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インスタントな表現と時代への警鐘 YJYゆう姫×ショウダユキヒロ

インスタントな表現と時代への警鐘 YJYゆう姫×ショウダユキヒロ

『KAMUY』
インタビュー・テキスト
杉原環樹
撮影:高見知香 編集:山元翔一

「お腹に子を宿すひとりの男性兵士。彼の中に生まれる母性が、彼を苦しめる」――。代官山ヒルサイドプラザにおいて10月29日と30日に公開される『KAMUY』は、そんな衝撃的な物語と最先端のCGで鑑賞者の価値観をゆさぶる、体験型のショートムービーだ。

監督を務めたのは、サカナクションやRADWIMPSのPV、あるいは『blind』『SOCIAL 0.0 LAB』といった啓発的な作品で知られる映像作家のショウダユキヒロ。そして作品内で重要な要素となる音楽は、昨年のデビュー以来、その構築性の高い楽曲が各界の賞賛を浴びてきた、シンガーゆう姫とトラックメイカーJEMAPURによるエレクトロニックミュージックユニット、Young Juvenile Youth。松田優作の娘でもあるゆう姫は、注目俳優・村上虹郎とともに、物語のキーとしても出演している。

偶然の出会いを経て繰り返された、仲間の表現者たちとの会話をベースにしてイチから構想されたという本作。人間と世界の関係をめぐる、挑戦的で思索に満ちた物語の裏側にある思考とは何なのか。本作はさらに、会場に置かれたベッドで観客が横になりながら鑑賞するなど、上映方法にも強いこだわりが貫かれている。そこに託された文化と人の付き合い方に関する彼らの思いとは? ショウダとゆう姫の二人に訊く。

ショウダさんにもJEMAPURにも共通して思ったのは、「この人は私の表現に必要」ということ。(ゆう姫)

―はじめに、お二人の出会いからお聞きできますか?

ゆう姫:ショウダさんのお話はもともと、Young Juvenile Youthを一緒にやっているJEMAPURから聞いていて、なんて素晴らしい映像作家がいるんだと思っていたんです。最初に見たのは『blind』。その後も作品を見させていただいたのですが、映像のスピード感や視点がすごく面白かった。いつかこの人と映像を作りたいと感じていたら、あるバーで偶然お会いできて、一気に意気投合したんです(笑)。

ショウダユキヒロ:お互いに「あー! 知ってる!」ってなったよね(笑)。僕の方も知人のディレクターからYoung Juvenile Youthの“Animation”のミュージックビデオを紹介してもらって、すごくかっこいいと思っていた。実際に会ってみたら、話も盛り上がって、遊ぶようになって。そこから「何かやろう」となるまでは早かったね。

―ゆう姫さんは以前のインタビュー(Young Juvenile Youth、音楽の道を決断するまでの迷い)で、JEMAPURさんにも自分からアプローチしたとおっしゃっていました。人にどんどん飛び込んでいくタイプなんですか?

ゆう姫:いえいえ、そんなことないんです。ものすごくシャイなので(笑)。

ショウダユキヒロ:僕もシャイで……。

―ははは。

ショウダユキヒロ:でも、作品をすでに知っているから、初対面の感じがしなかったんだよね。

左から:ショウダユキヒロ、ゆう姫
左から:ショウダユキヒロ、ゆう姫

ゆう姫:そうですね。それと、ショウダさんにもJEMAPURにも共通して思ったのは、「この人は私の表現に必要」ということ。私が音楽をやるうえではJEMAPURが必要だし、ショウダさんの作品を見たときも「Young Juvenile Youthに必要だ」と感じた。だからグイグイいけたんです。躊躇している場合じゃないし、それを伝えなければと。

ショウダユキヒロ:僕も同じで、映像と音楽がこれまでにない形で相互作用するような作品を作りたいと思っていた。だから、Young Juvenile Youthとは最高の巡り合わせでしたね。

―今回の『KAMUY』はいわゆるPVでもなく、各領域で活躍している表現者がアイデアを出し合って生まれた特殊な作品ですね。どのように構想を進めましたか?

ショウダユキヒロ:普通にPVを作っても面白くないし、僕が撮ったショートムービーに役者として出てもらうだけでも面白くない。とにかくゆう姫と会話することが面白かったので、せっかくなら互いに考えていることを持ち寄って、一緒に作ろうとなりました。昔、Shing02さんと作品を作ったときは、僕のコンセプトが大前提としてあり、そこに僕は映像を、彼は詩を作っていった。今回の場合は、コンセプトも完全にお互いの会話から生まれたものです。

ゆう姫:スタイリストの伏見京子さんや、特殊メイクを行う特殊造形アーティストのJIROさんなど、スタッフ集めも自分たちで行いました。そのうえで、もちろんショウダさんが軸になっていますが、みんなで意見を出し合って構想を固めた。そのプロセスに、けっこう時間がかかりましたね。構想を話し合って撮り始めるまでに3か月くらいかかった。

ショウダユキヒロ:最初は去年の年末に作ろうと思っていたけど、ここまでかかっちゃったね(笑)。

―作品の世界観は、どのような会話から生まれたのでしょうか?

ゆう姫:最初は「人間の進化」について、みんなで話していたんです。たとえば、この世界には染色体の数が一般の人より多い人がいる。ならば、もっと染色体が多い人が生まれたらどうなるのか、それは未来の人間のあり方を考えるうえでも重要なのではと、話が膨らんでいった。そんな中で、女性が生殖機能を失い、男性にそれが宿ったら、そこには新しい価値観が生まれるかもしれない、という今回のアイデアが生まれました。

ゆう姫

―『KAMUY』の物語も、村上虹郎さん演じる男性兵士が、お腹に赤ちゃんを宿すことから始まっていますね。これはたいへん、ショッキングな設定だと思いました。

ショウダユキヒロ:過去のいろんな破壊や争いの源には、男性の攻撃性があったと思うんです。でも、もし男性に生命を生み出すという身体的機能や母性があれば、何かが変わるかもしれないと考えたのがこの設定の出発点ですね。

それと、猿と犬の赤ちゃんのつがいを檻に入れると、犬は子どもを作ることができるけれど、猿の方は作り方がわからないという遺伝子に関する話題も、大きなインスピレーションになっています。僕らは、子孫の残し方は本能として遺伝子に組み込まれていると思い込んでいますよね。

―そうですね。

ショウダユキヒロ:でもじつは、社会を生きる中で、それを学んでいるのだという説があるんです。これが正しいなら、人の周囲にあるものは一見そうとは思われないものもすべて人を形成する情報だと思うんです。そんなふうに、「目には見えないけれど、じつは影響を与え合っている」世界の姿を、今回は試行錯誤して見せたいと思いました。

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作品情報

『KAMUY』

2016年10月29日(土)、10月30(日)に代官山ヒルサイドプラザCで上映
監督:ショウダユキヒロ
主題歌:Young Juvenile Youth“A Way Out”
音楽:JEMAPUR(Young Juvenile Youth)、小野雄紀
出演:
村上虹郎
ゆう姫(Young Juvenile Youth)
配給:NION

リリース情報

Young Juvenile Youth『Youth / A Way Out』
Young Juvenile Youth
『Youth / A Way Out』

2016年10月28日(金)からiTunes Storeで配信リリース
価格:750円(税込)

1. Youth
2. A Way Out
3. Youth(Tropical Cold Flip)

Young Juvenile Youth『Youth / A Way Out』数量限定
Young Juvenile Youth
『Youth / A Way Out』数量限定(カセットテープ)

U/M/A/A Storeで予約受付中
価格:1,620円(税込)

[SIDE-A]
1. Youth
2. A Way Out
3. Youth (Tropical Cold Flip)
4. A Way Out (Deconstruct Dub)
[SIDE-B]
5. Hive (Stretch)
※オリジナルDropcard(DLカード)付き

プロフィール

ゆう姫
ゆう姫(ゆうき)

Young Juvenile Youthのボーカルとして電子音楽家のJEMAPURとともに2012年に活動を開始。15年にはiTunesが世界中のニューカマーの中から厳選する「NEW ARTIST スポットライト」に選出された。同年リリースされたミニ・アルバム「Animation」は、iTunesエレクトロニック・チャートにおいて最高7週1位を獲得。Taicoclub、朝霧JAM、EMAF TOKYOなどへ出演や、2016年初頭にはMETAFIVEのオープニングアクトをつとめるなど、精力的にライブ活動も行っている。

ショウダユキヒロ
ショウダユキヒロ

1980年生まれ。大阪市出身。サカナクションやRADWIMPS、androp等のMVや、CM、ショートフィルム、ドキュメンタリー等ジャンルに縛られず活動中。特に2011年発表の『blind』「SOCIAL 0.0 LAB」や翌12年のTOWER RECORDS「LIVE LIVEFULL!」等で話題を集める。近年ではTOYOTAのワールドCP「Get Going」や国内外のディレクター達で制作プロダクションNION(ナイオン)をたちあげるなど、海外展開も広げている。

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