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音楽を、やめた人と続けた人

(2014/08/12)

PaperBagLunchboxは解散しなければいけなかった?
これがことの顛末だ。ナカノがミーティング中に倒れたことも、ツアーが中止になったことも、姉の家を飛び出したことも事実。それを説明したナカノの発言について、ナカノ以外の関係者からすれば、言いたいことが沢山あるだろう。
そもそもこのプロジェクトに関わった全員が、ただただ同じゴールを目指して一緒に歩んでいたのだ。とにかく上昇のキッカケを掴みたい。だから血判状を押すような話し合いをし、加藤が強権を発動してでもゴールを目指す、そういうプロジェクトがスタートした。5年も足踏みしたバンドなのだから、多少なりとも加藤が強引になるのは仕方の無いことだった。

それに対して最終的には反発し、受け入れられなかったナカノ。彼の言っていることや、彼の弱さが決して間違ったものではないことも、ぼくはよく知っている。むしろそうした彼の人間性こそが、PBLの美しい音楽の源流にあるものでもあったのだ。

とにかく全員が本気でぶつかって、失敗して、立ち直れないくらいの思いをした今となってはもはや、誰がいけなかったとか、何がダメだったとか、そんな答え探しは意味をなさない。ダメだった理由はきっと、全員それぞれの心の中に、深く刻まれているはずだ。
では最後に、この物語のエンディングも、きちんと書いておかなければなるまい。

―PBLは解散しなきゃいけなかったのかな?

ナカノ:俺はね、加藤さんと別れて四人だけでもやりたいって気持ちがあったから、メンバーにはそれも伝えたし、解散するにしても解散ライブもちゃんとしたいって話もしたんだけど、メンバー的には「無理だね」っていうことでした。

ナカノヨウスケ


―メンバーとしても、加藤さんと一緒に成功しなきゃ意味がないっていうはあったんだろうね。まあそれに、あの第3話でメンバーが語っていたように、ナカノくんが何度もバンドを壊しかけてきたことに対する不信感もあったのかもしれないけど……。加藤さんとは?

ナカノ:最後に会ったんですよ。いろいろ報告もあったし相談もしたかったから、ファーストアルバムのプロデューサーに電話したんです。そしたら、「お前とりあえず、加藤さんとちゃんと話をしないと、今後の人生後悔するよ」って言われて。だから俺、腹立ってたし、言いたいこと言ってやろうと思って。それで案の定、会って話したらお互いにめっちゃキレて、話がかみ合ないまま別れました。それ以来です。

―そっか……。でも、PBLが残してきた作品はきちんと残っていくわけだし、きっと全員が、あの音楽には誇りを持ってるよね。最後のアルバムになった『Ground Disco』も、『indies issue』が選ぶ2011年のベストアルバム企画で、N'夙川BOYS、坂本慎太郎に次いで3位に選ばれたり、本当に評価されるべきアルバムだったと思うし。

ナカノ:PBLのメンバーのことも、加藤さんのことも大好きだったし、みんなの期待に応えたくて必死にやってきた、そのことに嘘はないんです。みんな必死でしたよ、本当に。だからその結果として生まれたPBLのアルバムには本当に誇りを持ってるし、もっともっとたくさんの人に聴いてもらいたいって、今でも思ってるし。それはきっと、メンバー含め、PBLに関わったみんな思ってることだと思いますね。
この物語は、バッドエンドということになるのか?
ぼくは4年前、この連載の第1話でこのように書いた。
ぼくは、この連載という形でPBLを追いかけることにした。5年間も葛藤して、それでも音楽をやめなかった人たちが今目の前で、いきいきと新しい一歩を踏み出している。彼らのドラマの続きが気になるのも本当だし、それがハッピーエンドになっても、たとえ失敗に終わっても、ぼくやこの連載を読んでくれた人たちにとって、何かを気づかせてくれるだけのストーリーが待っているような気がするのだ。なにせ20代のほぼ全てをバンドに賭け、ある意味で「普通の道」からコースアウトした人間たちが、人生の一大勝負をしかけるのだ。ひとの人生の貴重な一時期を、裏も表もリアルにドキュメントする。ここからきっと、ひとが生きてくために何が大切なのかとか、「音楽」とよばれる表現にはどんな力があって、それが売れたり売れなかったりするのは何故なのかとか、さまざまな答えが見えてくるだろう。
成功だけを描いて、失敗を描かないというのはフェアじゃない。だから今回、こうして一つの物語のエンディングを詳細に綴らせてもらった。壮絶で生々しい話だったと思う。理解できるところもできないところもたくさんあるし、「俺だったらもっとこういう風にうまくやったけどな!」と知恵を働かせてくれる人もいたかもしれない。でもとにかく、残念だけど、PaperBagLunchboxは解散した。キレイごとを書いて丸く収めることのできない、決定的な結末だった。
さあ、だけれども、そんなことが起きてから、もう3年も時間が過ぎたのだ。冒頭で取り上げた加藤からのメールが来るまで、ぼくの中でこの物語は、悲しい結末を迎えたバッドエンドだった。しかし、多くのわだかまりを抱えながら、それでも加藤が「フユキがうまくいくことがすべてだと思うので、力を貸してあげてください」と言うのだから、どうやらこの物語が本当にバッドエンドという結論になるのか、それはまだ誰にもわからない。

ぼくなんぞが言うのはおこがましいが、人生って本当にわからない。ぼく自身、親の仕事も継がず、就職活動もせず、「本気で音楽をやる」ことを選択したにも関わらず、バンドを2つも解散させた。大失敗だ。だけどその延長線上で、ぼくはいまCINRAというメディアを作り、あの時とは違ったゴールへ向かって、順調に歩みを進めることが出来ていたりもする。それは、バンドの解散を含めた数え切れないほどの失敗を積み重ねて、自分に出来ないことと出来ることを身をもって勉強しながら、自分の生き方を選択していくことでもあった。もはや音楽だろうがメディアだろうが、何かを人に伝えていくという意味では一緒だとすら思っている。
PBLの四人や、ワンダーグラウンドの加藤、曽根原もみんな、バラバラになってはしまったけれど、PBLでのたくさんの失敗を経て、今はそれぞれが選び取った生き方で、新しい幸せの形を見つけているだろう。きっと。

そしてナカノヨウスケは、どんな人生を選び取り、どんな幸せの形を見つけたのか。3年経って、PBLの解散について、メンバーや加藤について、前向きに語れるようになった彼の変化というのは、どこからきているのか。決して音楽をやめることのない、ナカノヨウスケという男の今を、次回はきちんとお伝えできればと思う。
おしらせ

Emeraldの新着PV



Emerald、9月にアルバムを発売!

Emerald『Nostalgical Parade』
2014年9月3日(水)発売
価格:1,804円(税込)
FLR-0004 / FunLandRyCreation

1. ~Intro~
2. Nostalgical Parade
3. Brush
4. Summer Youth
5. フラニーの像意 -Album ver.-
6. Cryin' Climbing
7. ~Interlude~
8. TONIGHT
9. ふれたい光
10. ~Reprise~



PaperBagLunchboxラストアルバム

Ground Disco

PaperBagLunchbox『Ground Disco』
2011年1月12日発売
価格:2,484円(税込)
WRCD-47 / Wonderground

[SIDE-A]
1.Ground Disco
2.アーバンソウル
3.watching you
4.キスレイン
5.VELVET
6.月のまばたき
[SIDE-B]
7.明け星
8.オレンジ2011 ver.
9.マイムを踊れ
10.ストップ
11.帰れない街
12.運命の丘




CINRA主催の入場無料イベント『exPoP!!!!!』にEmeraldの出演決定!

viBirth × CINRA presents 『exPoP!!!!! volume76』

2014年8月28日(木)
会場:TSUTAYA O-nest
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
料金:入場無料 (without 2Drinks)

出演:Emerald、ハリネコ、Yogee New Waves  and more!!!!!

■チケットのご予約は以下のページで承っています
※ご予約の無い方は入場できない場合があります。ご了承下さい。
PC:http://expop.jp/76.php
Mobile:http://expop.jp/m/76.php

■各出演者の詳細・試聴はこちらから
http://expop.jp/schedule/76.php


 

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