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チェルフィッチュ『地面と床』鼎談 岡田利規×小泉篤宏×橋本裕介

チェルフィッチュ『地面と床』鼎談 岡田利規×小泉篤宏×橋本裕介

インタビュー・テキスト
前田愛実
撮影:三野新

今回は役者さんにそのまま音を通すようなイメージだったり、圧をかける感じだったり、いろんな関係をとりながら音をつけました。(小泉)

小泉:今回は音楽を役者さんに向けて作っていたんですけど、決定的な違いは感じられました?

―役者さんに向けて作るというのは?

小泉篤宏

小泉:前作は芝居全体に対して音楽をつけていたんですが、今回はもっと狭いところにフォーカスしたんです。役者さんにインスパイアされてオーダーメイドの衣装を作るような感じですね。だから作り方は変わりませんが、やっていることは全然違います。前作では物語に対して、照明や舞台美術のような役割のイメージで音楽を作っていたのですが、今回は役者さんにそのまま音を通すようなイメージだったり、圧をかける感じだったり、いろんな関係をとりながら音をつけました。

―ダンスや舞踏に近いイメージでしょうか?

小泉:いえ、音と身体の関係までは、あえて踏み込みませんでした。舞踏のように音と身体の関係をガチで作り上げる方法もありますが、身体に関して僕は素人なんで、そこはやめておこうとはっきり意識してました。

岡田:結局、それで良かったと思います。最終的には録音物を使って上演するのに、役者の身体性を意識した音楽になると、生演奏でやったほうが良くなってしまうので。

―録音物を流すのか、それとも生演奏するのか、それはやはり大きな違いなんですね。

岡田:4月に神奈川芸術劇場で公開リハーサルを行なったとき、サンガツが生演奏してくれたんです。そしたら、演奏に合わせてパフォーマンスするってとてつもなく楽しいから、ものすごく盛り上がって「本当に生演奏じゃなくていいのか?」って考えたんです。でも、その時点で小泉さんは「これは録音のほうがいい」と言ってました。

チェルフィッチュ『地面と床』(『クンステン・フェスティバル・デザール』初演風景) photo: Kamel Moussa
チェルフィッチュ『地面と床』(『クンステン・フェスティバル・デザール』初演風景) photo: Kamel Moussa

小泉:リハーサルの映像を見ていて、意外とバンドがしょうもないことやってるのに、それなりに見えてしまっているところがあるなと思いまして。

岡田:ライブの盛り上がりじゃなくて、クオリティーをクールに見てたんですね。僕も今は、生演奏じゃ無理だって思ってます(笑)。

小泉:そこは精度の問題ですね。今作では音量やタイミングをものすごく細かく調整したんですが、録音物のほうが精度は高められますから。

奥:岡田利規、手前:小泉篤宏

岡田:小泉さんはブリュッセルの初演まで来てくれて、ほぼ丸一日かけて音量を調整してくれました。1デシベル下げる下げないの世界で、そのレベルの調整は僕らだとできないので本当に良かった。ただ、劇場が変わると心配です。今作は世界9都市の劇場による共同製作なんですけど、そのたびに小泉さんに来てもらうわけにはいかないので……。

小泉:できる限りは行きたいと思っていますけれどね。作品にとってすごい重要な要素だと思うので。

岡田:ブリュッセルでのワールドプレミアが開けたあと、チェルフィッチュとのコラボはもう3年はできないと言ってましたよね(笑)。小泉さんはここ数年ものすごい数の演劇やダンスを見てるんですが、その成果を出しきったんじゃないですか?

小泉:自信作です(笑)。

岡田:劇場で音を聴けば分かります。音だけじゃなくて芝居もちゃんと見てほしいですけど(笑)。今作のためにアルバム2枚分くらいの音楽を作ってもらったし、僕も3年分くらいやったと満足していますから、あと3年はサンガツとやらなくてもいいです(笑)。

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イベント情報

チェルフィッチュ
『地面と床』

作・演出:岡田利規
出演:
山縣太一
矢沢誠
佐々木幸子
安藤真理
青柳いづみ
音楽:サンガツ
美術:二村周作
ドラマツゥルグ:セバスチャン・ブロイ
衣装:池田木綿子(Luna Luz)
解剖学レクチャー:楠美奈生

京都公演
『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2013』

2013年9月28日(土)、9月29日(日)全3公演
会場:京都府 京都府立府民ホール アルティ
料金:
前売 一般3,500円 ユース・学生3,000円 シニア3,000円 高校生以下1,000円
当日 一般4,000円 ユース・学生3,500円 シニア3,500円 高校生以下1,000円

『ポスト・パフォーマンス・トーク』
2013年9月29日(日)の公演終演後
ゲスト:建畠晢(京都市立芸術大学学長)

横浜公演
2013年12月14日(土)〜12月23日(月・祝)
会場:神奈川県 横浜 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2013』

2013年9月28日(土)〜10月27日(日)
会場:京都府(以下同)
京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学内)、元・立誠小学校、京都府立府民ホール アルティ、Gallery PARC、京都市役所前広場 ほか

上演作品:
[公式プログラム]
チェルフィッチュ『地面と床』
マルセロ・エヴェリン/デモリションInc.『突然どこもかしこも黒山の人だかりとなる』
庭劇団ペニノ『大きなトランクの中の箱』
木ノ下歌舞伎『木ノ下歌舞伎ミュージアム“SAMBASO”〜バババッとわかる三番叟〜』
She She Pop『シュプラーデン(引き出し)』
Baobab『家庭的 1.2.3』
池田亮司『superposition』
ロラ・アリアス『憂鬱とデモ』
ビリー・カウィー『“Art of Movement” and “Dark Rain”』
高嶺格『ジャパン・シンドローム〜ベルリン編』

プロフィール

岡田利規(おかだ としき)

1973年 横浜生まれ。演劇作家、小説家、チェルフィッチュ主宰。活動は従来の演劇の概念を覆すとみなされ国内外で注目される。2005年『三月の5日間』で第49回岸田戯曲賞を受賞。同年7月『クーラー』で『TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2005―次代を担う振付家の発掘―』最終選考会に出場。07年デビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』を新潮社より発表し、翌年第2回大江健三郎賞受賞。小説家としても高い注目を集める。12年より、岸田國士戯曲賞の審査員を務める。13年には初の演劇論集『遡行―変形していくための演劇論』を河出書房新社より刊行。

小泉篤宏(こいずみ あつひろ)

1973年東京生まれ。サンガツでは、これまでに4枚のアルバムを発表。近年は、音を使った工作 / 音を使った組体操のような楽曲に取り組んでいる。また、最新プロジェクト「Catch & Throw」では、「曲ではなく、曲を作るためのプラットフォームを作ること」に焦点をあて、その全ての試みがweb上で公開されている。

橋本裕介(はしもと ゆうすけ)

舞台芸術プロデューサー。合同会社橋本裕介事務所代表。京都大学在学中の1997年より演劇活動を開始。2003年、橋本制作事務所設立。現代演劇、コンテンポラリーダンスのカンパニー制作業務や、京都芸術センター事業「演劇計画」などの企画・制作を手がける。2010年より『KYOTO EXPERIMENT』を企画、プログラム・ディレクターを務める。

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