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contact Gonzoは貸切のサッカースタジアムで何をしでかすのか

contact Gonzoは貸切のサッカースタジアムで何をしでかすのか

インタビュー・テキスト
竹内厚
撮影:佐々木鋼平
2014/10/01

contact Gonzoといえば、コンテンポラリーダンスと現代アートの領域を越境する、複数の男性メンバーが殴り合うかのようなパフォーマンスが代名詞。MoMA(ニューヨーク近代美術館)にも招聘されたその作風は、そこだけ取り上げれば、とてもシンプルな行為だが、彼らの面白さは決して安定したポジションに留まることなく、新作発表のたびに必ず不確定要素を放りこんでくるところ。オチの見えない挑戦に、きっちり全身でかたをつけて前進し続けている。

今秋、京都から世界に向けて実験的なパフォーミングアーツ公演を揃えた『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭2014』に、満を持して、contact Gonzoが初登場する。アナウンスされたのは、西京極スタジアムでの公演。京都サンガF.C.のホームでもある、巨大な陸上競技場兼球技場だ。前代未聞ともいえる1日限定スタジアム公演にどんな企みが隠されているのか? contact Gonzoが事務所を構える大阪下町の長屋を訪ねて、塚原悠也と三ヶ尻敬悟に話を聞いた。

FCバルセロナの「カンプ・ノウ」スタジアムでは、1点が入ると10万人が熱狂するわけです。ダンスでもそんな状況が可能なのか? とずっと考えていました。(塚原)

―contact Gonzoは、コンテンポラリーダンスと現代アートの領域を越境しながら奔放に活動しているわけですが、そのどちらのジャンルで考えてみても、今回のスタジアムという場所での作品発表はかなりの冒険ですよね。

塚原:そうですね。西京極スタジアムで上演できることが決まってから、何度も京都サンガF.C.の試合を観に行っていますけど、客席に座るたびに「グラウンドが遠いなぁ」と(苦笑)。サッカー専用スタジアムじゃなくて、陸上トラックもあるので余計に遠い。これは、向こうの方でごそごそ動いてるだけでは、観客には何も伝わらないだろうなと思ってます。ヤバいですよ(笑)。

西京極スタジアム(総合運動公園陸上競技場兼球技場)photo:Takuya Matsumi
西京極スタジアム(総合運動公園陸上競技場兼球技場)photo:Takuya Matsumi

―先にスタジアムでやることを決めてから、作品内容を具体的に詰めていったわけですね。ハラハラします(笑)。でも、そもそもどうしてスタジアム公演なんでしょう?

塚原:たとえば、FCバルセロナが拠点にしている「カンプ・ノウ」スタジアムは、収容人数が約10万人なんです。僕はもともと小学、中学、高校とサッカーをやっていたので、ずっと観に行ってみたくて。けど、もし一番上の席だったら、何がどこまで見えるんだろう? って、行く前から悩んでいた。でも、そこで1点が入ると、その10万人がものすごく熱狂するわけですよね。それは一体、何を観ているのかな? ということ。そして、ダンスでもそんな状況が可能なのか? というのは、ずっと考えていたことではあります。

―今回の『KYOTO EXPERIMENT 2014』で、スタジアム公演を持ちかけたのは、contact Gonzoからだったんですか?

塚原:そうです。一番最初の打ち合わせで、プログラムディレクターの橋本(裕介)さんに相談しました。僕らもこの話を持ちかけるなら、まだ予算とかいろんなことが固まってない今しかないと思って、「西京極スタジアムでやりたいんですけど……まだ中身はまったく用意できてなくて」って。contact Gonzoは、これまで京都のいろんな場所でやっていて、面白い場所はたくさんあるけど、だいたいが4m×4m程度の狭い場所だったんですね。そこでふと、『KYOTO EXPERIMENT』のような大きなフェスティバルに参加するんだったら、僕らの知ってる京都的なスケールじゃないところでやってみたいし、自分たちの中でもリスクがあることを試してみたいと考えたんです。

左から:三ヶ尻敬悟、塚原悠也
左から:三ヶ尻敬悟、塚原悠也

―『KYOTO EXPERIMENT』への信頼感も感じられる話ですね。でも、コンテンポラリーダンス / 現代アートのスタジアム公演を引き受けるなんて、運営側も太っ腹というか、向こう見ずというか(笑)。

塚原:『KYOTO EXPERIMENT』は、初年度(2010年)からずっと観ていますし、微妙に関わってたんですよね。初年度はクロージングイベントでcontact Gonzoのメンバーがラップを披露していますし、一昨年は、公式プログラムアーティストのチョイ・カファイのパフォーマンスに参加したり、舞台監督のアシスタントとして、ヘッドバンギングする人たちの横で照明のケーブルを守ってたり(笑)。やっぱりこれだけの規模のフェスが関西で成立するというのがまず驚きでした。毎回、積極的に地元のアーティストを登用しているのも、きっと地元のアーティストが育たないとフェスをやる意味がないってこともあるのでしょう。そういう意味では、すごく意志のはっきりしたフェスだという印象があります。

―今回の大規模な挑戦に対して、ずばりどこに突破口を見出していますか?

塚原:1つは「音」ですね。身体がぶつかり合った音や息づかいが耳元で聴こえると、細かなところまで見えなくてもかなり想像できるだろうと。2年前にやった作品『Abstract Life《世界の仕組み / 肉体の条件》』で、音だけの作品を音響家の西川文章さんと作りましたけど、その経験はかなり活きてくるんじゃないかな。

『Abstract Life《世界の仕組み / 肉体の条件》』© contact Gonzo
『Abstract Life《世界の仕組み / 肉体の条件》』© contact Gonzo

―『Abstract Life』は、舞台上に多チャンネルのスピーカーが置かれて、事前に録音されたパフォーマーがぶつかり合ったりする音だけを、真っ暗闇の中で観客に爆音で聴かせるという作品でした。あれも、舞台公演なのに1人のパフォーマーも登場しないという点では、かつてない挑戦。

塚原:『Abstract Life』は、AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)で3年連続、無茶な実験をやらせてもらった『Take a chance』という企画の2年目に作ったものですが、僕らによく好きにやらせてくれたなと。そういう経験を途切れさせずに、同じ関西で自由に実験をやって、なおかつ成功させていく必要が僕らにはあると思います。だからこそ、AI・HALLでやってきた以上のリスクを、『KYOTO EXPERIMENT』では最初から突破したほうがいいんじゃないかと考えて、スタジアムです(笑)。

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イベント情報

contact Gonzo
『xapaxnannan(ザパックス・ナンナン):私たちの未来のスポーツ』

2014年10月15日(水)19:00~
会場:京都府 西京極スタジアム(西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場)
演奏:にせんねんもんだい
料金:
一般 前売2,500円 当日3,000円
ユース(25歳以下)・学生 前売2,000円 当日2,500円
シニア(65歳以上) 前売2,000円 当日2,500円
高校生以下 前売1,000円 当日1,000円
ペア 前売4,000円

『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2014』

2014年9月27日(土)~10月19日(日)
会場:京都府 京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学内)、元・立誠小学校、京都府立府民ホール“アルティ”、西京極スタジアム(京都市総合運動公園陸上競技場兼球技場)、Gallery PARCほか
上演作品:
[公式プログラム]
ティナ・サッター/ハーフ・ストラドル『House of Dance』
高嶺格『ジャパン・シンドローム~step3.“球の外側”』
村川拓也『エヴェレットゴーストラインズ』
ルイス・ガレー『マネリエス』『メンタルアクティヴィティ』
She She Pop『春の祭典――She She Pop とその母親たちによる』
木ノ下歌舞伎『三人吉三』
contact Gonzo『xapaxnannan:私たちの未来のスポーツ』
悪魔のしるし『わが父、ジャコメッティ』
フランソワ・シェニョー&セシリア・ベンゴレア『TWERK』
地点『光のない。』
金氏徹平『四角い液体、メタリックなメモリー』

プロフィール

contact Gonzo(こんたくと ごんぞ)

contact Gonzoとは、殴り合ったり山の斜面を落ちたりする過程で一時的に言葉を忘れたりすることを美徳とする集団 / 方法論の名称。現メンバーは塚原悠也、三ヶ尻敬悟、松見拓也、小林正和の4人。パフォーマンス中のインスタントカメラを使った撮影、ほぼサウンドデータのみで行為を劇場で表現した『Abstract Life《世界の仕組み / 肉体の条件》』などメディアに対する独自の手法でも評価される。2013年セゾン文化財団セゾンフェロー助成に採択。

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