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渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談

渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談

撮影:柏井万作
2011/11/12
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昨年の11月に「『いま、ここにしかない』表現の場」としてオープンしたライブハウス=渋谷WWWが1周年を迎えた。渋谷のど真ん中という立地、映画館を改装したフロアといった特色を生かした独自のブッキングや企画によって、すでに「常に何か面白いことが起こっている場所」としての認知を受けていると言っていいだろう。特に音響設備へのこだわりは強く、世界的に評価の高いイギリス製のスピーカー「FUNKTION-ONE」を導入し、さらにはその性能を最大限に引き出すため、本国と同じ240Vの電源が引かれ、そのこだわりから生まれた音の良さは高い評価を獲得している。

そこで今回は、この11月より始まった全19公演の『WWW 1st Anniversary』企画に出演するなどWWWとも縁の深い渋谷慶一郎とagraphにご登場いただき、ダンスミュージックやサウンドアートの良き受け皿になり始めたWWWについて語っていただいた。シーンや現場の在り方について、様々な問題点を浮かび上がらせつつも、非常に発展性のある内容となった2人の対話をお楽しみください。

一時期は本当にネガティブなものだったけど、今は「エレクトロニカ」っていう単語を素直に言える(agraph)

―「電子音楽」や「エレクトロニカ」のシーンを積極的に取り上げてきたCINRAとしては、オープンしてこの1年で、見事にそうしたシーンの受け皿になったWWWの価値を改めて考えてみようということで、二人にお時間いただきました。

agraph:渋谷さんくらいのアイコンになると、「シーンの為にどう運動するのか」みたいな質問をよくされるんでしょうけど、きっとそんなこと考えてないですよね?(笑)

渋谷:うん、考えてない。「考えなきゃいけない人」みたいな立ち位置からは上手く逃げてるわけ。

―(笑)。エレクトロニカの代表、みたいな立ち位置は嫌なんですね。

渋谷:とはいえ「エレクトロニカ」ってちょっと前まではすごいネガティブワードだったけど、最近そうでもないなっていう気がしてきている。

agraph:うん、それは僕もちょうど肌で感じていました。一時期は本当にネガティブなものだったけど、今は「エレクトロニカ」っていう単語を素直に言える。

渋谷:『ATAK Dance Hall』(ATAKによる最先端のダンスミュージック・イベント)はエレクトロに寄せているんだけど、そこに自分で作ったエレクトロニカ、サウンドアート的なキックを入れたりすると、って自分で言うのもおかしいけど(笑)、みんな一番興奮するのね。

渋谷慶一郎渋谷慶一郎

―それはどういう理由なんでしょうか?

渋谷:音色的、リズム的なコントラストが新鮮なんだと思うんですよ。あとよく言われる90年代取りとか、00年代取りっていうのはファッションもまだ成功と言われるようなものは出来てないでしょ。だから極めてゼロ年代、2010年代的と言っていい「エレクトロニカ」を今取り入れたら久しぶりに音楽がファッションよりも先に行けるという読みがあって。それで、『ATAK Dance Hall』では敢えてエレクトロニカを混ぜてるところもある。 

agraph:そういう話をライターさんが聞いたら、それは「エレクトロニカ・シーンのことを考える渋谷慶一郎」って書きたくなりますよね。

―はい(笑) 。

渋谷:いや、そんなつもりはないんですけど。僕がやったことは僕にしかできないからあまり汎用性ないし。とはいえ、エレクトロニカは可能性があると思っている。この間発表になった伊勢谷(友介)くんの映画の音楽監督もやらせてもらったんだけど、全曲作るのは無理だから、全編エレクトロニカ系のアーティストを揃えて制作させてもらえるんだったらやりますよって話をして引き受けたのね。伊勢谷くんの映画って、若い女性もたくさん観に来ると思うんだけど、そういうところでエレクトロニカとかピアノが混ざったものが流れてくるっていうのは、リテラシーの流布にもなると思うんだよね。実際、内容もいいし…って、結構シーンのこと考えてんじゃん(笑)。

agraph:ホントですよ!

―(笑)。ちなみにagraphさんはどうなんですか?

agraph:僕なんかはシーンのことなんて全然考えてない。付いていくのが必死ですよ(笑)。僕がエレクトロニカについてネガティブになっていた時って、クリック・テクノが隆盛になった時期で。それで、そこを通過しつつテクノやダンスミュージックが好きなアーティストたちに共感を覚えていて。だから僕は、テクノでもエレクトロニカでも、シーンというものからは少しずつ疎外感を覚えているんです。

―なるほど。渋谷さんはどうしてエレクトロニカがネガティブになったんでしょう?

渋谷:僕はagraphくんとは逆で、エレクトロニカやサウンドアートがテクノに吸収された時に、このシーンは終わったと思った。というのは、エレクトロニカの面白いところって、一応ループはあるからビートはあるんだけど、それが4/4拍子である必要がなかったところなんだよね。テクノはほぼ4/4でしょ。

渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談 渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談
agraph

agraph:それわかります。僕もクリック・テクノに傾倒していたというよりは、それ以降のアーティストがすごく好きなんです。クリック・テクノは、エレクトロニカなりが持っていた魅力を、短い小節のループにして快楽性に持ち込んでいくじゃないですか。それって僕はちょっと違和感があったんですよね。

渋谷:そうそう、別に4/4拍子じゃなくてもビートやリズムの快楽性は生まれるわけなんだよね。拍子とは関係なく、たとえば10秒のループと、7秒のループと5秒のループが混ざって物質が層になって積んであるだけ、みたいになっている方が面白かったんだけど、それが劣勢になった時に、ネガティブになっちゃったんだよね。

2/4:音楽を作るっていうのは、空間と時間を作ることでしかないから、それをトータルで考えることがすごく大事。(渋谷)

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イベント情報

WWW 1st Anniversary 『分解☆渋谷慶一郎』

11月22日(火) OPEN 19:00 / START 20:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
渋谷慶一郎
ATAK Dance Hall set:Keiichiro Shibuya+evala
PA:zAk
TALK SHOW GUEST:
松村正人
五所純子
料金:
前売(スタンディング)3,300円(税込 /ドリンク代別)
当日(スタンディング) 3,800円 (税込 /ドリンク代別)
座席 4,000円 ※限定50席(税込 /ドリンク代別)

WWW 1st Anniversary『PROGRESSIVE FOrM showcase 2011』

11月17日(木) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
agraph
evala
RADIQ (半野喜弘)
MimiCof
DJ: DJ Kensei -Indopepsychics Set-
DJ : Ametsub
Fugenn & The White Elephants
lycoriscoris
TAISHIN
VJ: Yousuke Fuyama
VJ: Katsumaki
料金:前売3,000円 当日3,500円(共に税込 / ドリンク代別)

プロフィール

渋谷慶一郎

1973年生まれ、音楽家。東京芸術大学作曲科卒業。2002年に音楽レーベルATAKを設立。国内外の先鋭的な電子音響作品をCDリリースするだけではなく、デザイン、ネットワークテクノロジー、映像など多様なクリエーターを擁し、精力的な活動を展開する。2009年、初のピアノソロ・アルバム『ATAK015 for maria』を発表。2010年には『アワーミュージック 相対性理論+渋谷慶一郎』を発表し、TBSドラマ『Spec』の音楽を担当。2011年は、モスクワでのイベント『LEXUS HYBRID ART』のオープニングアクトを担当するなど、多彩な活動を続ける。来年2月公開の映画『セイジ 陸の魚』では音楽監督を担当。

agraph

牛尾憲輔のソロユニット。2003年、石野卓球との出会いから、電気グルーヴ、石野卓球などの制作、ライブでのサポートでキャリアを積む。2008年12月にソロユニット「agraph」としてデビューアルバム『a day, phases』をリリース。2010年11月、セカンドアルバム『equal』をリリース。2011年は、ナカコー(iLL/ex.supercar)、フルカワミキ(ex.supercar)、田渕ひさ子(bloodthirsty butchers/toddle)との新バンド、LAMAのメンバーとしての活動もスタート。

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