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スプツニ子!×宇川直宏 2010年代のアートってどんなもの?

スプツニ子!×宇川直宏 2010年代のアートってどんなもの?

テキスト・展示撮影
佐々木鋼平

2015年は「現代アート」をテーマにプログラムを展開する金沢21世紀美術館で、『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』展が開催されている。選ばれた作家は、金氏徹平、宇川直宏、束芋、スプツニ子!、八木良太といった、21世紀以降の日本現代アートシーンで頭角を表してきた面々。

そこで今回、展覧会関連プログラムとして行なわれた、宇川直宏とスプツニ子!のトークをCINRA.NET特別編集版としてお送りする。同展にも展示中の、日本の現代アーティスト100人のインタビュー映像をアーカイブする宇川直宏のプロジェクト『THE 100 JAPANESE CONTEMPORARY ARTISTS』。その一環として、宇川が聞き手となり実施されたスプツニ子!へのインタビューは、年の差17歳でありながら、新しい時代を担うアーティストとしてのラディカルな視野にあふれた、非常に刺激的なものとなった。

※本記事は、『THE 100 JAPANESE CONTEMPORARY ARTISTS』のアーカイブとして公開収録されたインタビューを、再編集したものです。

僕は1980年代末から活動しているのですが、2010年代のアーティストとして紹介されていることに、まったく違和感がない。(宇川)

宇川:僕らは今回、金沢21世紀美術館『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』展の参加アーティストとして招聘されていて、つまり今世紀、2000年代以降の作家として認定されたことにもなりますが、スプちゃんって、表現活動を始めたのが5年前くらい?

スプ子:2007年くらいからロンドンでライブはしていましたけど、美術館に展示され始めたのは2010年とか。

左から:スプツニ子!、宇川直宏
左から:スプツニ子!、宇川直宏

宇川:キャリアとしても、紛れもなく今世紀のアーティストということになりますね。そして、DOMMUNEを開局したのも2010年。つまり僕らは、2000年代のアーティストでもなく、ずばりテン年代(2010年代)のアーティストなんですよ。しかも僕とスプちゃんの年齢差が、僕は1968年生まれで、スプちゃんは……。

スプ子:1985年。

宇川:17歳の年齢差があるにもかかわらず、同時代のアーティストとして評価されている事実にまったく違和感がない。だから、最近乱視で老眼まで入ってきて、γ-GTPの数値も極端に上がっている老体の僕としては、すごく意義のある展覧会だとも思っていて(笑)。僕自身は1980年代末から活動しているのですが、テン年代のアーティストとして紹介してもらっていること自体、下半身はED気味だけど、表現に関してはまだまだ精力に溢れているぞという立証にもなっている。

スプ子:あはは。いやいやいや(笑)。

『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』 宇川直宏『DJ JOHN CAGE & WORLDWIDE DJS』展示風景
『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』 宇川直宏『DJ JOHN CAGE & WORLDWIDE DJS』展示風景

『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』 宇川直宏『THE 100 JAPANESE CONTEMPORARY ARTISTS』展示風景
『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』 宇川直宏『THE 100 JAPANESE CONTEMPORARY ARTISTS』展示風景

宇川:なぜ、このような話をするのかというと、スプちゃんのアーティストデビュー前、2010年の4月に、開局1か月を迎えたDOMMUNEはスプツニ子!の2時間番組やっているんですよね。

スプ子:そう、まだ1度も学校の外で展示したことがない大学院生の頃。本当にどのメディアにも一切出てなかった。

宇川:この先見の明! ここは強く言っておきたかった。つまり僕らの関係性は、すでに5年前から始まっていたということ。上妻世海(こうずま せかい)くんというキュレーターが、『世界制作のプロトタイプ』という、インターネット時代のビジュアルコミュニケーションをテーマにした展覧会をやっていて、梅ラボくんや、HouxoQueくんや、Nukemeくんと一緒に、偶然なのか必然なのか、僕はそこでも一人だけ40代で参加しているのね(笑)。その展覧会では「リレーショナル(関係性)とコンティンジェンシー(偶有性)」をコンセプトにしている。そして今展のサブタイトルの「ポスト工業化社会」も「インターネット社会」とも読み解けるし、さらに広い視野で現代を捕らえようと試みている。それらの視点から見ても、スプツニ子!や、DOMMUNEは、テン年代を象徴するアーティストの1サンプルだろう、と。僕たちは、今展のキュレーターの方々から、「コンテンポラリー(同時代)」を構築する為のマテリアルとして選ばれたわけですが、他にも同時代を生きる魑魅魍魎なアーティストがたくさん参加していて、まさに「現代」を突き付けられるような展覧会になっていると思います。

スプ子:めちゃくちゃ良い展覧会ですよね。小金沢健人さんの展示のインパクトもすごかった。イスラム国の動画をテーマに扱っている作品なんですけど、たしかにイスラム国の映像がニュースで流れたとき、リアルなことが起きているはずなのに、スペクタクルなフィクションみたいにYouTubeで物語が展開していて、リアルなのかフェイクなのかわからない感じがあった。ネタバレになるから、あまり詳細は言えないんですけど。

『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』 小金沢健人『他人の靴』展示風景

『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』 小金沢健人『他人の靴』展示風景
『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』 小金沢健人『他人の靴』展示風景

宇川:凄まじいですよね。テレビで扱われていたあの映像自体が題材になっていますが、民放テレビでは確実にこの作品を紹介することはできないと思います。あと束芋さんの映像作家としての貫禄にもヤラれましたし、ビデオカメラと身体の問題を錯乱させる泉太郎さんの高純度なナンセンスワールドには、未知なる高揚感を得ました。本当にまったく意味がわからない(笑)。300人で木のコスプレをやってみたっていう作品ですが、これは体験してください。発狂していますから(笑)。あの感性がやっぱり2010年代なんでしょうか。

スプ子:うん(笑)。

『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』 泉太郎『無題候補(虹の影が見えない)』展示風景 写真提供:金沢21世紀美術館
『われらの時代:ポスト工業化社会の美術』 泉太郎『無題候補(虹の影が見えない)』展示風景 写真提供:金沢21世紀美術館

宇川:そして、今展のキーワードとなっているのが、「関係性」「日常」「メディア」「ヴァナキュラー」という4つのワード。平たく言えば、「つながり」と「現在」と「SNS」と「民衆と土着の問題」を扱っているということでしょうか。この4つのキーワードを各作品に当てはめてみても、キュレーターの方々の審美眼が浮かび上がって面白いですね。

スプ子:たしかに、いろんな側面からDOMMUNEもスプ子もリンクしている展覧会だと思います。

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イベント情報

『ザ・コンテンポラリー1 われらの時代:ポスト工業化社会の美術』展

2015年4月25日(土)~8月30日(日)
会場:石川県 金沢21世紀美術館 展示室7-14、長期インスタレーションルーム、デザインギャラリー、プロジェクト工房、ほか
時間:10:00~18:00(金、土曜は20:00まで)
出品作家:
大久保あり
金氏徹平
宇川直宏
小金沢健人
泉太郎
三瀬夏之介
束芋
スプツニ子!
八木良太
アルマ望遠鏡プロジェクト
休場日:月曜(7月20日、8月17日は開場)、7月21日
料金:一般1,000円 大学生800円 小中高生400円 65歳以上800円
※長期インスタレーションルームでの展示は5月26日~9月6日、デザインギャラリーでの展示は5月26日~11月15日

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プロフィール

宇川直宏(うかわ なおひろ)

1968年香川県生まれ。映像作家 / グラフィックデザイナー / VJ / 文筆家 / 京都造形芸術大学教授 / そして「現在美術家」……幅広く極めて多岐に渡る活動を行う全方位的アーティスト。既成のファインアートと大衆文化の枠組みを抹消し、現在の日本にあって最も自由な表現活動を行っている自称「MEDIA THERAPIST」。2010年3月に突如個人で立ち上げたライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」は、開局と同時に記録的なビューアー数をたたき出し、国内外で話題を呼び続ける「文化庁メディア芸術祭推薦作品」。今年は『アルスエレクトロニカ』サウンドアート部門の審査委員も担当。

スプツニ子!(すぷつにこ)

1985年東京生まれ。2007年よりカラスと交信するロボットや女性の生理を疑似体験するマシン、ハイヒール付き月面ローバーなど、テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を批評する映像、音楽、写真、パフォーマンス作品を発表している。2013年よりマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ助教。近著に『はみだす力』。主な展覧会に『Talk to Me』(ニューヨーク近代美術館、2011年)、『東京 アートミーティング うさぎスマッシュ』(東京都現代美術館、2013年)など。

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