インタビュー

音楽界の頂点ってどんな心境? サム・スミス×クワタユウキ対談

音楽界の頂点ってどんな心境? サム・スミス×クワタユウキ対談

インタビュー・テキスト
武田砂鉄
撮影:相良博昭

怖いと思う気持ちはちゃんと向きあえば武器にもなる。(サム)

今回の『グラミー賞』で、プリンスは唐突に「アルバムって覚えてる?」とスピーチした。音楽配信が主流となり、楽曲単位で音楽が容易く摂取される風潮を痛烈に皮肉ってみせたのだ。サム・スミスはつい最近まで、女性ボーカリストの作品しか聴いてこなかったという。母からの影響だ。母が息子にじっくりと音楽を与えたからこそ、サム・スミスの作品はデビュー作にして熟成された1枚に仕上がったのだろう。彼に対して使われる「新人らしからぬ」という枕詞を打破できる音楽の素養が、じっくりと植え付けられていたのだ。

クワタ:ライブで歌うことが楽しくなったのは1年前くらいからだと聞いたのですが、なぜそれまでは楽しくなかったのでしょう?

サム:以前は、ライブよりスタジオにこもって、音楽が出来上がっていく過程を味わう方が好きだったんだ。大勢の人の前に立つのはなんだか怖かった。でも、音楽を携えて様々な国を旅するようになって、人前でライブをすることの素晴らしさにようやく気づいたんだ。皆と繋がって、皆を直に感じることができるからね。

クワタ:とはいえ、ライブをすることへの怖さはまだありますか?

サム:うん、もちろんライブは今でも怖い。ライブ前は、呼吸を整えて、その恐怖と向き合うんだ。怖いと思う気持ちはちゃんと向き合えば武器にもなるからね。緊張感はライブを成功させる重要な要素でもある。

サム・スミス

クワタ:歌詞の中では、自分の体験を赤裸々にぶつけていますよね。自分をさらけ出すのは怖くないですか?

サム:いや、全く怖くない。確かに、ときに身を削ぎすぎていると思うことや、「自分の中だけに留めておくほうがいいのかな」と感じることもある。でも、ファンのみんなが自分の作品を通して何かを感じてくれたとき、僕は自分自身をとてもパワフルに感じることができるんだ。

クワタ:それにしても、あなたのファルセットは素晴らしいですよね。『グラミー賞』の会場でライブを観て感動しました。それは天然モノですか?

サム:もちろん(笑)。自然に出ている声だよ。ファルセットを維持するためのトレーニングは今でも欠かさずしているけどね。


クワタ:エイミー・ワインハウス、マライア・キャリー、チャカ・カーンといった女性シンガーから影響を受けてきたそうですが、女性シンガーから具体的にどのようなエッセンスを吸収してきましたか?

サム:彼女たちの声やパワーのみにインスピレーションを受けてきたわけではなくて、むしろ、いつも完璧すぎない「不確実さ」にとても魅了されてきた。声ひとつをとっても、完璧でないことがある。そういった、かざらない、正直な自分を投影できたとき、音楽は理屈ではなくなるんだよね。そして、理屈ではないものに聴く人の心は動かされる。

クワタ:女性シンガーを聴かれるのは、母親の影響だそうですね。ご両親はどんな方なんですか?

サム:僕の両親は素晴らしい人たちだ。叡智があり、頭がよく、子どもたちの「なりたい自分になれると信じる力」を育ててくれた。こうして世界的に名前が知られるようになって最も嬉しいのは、家族を海外に連れ出してあげられることなんだよね。家族には、これからもいろんな体験をたくさんプレゼントしたい。

素晴らしい芸術家たちは、モノに命を吹き込むんだ。(サム)

クワタ:ミュージシャン以外で尊敬してる人はいますか?

サム:まず、アンドリュー・ヘイという映像監督。彼は『Looking』というゲイがモチーフになっているテレビドラマシリーズも作っている。写真家だと、ライアン・マッギンレー(アメリカ出身、若くして成功をおさめた写真家。Sigur Rosのジャケット写真等も撮影している)は特に素晴らしいと思う。あとは、アレクサンダー・マックイーン(イギリスのファッションデザイナー。Lady GaGa、ビョーク等の衣裳も手掛けた)。彼の仕事の深さが好きなんだ。一着一着の洋服は、幻想的で非現実的でも、その中には人間らしさや生々しさがちゃんと息づいている。素晴らしい芸術家たちは、モノに命を吹き込むんだ。

クワタ:あなたが音楽という芸術を通して伝えたい事は何ですか?

クワタユウキ
クワタユウキ

サム:聴いてくれる人の感性を揺さぶりたい。だからダイアリーのように日々をドキュメントで綴り、音楽に乗せて運んでいるんだ。

クワタ:音楽以外の趣味はありますか?

サム:食べること、スキー、ファッション誌を集めること……あとは、花を見るのも好きだよ。イギリスには素晴らしい庭園がたくさんあるから、そういう所によく行くんだ。あとはコーヒーにも目がないから、世界のおいしいコーヒー屋さん巡りも好き。

クワタ:じゃあ、将来の夢はコーヒーショップを開くとか?(笑)

サム:そうだね(笑)。花とコーヒーがあるショップをやってみたいかも! コーヒーを楽しみながらお花を選べるお店なんていいよね。東京、ニューヨーク、ロンドンで、そんなお店を持てたらいいな。

クワタ:楽しみにしています(笑)。最後に、あなたにとって「いい音楽」とはなんですか?

サム:そうだなあ……みんなが口ずさめて、それでいて深みがある曲かな。そういう曲を作り続けていけたらと思っているよ。

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イベント情報

READ ALOUD
『臨場感空間論 TOUR 2015』

2015年5月20日(水)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET
出演:
READ ALOUD
ユビキタス
the adonis

2015年5月22日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
出演:
READ ALOUD
チリヌルヲワカ
GIMMICK_SCULT

2015年5月29日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 eggman
出演:
READ ALOUD
She Her Her Hers

料金:各公演 前売2,500円(ドリンク別)

リリース情報

READ ALOUD『アカンサス』(CD)
READ ALOUD
『アカンサス』(CD)

2014年11月5日(水)発売
価格:1,650円(税込)
CCCL-3

1. タイムトラベラー
2. 君の声を思い出す
3. 風が吹くから
4. 月と太陽
5. BGK
6. 朝

番組情報

『Good To Go!』

毎週土曜24:00からInterFMにて放送

リリース情報

Sam Smith『In The Lonely Hour』日本盤(CD)
Sam Smith
『In The Lonely Hour』日本盤(CD)

2015年1月21日(水)発売
価格:2,376円(税込)
UICC-10015

1. Money On My Mind
2. Good Thing
3. Stay With Me
4. Leave Your Lover
5. I'm Not The Only One
6. I've Told You Now
7. Like I Can
8. Life Support
9. Not In That Way
10. Lay Me Down
11. Restart
12. Latch(acoustic version)
13. La La La(Naughty Boy feat. Sam Smith)
14. Make It To Me
15. Reminds Me Of You
16. Stay With Me feat. Mary J. Blige (darkchild version)
17. In The Lonely Hour (acoustic version)
18. Nirvana
19. Safe With Me
20. Together (Sam Smith x Nile Rodgers x Disclosure x Jimmy Napes)

プロフィール

Sam Smith(さむ すみす)

イギリス出身のシンガーソングライター、現在22歳。ディスクロージャー、ノーティ・ボーイらのヒットシングルにフィーチャーされ、本国にて一躍脚光を浴びる。2013年12月、アデルらも受賞した、イギリスレコード協会主催のイギリス最大の音楽賞『BRIT Awards』で批評家賞を受賞。2014年1月には、BBCの「2014年の声」部門にて1位獲得。同年5月に発売したデビューアルバム『In The Lonely Hour』は、全英アルバムチャート5週1位、全米アルバムチャート初登場2位と、世界中で異例の大ヒットを遂げ、遂に世界売上600万枚を突破!第57回グラミー賞には、主要4部門を含む全6部門の最多ノミネートをされていたが、主要3部門を含む計4部門を受賞し、一躍サム祭りとなった。

READ ALOUD(りーど あらうど)

自分の心に浮かんだ感情や言葉を素直に音読する(READ ALOUD=読み上げる。朗読する。)というコンセプトのもとクワタユウキ(Vo,Gt)を中心に結成。2012年夏より、現メンバーでの本格的なライブ活動をスタートさせる。逞しいボーカルと、アイリッシュやサンバ等様々なリズム要素を取り入れたビートで確実にその注目度を上げている実力派バンド。2014年11月5日に、3rdミニアルバム『アカンサス』をリリース。InterFM『Good To Go!』(毎週土曜24:00~)でDJを務める。

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