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あの人の音楽が生まれる部屋

ゲスの極み乙女。

高い演奏能力と際立ったキャラクターで熱い注目を集めている男女4人組、「ゲスの極み乙女。」。そのキーボーディストとして活躍しているのがちゃんMARIさんです。常にキュートな笑顔をふりまきながら、ときに華麗に、ときにキレ味鋭いパフォーマンスを披露する彼女に、思わず目が釘付けになってしまう人も多いはず。メンバーからは「自由で天然、行動が意味不明」なんて言われている彼女ですが、実際のところはどんな人なのでしょうか。いつもバンドがリハーサルをしているという吉祥寺のスタジオを訪ね、生い立ちや音楽的ルーツについてたっぷりと語ってもらいました。

テキスト:黒田隆憲 撮影:豊島望

ゲスの極み乙女。

ゲスの極み乙女。
(げすのきわみおとめ)

2012年5月にindigo la Endのボーカルでもある川谷絵音(Vo, Gt)を中心に、休日課長(Ba)、ちゃんMARI(Key)、ほな・いこか(Dr)の4人によって結成。高い演奏技術を駆使した何が起こるかわからない曲展開に、全てを飲み込んでしまう声。プログレ、ヒップホップを基調とし、独自のポップメロディを奏でる天才集団。3枚のミニアルバムをリリースした後、2014年8月6日にメジャーファーストシングル『猟奇的なキスを私にして / アソビ』をリリース。

http://gesuotome.com

ちゃんMARIが鹿児島で過ごした幼少の日々

ゲスの極み乙女。の機材

ゲスの極み乙女。とCrimsonのメンバーとして活躍している鹿児島出身のちゃんMARIさんは、小さい頃からピアノを習っていました。通っていた近所の幼稚園に、「4歳になったらヤマハ音楽教室」と書かれた看板が貼ってあり、それを見たときから「私は4歳になったらピアノをやるんだ」と決めていたそうです。

ちゃんMARI:ピアノを習い始める前から音楽は好きでした。母が琴をやっていて、その教室へよく一緒について行ったのを覚えています。それと、絵を描くことがとにかく好きで、落書き程度ですけどよく描いていました。鹿児島のことで記憶に残っているのは、とにかく自然がたくさんあったこと。家の近くに大きな公園があって、春になると桜がいっぱい咲いていました。家から見える桜島の景色もよく覚えています。当時の私は、活発だったか大人しかったかというと、どちらかといえば大人しい子でしたが、その公園に行くと友だちと水鉄砲で遊んだりしてはしゃいでました。

ピアノを習っていた頃のちゃんMARIさんが、夢中になって聴いていたのはジブリのサントラ。『となりのトトロ』を観に行ったとき、幼いながら「この音楽いいなあ」と感動したそうです。それからはずっと、久石譲の音楽が大好きなのだとか。テレビから流れてくるJ-POPにもよく耳を傾けていて、「この曲はどうなっているんだろう?」と思うと、自分で弾いて分析していました。

ちゃんMARI:ピアノ教室は、先生が怖くて、「とにかくピアノが好き!」というほどではなかったんです。だから、教室ではクラシックがメインの課題だったのですが、当時はあんまり自分から進んで聴いてはいなかったかも。初めて自分の意志で買った楽器は、KORG 「SP-250」という88鍵の電子ピアノでした。確か18歳くらいの頃かな。ライブで弾けるピアノが欲しくて買いました。

クラシックピアノから一転
バンドメンバーとしてピアノを再開した高校時代

ちゃんMARI(ゲスの極み乙女。)

高校に入る前、実はピアノ教室を辞めて1年ほど音楽から離れた生活を送っていたちゃんMARIさんですが、「やっぱりピアノを弾きたい」「どうせやるなら、1人じゃなくて、いろんな人と音楽をやりたい」と思ってからは、再び鍵盤に向かい、バンド活動へ没頭していきます。

ちゃんMARI:先輩に誘われて加入したバンドが、中途半端な形でなくなっちゃったんですよ。それで自分のバンドが欲しいって強く思うようになったんです。その頃から友だちや、先輩たちのバンドを見にライブハウスに通ってました。コピーバンドが多くて、男子はHi-STANDARD、女子はGO!GO!7188やSHAKALABBITSのカバーが人気でしたね。そんなとき、ギターがすごく上手い先輩が、RadioheadとかBjorkとかNirvanaとか、洋楽をたくさん聴かせてくれたんです。「ああ、こんな音楽もあるんだ、いいなあ」と思い始めたきっかけでした。ただ、元々クラシック畑だったこともあり、ロックバンドで鍵盤を弾くことに、最初はすごく違和感があったんです。クラシックは1人で完結するので、テンポも自由なんですね。だから、いろんな楽器とリズムを合わせながら演奏するという概念が、全く頭になかった(笑)。バンドを始めた当初は、そこが一番苦戦しましたね。

ゲスの極み乙女。の重要なパートを担う
ちゃんMARIの真面目な音楽の学び

ゲスの極み乙女。の機材

再びクラシックと作曲を本格的に勉強したいと思ったちゃんMARIさんは、音楽の短期大学へ進みます。作曲科を専攻し、ひたすら曲を書いて、先生に提出する日々。また、短大とは別に、ジャズピアニストの先生にも師事していました。小学校の頃から好きだった椎名林檎が、当時(2002年)リリースしたカバーアルバム『唄ひ手冥利~其ノ壱~』を聴き、ジャズ、ボサノバ、シャンソンなど、それまで聴いてきたポップスやクラシック以外のジャンルのスタンダード曲に感銘を受けたそう。なかでも、“枯葉”や“黒いオルフェ”が印象的だったとか。

ちゃんMARI:そこからジャズに興味を持って、いろいろさかのぼって聴いているうちに、理論とかを習いたいと思って、ジャズの先生にも師事しました。当時好きだったピアニストは、やっぱりビル・エヴァンス。あとはキース・ジャレット、バド・パウエル、ブラッド・メルドーなども好きでした。短大に入った頃は、ピアノの先生になりたいと思ってたんですよね。でも、教育実習に行くべき時期に、バンド活動を頑張ってて忙しかったので、諦めました(笑)。短大では、作曲に関して、現代音楽に限らずいろんな音楽スタイルを学ぶことが出来ました。交響曲ほど楽器が多い大規模な楽曲ではないんですけど、いわゆる室内楽といわれるような、フルートとピアノと琴の三重奏なども書いていましたね。それが、今のバンドに活きているかどうかといえば、多分活きていると思います。特に、ゲスの極み乙女。と平行してやっているバンドCrimsonでは、私が中心となって曲作りをしているので。

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