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思考のスイッチがONになる、イスの概念を覆した20脚の教え

思考のスイッチがONになる、イスの概念を覆した20脚の教え

インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:永峰拓也

他の人よりも5分でも10分でも長く考えてみると、アイデアが出てくるんです。(稲田)

―たくさんのアイデアに溢れた『スワリの森』ですが、お二人は普段どんなことを考えて仕事をしてらっしゃるんでしょうか。

稲田:今は大学で教えているんですけど、学生ってすぐ「そんなの無理です。できないです」って言うんですよ。でも「20代の君たちに無理なことなんてない!」って思うんです。僕は39才で小学校の図工の教員を辞めて、もう一度アーティストの道に進みました。まわりからはたくさんご心配をいただきましたけど(笑)。でも、自分が教えていた子どもたちを見ていて、自分は何をやっているんだろうと考えてしまったんですよ。6歳で小学校に入学してくる子が、たった6年間でたくさんの知識を得て、走るのも速くなって、ピアノも弾けるようになって、卒業していく。それに比べて自分はなんて進歩がないんだ、と。

稲田大祐

―子どもの成長には驚かされますよね。

稲田:そう。それで海外で美術を学びなおし、新しい体験をたくさんして、それなりに成長できたと思うんです。だから気持ちがあれば無理なことなんてないんですよ。われわれ大人だってすぐに「できません」って言いがちですよね。突然ですけど、僕はトランペットが趣味なんですよ。

―いきなりですね(笑)。

稲田:トランペットでは腹式呼吸を教わるんですが……ちょっと息をめいっぱい吸ってもらえますか?

―はい……(フーーー)。

稲田:そこが限界ですね? じゃあ、そこからちょっと吸ってみてください。

―……(ヒュッ!)。

稲田:吸えましたね? つまりそこなんですよ!

―ええっ!?

稲田:「もう限界だ」ってみんな言うんですが、実はそこからもう一口吸えるんですよ。たったそれだけのことだけど、0.1秒の差で必ず少し前に出ることができる。それが、あきらめないってことなんです。アイデアがなかなか思い浮かばなくて、一旦別の仕事について考えることもありますよ。でもそこで絶対に手放さない。他の人よりも5分でも10分でも長く考えてみると、アイデアが出てくるんです。

迷子になっている技術……と言ったらヘンかもしれないですけど、人と接することに慣れてない科学や技術って、実はものすごくたくさんあって。(古屋)

古屋:稲田先生のおっしゃる通りだなと思いますね。私もできないことはないと思っています。私の場合は、二次元的な世界というか、もしこうだったらいいのにな、という想像の世界やファンタジーの世界が好きで、いつもそれをどうやって実現できるかを考えているんですね。例えば空に魚が浮いていたらどうだろう? 電車の窓が全部空になっていたらどうだろう? とか。だから、絵を描く、映像にする、というのは現実にかたちにするための一つの手段で、その発展型が今回のように空間を使った表現なんです。そこで必要なものが、私にとっては科学なんです。

古屋遙

稲田:なるほどね。

古屋:科学を理解しておけば、人が想像するものってけっこうかたちにできると思っているんです。だからさっき稲田さんがおっしゃっていた「できないことはない」「もうちょっと息を吸ってみよう」ということを、私の場合は科学と技術を勉強することでやっているのかもしれません。

―古屋さんのテクノロジー系の仕事は、そういう環境から生まれたものなんですね。

古屋:逆に、技術的な研究者の目線からすると、「これはできる=I can」のcanの部分ははっきりしているんですね。でも、それを使って「何をやるか?」という具体的なところまで想像できていない素晴らしい技術というのがすごくいっぱいあるんですよ。研究者の人たちと話していて「これ、何に使えますかね?」という相談を受けることがここ数年とても増えたんです。迷子になっている技術……と言ったらヘンかもしれないですけど、人と接することに慣れてない科学や技術って、実はものすごくたくさんあって。

稲田:「迷子になっている技術」。いい言葉ですね。

古屋:迷子の技術と、私の想像の世界が出会ったときに、いろんなきっかけが生まれたらいいなと思うんです。ひょっとすると、私は科学や技術の翻訳家みたいな仕事をしているのかもしれません。

―古屋さんの過去のお仕事でPEACH JOHNの「BRA LAB」ってあるじゃないですか。「史上最高の着心地の良さ」というキャッチフレーズのブラがあって、柔らかさを計測する機械を使って実証的に検証していく。プリンやパンなどいろんなものと比較していって、最後に「マシュマロと同じでした!」と言われたときに「おおなるほど!」と思いました。


稲田:『スワリの森』もそういうことですよね。科学の側が「こんなことできないかな?」って投げたものを、古屋さんやアーティストがもっと面白く導いてくれる。デザインの力があってこそ、伝わるものになるんです。

古屋:それこそまさにデザイン×サイエンス。掛け合わせるってことですよね。

左から:古屋遙、稲田大祐

―稲田先生、さっき古屋さんが言った「迷子になっている技術」ってメモ書きされてましたよね(笑)。

稲田:うん。面白い言葉だと思って。これからいろんな場所で引用しますよ(笑)。もちろん「古屋さんが言ってたんだけどね」と註釈つきで!

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イベント情報

『Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2014』

2014年10月17日(金)~11月3日(月・祝)
会場:東京都 六本木 東京ミッドタウン各所

プロフィール

稲田大祐(いなだ だいすけ)

NPO法人ガリレオ工房会員。相模女子大学 学芸学部 子ども教育学科 准教授。 科学工作のエキスパートとして、子ども向けの科学教室の講師や本の執筆を行う。稻田醍伊祐の名で、石版画、インスタレーションアートなど造形作家としても活躍。来年3月22日から神田 木ノ葉画廊で「トレタテハンガ」と題し、簡易木平版画作品による個展開催予定。

古屋遙(ふるや はるか)

1986年東京生まれ。ドイツ、イギリスで演劇(空間、映像、音楽、ダンス)の総合演出を経て、広告業界へ。制作会社で、映像等の演出を始め、空間・映像・テクノロジーを組み合わせた企画演出を行い、ファッションショーの演出や、新しい店頭ディスプレイのあり方など、「体験」や「文化創造」に重きを置いた仕掛け・仕組みを作る。2014年7月に独立。フリーランスの演出家としてさまざまな創作活動に携わる。

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