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3.11以降の東京で表現する 悪魔のしるし(危口統之)×サンガツ(小泉篤宏)×小沢康夫

3.11以降の東京で表現する 悪魔のしるし(危口統之)×サンガツ(小泉篤宏)×小沢康夫

インタビュー・テキスト
前田愛実
撮影:小林宏彰

必要以上の「当事者意識」は要らない

小沢:『CE QUI ARRIVE –これから起きるかもしれないこと–』の話に戻りますが、この企画タイトルはポール・ヴィリリオというフランスの思想家による著作からインスピレーションを受けてつけたんですが、これも3.11以前から考えていたことです。このタイトルに込めた意味でもあるとおり、震災は現在進行中で、これからも何が起こるか分からない。特に原発関連のことはまったくもって終わってはいません。ただ、まだ今は事故そのものを直視すること、情報を開示したり冷静に見極めることのほうが重要で、芸術なり表現がそれを描くということは時期尚早な気がするんです。だから僕としては、今回出ていただくアーティストには、基本的には以前からやっていることをそのままやってもらう予定でいます。とはいえ、やはりアーティストが震災とのかかわりや距離の取り方について何かを考えるのは避けられないことだとも思うんです。皆さんの考えはそれぞれ違うと思うので、その辺ちょっと聞きたいところではあるんですが。

危口統之(悪魔のしるし)、小泉篤宏(サンガツ)、小沢康夫
右:小沢康夫

危口:今までの活動をそのままやる、とのことですが、『搬入プロジェクト』は上演環境に依存するところが非常に大きいので、回ごとにかなり違ってくるんです。特に今回は外側と内側を区切る場所があまりないので、「運び入れる」ということにはならないかもしれず、花やしきバージョンのために工夫が必要です。会場が都内なので仕事仲間であるプロの荷揚げ屋さんを呼べるチャンスでもありますね。

小沢:危口さんが今この時期にパフォーマンスをやることについて、どういうことを考えていますか? 震災の影響とかあるんですか?

危口:表現の内容というよりは、上演する環境について考えますね。会場のムードや、お客さんがどういう気持ちでいるのかとか。ただ、いやらしい言い方をあえてすると、ちょっと震災についてエクスキューズしていれば「自分も震災のことを心配している」という当事者になれる風潮に関しては、違和感を覚えます。

―当事者になりたがることに違和感を感じるのはなぜなんでしょう?

危口:より正確にいえば、すでに国レベルのことが起こったので、当事者ではないことなんてあり得ないんですよ。ただ、「鮮やかな」当事者になりたがるというか、より深刻な立場になりたがるのには違和感がやはりあります。

小泉篤宏(サンガツ)
小泉篤宏(サンガツ)

小泉:僕は、その人がやむにやまれずそうしているならば、当事者意識を持つことについては、それはそれでしょうがないんじゃないかと思いますね。そこは誰も責められない。それよりも、最近は、「誰がどうしたこうした」っていうふうな相互監視が強まっている気がするので、そちらの方がすごくイヤですね。震災以降に最も変わったのは、作品の内容ではなくて「強さ」だと思います。作品を見るにしてもやるにしても、その人が「本当にやりたい」と思っていることを見たいし、自分もやりたい。

これからも、東京で表現をしていくために

小沢:原発の問題は大変深刻で、政府や大企業が全く信用できないことが明らかになってしまった。日本の海岸沿いには未だ50以上の原発があり、これだけ余震もあるんだから、次に同じことが起こったらどうなるのか、それが心配です。そうした問題は今まさに起こっていることだし、起こりつつある。表現することとは別に、そのこと自体はずっと考え続けなくてはいけないと思います。僕はむしろ、震災以降、東京に腰をすえて活動しようと思い始めているんですが、だからといって直接的な震災のチャリティイベントは自分ではやらないと思います。チャリティは、募金をしたい人が個別にやればいいと思います。実際自分もそのようにしてきました。表現活動が慈善とかチャリティとか何かのために目的化してしまうことは大変危ういことだと思っています。しかも、本人がそうと考えていなくともまったく逆の意味にとらえられてしまう可能性もある。見る人によっては「震災を彷彿とさせる」と感じられてしまうかもしれません。

―小泉さんと危口さんは、小沢さんのように今後も東京で表現活動をされるつもりですか?

小泉:僕は東京生まれの東京育ちなんですが、震災後1ヶ月くらいは、生まれて初めて東京への郷土愛みたいなものが出てきたんです。でも今は、そういった感情は逆に目を曇らせてしまうと思っていて。かといってノマディズム(非定住)にも共感できないので、この先もフラットな気持ちで東京に居続けて、音楽をやっていくんだろうと思っています。

危口:企画ごとに考えていくと思います。この企画であればこの土地でやるというふうに、選び取っていくことになるのではないか。まだ妄想段階ですけど、自分の親父と一緒に何かできたらいいなと思っていたりするので、その場合は岡山の実家に帰ってやるだとか、本当に作品ごとに変わると思います。ただ舞台作品、特に上演に関して言えば、お客さんが多く来てくれるほうが嬉しいので、人口が多い東京でやることが多いでしょうね。

3/4ページ:「作品を複製しやすい」インターネットの魅力

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イベント情報

『CE QUI ARRIVE -これから起きるかもしれないこと-』

2011年11月26日(土)OPEN 18:30 / START 18:45
会場:東京都 浅草 花やしき
出演:
悪魔のしるし
足立喜一朗
伊東篤宏
contact Gonzo
久保田弘成
サンガツ
和田永
主催・企画制作:日本パフォーマンス/アート研究所
助成:アサヒビール芸術文化財団、平成23年度台東区芸術文化支援制度対象企画
料金:前売2,500円 当日3,000円
※前売券は完売
※屋外での公演になりますので防寒のご用意ください
※客席はありません、回遊型のイベントになります

プロフィール

悪魔のしるし

演出家危口統之を中心に演劇などを企画・上演する集まり。デザイン、建築、編集、ファッションなど様々な分野の専門家をメンバーに持つが、演劇そのものに詳しい人材がいない。これまでの作品に、自主公演『禁煙の害について』(2010年6月、原宿vacant)、F/T公募プログラム『悪魔のしるしのグレートハンティング』(2010年11月、池袋シアターグリーン)、パフォーマンス『搬入プロジェクト』シリーズ(2009年より 東京、横浜、香川県豊島、韓国ナム・ジュン・パイク アートセンター等)など。

サンガツ

20世紀の終わりに東京で結成。これまでに4枚のアルバムを発表。近年は、表向きはバンドの形態をとりながらも、音を使った工作/音を使った組体操のような楽曲に取り組んでいる。また、最新プロジェクト「Catch & Throw」では、"曲ではなく、曲を作るためのプラットフォームを作ること"に焦点をあて、その全ての試みがweb上で公開されている。

小沢康夫

プロデューサー、日本パフォーマンス/アート研究所代表。2003年、企画制作会社プリコグ設立。2008年に代表を退き、後進に譲る。同年、日本パフォーマンス/アート研究所を設立。コンテンポラリーダンス、現代美術、現代演劇、メディアアート、音楽など既存のジャンルにこだわることなく、独自の観点でプロデュースする。最近の主な活動として『NJP SUMMER FESTIVAL 21ROOMS』(韓国ナム・ジュン・パイク アートセンター)、『LAFORET SOUND MUSEUM 2011』(ラフォーレミュージアム原宿)、『HARAJUKU PERFORMANCE +×DOMMUNE 』(ラフォーレミュージアム原宿)など。

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