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蒼井優×岩井俊二×軽部真一が語る『リリイ・シュシュのすべて』

蒼井優×岩井俊二×軽部真一が語る『リリイ・シュシュのすべて』

インタビュー・テキスト
久保正樹
撮影:小林宏彰

多くの俳優が巣立った作品

軽部:『リリイ・シュシュのすべて』は、蒼井優さんのその後を決定づけたのはもちろん、スターをたくさん輩出していますよね。14歳の市原隼人さんは映画初出演で、忍成修吾さんは19才、蒼井優さんは当時15才でした。

蒼井:はい。

軽部:まさに等身大で津田詩織を演じていたと思いますが、大変なこともたくさんあったんじゃないですか?

蒼井:大人の方に囲まれることがそれまで無かったので、すごく面白かったですね。ただ、私と市原くん以外のみんなは「お芝居って面白いね」なんていう話をしていたんですが、私と市原くんはそれがまったく分からなくて。みんなのテンションにあんまり付いて行けてないのは「まずいんだろうなぁ」と思いつつ、「でもお芝居ってよく分からない」と思いながら演じていました。

軽部:川の中に入って行くシーンとか、大変だなって思ったりは?

岩井:すごく汚れてて臭い川だったよね。

蒼井:はい(笑)。

『リリイ・シュシュのすべて』
©2001 LILY CHOU-CHOU PARTNERS

軽部:津田詩織の洋服が汚れていましたが、あの川の汚さがそのまんま出てるんですね。観客として観ているぶんには、本当にきれいなシーンでしたが。痛みも伴うシーンなんだけど、2時間27分という長い作品の中でも特に好きなシーンですね。一瞬スローモーションになって、それからもう一度普通の速度になるっていう。本当にいいシーンですよね。

岩井:ありがとうございます(笑)。

軽部:蒼井優さんはどのシーンが好きですか?

蒼井:合唱をするシーンが好きですね。難しい曲だったので、すごく練習しましたから。

映画で使われていた携帯…じつは私物なんです(蒼井)

軽部:鉄塔に携帯電話が引っかかったままの状態で亡くなっているという、津田詩織の死の場面は非常に鮮烈でした。じつは蒼井優さん、あの携帯電話は?

蒼井:私のです。あのジャラジャラしたストラップも含めて…。

軽部:携帯電話の本体が見えないくらい付いてますよね(笑)。

蒼井:ずっとしゃべってると肩凝りました(笑)。ちょうどみんなが携帯電話を持ち始めた時期で、もらったストラップを全部付けていたら10個くらいになってしまい、友達からは「優はストラップが好きなんだ」と勘違いされてますますもらっちゃって(笑)。

軽部:でも、津田詩織を象徴している小道具になりましたよね。

岩井:そうですね。あのシーンでは、太陽の光がスポットライトみたいに当たっていた、不思議な携帯でしたね。

『リリイ・シュシュのすべて』
©2001 LILY CHOU-CHOU PARTNERS

軽部:岩井監督が一番思い出に残っているシーンはどこですか?

岩井:伊藤歩さんが丸坊主で教室に入って来るシーンですね。僕は外でモニターを見ていたんですけど、カットをかけたとたんに歓声が上がったんですよね。初めて丸坊主の伊藤歩さんを見たみんなが号泣しているんですよ。いじめっ子の役をやっている松田一沙さんが「もうこんな映画いやだ~」とか言ってわんわん泣いてしまって大変でした。蒼井優さんももらい泣きしていたんですが、それを見た僕は「カメラ回せ!」とスタッフに言って泣き顔を撮影したんですよ。本当に極悪人ですよね(笑)。

軽部:絶対、天国には行けないような気がしますね…(笑)。

岩井:行けないと思いますよ(笑)。

軽部:そして「リリイ・シュシュ」を演じたSalyuさんは、いまや有名な歌手になりました。そういう意味で、本当にこの映画が育てた才能は多いです。

岩井:才能の原石たちと巡り合うことができて、本当に幸運でしたね。

軽部:監督にとって、『リリイ・シュシュのすべて』はどんな作品ですか?

岩井:1人で作れるレベルではなかったな、ということを一番感じます。たくさんの人が参加してくれて「リリイ・シュシュ」というアーティストを作り上げてくれたし、そこからインスパイアされて僕も物語を作れている、という循環が生まれていました。俳優たちもほとんどアマチュアな子たちでしたけど、彼らが持っているパワーとかポテンシャルが僕に返ってきて、それにまた僕がレスポンスする、という感じでしたね。

3/3ページ:最新作『ヴァンパイア』はヘンな映画!?

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番組情報

『日曜邦画劇場』500回記念スペシャル

2011年5月1日(日)『容疑者Xの献身』ゲスト:福山雅治
2011年5月8日(日)『リリイ・シュシュのすべて』ゲスト:岩井俊二監督、蒼井優
2011年5月15日(日)『シコふんじゃった。』ゲスト:周防正行監督、竹中直人
2011年5月22日(日)『愛を乞うひと』ゲスト:原田美枝子、野波麻帆、平山秀幸監督
2011年5月29日(日)『あ・うん』ゲスト:板東英二、降旗康男監督、木村大作撮影監督

プロフィール

蒼井優

1985年生まれ。福岡県出身。小学校時代よりモデル事務所に所属し、CMや広告に出演。映画デビュー作は岩井俊二監督の『リリィ・シュシュのすべて』(2001)。援助交際を行う中学生・津田詩織を熱演した。2003年には『高校教師』で初の連続ドラマレギュラー出演。2006年、映画『フラガール』で第30回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。2010年には大河ドラマ『龍馬伝』の元役を務める。岩井監督作品には『花とアリス』(2004)に引き続き、『ヴァンパイア』にも出演。

岩井俊二

1963年生まれ。宮城県仙台市出身。1988年より、音楽ビデオとCATVの仕事からスタート。1993年、テレビドラマ『ifもしも~打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』で日本映画監督協会新人賞を映画監督としてデビューする前に受賞。その後映画へ進出し、1995年に『Love Letter』、1996年には長篇第2作目として、架空都市『円都』(イェンタウン)を舞台にしたサクセスストーリー『スワロウテイル』を発表。2000年4月から7月にかけてインターネット上で、BBS(電子掲示板)のスタイルを使い、一般の人たちの対話の中から物語を展開していく異色のインターネット小説『リリイ・シュシュのすべて』を発表。2001年にはその小説を自ら映画化。そして2003年ショートフィルム『花とアリス』をインターネット上で発表し翌年には長編映画『花とアリス』を劇場公開した。最新作は、蒼井優主演の『ヴァンパイア』。

軽部真一

1962年生まれ。1985年、フジテレビ入社。1994年より朝の報道番組『めざましテレビ』にレギュラー出演している。また、同僚の笠井信輔アナウンサーとのコンビは「男おばさん」と呼ばれ、映画関連の仕事等を行う。日本映画専門チャンネルでは『日曜邦画劇場』の支配人を番組開始当初より務め、2011年5月に500回目の放送を迎えた。

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