誰もがジブン流の「Create now.」を体現した『Adobe & Creators Festival』

2012年5月18日(金)〜5月20日(日)、六本木ヒルズアリーナで『Adobe & Creators Festival』が開催されました。会場には、誰もがクリエイターになれるデジタルアトラクション「Font Me」や、総勢30組を越える表現者たちが出店するフリーマーケット「クリエイターズ・フリマ」(19日、20日開催)が登場。参加者自身による創造空間と化したアリーナでは、歓声と笑顔があふれました。すべてのクリエイターたちの新たなプラットフォーム『Adobe Creative Cloud』の誕生を記念して実現したこのイベント。今回はその様子をレポートします!


自分のカラダでフォントをつくる「Font Me」


まずは、このフェスティバルの目玉であるインタラクティブ・アトラクション「Font Me」を実体験してみました。これは、来場者それぞれが自分の身体を動かして自由な表現することで「ジブンフォント」が生み出され、そのフォントで好きなフレーズを作れるというものです。文字通りの体当たりレポート! ということで、さっそく行列に並んでみます。

最初に簡単な受付シートに記入。自分の一面を表現するフレーズ(最大15文字)を考え、名前・年齢・職業と一緒にオペレーターさんのiPadで入力すれば準備完了です。チームCINRAは3人で一緒に挑戦することに。フレーズは、この日の抜けるような青空からの連想で「スカッ!!!!!」というシンプルなものにしてみました。いよいよ「カラダでフォントづくり」の開始です!

自分のカラダでフォントをつくる「Font Me」

「衣装はカラフルなほうが出来上がりが楽しいですよ」とのアドバイスを受け、会場に用意された色とりどりの衣装やアイテムをしばし物色。3人それぞれ「自分らしさ」を意識して選んだ衣装をコーディネイトしてみました。何だか気分も盛り上がってきます。

カメラが設置されたアクションエリアに立つと、カウントダウンが始まります。そして撮影開始! 数十秒間、自分の身体を使ってフレーズを表現します。といってもルールはほとんどありません。ジャンプしてもダンスしてもいいし、極端な話、座禅を組んでじっとしているのもその人の自己表現。ここでは3人3様で一緒に「スカッ!!!!!」という気分を表してみました。

自分のカラダでフォントをつくる「Font Me」

撮影が終わると、すぐにその映像が「Font Me」のシステム内に新たなデータとして登録されます。そして、モニターには先ほど熱演(?)を繰り広げた3人の動きが。それが、まるで絵の具の筆先のように色彩のグラデーションをつくりながら言葉を描いていきます!
3人による「Font Me」の動きはコチラから見ることができます!

これだけでもかなり面白いのですが、「Font Me」は家に帰ってからも楽しめるのがスゴいところです。その場で「ジブンフォント」のステッカーをもらい、そこに記されたURLやQRコードでアクセスすると、そのフォントをTwitterやFacebookでみんなとシェアすることもできます。さらに嬉しいのは、英数字フォントデータ(PNG形式)もダウンロード可能なこと。英語でも「Exhilarating!!!!!」(スカッ!!!!!)とか作れてしまいますねこれは。

「ジブンフォント」のステッカー

視点次第で、身近なものから豊かな個性が生まれる

ひとりでも、また家族や恋人、友達同士でも参加できるこの「Font Me」。訪れた人々が思い思いのジブンフォントづくりを楽しむその光景を、静かに、しかし嬉しそうに眺める男性がいました。今回「Font Me」のプランニングとディレクションを担当した馬場鑑平さん(バスキュール)です。そこで、その誕生の経緯を伺ってみました。

馬場鑑平(バスキュール)

馬場:『Adobe Creative Cloud』のキャッチフレーズに「Create now.」というのがあるんですね。そこに込められた大切な想いは「誰でも思い立ったらすぐ作れて、みんなに見てもらえる」ことかな、と感じたのが出発点です。作品とそれを観賞する人という関係ではなく、来場者自身が参加し、自分ならではの表現ができて、さらにそれを持ち帰れるものを用意してみたかったんです。

その際に、「それぞれの個性が出ること」と「簡単に参加できること」の絶妙なバランスをとるのに、試行錯誤があったそうです。例えば、カメラの前の参加者がどんなに自由に動いても、きちんと文字になっていく仕組み。当初は文字の筆跡を追うように動いてもらうことも検討したものの、より自由に動けるように、と今の仕組みを採用したとのことです。

馬場鑑平(バスキュール)

馬場:とはいえ、六本木のこんなお洒落な場所で、果たしてみなさん自分をオープンにして身体表現してくれるのかな、照れてしまわないかな? という心配もあったんです。でも実際には……こちらの想像を超えた動きをどんどん繰り出してくれています(笑)。こんなに喜んで、笑い合ってくれる光景を間近で見ると、みなさんの表現力を信じてよかったんだ! って嬉しくなりました。

現在「Font Me」のサイトでは、こうして生まれた無数の「ジブンフォント」を誰もが見て楽しめます。馬場さんから見た数々の「Font Me」作品の感想もいただきました。

馬場:やっぱり、自ら選んだフレーズに込めた想いを、身体全体で表現してるフォントは良いですね。また、職業など自分のアイデンティティに特有の動きを取り入れたものも面白い。パイロットムービーでは、ひたすらお辞儀するサラリーマンの動き、なんていうのもありました(笑)。

「この人はどんな人だろう」「このふたりは夫婦かな、兄妹かな」など想像しながらたくさんの作品を眺めるのも楽しいものです。まさに十人十色、百人百様の自己表現。それは、毎日のように使う人類共通のツール=文字を通した、身近なのにまったく新しい表現への可能性を教えてくれました。

時代の作り手たちに直接出会える「クリエイターズ・フリマ」

「Font me」の人気に負けない賑わいを見せていたのが、多ジャンルの個性派クリエイター陣が出店した「クリエイターズ・フリマ」。5月19、20の両日、各日とも昼の部・夜の部で入替式の出店となり、総勢30組以上が来場者たちを迎えました。ここでは取材した19日昼の部の様子をダイジェストでお伝えします。

ある意味いちばんの安定感で「東京のフリマ」らしさを出していたのがフイナム編集部。最新メンズファッションを発信するウェブマガジン編集部ならではの、スタッフ持ち寄りワードローブが並びます。連載陣の渋谷直角さんによるライブイラストレーション「似顔絵だるま」など、ユーモラスな出品も。

会場の様子

お隣にはデザインスタジオGROOVISIONSが出店。看板キャラのチャッピーをはじめするポップなデザインワークから生まれた、歴代のTシャツや文房具などが出品されました。レアどころではチャッピーの「BEATMANIA」限定コントローラーが! 中心メンバーの原徹さんは「他の出店クリエイターも知人が多くて、でもこんな風にのんびりと隣り合って過ごすことは少ないから、新鮮ですね」とのこと。

会場の様子

KAI-YOUは、21世紀型の文芸誌『界遊』発行のほか、各種イベントもメディアととらえて編集・構築するオフィス。今回は同誌バックナンバーはもちろん、交流クリエイターたちの表現もジャンルを超えて紹介しました。アートアニメーションレーベル「CALF」のDVDからロックバンド・快速東京による漫画集『快速マガジン』まで、独特の世界観が炸裂です。

会場の様子

アキバの新聖地・秋葉原ディアステージも参戦しています。スタッフさんは「いや〜六本木はアウェイですね(笑)」と言いますが、でんぱ組.incの限定生産DVDセットなど、アキバアイドルのオリジナルグッズがずらりと並ぶ様は圧巻。また、ご近所同士というファッションショップ・五戒もジョイントして異彩を放っていました。

会場の様子

グラフィックデザイナー、山野英之さん主催のデザイン事務所・TAKAIYAMA inc.は、ふだん書籍、ロゴマーク、サインなどを多く手がけています。今回はフリマなのでオリジナル文具やバッヂ、またお付き合いのあるキャンドルデザイナー・OLGAさんの作品を紹介しました。先入観を捨てて好きなものの裏にピンを付けてみたというバッジは、何でもない機械部品がお洒落に変身したり、大根のおもちゃ(?)をバッジ化した野心作まで登場したり。手づくりの空気感が楽しいお店になりました。

会場の様子

ガクラン男3人衆が接客するのは、ONO。個人でも活動する大西真平さん、長場雄さん(かえる先生)、JUN OSONさんによるグラフィックデザインユニットです。活動テーマは「中2の考えるエロとバイオレンス」。三者三様の脱力ポップな絵柄が交錯しつつ物語が進むオリジナルZINEや、キーホルダーなどが人気です。小さなお子さん連れも「かわいい!」と来店してました。

会場の様子

なお、我々CINRA.NETも出店させていただきました。実は今回のフリマでは、各出店クリエイターのコーディネイトを担当しています。多彩な表現者たちの動きを紹介する日々の中で、彼らがジャンルの垣根を超えてリアルな場に集ったら楽しいのでは? との想いからこの顔ぶれが実現。ブースでは今年スタートしたネットショップ「CINRA.STORE」のアイテムから、スタッフ私物まで大放出しました。

会場の様子

お店とお客、またクリエイター同士の交流のひととき

お店はまだまだあります! 「Font Me」ならぬ「Hanko Me」と掲げたハンコ屋を出現させたのは、大日本タイポ組合。秀親さんと塚田哲也さんが結成した、実験的タイポグラフィユニットです。彼らのつくるハンコは、きちんと名前になっているのに、その人を表す別の形や文字にも見えるというスグレモノ。「ハンコ屋が本業と思われちゃうから数年前から断ってました」という封印が久々に解禁です! 依頼者と面談しつつデザインする光景が印象的でした。

会場の様子

小さくかわいい原稿用紙が来場者の目を引いていたのが、大竹雅俊さん(フグ)と雄亮さんによる兄弟デザインユニット・PORTです。出品のメインは俳句からツイッターまで対応した、活版印刷による140字のメモ帳「MEMO-GEN」シリーズ。「初のフリマ出店体験が、やはり文字に関わる『Font Me』と同会場というのも縁かなと(笑)。前からファンだった大日本タイポ組合さんがお隣で、お話できたのも嬉しいです!」と雅俊さん。

会場の様子

並みいる個性派の中でもひときわ異彩を放ち、かつ人気の絶えなかったのが、注目イラストレーター・死後くんのブース。ほっこりシュールなその作風で、雑誌からテレビまで幅広く活躍中です。この日はお客さんの顔をその守護霊と一緒に描いてくれる「霊界似顔絵師」という斬新すぎる企画で登場。常に順番待ちの盛況ぶりでした。

会場の様子

ジカバイ組合は、クリエイター10組以上による協同組合です。直接販売という、作り手とお客をダイレクトに結ぶコミュニケーションにこだわります。たとえばBUCHI MOKKOUが手がけるのは、好きな木片をお客が選び、その場で仕上げる自分だけのボールペン。また「おもての服」による、裏表・前後を気にせず着られるルームウェアは、説明する側もされる側もとても楽しげでした。

会場の様子

デザイナー8組が主催する、プロダクト展示・販売プロジェクト「novelax」は、巨大ノートブックを好きな長さで量り売りする「gram notebook factory」(20日のみ実施)と、各デザイナーによるアクセサリーや小物が一堂に会する「novelax store」の2本立て出店。長〜いノートに自分の切りたい線を自由に指定し、カット後に5円/グラムで購入できます。自分だけの形と大きさのノート、いかがですか?

会場の様子

morldこと横山博昭さんは、建築のバックグラウンドを持ちつつ、アーティストやデザイナーとして活躍しています。この日は手描きドット模様がユーモラスな、マトリョーシカ人形を出品。「お客さんに子宝のお守りですか?と聞かれて、あ、そんな見方もできるなと気づかされました(笑)」

会場の様子

温かみある活版印刷をアクセサリーや壁時計に取り入れたのは、デザイナーの森岡聡介さんによる「オトギデザインズ」。懐かしさと新しさが共存するものづくりは、昔ながらの上履きのデザインを大人の女性用シューズに取り入れた「いろばき」にも貫かれています。「野外だとお客さんも僕らも気持ちがフランクになれる気がしてよいですね」と、森岡さんもリラックスした様子でした。

会場の様子

ふだんは雑誌やウェブ、またライブハウスやものづくりの場など、それぞれの舞台で活躍するクリエイターたち。その表現と、作り手自身にも出会える貴重な時間となりました。また、彼らが形づくる最新のカルチャーシーンと、誰もが自己表現できる「Font Me」が隣り合う会場風景は、表現行為の本質を語りかけてくるようにも思います。「Create now.」。そう、すべてのひらめきが、豊かな表現への入口になり得るのです。

「クリエイターズ・フリマ」の出店者一覧はこちらから



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