特集 PR

金沢21世紀美術館で美術家とミュージシャンによる新たな試み

金沢21世紀美術館で美術家とミュージシャンによる新たな試み

内田伸一
撮影:佐々木鋼平
2012/07/06

コスタリカの若き美術家フェデリコ・エレロと、日本のミュージシャン関口和之。この思いもよらぬ組み合わせから生まれた展覧会が、古都・金沢で実現しました。舞台は、2004年の開館から入館者数累計1000万人を突破し、国際的にも注目を集める金沢21世紀美術館。カラフルでユーモラス、生き物のように広がるエレロさんのアートは、絵画の固定観念を軽やかに飛び越えていきます。いっぽう、サザンオールスターズのベーシストとして知られる関口さんは、ウクレレ奏者としても精力的に活動し、各地で人々の心をつなげてきました。そんなふたりの出会いから始まったのが、2013年3月17日(日)まで開催中の『Aloha Amigo! フェデリコ・エレロ×関口和之』展です。ラテンの色彩とハワイの音色が、和の心を通じて融合。約1年かけて展開されるこの温かくも刺激的な試みを、会場体験や作家インタビューを交えてレポートします。

「他者」をテーマに五感で出会い、対話する

このユニークな試みのそもそもの発端は、金沢21世紀美術館で毎年開催されている『金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム ‒ 美術館はメディエーター(媒介者)』。そこでは毎回、美術館にアーティストを招き、約1年間にわたる長期プロジェクトを行っています。また、プログラムを作家や美術館と共に実現する「メンバー」を、18〜39歳の若い世代を対象に公募するのも特徴。1年をかけて、さまざまな過程を組み込みつつ変容していく出来事全体が重視されます。

2007年に始まったこの試みには、これまで日比野克彦さん(第1回)、日比野克彦さんと野田秀樹さん(第2回)、広瀬光治さんと西山美なコさん(第3回)、高嶺格さん(第4回)、ピーター・マクドナルドさん(第5回)が参加してきました。

CINRA.NET > 美術を揉みほぐす「大きな頭」ピーター・マクドナルド『訪問者』

今回このプログラムでは「他者」をテーマに、「見る、聴く、感じる、表現する」ことを通じて、自分や他者と出会い、対話することを目指します。そこで新たな挑戦として、視覚芸術の場としてとらえられることの多い美術館に、社会や人との関わりに関心を持つ音楽家を招くことになりました。音楽と美術の刺激的な協働はもちろんのこと、若いメンバーたちや観衆がそこで固定観念を取り払い、五感で世界を感じることの豊かさを体験する場を目指します。

そこで、バックグラウンドも活動内容も大きく異なるふたりの表現者が招かれました。中央アメリカのコスタリカ出身の美術家、フェデリコ・エレロさんと、サザンオールスターズでの活動と同時に「ウクレリアン」として活躍するミュージシャン、関口和之さんです。

フェデリコ・エレロ
フェデリコ・エレロ

エレロさんと金沢21世紀美術館のつながりは8年前、同館への訪問者を無料で送迎する「アートバス」を彼がデザインしたときから始まっています。バスのボディ一面に広がるトロピカルな、それでいて優しげな色彩のパターンは人々に愛され続けています。いっぽうの関口さんは、ウクレレを通した人と人とのコミュニケーション、表現可能性を広げるような活動を各地で展開中。果たしてどんなコラボレーションが始まるのでしょう?

関口和之
関口和之

そこで5月2日、美術館で行われたプレス向けオープニングに出かけてきました。この日はもちろん、エレロさんと関口さんも来館。まずは秋元雄史館長があいさつし、「今日はプロローグ。ここから1年を通じてさまざまな活動が広がっていきます。みなさんと一緒に走りながら進めていきたい」と抱負を語ります。

続いて担当キュレーターの村田大輔さんが、この取り組みの可能性を解説します。タイトルの「Aloha Amigo」は、関口さんの愛するウクレレの本場、ハワイの挨拶「Aloha」と、エレロさんの住むコスタリカで話されるスペイン語「Amigo」(友達)を組み合わせたものであること。日本の美術館でふたりがコラボレートすることを通して、音楽と美術、また彼らの背景にあるものが出会い、「表現することの意味」を改めてとらえなおす機会になればと語ります。

ふたりの表現が果たしてどんな形で「出会う」のかが気になるところですが、ごく簡単に言えば、エレロさんが彼の作品で空間をつくりだし、そこで関口さんや仲間たちがさまざまな活動を展開していく、ということのようです。ちょうどこの日完成したばかりというエレロさんの作品空間を、さっそく体験させてもらうことにしました。

Page 1
次へ

イベント情報

『Aloha Amigo! フェデリコ・エレロ×関口和之』

2012年5月3日(木)〜2013年3月17日(日)
会場:石川県 金沢21世紀美術館
時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:毎週月曜日(ただし、7月16日、8月13日、9月17日、10月8日、12月24日、1月14日、2月11日は開館)、臨時休館(12月4日(火)〜12月13日(木))、年末年始(12月29日(土)〜1月1日(火))、7月17日(火)、9月18日(火)、12月25日(火)、1月15日(火)、2月12日(火)
料金:2012年5月3日(木)〜11月22日(木)入場無料、2012年11月23日(金)〜2013年3月17日(日)当日の『ソンエリュミエール-物質・移動・時間』展の観覧券でご覧いただけます。
金沢21世紀美術館
金沢21世紀美術館『Aloha Amigo! フェデリコ・エレロ×関口和之 』
プロジェクトの様子はこちら

同時開催『工芸未来派』展

2012年4月28日(土)〜 8月31日(金)
会場:石川県 金沢21世紀美術館
時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:毎週月曜日(ただし、7月16日、8月13日は開館)、7月17日(火)
料金:一般:1,000円 大学生・65歳以上800円 小中高生400円
金沢21世紀美術館『工芸未来派』展

同時開催 コレクション展 『ソンエリュミエール-物質・移動・時間』

2012年4月28日(土)〜11月4日(日)
会場:石川県 金沢21世紀美術館
時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:毎週月曜日(ただし、7月16日、8月13日、9月17日、10月8日は開館)、7月17日(火)、9月18日(火)
料金:一般:350円 大学生・65歳以上280円 小中高生は無料
金沢21世紀美術館 コレクション展 『ソンエリュミエール-物質・移動・時間』

同時開催『matohu 日本の眼 日常にひそむ美を見つける』

2012年7月21日(土)〜11月25日(日)
会場:石川県 金沢21世紀美術館 デザインギャラリー
時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:毎週月曜日(ただし、8月13日、9月17日、10月8日は開館)、7月17日(火)、9月18日(火)
料金:入場無料

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』予告編

映画『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』予告編。高畑勲の実験精神に敬意を表する監督が「暗号描画」なる手法を使い、全ての作画をたったひとりで手がけたという。透けてしまいそうなキスシーンや、迫り来る波の一瞬一瞬に確かに手をひかれているようで、全貌が気になって仕方ない。オフィシャルサイトには片渕須直、今日マチ子らのコメントも。(井戸沼)

  1. 岩田剛典と元カノ・大政絢が再会 『パーフェクトワールド』新場面写真 1

    岩田剛典と元カノ・大政絢が再会 『パーフェクトワールド』新場面写真

  2. 『ギャングース』公開日決定&新場面写真にMIYAVI、篠田麻里子、山本舞香ら 2

    『ギャングース』公開日決定&新場面写真にMIYAVI、篠田麻里子、山本舞香ら

  3. 木村拓哉&長澤まさみのホテルマン姿 『マスカレード・ホテル』特報公開 3

    木村拓哉&長澤まさみのホテルマン姿 『マスカレード・ホテル』特報公開

  4. ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダムNT』特報、声優陣に榎木淳弥ら 4

    ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダムNT』特報、声優陣に榎木淳弥ら

  5. のんが武満徹『系図』の語り手を担当 谷川俊太郎の詩を朗読 5

    のんが武満徹『系図』の語り手を担当 谷川俊太郎の詩を朗読

  6. 森川葵×城田優のドラマ『文学処女』に中尾暢樹、泉里香、上遠野太洸ら 6

    森川葵×城田優のドラマ『文学処女』に中尾暢樹、泉里香、上遠野太洸ら

  7. 次号『CUT』は『銀魂』特集 実写からアニメ、原作漫画まで網羅の36ページ 7

    次号『CUT』は『銀魂』特集 実写からアニメ、原作漫画まで網羅の36ページ

  8. 満島真之介が『映画 おかあさんといっしょ』に出演 「人生の一番の夢」 8

    満島真之介が『映画 おかあさんといっしょ』に出演 「人生の一番の夢」

  9. アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉 9

    アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉

  10. 金閣寺で踊ったs**t kingzが感じた、ダンサーの社会的地位の変化 10

    金閣寺で踊ったs**t kingzが感じた、ダンサーの社会的地位の変化