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建畠晢に訊いた『東アジア文化都市2017京都』の楽しみ方

建畠晢に訊いた『東アジア文化都市2017京都』の楽しみ方

『東アジア文化都市2017京都』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:伊藤信 編集:宮原朋之

いつもの京都旅に新たな楽しみを。『東アジア文化都市2017京都』のコア期間事業「アジア回廊」

千年の古都として古くから親しまれてきた街「京都」が、最近にわかに騒がしくなっている。海外、特にアジア圏からの観光客の大急増。文化庁の移転決定。東京で活動していたアーティストやクリエイターの移住が進み、有名カルチャー誌がこれまでとはひと味違った新しい京都を特集している。昔ながらの京都人気質を面白おかしく、そしてだいぶブラックに書いた新書『京都ぎらい』がベストセラーになったのも、京都の変化を感じさせる出来事だった。

すでに観光都市として十分な成功を収めている街なのだから、改めて「そうだ、京都へ行こう」的にオススメするのは野暮かもしれない。けれども、いつもの京都旅に新たな楽しみをプラスαするイベントを、あえて紹介したい。それが『東アジア文化都市2017京都』だ。

2014年からはじまった『東アジア文化都市』は毎年、日中韓から3都市を選び、それぞれの場所で芸術文化の交流を行ってきた。今年は京都(日本)、長沙市(中国)、大邱広域市(韓国)のそれぞれの都市にて開催される。そして京都では、イベントが集中する8月から11月までのコア期間を「アジア回廊」と名付け、現代美術、舞台芸術、音楽、マンガ・アニメの4つの事業を行うという。

『東アジアジア文化都市 2017 京都』アイデンティティー
『東アジアジア文化都市 2017 京都』アイデンティティー

アーティスティックディレクター建畠晢が語る「アジア回廊」とはなにか?

京都に張り巡らされる、「アジア回廊」とは、いったいなにか? アーティスティックディレクターを務める建畠晢に話を聞いた。

建畠:『東アジア文化都市』は、日本だと昨年度は奈良で行われ、来年度は金沢での開催が決まっています。「芸術文化」の対象となるのは、アートだけではなく、古典芸能、クラシック音楽や演劇といった舞台芸術、マンガやアニメ、食文化など多岐にわたっていて、それぞれの分野の表現者やファンが交流する機会として、継続的に行われています。

私は、ふだんは美術評論や現代アートのキュレーションにたずさわっている人間なので、音楽やマンガのプロフェッショナルではありません。幸いなことに、京都には『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭』、京都市交響楽団、京都国際マンガミュージアムなど、各分野を担う組織と主催事業があります。それぞれのプロフェッショナルと協力して、「アジア回廊」というメインコンセプトを作り上げようとしているのです。

『東アジア文化都市2017京都』コア期間事業 アーティスティックディレクター建畠晢
『東アジア文化都市2017京都』コア期間事業 アーティスティックディレクター建畠晢

そのように語る建畠晢は、『横浜トリエンナーレ 2001』『あいちトリエンナーレ 2010』それぞれ最初の芸術監督を務めた、1990年代から現在までの日本の現代アートシーンを支えてきた人物。いわば、日本のアートシーンの生き証人というべき名物キュレーターである。そんな建畠が、今回のコンセプトを「アジア回廊」と名付けたのには、こんな理由があったという。

建畠:「回廊」っていうのは、基本的にはロの字型のめぐり歩く場所。決まった道筋はあるけれど、何かを目的地に移動するというよりも、おしゃべりしたり、庭を眺めたりしながら、ただ移動することが楽しみになる空間です。『東アジア文化都市』の主目的は交流だから、「ここに行きなさい。これを見なさい」という指示が強くあるものよりも、ぶらぶら散歩する「そぞろ歩き」がふさわしいと思ったわけです。

あと、これはなかば偶然ではあるけれど、現代美術部門のメイン会場である二条城も、庭園や建物を巡る回遊式の構造を持っていた。概念的な部分と、空間的な部分の両面で「回廊」を見出したということですね。

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イベント情報

『東アジア文化都市2017京都』
『東アジア文化都市2017京都「アジア回廊 現代美術展」』

2017年8月19日(土)~10月15日(日)
会場:京都府 京都 元離宮二条城、京都芸術センター
主催:東アジア文化都市2017京都実行委員会、京都市
運営:東アジア文化都市2017京都現代美術部門運営委員会
助成:文化庁ほか
共同企画:京都芸術センター

『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2017』

2017年10月14日(土)~11月5日(日)
会場:京都府 京都 ロームシアター京都、京都芸術劇場 春秋座、京都芸術センター、京都府立府民ホール“アルティ”、京都府立文化芸術会館ほか
主催:京都国際舞台芸術祭実行委員会

『京都市交響楽団 meets 珠玉の東アジア』

2017年11月5日(日)
会場:京都府 京都コンサートホール 大ホール
指揮:広上淳一
管弦楽 : 京都市交響楽団

『京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)2017』

2017年9月16日(土)、9月17日(日)
会場:京都府 みやこめっせ、京都国際マンガミュージアムほか

京都国際マンガミュージアム企画展『クッキングパパ展 旅する。食べる。料理する。』

2017年9月16日(土)~2018年1月14日(日)
第1期:2017年9月16日(土)~11月19日(日)
第2期:17年11月23日(木)~2018年1月14日(日)
会場:京都府 京都市 京都国際マンガミュージアム2階ギャラリー1・2・3
休場日:水曜、10月9日、11月20日~11月22日、12月28日~1月4日

プロフィール

建畠晢(たてはた あきら)

1947年京都市生まれ、1972年早稲田大学文学部仏文学科卒業、2005年~11年国立国際美術館館長、2011年~15年京都市立芸術大学学長、2011年~埼玉県立近代美術館館長、2016年~多摩美術大学学長。専門は近現代美術。「ヴェネチア・ビエンナーレ」日本館コミッショナー(1990、93年)、「横浜トリエンナーレ2001」アーティスティック・ディレクター、「あいちトリエンナーレ2010」芸術監督など、多くの国際美術展を組織し、アジアの近現代美術の企画にも多数参画。おもな著書に、詩集『余白のランナー』(1991年)第2回歴程新鋭賞受賞、『問いなき回答 オブジェと彫刻』(1998年)、『未完の過去 絵画とモダニズム』(2000年)、詩集『零度の犬(2004年)第35回高見順賞受賞、エッセイ集『ダブリンの緑』(2005年)、詩集『死語のレッスン(2013 年)。第21回萩原朔太郎賞受賞。

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