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仕込みiPhoneの森翔太が教える、ウケる「ネット動画」の作り方

仕込みiPhoneの森翔太が教える、ウケる「ネット動画」の作り方

インタビュー・テキスト
土佐有明
撮影:豊島望

2014年秋、作家・演出家の鴻上尚史、映画監督の行定勲らが審査員として名を連ねる演劇動画のコンペ『クォータースターコンテスト』に衝撃が走った。グランプリを受賞したのは、スマホアプリ「LINE」のグループチャット画面だけで演劇動画を成立させた、週刊パラドックス『会話劇2014』。カメラ1台、編集なし、12分から15分の動画作品であれば、何をやってもOKというコンペのルールを逆手に取って、見事グランプリに輝いた同作品について、審査員を務めた鴻上は「1つの表現パターンを作った革命的な作品」と評し、行定は「映像作品のコンテストに出しても評価され得る」と、映画監督ならではの評価で推した。

そもそも「演劇動画」って何なんだ……? という疑問もあるかと思うが、そんな演劇動画コンペ『クォータースターコンテスト』が今年で4回目を迎え、10月30日まで応募作品を受け付けている。そこで、俳優として演劇界にも親しみが深く、「仕込みiPhone」などの動画で人気を集めている森翔太に、演劇およびネット動画の新たな可能性を示唆する同コンテストについて話を聞いた。彼の考える「演劇動画」の魅力、そしてネット時代にウケる動画の条件とは一体?

ネット動画は、ふと見かけた主婦の人が「なにこれ面白い!」ってコメントしてくれたりするのが面白くて。それは演劇ではあり得ないことで、結構感動しました。

―動画だけでなく、もともとは演劇の分野でも活躍されてきた森さんですが、悪魔のしるし『禁煙の害について』(2010年)が本格的な俳優デビュー作ですよね。出演に至った経緯は?

:地元の大学を卒業したあと商社に就職したんですけど長続きしなくて、ニートのまま東京に出てきたんです。そしたら大学の先輩から「今、舞台の制作会社にいるんだけど手伝ってくれない?」って連絡が来て、アルバイトすることになったんですよ。で、そこの方が、悪魔のしるしっていう劇団が出演者を募集しているのを教えてくれて。応募条件が「経験不問」だったので、これはハードル低いぞって応募したら出ることになって。ミュージシャンとか、演劇に関係ない人もたくさん出演していた作品で、すごく楽しかったです。

森翔太
森翔太

―悪魔のしるしは、当時から作り方が独特だったそうですね。

:ストーリーのある演劇作品を作るんですけど、主宰の危口さんがひどい人で、「セリフを話して場が持たなくなったら、フリートークでつなげて」って言うんですよ。台本もざっくりとした構成しかなくて、細かいところは俳優各自でやってくれと。「演劇ってなにしてもいいんだ……!」って衝撃を受けたんですけど、もちろん大変さもありました。稽古もフリートークで話を作るんです……といっても、最初は雑談してるだけなんですよ。で、その中から面白かった部分を各自覚えておいて、本番で話す。だから必然的に、稽古にたくさん参加した俳優の出番が多くなるんですよ。忙しい俳優はほとんど出番なしで、僕はすごく暇だったので出番が多くなって、ありがたくもメインどころの役になっていたんです(笑)。

―悪魔のしるしだから俳優をやれた、という部分も大きい?

:そうですね。何回か出演しているうちに、オレ俳優として結構イケるかも? と、外の世界へオーディションを受けに行ったんです。宮沢章夫さん主宰の「遊園地再生事業団」と、「劇団、本谷有希子」と、劇団「サンプル」を受けたんですけど、全部落ちたんですよ。自分で言うのもアレなんですけど、いいところまでは行くんです。でも落ちてしまう。もっと小さな劇団も受けろよって話なんですけど、その頃は自信満々だったんでしょうね。で、俳優だけだとキツいな……って気付き始めたそのタイミングで「仕込みiPhone」を撮り始めたんです。

仕込みiPhone
仕込みiPhone

―なぜそこで、仕込みiPhoneだったんですか?

:高校生のときにベースのアイデアを思い付いてから、ずっとやりたかったんですけど、自主企画のイベントで試したらすごくウケたんですよ。で、これなら映像でやっても面白いかなと思って、面白い動画を募集していたメディアアーティストの友人に送ったら、それが「Gizmodo Japan」(テック系のウェブメディア)で紹介されて、1日200回もなかったYouTube視聴回数が、急に2万回とかいくようになったんです。すごく嬉しかったけど、「何こいつ?」みたいなコメントもたくさん付いたので、同じくらい怖かったですね。

―そこで一躍、時の人に。

:でも、そのときに気付いたんですけど、当時、僕が関わっていた演劇だと1回の上演で観てもらえるお客さんの数って、だいたい50から100人くらいだったんですよ。でも動画だといきなり1万人とかに届くこともあるんですよね。しかも、映画とか演劇に興味のない人からも意見が来るのが面白くて。ふと見かけた主婦の人が「なにこれ面白い!」ってコメントしてくれたり。

―演劇と違って、ネット動画は通りすがりの人も見ていきますよね。

:そうなんですよ。偶然見たという人が結構いるわけで、それは演劇ではあり得ないことなので、結構感動しましたね。

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詳細情報

『第4回クォータースターコンテスト』

応募期間:2015年8月3日(月)~10月30日(金)
審査員:
鴻上尚史
野宮真貴
行定勲
柏井万作
※グランプリには副賞として賞金30万円を授与

プロフィール

森翔太(もり しょうた)

映像監督 / 俳優。1983年生まれ。YouTuberになれなかった男。映画『タクシードライバー』にインスパイアされて制作したガジェット「仕込みiPhone」の動画が、YouTubeにて通算約400万再生、国内外のテレビメディアで取り上げられた。『第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品』選出、『Ars Electronica 2014入賞』。『映像作家100人』『Youtubeで成功する"極意”』などの書籍掲載。近作に、サントリー"C.C.Lemon"「仕込み筋肉3号機」、NISSAN"リーフ"「充電ラブストーリー(エレキングバンド&篠崎愛)」Clorets"スッキリコミュニケーション学"などの監督。全編自画撮りの映像、ディレクションを含めたドラマ的な演出映像が特徴。

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