
業界の在り方に抗う、Aureoleが提示するダンスロックの一歩先
- インタビュー・テキスト
- 金子厚武
- 撮影:田中一人
「内から外へ」という変化は、意味と響きを両方兼ね備えることを意識し、「実は曲作りの中で一番時間がかかる」という歌詞の面にも影響を及ぼしている。
森:これまでは架空の世界の出来事を歌っていたけど、今回は「愛」について歌った曲(“I”)から始まっているように、現実の中での人とのつながりがテーマになっています。いろんな人とつながって、それが血管のようにドクドクと脈打って、増殖していくような、そんなイメージかな。
最初に書いたように、森はあくまで自分がいちミュージシャンであることを重要視し、「精神に溶け込む音楽」を希求しながら、Aureoleとしての活動を続けてきた。しかし、kilk recordsの主宰として、多くの他者と関わり、その中で刺激と摩擦を数多く経験することで、その意識が少しずつ変化していき、より肉体的な音楽との出会いを経て、今再びAureoleを再起動させたのだと言えよう。そしてそれは「癒す」から「鼓舞する」というベクトルの違いこそあれ、「精神に作用する音楽」という意味では、これまでのAureoleとも決して変わりはないはずだ。7月2日にはアルバムを引っ提げて、バンドにとって過去最大規模となる代官山UNITでのワンマンが控えている。
森:一晩明けて、「またあのバンドに会いたい」って思わせるぐらいのライブがやりたいですね。レーベルをやってると、ライブを観に行くのが仕事になっちゃってしんどいときもあるんです。でも、「もっと聴きたい」「もっとライブを観たい」という思いが音楽にはまった原点だし、それは大事にしたいなと改めて思います。今って、CDが売れなくなって「ライブの時代だ」ってよく言われてますけど、音楽が二の次になってる、見せかけだけのバンドが多いと思うんですよ。手法とかジャンル自体がアウトプットになってしまっているバンドが多いけど、手法は手法として面白いことをやりつつも、明確な大義のようなものを感じられるかどうかが大事かもしれない。
―では、Aureoleとしての大義とは?
森:音楽を心から愛する真のミュージシャンでありたいということですかね。Aureoleを好きになってくれた人が、「Aureoleを好きでよかった」って胸を張って言える音楽を発信し続けるバンドでありたいです。そのためには、音楽的な深み、独創性、クオリティーを維持し続けないといけなくて、「現在の音楽シーンの常識を疑え」ということもすごく大事。「こういうふうにすればうけがいいから、それをやる」っていうのは絶対にダメで、常に前を行って、「こういうのが聴きたかったんだよ、Aureoleありがとう」って言ってもらえるバンドになりたいですね。
リリース情報

- Aureole
『Spinal Reflex』(CD) -
2015年6月10日(水)発売
価格:2,376円(税込)
KLK-20451. I
2. Core
3. Closetsong
4. The House Of Wafers
5. Pearl
6. Hercules
7. Edit
8. Inner Plane
9. Brighten
10. In Light
11. Ghostly Me
12. Last Step
イベント情報
- Aureole
『"Spinal Reflex" Release Party』 -
2015年7月2日(木)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:東京都 代官山 UNIT
出演:Aureole
料金:前売2,800円 当日3,300円(共にドリンク別)
プロフィール
- Aureole(おーりおーる)
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2007年結成。森大地(Vo,Gt,Prog)、岡崎竜太(B)、中村敬治(Gt)、中澤卓巳(Dr)、saiko(Syn,Flute)、佐藤香(Vibs,Glocken)の6人組バンド。ポストロック、エレクトロ、クラシカル、ミニマル、プログレ、サイケ、民族音楽、ダブステップなどを通過した奥深いサウンドと「歌モノ」としての側面、この二つの要素が違和感なく融合したサウンドが特徴。2009年にNature Blissよりデビューアルバム『Nostaldom』をリリース。青木裕(downy,unkie)をゲストに迎えたこの作品は、各方面から多くの支持を得た。2010年にはVoの森大地が主宰するレーベル、kilk recordsより2ndアルバム『Imaginary Truth』を発表。2012年には3rdアルバム『Reincanation』をリリース。2014年11月には2 年ぶりとなるフリーの配信限定シングル『Ghostly Me/TheHouseOfWafers』をリリース。一晩で1000以上のダウンロード数を獲得する。2015年3月、ライブアレンジでリテイクしたベストアルバム『Awake』をタワーレコード渋谷店限定でリリース。タワーレコード渋谷店をジャックした、前代未聞のハッシュタグを活用したO2O施策「Hashtag Awake」が大きな反響を呼び、発売からわずか1週間で200枚の売り上げを記録。タワーレコード渋谷店のウィークリーインディーズチャートの2位にランクインした。同年6月には4thアルバム『Spinal Reflex』をリリース。7月には代官山UNITでのワンマンライブも決定している。