っているわけで、映像作品も本当はそうあるべきだと思うんです。スペースシャワーTVは「音楽ステーション」だから、僕らがプロデュースする音楽映画は、やっぱりいろんな人に観てほしいし、広がってほしい。それがきっとミュージシャンのためにもなる。そう思っているんです。

高根順次
高根順次

「こういう感じが好きなんでしょ?」という大人の考えが透けて見えるような作品って、観ていてあんまり頭に入ってこないんですよね。(松居)

―『劇場版BiSキャノンボール』についての経緯は、以前高根さんにお聞きしたので(CINRA.NET掲載「AV監督VSアイドルの騙し合い 映画『BiSキャノンボール』の企み」)、松居さんの『私たちのハァハァ』についてお聞きします。高根さんのプロデュース作品の中で、これだけは通常のドキュメンタリーではなく、バンドが大好きな女の子たちのロードムービーという、ちょっと珍しいタイプの音楽映画になっていますよね。本作が生まれた経緯というのは、どんなものだったのですか?

高根:それまでの2作に関しては、まあ言ってしまうと、かなり少ない予算で、スペースシャワーTVにしかできないものを目指して作ったつもりなんですけど、この映画に関しては、松居さんのほうから「こういう企画をやりたい」とお話をいただいて。企画は完全な劇映画だったんですよね。

―『私たちのハァハァ』も、決してファンムービーにはなっていないと思うのですが、松居さんとしてはどんな映画を撮りたいと思っていたのですか?

松居:僕が一番最初に高根さんたちと話したのは、地方に住む女の子たちのロードムービーを作りたいということで。中高生のための青春映画っていうのを、シンプルに作りたかったんですよね。いわゆる青春映画って、世の中にたくさんありますけど、何か大人が作る青春映画みたいなものが多いような気が僕はしていて……。

松居大悟
松居大悟

―大人が作る青春映画というと?

松居:「壁ドン」とかもそうですけど、「こういう感じが好きなんでしょ?」という大人の考えが透けて見えるような作品というか。そういうのって、観ていてあんまり頭に入ってこないんですよね。あるいは、少ない台詞と美しい画でそれっぽく表現したものとか。それを「リアルだ」って言っているのも、大人だったりしますよね。本当の意味で中高生のための青春映画というのは、壁ドンでドキドキするよりも、Twitterで自分のつぶやきがリツイートされたとか、LINEでメッセージが返ってきたとか、そういうものに一喜一憂するようなものなんじゃないかなと思って。ちゃんとそういうところを描いた青春映画が作りたかったんです。

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イベント情報

『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』
『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』

2016年2月8日(月)、2月9日(火)
会場:東京都 渋谷 WWW
料金:各公演 前売1,500円 当日1,800円(共にドリンク別)

2016年2月8日(月)OPEN 15:00 / START 15:30
上映:『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』(監督:佐渡岳利)
※トークショーあり

2016年2月8日(月)OPEN 18:00 / START 18:30
上映:『DENKI GROOVE THE MOVIE? ―石野卓球とピエール瀧―』(監督:大根仁)
※トークショーあり

2016年2月8日(月)OPEN 21:00 / START 21:30
上映:『超LIFE』(監督:タケイグッドマン)
※トークショーあり(出演:タケイグッドマン、Bose(スチャダラパー))

2016年2月8日(月)OPEN 24:30 / START 25:00
上映:『完全版BiSキャノンボール2014』(監督:カンパニー松尾)
※BiSHライブあり

2016年2月9日(火)OPEN 18:00 / START 18:30
上映:『トイレのピエタ』(監督:松永大司)
※トークショーあり

2016年2月9日(火)OPEN 21:00 / START 21:30
上映:『私たちのハァハァ』(監督:松居大悟)
※トークショーあり(出演:松居大悟、井上苑子)
※井上苑子ミニライブあり

『TOKYO MUSIC ODYSSEY』

「TOKYO MUSIC ODYSSEY」とは、スペースシャワーTVがプロデュースする、音楽を中心に音楽と親和性の高いカルチャーも巻き込んで開催する複合イベントです。素晴らしい音楽の発信、新しい才能の発掘を通して、音楽の感動を多くの人に伝え、体験できるリアルスペースを提供します。私たちの心を揺らし、人生を豊かにしてくれるアーティスト、クリエイターが最高に輝く場所を創ることを目指します。そして、未来へ続く音楽文化の発展へ貢献していきます。「TOKYO MUSIC ODYSSEY」は5つのコンテンツで構成、イベントを開催いたします。(オフィシャルサイトより)

『SPACE SHOWER NEW FORCE』

2016年2月16日(火)OPEN 16:30 / START 17:30
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
Suchmos
DAOKO
never young beach
Mrs. GREEN APPLE
LILI LIMIT
あいみょん

『SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY』

2016年2月23日(火)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
OGRE YOU ASSHOLE
D.A.N.
Albino Sound
Qrion
※ceroは出演キャンセルになりました

『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS』

2016年2月28日(日)
会場:東京都 国際フォーラム ホールA

『SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION』

詳細後日発表

プロフィール

高根順次(たかね じゅんじ)

SPACE SHOWER TV勤務のプロデューサー。プロデュース作品に、事故で記憶障害を負ったミュージシャンGOMAが復活する過程を描いたドキュメンタリー映画『フラッシュバックメモリーズ3D』(松江哲明監督、2013年公開)、アイドルvsAV監督のアイドル史上最もヘンテコな解散ドキュメント『BiSキャノンボール2014』(カンパニー松尾監督、2014年公開)、クリープハイプのファンである女子高生四人が北九州から東京を目指す青春ロードムービー『私たちのハァハァ』(松居大悟監督、2015年公開)がある。

カンパニー松尾(かんぱにー まつお)

HMJM。『BiSキャノンボール』の監督にして、AV業界に「ハメ撮り」を定着させたAV監督。『テレクラキャノンボール』シリーズをはじめ、『私を女優にして下さい』『僕の彼女を紹介します』『麗しのキャンペーンガール』など数々の人気作を制作した。その人気はAV業界にとどまらず、音楽や映画など幅広いジャンルのクリエイターから支持を集めている。

松居大悟(まつい だいご)

劇団ゴジゲン主宰。2012年2月、『アフロ田中』で長編映画初監督。以降、クリープハイプのミュージックビデオから生まれた異色作『自分の事ばかりで情けなくなるよ』や、青春剃毛映画『スイートプールサイド』など枠にとらわれない作品を発表し続け、『ワンダフルワールドエンド』は第65回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に正式出品。『私たちのハァハァ』は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015で2冠に輝いた。

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今年4月よりスタートしたスマホ視聴推奨の縦動画メディア『THE PUBLIQ』。全6種のプレイリストのうち、「THE CREATION」から今回取り上げたのはGraphersRockのインタビュー。彼の作る作品が挟み込まれながら、テンポ良くサクっと見られる3分間。リアルな今のユースカルチャーを知りたいならうってつけのメディアになりそう。今後も楽しみ。(宮原)