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レコ村やホコ天バンドから渋谷系、そしてクラブの勃興へ。こうして、渋谷の夜は音楽に彩られていった

最近、夜遊びをしているだろうか? 私は、あまりしなくなったかもしれない。それは、古くからポップカルチャーの発信地として、国内外で大きな注目を集めてきた渋谷でも同様だ。クラブが密集し、数多くの有名DJを生んだこの街では、かつて夜を中心に音楽文化が花開いていた。しかし現在、渋谷の夜は鳴りを潜めている。どのように渋谷は変わっていったのか? 渋谷における音楽文化の変遷を簡単に辿ってみよう。

渋谷が最初に「音楽の街」として脚光を浴びたのは、やはり1980年代終わり~1990年代半ばだろう。HMVやタワーレコード、ディスクユニオンなどの大型ショップはもちろん、いまはなき「CISCO」、カジヒデキが店員だった「ZEST」など、特に宇田川町一帯は「レコ村」と呼ばれるほど個性的なレコードショップがひしめき、日本だけでなく世界中からDJ、レコードコレクター、ミュージシャンが集まっていた。中にはサントラ専門店まであり、独自の存在感を放っていた。

当時は「歩行者天国(通称ホコ天)」が渋谷と原宿をつなぎ、そこでは「ホコ天バンド」が人気を博していた。それを受け、深夜番組『三宅裕司のいかすバンド天国』が1989年にスタート。日本は空前の「バンドブーム」となる。

次から次へと登場するバンドは玉石混淆だったが、やがて淘汰されると小西康陽のピチカート・ファイヴや、フリッパーズ・ギター(小沢健二と小山田圭吾によるユニット)、オリジナル・ラブ(田島貴男)など、同時代の音楽を取り入れた良質なバンドが台頭。「レコ村」あたりで音源をディグする、コアな音楽ファンに支持されたことから「渋谷系」とカテゴライズされ、現在の音楽シーンにも多大な影響を与える一大潮流を築いた。

ピチカート・ファイヴの3代目ボーカルを務め、「渋谷系」のアイコンになった野宮真貴

ハウスやヒップホップといったクラブミュージックの要素を取り入れ、バンドシーンとクラブシーンを密接に結びつけたのも「渋谷系」だ。「Organ bar」や「The Room」、いまは閉店してしまった「CAVE」といったクラブでは、渋谷系のイベントが毎晩のように行われ、渋谷の夜が豊かな音楽文化を生み出すようになった。

以降、円山町を中心にさまざまなライブハウス、クラブが密集し、クラブイベントはもちろん、アイドルのイベントまで行われるなど、ますます混沌とした様相を呈している渋谷。2011年より、渋谷パルコをメイン会場に開催されてきたカルチャーイベント『シブカル祭。』も、その延長にあるといえよう。あらゆる表現形態を呑み込む「多様性」、そしてそれらを独自のムーヴメントへと昇華する「オリジナリティー」こそが、渋谷カルチャーの真髄なのだ。

ジャンルもスタイルも細分化していく一方で、クラブの店舗数が増加し、騒音問題や近隣住民とのトラブルが問題となった。その結果、風営法(「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の略称)により、2010年頃から深夜0時以降に営業を行うクラブへの取締が強化され、ナイトカルチャーは衰退の危機に直面した。

ceroとスチャダラパー、小室哲哉と石野卓球が共演。昼&深夜で繰り広げられるO-EASTのイベントが渋谷の多様性を取り戻す

しかし2016年、風営法が改正され、店内の明るさなど、基準を満たせばクラブも24時間の営業が可能となった。この改正以降、渋谷の夜を取り戻そうとする動きも見られるようになっている。その1つが、10月19日、20日、11月2日に分けて全4公演が開催される『SUPER SHIBUYA EXPO LIVE Powered by mixi, Inc.』だ。これは、ファッションイベントやアートイベント、地域フェスティバルなど、さまざまなプログラムを実施する『超渋谷展』の一環として行われるライブイベント。これまで昼と夕方をメインにイベントを開催してきた渋谷のライブハウス、TSUTAYA O-EASTが、夕方の時間帯に加えて、深夜帯もイベントを敢行。渋谷の夜を盛り上げながら、まさに「多様性」と「オリジナリティー」を体現するイベントになっている。

SUPER SHIBUYA EXPO LIVEイベントポスター画像
SUPER SHIBUYA EXPO LIVEイベントポスター画像(イベント情報を見る

初日となる10月19日(木)はイブニングイベント。スチャダラパー、cero、DJみそしるとMCごはんがライブを行い、DJとしてセク山が参加する。まだブレイク前だったceroがリキッドルームのアニバーサリーイベントで、スチャダラパーと共演してから、約5年ぶりに同じステージに立つ。 どのようなショーになるのか期待が高まる。

2日目の10月20日(金)はオールナイトイベント。ライブでは小室哲哉、ねごと、SLY MONGOOSEが、DJでは石野卓球、川辺ヒロシが登場するなど、豪華なラインナップとなっている。

一見、ごった煮のセレクトのようだが、電気グルーヴは1991年にTM NETWORKのカバー“RHYTHM RED BEAT BLACK (Version 300000000000)”でメジャーデビューを果たしており、今年も“GET WILD”を石野卓球名義で3度も(!)リミックスするなど、知る人ぞ知る因縁の間柄なのだ。また、中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)をプロデューサーに迎えた“アシンメトリ”など、最近ダンスミュージックを取り入れた音楽性へとシフトしているねごとが、どのようなステージを披露するか気になるところだ。

中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)をプロデューサーに迎え、ダンスミュージックを取り入れたねごとの“アシンメトリ”

そして最終日の11月2日(木)は、イブニングとオールナイトの2公演。「多様性」と「オリジナリティー」という意味では、この日が「いまの渋谷」を最も体現したまさに「ごった煮」なラインアップになっている。イブニング公演のアクトは、SCANDAL、SPECIAL OTHERS、サイプレス上野とロベルト吉野。10代女子に絶大な人気を誇るガールズバンドSCANDALと、ときにコミカル、ときに男臭いヒップホップを繰り出すサ上とロ吉がどんな化学反応を起こすかが気になる。

オールナイトイベントにはKOHHとも共演した韓国の最先端ヒップホップアーティストOkasian、今年アルバムを精力的にリリースして日本のラップシーンの話題をかっさらったクルー、YENTOWNのMonyHorse、PETZ、kZm、Awichが登場する。国境を超えたオールナイトのラップパフォーマンスも、この上なくスリリングだ。

ジャンルもスタイルも細分化していく昨今、新旧やジャンルを横断したラインアップを揃えたイベントが開催されるのは非常に意義深いものがある。細分化した点と点が再び結びつき、新たなシナプスが生まれる瞬間を、この目で目撃できるかもしれない。

『SUPER SHIBUYA EXPO LIVE』メインビジュアル
『SUPER SHIBUYA EXPO LIVE』メインビジュアル

一度、危機に瀕した渋谷の夜。しかし風営法の改正を受け、夕方の時間帯はもちろん、オールナイトまで楽しめるイベントもますます増加するだろう。そして、多様で、オリジナリティーに富んだナイトカルチャーがこの街で育まれていくに違いない。また、渋谷の夜遊びが楽しみになってきた。

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イベント情報

『SUPER SHIBUYA EXPO LIVE Powered by mixi, Inc.』

2017年10月19日(木)イブニング
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST
ライブ:
スチャダラパー
cero
DJみそしるとMCごはん
DJ:セク山

2017年10月20日(金)オールナイト
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST
ライブ:
小室哲哉
ねごと
SLY MONGOOSE
DJ:
石野卓球
川辺ヒロシ
ELLI ARAKAWA
MONKEY TIMERS
VJ:DEVICEGIRLS

2017年11月2日(木)イブニング
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST
ライブ:
SCANDAL
SPECIAL OTHERS
サイプレス上野とロベルト吉野

2017年11月2日(木)オールナイト
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST
ライブ:
Okasian
MonyHorse
PETZ
kZm
Awich(YENTOWN)
DJ:
KINGMCK
KM
shakke-n-wardaa
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