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渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談

渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談

撮影:柏井万作

音楽が好きな人と仕事をするってことが僕には重要で、それはすごく信じられる。(渋谷)

―「空間」ということでいうと、WWWのあの段差も非常に特徴的ですよね。

agraph:あのハコの形って特殊な見せ方ができそうだなって思うんですけど、何かやりたいとかってないですか?

渋谷:突き落としゲームとかじゃなくて?

agraph:殺傷を含まない形で(笑)。何かできそうだなっていうのは、9月に黒川(良一)さんがWWWでやったのを見てすごく思ったんですよ。大きな吊りものをつってて、階段だからすごく見やすいっていうのを含めて、あれが実現できるのはWWWしかないんじゃないかなって。

―他にできるとしたら、もっと大きな規模のハコになっちゃいますよね。

agraph:それこそ劇場になっちゃって、そういうところは音響にそこまでこだわってないじゃないですか? 電源も240Vで引いてないし、FUNKTION-ONEも入ってないから、WWWがそういう環境になってるのはすごく強みなのかなって。

渋谷WWW
渋谷WWW

―渋谷さんはADH(ATAK Dance Hall Set)でもライブをされていますが、単純にあの段差のある会場でフロア対応の音楽をプレイするのっていかがでしたか?

渋谷:それは僕にはあまり問題じゃないかな。僕は結構危険フェチなところがあって(笑)。ある種の極限状態に人を置いたとき、その人がどう音楽を聴くのか、という部分に興味がある。だからWWWのように崖っぷちみたいなところで踊り狂うっていうのはいいなと思っていて。昔見たパレスチナの革命運動とか、ベルリンの壁が崩壊してみんなが騒いでたのとか思い出して(笑)。ストロボが反射してるから、みんなすごい顔に見えるわけ。笑顔が固まった状態で崖のとこで踊ってるから、すごくいい光景で(笑)。

―そういう楽しみ方もあると(笑)。

渋谷:みんなスタティックにフロアってものを考えすぎる。音の反響がどうとかって言うけど、音がいいと言われているクラブに行っても、大体チェックすると左右のスピーカーの音量は違うし、箱鳴りの共鳴とかも含めるとスタティックなホワイトキューブなんてあり得ないわけ。だから、スクウェアな会場じゃないとちゃんと音が鳴らないって言っているのは僕から見ると滑稽。そんなこと言ったらどこのクラブより僕の仕事場のほうが音はいいし(笑)でも、クラブのスピーカーはそういう厳密さを求めて設計されていない。段差があってもそれを楽しめればそれでいいし、結局リテラシーの問題で、そこでの楽しみ方を提案できるかどうかでしょう。

渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談 渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談

―スペックも重要ですけど、現場を作り上げる上では、気持ちや姿勢も重要ですもんね。

渋谷: WWWとは結構初期から付き合ってるんだけど、そういうハコのスタッフの人が、エレクトロニカとかを好きだって話は聞いてたわけ。実際に、電源にこだわって240Vで引いてたりして、そういう音楽が好きな人と仕事をするってことが僕には重要で、それはすごく信じられる。

―なるほど。

渋谷:あと、WWWはクラブではないでしょ? クラブってやっぱり営業なんですよ。そうすると、絶対にお客が入るものに流れていって、少し前だとトランスばっかりになっちゃったりとかさ、クラブ自体が荒れていくっていう傾向が強くて。そういう意味では、ライブハウスとクラブと両方できっちりやっていくのと同時にustのインフラと集客の仕組みみたいなのを解決できたらいいんじゃないかなとは思う。これはすごく親切な提案だけどね(笑)。

 

ベルリンとかヨーロッパを知ってしまうと音の違いを感じざるを得ない(agraph)

 

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―ちなみに240Vだとそんなに違うものなんでしょうか?

agraph:やっぱりベルリンとかヨーロッパを知ってしまうと音の違いを感じざるを得ないんですけど、その大きな理由のひとつが「電源」なんですよね。あと湿度の差があって、同じワット数で鳴ったときに媒介が揺れるための力が多分、日本の方が必要なんですよ。

渋谷:ベルリンで「filmachine」を作ったときに、忙しくてライブの準備ができてなかったので、「filmachine」のディレクションをしながらバックヤードに仮設スタジオ作ってもらって。その時、安いスピーカーを2つ置いてもらったんだけど、それですらすごく音がよくて(笑)。あやうく、住みそうになった(笑)。

agraph:わかります(笑)。

渋谷:(ベルリンには)どのくらい行ってたの?

agraph:2ヶ月住んでました。

―4月にLAMAがWWWで初ライブをしたときは、ベルリンから中継で出演されてましたよね? あれってどういうやり方だったんですか?

agraph:僕はベルリンからずっとノイズのテクスチャーを流して、それを日本側でコントロールしてもらっていました。ベルリンとかヨーロッパはネットの回線品質が良くないので、音質がすごく下がっちゃうんですよ。その劣化を許容できるプレイをしなくちゃいけないから、基本的にはノイズ・テクスチャーでしか成り立たなかったんです。

―なるほどー。そうなってたんですね。

agraph:MCが一番つらかったですけどね(笑)。僕がベルリンから、会場の姿が見えないままお客さんに向けてギャグとかを言ってたんですけど、それがウケてるかどうかわかんなくて。

―三條さん、実際会場はどんな感じでしたか?

三條:なんか…不思議な雰囲気に…

agraph:言葉を濁された(笑)。

三條:少し間を置いて笑うみたいな。

渋谷:それ全然フォローになってないし(笑)。

4/4ページ:ストリーミングをリアルタイムで使おうとする時に、ネットの向こうからのアクションによって、やってる人の作家性に効果を及ぼす方が絶対面白い(agraph)

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イベント情報

WWW 1st Anniversary 『分解☆渋谷慶一郎』

11月22日(火) OPEN 19:00 / START 20:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
渋谷慶一郎
ATAK Dance Hall set:Keiichiro Shibuya+evala
PA:zAk
TALK SHOW GUEST:
松村正人
五所純子
料金:
前売(スタンディング)3,300円(税込 /ドリンク代別)
当日(スタンディング) 3,800円 (税込 /ドリンク代別)
座席 4,000円 ※限定50席(税込 /ドリンク代別)

WWW 1st Anniversary『PROGRESSIVE FOrM showcase 2011』

11月17日(木) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
agraph
evala
RADIQ (半野喜弘)
MimiCof
DJ: DJ Kensei -Indopepsychics Set-
DJ : Ametsub
Fugenn & The White Elephants
lycoriscoris
TAISHIN
VJ: Yousuke Fuyama
VJ: Katsumaki
料金:前売3,000円 当日3,500円(共に税込 / ドリンク代別)

プロフィール

渋谷慶一郎

1973年生まれ、音楽家。東京芸術大学作曲科卒業。2002年に音楽レーベルATAKを設立。国内外の先鋭的な電子音響作品をCDリリースするだけではなく、デザイン、ネットワークテクノロジー、映像など多様なクリエーターを擁し、精力的な活動を展開する。2009年、初のピアノソロ・アルバム『ATAK015 for maria』を発表。2010年には『アワーミュージック 相対性理論+渋谷慶一郎』を発表し、TBSドラマ『Spec』の音楽を担当。2011年は、モスクワでのイベント『LEXUS HYBRID ART』のオープニングアクトを担当するなど、多彩な活動を続ける。来年2月公開の映画『セイジ 陸の魚』では音楽監督を担当。

agraph

牛尾憲輔のソロユニット。2003年、石野卓球との出会いから、電気グルーヴ、石野卓球などの制作、ライブでのサポートでキャリアを積む。2008年12月にソロユニット「agraph」としてデビューアルバム『a day, phases』をリリース。2010年11月、セカンドアルバム『equal』をリリース。2011年は、ナカコー(iLL/ex.supercar)、フルカワミキ(ex.supercar)、田渕ひさ子(bloodthirsty butchers/toddle)との新バンド、LAMAのメンバーとしての活動もスタート。

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