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大沢伸一が語る仕事論「プロであることにこだわる時代ではない」

大沢伸一が語る仕事論「プロであることにこだわる時代ではない」

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2015/09/30

あなたは現在の大沢伸一に対してどんな印象を持っているだろうか? 1990年代から2000年代において、MONDO GROSSO、ソロアーティストとして活躍したほか、bird、UA、Charaといったディーヴァたちのプロデュースで一時代を築いたことは、多くの人が知るところだろう。一方近年はというと、アーティスト活動やプロデュース、DJの他に、数多くの大企業のCM音楽を手掛けたり、アナログレコードに特化したMUSIC BARをプロデュースしたり、ダンスミュージックに新たな概念をもたらす『SOFA DISCO』というイベントをオーガナイズしたりと、実に多角的な活動を展開中。はたして、大沢は今の時代とどのように向き合い、こうした活動へとシフトしていったのか? 現在の音楽家のあり方のひとつの提案として、ぜひ彼の現在地を知っていただきたい。

この10年ぐらい、日本の音楽シーンは不毛時代に入ってたと思うんですよ。

―2000年代までの大沢さんは、アーティスト活動、プロデュース、DJといった活動がメインだったように思うのですが、近年はCM音楽を手掛けたり、空間プロデュースをされたりと、活動がより多角的になってきた印象を受けます。これには何らかの意識の変化が関係しているのでしょうか?

大沢:意識的に何かを変えたというよりは、前から興味を持っていたことをやるチャンスがたまたま来たという方が大きいですね。例えば、MUSIC BARでいうと、小林武史さんと縁があって、「やってみようか」ってなったわけですし。ただ、いろんなことをやらないと、アーティスト活動が成り立たない時代になってきたという側面もあると思います。ソリッドに自分のやりたいことだけをやって生きていける世の中ではなくなってきた。そういう意味で、この10年ぐらい、日本の音楽シーンは不毛時代に入ってたと思うんですよ。

―「不毛時代」というのは?

大沢:世界中では面白いことがポコポコ起きてたと思うんですけど、日本に限って言うと、「どういうものだったら買ってもらえるのか?」とマーケットから逆算して作られたものが、目に見えて増えたように感じるんです。でも、それだと文化、芸術としての音楽は衰退してしまいます。それをどこかで変えたいという気持ちがあったので、僕は自分の作品と生活のための仕事を分けて考えるようにしました。そこを一緒くたにして、「これなら受けるだろうし、自分の作品としてもギリギリオッケー」というもので勝負しようなんて僕は思わないんです。

大沢伸一
大沢伸一

―アーティストとしての自分の作品と、例えばCM音楽などは、きっぱり分けて考えていると。

大沢:CM音楽を頼まれて、それが僕の引き出しでやれることであれば要望に応えてやりますけど、それは僕の個人的な作品とは別。その代わり、自分の作品は売れようが売れまいが自分の作りたいものを作る。ただ、そうしていると、依頼される音楽作りが増えて、自分が作りたい音楽がなかなか進まなかったりもするんですけど。CM音楽制作も好きなので頼まれると受けてしまうんです(笑)。

―もちろん、これまでも大沢さんは「自分が作りたいものを作る」という姿勢を貫いてこられたと思いますが、業界の変化などもあって、今はそこをよりはっきりさせる必要が出てきたとも言えそうですね。

大沢:1990年代後半は、ホントにかっこいい音楽がちゃんと売れる夢のような時代で、このまま行ったら日本は世界の中でもものすごい音楽のレベルが高い国になるんじゃないかと思っていました。僕がbirdのプロデュースをしてた頃(1999~2001年)は、素晴らしいアーティストが周りにもいっぱいいましたしね。でも、今はそうだと僕には思えない。アンダーグラウンドにはかっこいい音楽があると思うんですけど、たくさんの人に認められることはなくなってしまっている。それは悲しいことで、何とかしたい想いはありますね。

―それは、作品の質という面だけでなく、売り方に対しても思うところがあるということでしょか?

大沢:そうですね。今って、インターネットが浸透して、ものすごい魂のこもったクオリティーの高いものとそうでもないものが並列にデータとして扱われるようになったじゃないですか? 僕はそこを並列に扱うんじゃなくて、単価が変わってもいいと思うんです。みんなが好むよう、親切に作られたものが1曲100円だったら、魂のこもった、芸術性がものすごく高いものは、1曲1,000円とかで売れるようになってもいいと思います。だって、ピカソの絵と無名の画家が描いた絵の値段が同じだったらおかしいじゃないですか? もしくは、もし一般の人が音楽にお金を払わないんだとしたら、志のある感度の高い人や企業にスポンサーになってもらって音楽を作るのもいいと思うんです。昔の音楽家はそうだったんですから。

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リリース情報

大沢伸一『OFF THE ROCKER presents SOFA DISCO 15FW』(2CD)
大沢伸一
『OFF THE ROCKER presents SOFA DISCO 15FW』(2CD)

2015年8月26日(水)発売
価格:2,916円(税込)
AVCD-93165/6

[DISC1]
1. On & On / This Soft Machine
2. Summerville / OFF THE ROCKER
3. The Rhythm (Alpines Remix) / MNEK
4. Right Here, Right Now feat. Kylie Minogue (OFF THE ROCKER SOFA DISCO Remix) / Giorgio Moroder
5. BUSH / OFF THE ROCKER
6. Make Me Wanna Dance / TRACE7000
7. Driven / OFF THE ROCKER
8. Hype / Kazuma Takahashi
9. Beggin For Thread (Friend Within Remix) / BANKS
10. Late At Nite (122 VIP) / Thee Mike B, Oliver Dollar, Matthew K
11. Curious (Shinichi Osawa Remix) / Alison Valentine
12. Switch in My Brain (Mitaka Sound Remix) (SOFA RE-DISCO) / SERi
13. Anywhere / Flash Bug
14. My Chesterfield / Mason
15. Love Crime / Jesus
16. MIAMI (SOFA RE-DISCO) / rubyin
17. Fond Memory / Aurient
[DISC2]
1. Summerville / OFF THE ROCKER
2. Right Here, Right Now feat. Kylie Minogue (OFF THE ROCKER SOFA DISCO Remix) / Giorgio Moroder
3. BUSH / OFF THE ROCKER
4. Make Me Wanna Dance / TRACE7000
5. Driven / OFF THE ROCKER
6. Hype / Kazuma Takahashi
7. Late At Nite (122 VIP) / Thee Mike B, Oliver Dollar, Matthew K
8. Curious (Shinichi Osawa Remix) / Alison Valentine
9. Switch in My Brain (Mitaka Sound Remix) (SOFA RE-DISCO) / SERi
10. Anywhere / Flash Bug
11. My Chesterfield / Mason
12. Love Crime / Jesus
13. MIAMI (SOFA RE-DISCO) / rubyin
14.Fond Memory / Aurient

プロフィール

大沢伸一(おおさわ しんいち)

1993年のデビュー以来、MONDO GROSSO、ソロ活動を通じて、革新的な作品をリリースし続けている音楽家、DJ、プロデューサー。クラブサイトiLOUDのDJ人気投票国内の部3年連続No.1(2009~11年)に輝く。世界中のDJ/クリエイターからのコラボやリミックスのラブコールも多い。近年ではAlex Gopher、M-Machine、Bart B More、Mumbai Scienceなどの楽曲をリミックスした。平行して作曲家、プロデューサーとしても活躍。1990年代はUA、Chara、birdなど数多くのディーヴァを手掛け、近年も安室奈美恵、JUJU、AFTERSHOOLなどにそれぞれの新境地となるようなプロデュース楽曲を提供している。また、トヨタ・オーリスやユニクロなど多数のCM音楽を手掛けるほか、アナログレコードに特化したミュージックバーをプロデュースするなど音楽を主軸として多方面に活躍している。

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