坂本慎太郎にとっての「ポップ」とは? ゆらゆら帝国から変わらず追求する理想の楽曲像を語る

いま「笑顔で最高って言えるか?」と問われたとして、「できない」と答えるほかないのは変わらないとしても、その理由は15年前とはまったく違うことであろう。疫病に戦争、出口の見えない国内経済の低迷……気が滅入るようなことを書いていると聞こえてきた。「まだ平気?」って。

坂本慎太郎の6年ぶりの新作『物語のように (Like A Fable)』を聴いていると、この世界から失われた本当になんでもない気の抜けた一日にトリップさせられるような感覚がある。たとえば表題曲では、旅や恋、生きていることを感じて脳内麻薬が出るような体験がもたらすドキドキが歌われ、音楽を聴いて心が浮き立つことそのものが表現されているように感じられる。もちろん、本作で歌われるのはただそれだけではないが。

私たちの生きる重く沈んだハードな世界で歌われるだけの必然性があり、そして一瞬でも楽しくなれるような、そんなギリギリのバランスのままポップに突き抜けた楽曲たち。奇跡的、と言ってもいいような作品だが、インタビューに応じるその口調はいつものように淡々としている。いま坂本慎太郎はどのように音楽と向き合っているのか?

ゆらゆら帝国の最後のアルバム『空洞です』から15年、最新作を掘り下げることで、長いキャリアを通じて共通して探求し続ける「坂本慎太郎のポップ観」が見えてきた。

「最高のポップアルバム」と掲げた新作を語る

ー最初に資料だけ見たときに「坂本慎太郎の最高のポップアルバムが完成しました」ってコピーが書いてあって、結構驚きました。

坂本:いや、あのコピーをつけたのはぼくじゃないです。

ーでも、OKは出したわけですよね? 坂本さん的にはどうなんですか? 「最高のポップアルバム」というのは。

坂本:自分ではなんともわからないですね(笑)。

ー一般的な「ポップ」という感覚とは違うかもしれないけど、1曲目の“それは違法でした”がはじまった瞬間はドキッとしました。すごくフワフワしてるなと思って。

坂本:フワフワ?

ーそのフワフワはかわいい感じだけのものとは違うんです。ウキウキまではいかないんだけど、この時代や現実からちょっと断線されて漂流している感じのフワフワ感。

坂本:1曲目だけデモテープの音源をそのまま使ったんです。ボーカルとホーンだけスタジオで入れて。だから、ちょっとほかの曲とは感じが違うんです。

コロナ禍になったとき、宅録っぽいやつをつくろうかなって思って、家でMTR(※)に録り溜めてた音源のひとつをそのまま1曲目に持ってきたんです。

坂本慎太郎“それは違法でした”を聴く(Apple Musicはこちら

※マルチトラックレコーダー=多重録音を行なう機器のこと

ーそれこそ、その宅録からできた2枚のシングルのうちの1曲“おぼろげナイトクラブ”(2020年)とかにも通じる感覚があって。あのシングルリリース時の取材でも宅録が元だったという話はありました(関連記事:坂本慎太郎が語る「いい曲」のかたち。キャリアを通じて貫く美学)。

坂本:今回のアルバムもそれと一緒で、宅録でつくったデモをバンドサウンドにしていったんですけど、1曲目だけはリズムボックスの音が重要だったんで、そのまま使いました。

坂本慎太郎『好きっていう気持ち / おぼろげナイトクラブ』収録曲

新機軸を探すのではなく、自身の好きな感じ、つくりたかった感じを追求。それはどんな「感じ」なのか?

ーフワフワ感で言うと、“それは違法でした”でのトロンボーンがまさにそれで。KEN KEN(URBAN VOLCANO SOUNDS)は1曲の間ずっと吹きっぱなしの出ずっぱり。

坂本:KEN KENには歌詞もできていない状態で、曲と関係なくトロンボーンの練習をしてるみたいな感じで勝手にやって、とお願いしたんです。

戸惑いながらもやってくれて、それをほぼそのまま使ったんですよね。本人もできあがったのを聴いてびっくりしてましたけど。

ーそれはそうでしょうね(笑)。

坂本:全部使うと思わなかっただろうから(笑)。なんだかわからないでやってるって感じが欲しかったんですよ。考えて狙って吹いてるんじゃなくて。

ーKEN KENはシングル『まともがわからない』(2013年)以来の参加ですけど、今回は2曲目の“まだ平気?”でも吹いてます。

坂本:KEN KENを呼んだのは、サックスの西内(徹)さんのアイデアですね。

レコーディングがある程度までいった段階でちょっと自分以外の案を注入して弾みをつけようと思って、西内さんにフルートやサックスを入れてほしいとお願いして6~7曲くらいデータを送ったんですよ。

そしたら“まだ平気?”では、KEN KENを呼んでホーンセクションを入れたいという案が出た。実際にスタジオでレコーディングしていたとき、“それは違法でした”にもアドリブでなにか入れてもらおうとその場で思いついたんです。当初は考えてなかった。

坂本慎太郎“まだ平気?”を聴く(Apple Musicはこちら

ー音色のチョイスでいうと、ベースのAYAさんの関与も今回増えましたよね。このかわいい声の女性コーラスは誰? と思ったらすべてAYAさん(※)の多重録音でした。

坂本:女性コーラスは欲しかったんですけど、単に「歌が上手い」「声がいい」ではない人選が思いつかなくて、一番近くにいるAYAちゃんに仮でちょっとやってもらったんです。それがすごくよかったんでそのまま多用しました。

※坂本慎太郎のバンドのサポートベーシストで、OOIOOのメンバーとしても知られる

ーそこにはここ数年のツアーや、長くこの編成で続けてきた経験や信頼が反映されているのかなとも思いました。

坂本:ひとりで宅録してて「悪くはないんだけどイマイチぱっとしないかな」みたいな曲でも、とりあえずスタジオ持っていってみんなでやると、「結構いいな」ってなったりする。そこまで自分で考えすぎなくてもいいのかな、みたいな感じはありましたね。

ーその「そこまで考えすぎないでもいいかな」という見極めの感覚は、前の3枚とはちょっと違いはありますか?

坂本:前までは、(アルバムを出すなら)なにか新しいことやらなくちゃいけないかなとか、これまでやってない新基軸みたいなものを探そうとしていたんですけどね。

坂本:今回は曲ごとで考えて、自分の好きな感じの曲の一定の基準を超えたやつをどんどんつくっていって、それが集まったようなアルバムがいいかなと思ったんです。

ーできた順にとりあえず曲を溜めていったというか。

坂本:それでいうと、アルバムの4曲目ぐらいまでは「できた順」なんですよ。4曲目の“君には時間がある”ができたときに、つくりたかった感じの曲ができたなと思えた。これでアルバムもいい感じになりそうだなと。

ゆらゆら帝国の頃にあったロックンロール感が表出、ソロ以降のソウルやディスコ的な要素は減退

ー“君には時間がある”と“悲しい用事”は、サーフロック、ロックンロールですよね。ゆらゆら帝国の頃はあったテイストですけど、ソロになってからはあんまりなかった。

坂本:ぼくの好きなロックンロール感と、昔のガールズグループみたいな感じと、ある種のロカビリー。そういう感じですね。

ソロになってから、あんまりああいう昔のロックンロールのギターみたいに弾いてなかったんで、今回はいろいろ弾きました。

坂本慎太郎“君には時間がある”を聴く(Apple Musicはこちら

ーそれに反して、いわゆるディスコブギー的な曲が減ったというか、ほぼなくなりました。

坂本:そうですね、ソウルっぽい曲調がない。いまでもああいう曲はずっと好きなんですけど、自分でやるときに新鮮味が薄れてきたというか。

ーソウル感でいうと、“愛のふとさ”のダークさとアーバンな感覚にも驚きました。マーヴィン・ゲイ“Inner City Blues”みたいな印象で、ディスコ的なものとは全然違う、より緊張感のあるソウルミュージック。

坂本:あの曲だけちょっと感じが違うんですけど、1曲くらいそういうのがあってもいいのかなと。

宅録で古いリズムボックスをいじってて、ボサノヴァのリズムをすっごく早くしたやつに、ギターで思いついたコード進行を当てていったら、いい感じになりました。

坂本慎太郎“愛のふとさ”を聴く(Apple Musicはこちら

マーヴィン・ゲイ『What's Going On』(1971年)収録曲

坂本:AYAちゃんに弾いてもらったローズも、もともとはギターで同じ音使いで入れてたんですけど、キーボードのほうが合うなと思って彼女に弾いてもらいました。

ーこの曲、西内さんのサックスもフリーキーかつクールですごくいいですよね。

坂本:西内さんはレゲエのイメージ強いですけど、意外とニューウェーブの人なんですよね。

ーでも、“愛のふとさ”と、続く“ある日のこと”とのテンションが違いすぎてびっくりする流れにはなると思いますけど(笑)。

坂本:あれはアルバムで最後にできた曲です。あと2曲足りないというところまできて、1曲はデモのトラックをそのまま活かそうと思って“それは違法でした”になり。

もう1曲は今年の正月につくったんですけど、曲も歌詞もすぐにできて。でもあまりにもすぐにできたからちょっと不安になってきて、「これ、どっかに既にあるメロディーなんじゃないか?」って検索したりしました(笑)。簡単にできるとね、不安になる。

寓話なのか現実なのか。「物語のように」というタイトル、その歌詞のあり方について

ーこれ、本当に歌詞がすごいです。

坂本:なんでこんなになったか全然よくわかんないですね。でも、この歌詞が出てきたら歌うしかない。

坂本慎太郎“ある日のこと”を聴く(Apple Musicはこちら

ー<仕事があるのでどうも>ってところが最高です(笑)。この曲の歌詞は、寓話なのか現実なのかよくわからない断片的な言葉の集積みたいなところがあって、じつはそれが「物語のように」って曲名でありアルバムタイトルでもある言葉に収斂して、全体がつながっちゃうようなところがあって。

坂本:そうなんですよね。

ーこれはいったいどういう歌詞なんだろうって思う瞬間が、いつにも増して多かったですね、最初は。坂本さんが主体的に考えているというより、耳に入ってきた言葉、たとえば街や電車で通りすがってる人の会話みたいなものをパッチワークして組み合わせた言葉が並んでるような感じもしました。つまり、誰かの物語のように、という。

ーそれは自分にとってもあんまり関係ないし、通りすがりの軽い意味合いでしかないんだけど、その人たちにとってはそれぞれの大事な物語のように感じられる、みたいな眼差し。だから、「物語のように」って言ってるのは、起承転結やファンタジックな展開を求めるというよりは、むしろその逆で、断片として切り取られた言葉に心が動いたりすることかな、とかね。

坂本:歌詞のつくり方はいつもと一緒ですけどね。鼻歌で歌って、たまたまハマった言葉から書きはじめる。

「これについて歌ってます」って、きっちり説明できるものだけじゃなくて、ひとつの曲のなかでも3つくらいのイメージが混ざってたりとか、1行目と2行目で違うイメージだったりしたり、あとは主語が変わってたりとかする。

どうして言ったかわからないような言葉をなるべく重要視してるし。人間の頭のなかってそういうもんかなと思ってます。

「重くならずに、なるべく楽しい感じで、あんまりメソメソしたものじゃない感じにしたかった」

ーその一方で“悲しい用事”とか“スター”の歌詞には、滲んでくる悲しみや喪失感がある。

坂本:一応それはあるんですけど、ありすぎないように微調整してやってます。

坂本慎太郎“スター”を聴く(Apple Musicはこちら

坂本:でも歌詞として一回ハマっちゃうと言うしかない。これちょっと恥ずかしいかな、みたいなのでも、ぽろっと出てきちゃって曲にビシってハマっちゃうともうほかの言葉に動かせなくなるし、そしたら覚悟を決めて歌うしかない。

ー今回でいうと、“浮き草”とか? 珍しく直接的に感じました。

坂本:そうですね。ちょっとこう、熱い、というまでじゃないけど……そういう歌を歌おうとしてつくるというよりは、言葉が一度曲にハマっちゃったら、意味をぼかしたり、インパクトのない言葉にして曲が弱くなるよりは、堂々と歌うしかないっていう感じですかね。自分の意思よりも、たまたまできたものに従うって感じかもしれないです。

坂本慎太郎“浮き草”を聴く(Apple Musicはこちら

ーさっき「この曲だけアルバムのなかでちょっと感じが違う」って言ってた“愛のふとさ”の歌詞も結構攻めてますよね。

坂本:ああ、ちょっと自分ではどれが攻めててどれが攻めてないのかもわかんないですけどね。

今回はすごく重くならずに、なるべく楽しい感じで、あんまりメソメソしたものじゃない感じにしたかったんです。

ゆらゆら帝国からずっと共通する、坂本慎太郎の理想の楽曲像

坂本:でも考えてみると前回のアルバム(2016年発表の『できれば愛を』)をつくるときもそう考えてたんですよ。「夏休みの最初の日の朝の感じ」とか、「顕微鏡で覗いたラブ」みたいなコンセプトで、今回もそれは同じなんですよね。

だけど前作はできてみたら意外と重かった。取材でもそういう話をしたと思うんですけど、今回のほうがより夏休みの最初の日っぽいし、次回はもっとそんな感じにしたい。

坂本慎太郎“物語のように”を聴く

坂本:ラジオの選曲(α-STATION『FLAG RADIO』)を今年の春までやってたんですけど、自分が好きな曲の感じってずっと共通してるんですよ。

どんな状況で聴いてもすり抜けて突破していくような、ちょっとウキウキする気分とか、悲しみとウキウキが混ざったようで、なおかつ素朴な感じの曲。そういう好きな感じの曲が今回は割とできたかなと思ってます。

ーなるほど。ぼくがアルバムの第一印象で感じたフワフワしたような感じっていうのはあながち間違ってない気がする。

坂本:ずっと重く悩んでた事柄を「もう心配しなくていいんだ」って思った瞬間の、ちょっとフワってなる感じとか、どんより曇ってた空がカラッと晴れたみたいなときに、意味もなくちょっと気持ちが軽くなる感じとか、そういう曲ってあるなと思っていて。そういうものを目指しました。

坂本:でもだからといって、「大丈夫だよ」とか「明日はよくなる」みたいに元気づけられると余計に落ち込んだりするじゃないですか。絶対うそだし(笑)。そう考えると歌詞がなかなか難しいんですけど、今回はその点はうまくできたかなって。

ー歌詞の難しさの質は、この数年で変化しましたか?

坂本:いや、同じです。いろんな意味でずっと難しいと思って、それをくぐり抜けてなんとかできた曲が今回の曲ですね。

坂本慎太郎“悲しい用事”を聴く(Apple Musicはこちら

坂本:その難しさのひとつは社会情勢的なこと。と、もうひとつは自分の年齢的なこと。こんなときにこんなこと歌ってる場合じゃないだろとか、こういう状況だからこういうこと言ったほうがいいんじゃないかとか、世の中がハードすぎてこんな曲聴いても楽しめないとか。

「これもダメ、これもダメ」っていうのをくぐり抜けて、「これなら歌える」って言葉が出てきたという感じですかね。

「まだもっといけるんじゃないか」

ー2020年のシングル4曲を今作には入れなかったのは?

坂本:あの4曲を入れたらもっと早くアルバムつくれたんですけど、12インチにしてアメリカで去年出したし、全部新曲のほうがインパクトあって望ましいっていう理由もありました。

坂本慎太郎『ツバメの季節に / 歴史をいじらないで』(2020年)収録曲

坂本:あとは、やっぱりいま考えると、あのシングルの4曲にはちょっとまだ自分の(コロナ禍などに対する)葛藤みたいなのが出てたけど、今回のはもっと抜けてるというか。突き抜けた感じの曲ばっかりができたから、シングル曲は入れなくてもいいなと思いました。

―突き抜けたムードで揃えようと。

坂本:自分がきついので、そのなかで一瞬でも楽しくなったり楽になったりできるような感じをまじめに追求したというか。単にハッピーな曲だから楽しくなれるわけでもないので。そういうすごく狭いラインを追求しました。

でも、ゆらゆら帝国の頃からずっと目指してるところは変わってない。ずっと自分がイメージするいい曲をなんとかつくりたいっていうのでここまでやってる感じ、だと思うんですけど。

なんですかね、それがまだもっといけるんじゃないか、っていうのでずっといままで来てるっていう感じですかね。

海を越え、時代を超え、世界とつながる「夏休みの最初の日っぽさ」という坂本慎太郎のポップ観

ーそんなアルバムが、”恋の行方”で終わるのがいいなとも思いました。

坂本:あ、そうですか? 俺も微妙な線で自分のいちばん好きな感じのいい曲できたなと思ってます。割と最後のほうにできた曲なんです。こういう感じの曲が10曲あれば、すごくいい。そんなレコードって、あんまり売ってないじゃないですか。

坂本慎太郎“恋の行方”を聴く(Apple Musicはこちら

坂本:1950年代の音楽とかの、儚さをちょっと含んだ一瞬のきらめきみたいな表現への憧れはあるんですけど、でもそういう音楽が好きでスタイルまで全部真似してやってもたどり着けないことはわかってるんで。

ものすごく遠回りして、憧れたイメージにいかに意図的に近づくか、いまはそういう感じですかね。それって、やった本人ですらもう二度とできないようなことだと思うんだけど、でも確実にレコードのなかには存在するから、なんとかそこにたどり着けないかなってことですかね。

昔からずっとそういうことをやってるんです。音楽業界で俺だけ違うことやってるような気もちょっとしてますね(笑)。

ーでも、ソロ活動を続けてきたここ何年かでもうひとつ変わったといえば、そういう坂本さんの感覚と通じるような海外のバンドやシンガーの新譜が増えてませんか?

坂本:そうですね、たしかに。「Big Crown」「Numero Group」「Colemine」あたりのレーベルから出てくる作品には自分と共通する感じを得られる。そういう新譜が普通に出てきたなと思いますね。

ー「自分だけ違うことやってるような気がする」という言葉もわかりますが、じつは坂本慎太郎の新譜はいまレコード屋に並ぶのがいちばんフィットしてる気もします。

坂本:そうですか? だからどこの国にもちょっとずつ、局地的には似たような人たちがいる感じなのかなぁとか思いますね。別に仲間が欲しいっていうのもまったくないんですけど(笑)。

ボビー・オローサ『Get On The Otherside』(2022年)収録曲
ドラン・ジョーンズ&ジ・インディケーションズ“Cruisin’ to the Park”(2019年)

ー「坂本慎太郎」「ゆらゆら帝国」の棚をわざわざつくらなくても、海外のレコード屋さんで、坂本さんを知らずに新譜として聴いた感想だけで、ボビー・オローサやドラン・ジョーンズ&ジ・インディケーションズと同じ棚に入れてたりしても変じゃない。そういう意味でのつながりが見えてきたのは面白いなと思います。

坂本:たしかに。世の中的にそれがポップなのかどうかはちょっとわかんないですけど、自分なりにポップな感じではあります。いま自分が聴いていいなと思える感じ、「こういうの聴きたいな」って思えるものはできた。

別にコンセプトも毎回変えなくてもいいのかな? と思ってきました。もうずっと死ぬまでそれを突き詰めて、最後にめちゃくちゃ夏休みの最初の日っぽい曲ができたなってことでもいいのかなって。

そういうものが、この先もずっと好きなんじゃないかと思いますね。

坂本慎太郎『物語のように』を聴く(Apple Musicはこちら

リリース情報
坂本慎太郎
『物語のように (Like A Fable)』(2CD)


2022年6月3日(金) 発売
価格:2,860円(税込)
zel-026

1. それは違法でした (That Was Illegal)
2. まだ平気? (You Still OK?)
3. 物語のように (Like A Fable)
4. 君には時間がある (You Have Time But I Don’t)
5. 悲しい用事 (Sad Errand)
6. スター (Star)
7. 浮き草 (Floating Weeds)
8. 愛のふとさ (Thickness of Love)
9. ある日のこと (One Day)
10. 恋の行方 (The Whereabouts Of Romance)
※インストボーナスCD付き
プロフィール
坂本慎太郎
坂本慎太郎 (さかもと しんたろう)

1967年9月9日大阪生まれ。1989年、ロックバンド・ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。2010年、ゆらゆら帝国解散後、2011年に自身のレーベル、「zelone records」にてソロ活動をスタート。NYの「Other Music Recording Co.」から、1stアルバム『How To Live With A Phantom』(2011年)と2ndアルバム『Let’s Dance Raw』(2014年)、「Mesh-Key Records」から3rdアルバム『Love If Possible』(2016年)をUS/EU/UKでフィジカルリリース。2017年、ドイツのケルンでライブ活動を再開し、国内だけに留まらず、2018年には4か国でライブ、そして2019年USツアーを行う。今までにメイヤー・ホーソーン、デヴェンドラ・バンハートとのスプリットシングルや、2019年、サンパウロのO Ternoの新作に1曲参加。2020年、2か月連続シングル『好きっていう気持ち』『ツバメの季節に』を7inch / デジタルでリリース。2022年6月3日、6年ぶりとなる新作『物語のように (Like A Fable)』を発表した。さまざまなアーティストへの楽曲提供、アートワーク提供ほか、活動は多岐に渡る。



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