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GOMAインタビュー 失った過去と、歩み始めた新しい人生

GOMAインタビュー 失った過去と、歩み始めた新しい人生

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中慎一郎
2013/01/18
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伝えようと思っても伝わらないことってあると思うんですけど、情熱とか想いっていうのは、ちゃんと伝わるんだなって。

―では、今後のもの作りについてお伺いすると、まず音楽活動に関しては、現状をどのように捉えていらっしゃいますか?

GOMA:音楽に関していうと、事故の前にできてたことがまだ全然できてないんです。とにかく頭で覚えることが難しいので、その代わりに体の記憶を使えるようになってきて、ライブのペースも少しずつ上げていけそうかなって。

―「体の記憶」というのは、どういうものなんでしょうか?

GOMA

GOMA:例えば日本人って、お箸を渡されたら、パッと正しい持ち方で握れますよね。何回も繰り返しやってることって、脳で思考するより先に体が覚えているんです。だから僕は今、前だったら2、3回繰り返せば覚えられたであろうフレーズを、日々何百回って繰り返して、体に覚えさせるんです。

―それって、想像を絶する練習量が必要になりますね。

GOMA:とにかく体に覚えさせて、「もうここまで来たら1ステージできるやろう」ってところまで自分を高めて、それでステージに出る。だからステージに上がって自分が何をやっているのか、正直まだよくわかってないんです。ただ体が反応する、体が音を出してくれてるって感じなんですよね。

―先日(2012年11月)は映画の公開記念のライブもありましたが、そのときも今おっしゃっていただいたような状態でライブをやっていたわけですか?

GOMA:そうですね。ステージに上がるまではすごい緊張しますけど、終わった後の達成感は半端ないです(笑)。「できたー!」みたいな、爽快な気分になります。

高根順次
高根順次

―相当な不安と戦いながら、ステージに上がってるんですね……。

高根順次(『フラッシュバックメモリーズ3D』プロデューサー):僕は今GOMAさんの日記をお預かりして読ませてもらってるんですけど、あの公開記念ライブの日記にGOMAさんは「新しい曲がまだできない。これからどうやって作っていけばいいんだろう……」って書いていて。


―既存の曲を憶えてライブをやり切った達成感よりも、記憶の問題で新しい曲を作れない不安感が勝っていたんですね。映画の中でも日記の引用が出てきますが、すごく重みがありました。

高根:ものすごくいろんな悩みや葛藤が克明に書かれてて、おおげさじゃなく、人の人生の厚みがそこにあって、それを背負った作品なんだって再確認させられました。この映画を見て、ライブを見れば、「GOMAさん元気になってきたんだな」って受け取る人も多いと思うんですけど、実際は今もものすごい不安と戦ってるんだなっていうのを、日記を読んで改めて感じて。

『フラッシュバックメモリーズ3D』 ©2012 SPACE SHOWER NETWORKS INC.
『フラッシュバックメモリーズ3D』 ©2012 SPACE SHOWER NETWORKS INC.

GOMA:誰かに見せるために日記を書いてたわけじゃないから、何かを伝えようと思って書いたわけでもなく、何気ない日々の想いを書いていたものなんです。でも、映画を見て感動してくれた人がメッセージをくれたり、高根さんも僕が書いたものから何かを感じてくれた。「伝える」っていうのと、「伝わる」って違うんだなって、最近思うんですよね。伝えようと思っても伝わらないことって結構あると思うんですけど、情熱とか想いっていうのは、ちゃんと伝わるんだなって。

―はい、今日話をしながらもそれを痛感してます。

GOMA:いまだに朝起きて、「今日は体動くかな」ってところから始まって、相変わらず日々もがいてるような感じですけど、ちょっとだけ勇気を出して、それを外側に開いていくことを自分が選んで、そうしたら、自分が想像もしてなかったみんなの想いが僕にも伝わってきたんです。そういう想いって、絶対に伝わるんですよね。

見た後に「明日からまた頑張ろう」って思ってもらえるような、気持ちを後押しできるような、そういう広がり方をしてくれたら本望ですね。

―今後のもの作りということで、絵に関しても聞かせてください。やはり音楽同様、頭で考えるのではなく、今も体が動くに任せて描いている状態なのでしょうか?

GOMA:そうですね。頭に浮かんでくる画像を描いていく、残していく感じです。描かないと、脳が騒がしくなってくるんですよ。脳損傷すると、傷ついた部分がショートしたみたいな感じになるんですけど、そのざわつきを鎮めるために、僕の場合は絵を描くことが良かったみたいなんです。

―以前の作品は点描画でしたが、タッチが変わってきたりしているのでしょうか?

GOMA:ずいぶん変わってきてます。初期のものってすごく抽象的で、何を描いてるのかいまだによくわからないものが結構あるんですけど、最近は自分の何らかの感覚に引っかかって出てきた画像を描いてるので、見えてるものを見えたように描く、だからだいぶ具体的になってきました。

GOMAによるアート作品
GOMAによるアート作品

―それって、神経が少しずつつながってきていることの表れなんでしょうね。

GOMA:そうだと思います。シナプスが生きてる細胞同士をつなげていく、その過程が絵の中でも見れるっていう感じがしますね。自分の脳がどういう形で育っていくのかはまだ全然未知数ですけど、最近は自分の脳がどう回復していって、その過程でどんな世界観が自分の中に見えてくるのか、それを楽しもうと思っていて。その都度自分が表現することさえ忘れなければ、十数年経ったときに面白い作品群になって、自分の進化が見えると思うんですね。前のCINRAのインタビューで自分がどう感じて、どう言ったのかはわからないですけど、それを読み返して、また今回のを読むと、自分の心の変化や進化が見れるでしょうしね。

―映画に関しても、また10年後に見たら新たな発見があるでしょうね。

GOMA:やっぱり映像ってすごいなと思って。自分は音とか写真で記録をしてきたけど、何より記憶にダイレクトに作用してくるのは映像で、視覚的に飛び込んでくるものは、すごい威力を発揮するんですよね。映像が発するメッセージとか、想いのパワーって、この先何年経ってもずっと消えないと思うんです。

―これから映画が公開されて、ますます多くの人に想いが伝わっていくでしょうね。

GOMA:国境とか世代とか関係なく、何か体感できる映画だと思います。観た人が「俺もまた明日から頑張ろう」ってなるような、そういう映画になればいいなっていうのは、監督と最初から話してたんです。「この気持ちをわかって欲しい」とか、最初は思ってたのかもしれないけど、最近は「わかってくれ」なんて全然思わなくて、ただただ「これは現実で、いつ誰に起こるかもわからんことなんやで」って、それだけわかって欲しくて。自分の気持ちなんてわかって欲しくないというか、こんな事故に誰一人あって欲しくない。だから、観た後に「明日からまた頑張ろう」って思ってもらえるような、気持ちを後押しできるような、そういう広がり方をしてくれたら本望ですね。

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イベント情報

『フラッシュバックメモリーズ3D』

2013年1月19日より全国順次3D上映
監督:松江哲明
出演:GOMA & The Jungle Rhythm Section
配給:SPOTTED PRODUCTIONS

松江哲明監督、GOMAが登壇する舞台挨拶が決定

1月19日(土)新宿 (1)18:30〜の回上映終了後 (2)20:50〜の回上映開始前
1月20日(日)梅田19:00〜の回上映終了後
1月21日(月)京都19:00〜の回上映終了後
1月22日(月)名古屋18:35の回を予定
1月24日(木)横浜19:00〜の回上映終了後
1月25日(金)博多19:00〜の回上映終了後
1月26日(土)博多19:00〜の回上映終了後(GOMAのみ)
1月27日(日)広島19:00〜の回上映終了後

フラッシュバックメモリーズ公開記念
GOMA個展 記憶展第三章『ひかり』

2013年3月9日(土)〜3月20日(水・祝)
会場:東京都 恵比寿KATA(恵比寿リキッドルーム2F)

2013年4月27日(土)〜5月6日(月・祝)
会場:大阪府 大阪PINE BROOKLYN

フラッシュバックメモリーズ公開記念 ワンマンLIVE
『2nd Life』

2013年4月5日(金)
会場:大阪府 大阪シャングリラ
出演:GOMA&The Jungle Rhythm Section

2013年4月7日(日)
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:GOMA&The Jungle Rhythm Section

プロフィール

GOMA

1973年生まれ。大阪府出身。ディジュリドゥアーティスト、画家。単身で渡豪した、オーストラリアで数々のコンペティションに参加し入賞。 98年アボリジニーの聖地アーネムランドにて開催された「バルンガディジュリドゥコンペティション」では準優勝し、ノンアボリジニープレイヤー として初受賞という快挙を果たす。国内外の大型フェスにも多数参加し、自身の10周年の活動をまとめた映像制作をしていた09年交通事故に遭い高次脳機能障害の症状が後遺しMTBI(軽度外傷性脳損傷)と診断され活動を休止。その後も懸命にリハビリを続け再起不能と言われた事故から苦難を乗り越え2011年6月に静岡で行われた野外フェスティバル「頂」にてシークレットゲスト出演をし、FUJIROCK FESTIVAL’11にて伝説のライブを行い、奇跡の復活を成し遂げた。

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