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小林賢太郎が惚れ込む「自由」すぎる天才演出家・村井雄の正体

小林賢太郎が惚れ込む「自由」すぎる天才演出家・村井雄の正体

開幕ペナントレース『ROMEO and TOILET』
インタビュー・テキスト
石本真樹
撮影:壺久

ガタイのいい男たちが汗臭く繰り広げるパフォーマンスで、日本のみならず海外で高い評価を得ている劇団「開幕ペナントレース」をご存知だろうか? 今回、彼らは数多くの若い才能を発掘してきた『世田谷区芸術アワード“飛翔”舞台芸術部門』を受賞し、2月に記念公演をシアタートラムで行なうことになった。

タイトルは『ROMEO and TOILET』。タイトルだけでも明らかになにかがおかしい。主宰の村井雄自ら「友達に説明できない芝居」と言うように、「どんなお芝居なの?」と聞かれても一言では言い表せないのが開幕ペナントレースの作風。しかし、その魅力を公演チラシの短い推薦文でズバリと言い当て、ガイドしている人物がいる。それがラーメンズとして、またコント師、劇作家、パフォーミングアーティストとして、舞台を中心とした活動で知られる小林賢太郎だ。

2009年、夏のニューヨークで出会ったという二人は作品を通じて心を通わせ、取材でも同じような衣装を着てきてしまうほどのシンクロニシティーを発揮。一見かけ離れているかのように思える二人の共通点とは? そして今後の野望もチラリと語ってもらった。

はじめて観たとき、「こんなに無責任でいいんだ!」と、すごく刺激をもらいました。自由の国でアメリカ人より自由でしたから(笑)。(小林)

―お二人の出会いは2009年のニューヨークなんですよね。

小林:ニューヨークに住みながら演劇を観まくっていた時期があるんですが、『ニューヨーク国際フリンジフェスティバル』という小劇場系の演劇祭に「開幕ペナントレース」という日本の劇団が参加しているということで観に行ったんです。そしたらまぁ、ぶっ飛んでいて(笑)。

小林賢太郎
小林賢太郎

―奇しくも今度上演される『ROMEO and TOILET』の初演ですよね。ニューヨークのお客さんはどんな反応だったんですか?

小林:客席の半分の人の頭の上に、わりと太めのフォントで「?マーク」が出ていましたね(笑)。でも、もう半分は大爆笑で、ぼくもそっち側だったのでなんだか嬉しくて。普通、日本人が海外公演となると、少しはその土地のマナーに合わせたりしそうですが、彼らは一切そんな素振りもなくて。「こんなに自由で無責任でいいんだ!」と、すごく刺激をもらいました。自由の国でアメリカ人より自由でしたから(笑)。本当に感動したので上演後、関係者らしき人に「主宰の方にご挨拶したい」と声をかけてロビーで待っていたんです。

村井:でも、少し待たせちゃったんですよね。

小林:怒られると思ってたんでしょ?

村井:作品内容がめちゃくちゃだし、一応日本代表のつもりで行ったので(笑)、現地在住の日本人に怒られると思っていたんです。「小林さんという方がロビーで待っています」と言われて、「本当に怒られるよ……」としぶしぶ行ってみたら賢太郎さんがいて。「ラーメンズの……」と言われた瞬間に「もちろん存じ上げております!」と。まさかニューヨークで僕の公演を観ているとは思いもしませんでしたから。そのあと一緒に飲ませてもらったんですよね。

小林:それ以来の付き合いです。

村井:本当に偶然の出会いでした。いやあ、ツイてましたね(笑)。

開幕ペナントレース『ROMEO and TOILET』 撮影:池村隆司
開幕ペナントレース『ROMEO and TOILET』 撮影:池村隆司

開幕ペナントレース『ROMEO and TOILET』 撮影:池村隆司
開幕ペナントレース『ROMEO and TOILET』 撮影:池村隆司

―村井さんは、なぜニューヨークで公演をしようと思ったんですか?

村井:開幕ペナントレースの旗揚げ公演を観てくれたある人に「すぐに海外に行け」と言われていたんです。ちなみに、なにもわからず26歳で演劇をはじめたぼくに「演出家をやれ」と言ってくれたのもその人で、早い段階から海外は意識していたんです。

―それまでは下北沢の小劇場を中心に活動されていたわけですよね。

村井:はい。でも、ある日ふと思い立って、なにも決まってないし、誰も僕らのことを知らないのに、「あの開幕ペナントレースがニューヨーク公演決定!」というチラシを3万枚刷って折り込みました(笑)。それを見ておもしろがってくれた制作の人と出会って、本当に行く運びになったんです。

村井雄
村井雄

―それは本当にラッキーな出会いでしたね。

村井:そうなんです。ニューヨークの演劇祭との連絡も「エレナという人がいる」くらいの情報だけで何の計画性もなく。現地で知らない外国人に囲まれたときは「終わった……」と思いました(笑)。でも、なんとか片言の英語で、連絡を取っていた人のところに連れていってもらえて……。

小林:よくここまで無事故でやってこられたよね(笑)。多少のトラブルがあったのは知っているけど、ただ運が悪くて起こったことが多いじゃない。

村井:多少のトラブルの詳細は、ちょっとここでは言えないんですけど(笑)。

小林:だから、スッとここまで来たわけでもないというか。いまではこうやって受賞したり、いろんなところから評価してもらったりしているけど、それなりに時代の流れと喧嘩をしながらやってきたんだよね。

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イベント情報

第4回世田谷区芸術アワード“飛翔”舞台芸術部門受賞記念公演
シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.8
開幕ペナントレース
『ROMEO and TOILET』

2016年2月25日(木)~2月28日(日)全6公演
会場:東京都 三軒茶屋 シアタートラム

出演:
高崎拓郎
G.K.Masayuki
岩☆ロック
ささの翔太
竹尾一真
針金信輔
山森大輔

脚本・演出・美術:村井雄
音楽:Tsutchie
舞台監督:岩淵吉能
照明デザイン:沖野隆一
音響:百瀬俊介
映像:ワタナベカズキ
衣装:大野典子
演出助手:松尾祐樹
プロダクションスーパーヴァイザー・英語字幕:青井陽治

料金:一般3,000円 高校生以下1,500円 U24(24歳以下)1,500円
※オールスタンディング

プロフィール

小林賢太郎(こばやし けんたろう)

1973年生まれ。神奈川県出身。1996年に大学の同級生、片桐仁とコントグループ「ラーメンズ」を結成し、脚本・演出・出演のすべてを手がける。2002年、演劇プロジェクト「K.K.P.」、2005年、パントマイム、マジック、イラスト、映像などを駆使して構成されるソロパフォーマンス「Potsunen」を始動。現在は、2月29日まで演劇作品『うるう』の全国ツアー中。福岡の「アルティアム」にて3月13日まで『小林賢太郎がコントや演劇のためにつくった美術展』を開催中。2月18日には『うるう』のもうひとつの物語を描いた絵本『うるうのもり』が講談社より、3月2日はDVD・Blu-ray『小林賢太郎テレビ6・7』がポニーキャニオンより発売される。

村井雄(むらい ゆう)

1978年生まれ。千葉県出身。目黒区職員を経て、2006年に開幕ペナントレースを旗揚げ。以降、全作品の構成・脚本・演出を担当。鋭い戯曲解釈による大胆な作品構成、独自の世界観に基づく美しい空間構成に定評があり、2009年には『ROMEO and TOILET』で初の海外公演を敢行。「The New York Times」などのメディアで劇評が掲載されるなどの成功をおさめた。2015年7月にはアヴィニョン(フランス)、10月にはチュニス(チュニジア共和国)で『1969:A Space Odyssey?Oddity!』を上演。「本物のアーティスティックな体験」(フランス / La Provence紙)と高い評価を受けた。2012年『若手演出家コンクール優秀賞・観客賞』の同時受賞、2013年『利賀演劇人コンクール奨励賞』受賞。

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