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ビョークと世界を周ったcobaが語る、変と笑われた楽器への執念

ビョークと世界を周ったcobaが語る、変と笑われた楽器への執念

coba『coba?』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:高見知香 編集:山元翔一
2017/01/18

これまでに30枚以上のソロアルバムをリリースし、国内外で広く活躍するアコーディオニスト・coba。「アコーディオンのイメージを変えること」、そして「誰も聴いたことのない音楽を作り出すこと」をモットーに、彼は四半世紀のあいだ走り続けてきた。アコーディオニストであると同時に、コンポーザー、アレンジャー、そしてプロデューサーでもある彼の原点には、果たしてどんな思いや体験があったのだろうか。

アコーディオンとの出会いから世界コンクールでの優勝、そしてビョークとの出会いなど、さまざまなことを振り返ってもらいながら、cobaが見据える現在、そして未来について、大いに語ってもらった。

1音鳴らしてみた瞬間に度肝を抜かれました。たぶん僕はそのとき、アコーディオンに一目惚れしたんだと思います。

―最新アルバム『coba?』のテーマは、原点回帰とのことなので、改めてcobaさんのルーツと足跡を振り返っていきたいと思います。まず、そもそもなぜ、cobaさんはアコーディオンという楽器を選んだのでしょう?

coba:うちの父がアコーディオンを好きだったんです。父の時代は『巴里の屋根の下』(1930年、ルネ・クレール監督)というフランス映画の影響で、若者のあいだにアコーディオンブームみたいなものがあったらしく。当時、西洋文化に対する憧れの象徴の1つとして、アコーディオンは世間に認識されていたようです。で、そんな父が、僕が小学校4年生の誕生日に、アコーディオンをプレゼントしてくれて……有無を言わさず、これをやりなさいと。

coba
coba

―それがきっかけで、アコーディオンを弾くようになったのですか?

coba:いや、それから半年間、一切ケースを開くこともなく(笑)。

―どうして半年間ケースを開けることすらしなかったんですかね?

coba:どこか反抗していたんでしょうね。こんなものが欲しかったんじゃないって(笑)。ただ、あるときクラスの担任からお声がかかる。僕は、3歳からピアノと音感教育(音楽の学習に必要な、リズム、メロディー、ハーモニーなどの感覚を養う教育)を始め、小学校に上がるころにはプチミュージカルを作曲して、クラスで上演してしまうような少年だったんですよね。まあ、どの学校にも1人はいる音楽少年みたいな役どころで、音楽の行事があると、ピアノを伴奏したり、指揮者をやったりしていました。

その担任から、校庭での朝礼時にコーラスの発表をやりたい。ただピアノやオルガンを運び出すのは大変だし伴奏をどうしたものか、と相談を受けて。そのときに、ふと、半年前に父からもらったアコーディオンが頭をよぎったわけです。

―そこで初めてアコーディオンに触れることになったと。初めて弾いてみたときの感想はどんなものだったのでしょうか。

coba:それまで慣れ親しんでいたピアノは指先の10点でしか楽器に触れないけれど、アコーディオンはべったりと上半身をくっつけて、あたかも大切な人を抱きしめるように構えるわけです。なので、ピアノやオルガンとは違って身体に直接ビーッと音が響くんですね。1音鳴らしてみた瞬間に度肝を抜かれました。たぶん僕はそのとき、アコーディオンに一目惚れしたんだと思います。

coba

―なるほど。

coba:しかしながら、その発表会の結果は残酷なもので。僕がアコーディオンを持って登場したら、クラスのみんなが笑うんですよ。「何だあれー、変なのー」って。そのときに、この楽器のソーシャルイメージがいかに悪いかということを、子どもながらに体感するわけです。それで、僕の中に、「いつの日かこの楽器のイメージを変えてやろう」という目標設定が生まれたんです。

「どういう音楽を聴いてきたら、こういう音楽になるわけ?」って。それこそ、ビョークにも聞かれました。

―小学校4年生のときに立てた目標に、今でも向き合い続けているんですよね。

coba:まあ、とはいっても当時は子どもですから、そんなことはすぐに忘れて、中学高校時代は、当時流行っていたプログレッシブロックにどっぷりハマっていましたけど(笑)。高校のときは文化祭で、一人でYesの『危機』(原題:『Close To The Edge』 / 1972年リリース)というアルバムの完全コピーをアコーディオン1台でやったりもしました。でも、キーボードでプログレのコピーバンドを3つぐらいかけ持ちしてやっていたのでそっちが忙しくて。でも当時は、将来音楽家になろうなんて、一度も思ったことがなかったんですよ。

coba

―音楽少年だったという小学生のころから音楽家への道を志しているものだと思っていましたが、そうではなかった。

coba:まあ、普通に大学にでも行ってサラリーマンになるんだろうなと、漠然と思っていたというか。でも、高校の進路指導が始まって将来のことを考え始めたとき、自分は父のように会社組織の一員としての人生を送りたいわけではないと気づいたんです。「じゃあ、何をやりたいんだろう?」と真剣に考えている中で、ふと部屋の片隅あったアコーディオンに気づく。

自分をさらけ出せる、自分が一番素直になれる瞬間は、アコーディオンを弾いているときなんじゃないかと思ったんです。そして、子どものころ、この楽器のイメージを変えてやろうと誓ったことを思い出す。そのときに、自分はもしかしたら、音楽家になって、アコーディオンという楽器と共に生涯を過ごすのかなと思い始めたわけです。

―しかし、一旦プログレを経由してから、再びアコーディオンに戻ってくるというのは、なかなかユニークですよね。

coba:まあ、妙ですよね(笑)。のちに世界中のアコーディオン弾きと出会うことになるのですが、やっぱりすごく驚かれましたから。「どういう音楽を聴いてきたら、こういう音楽になるわけ?」って。それこそ、ビョークにも聞かれました。そういうときに僕は必ず、「文化は旅をするほど成熟するんだよ」と言うことにしています。

2013年リリースの『coba pure accordion』収録

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リリース情報

coba『coba?』
coba
『coba?』(CD)

2016年12月21日(水)発売
価格:3,240円(税込)
COCB-54196

1. Great Britain
2. Purpose ballad
3. She loves you
4. スウェーデンの森
5. 華麗なるお伽噺~花市場へのオマージュ~
6. Your eyes~君のまなざし~
7. 昭和キネマラヴ
8. Moon Gigue
9. Wicked Apple
10. Portafoglio
11. 再会
12. Back to the Birth

イベント情報

『coba tour 2017 25周年記念』

2017年1月12日(木)
会場:愛知県 ウインクあいち

2017年1月15日(日)
会場:新潟県 新潟市音楽文化会館

2017年1月21日(土)
会場:東京都 日本橋三井ホール

2017年2月8日(水)
会場:大阪府 BIG CAT

2017年2月10日(金)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2017年2月11日(土・祝)
会場:山口県 Jazz Club BILLIE

2017年2月17日(金)
会場:高知県 高知市文化プラザかるぽーと 小ホール

2017年2月18日(土)
会場:香川県 高松オリーブホール

2017年2月19日(日)
会場:愛媛県 松山WstudioRED

2017年3月18日(土)
会場:宮崎県 宮崎WEATHER KING

2017年3月19日(日)
会場:鹿児島県 鹿児島CAPARVO Hall

2017年3月20日(月・祝)
会場:熊本県 熊本B.9

2017年3月24日(金)
会場:大分県 大分DRUM Be-0

2017年3月25日(土)
会場:福岡県 電気ビルみらいホール

2017年6月23日(金)
会場:北海道 札幌cube garden

2017年6月24日(土)
会場:北海道 小樽GOLD STONE

2017年7月1日(土)
会場:長野県 まつもと市民芸術館 小ホール

2017年8月22日(火)
会場:秋田県 秋田県児童会館

2017年8月23日(水)
会場:岩手県 北上さくらホール 中ホール

2017年8月25日(金)
会場:宮城県 七ヶ浜国際村

2017年8月26日(土)
会場:山形県 シベールアリーナ

2017年8月27日(日)
会場:福島県 福島県文化センター 小ホール

プロフィール

coba
coba(こば)

アコーディオニスト・作曲家、数々の国際コンクールで優勝。以来、ヨーロッパ各国でのCDリリース、チャート1位獲得など、「coba」の名前と音楽は国境を越え世界の音楽シーンに影響を与え続けている。20年以上にわたり恒例化しているヨーロッパツアー、更にはアイスランド出身の歌姫ビョークのオファーによるワールドツアー参加など、今や日本を代表するアーティストとしてその名を世界に轟かせている。バンクーバーオリンピックの男子フィギュアスケートにて、cobaの“eye”でプログラムに臨んだ高橋大輔がメダルを獲得し、またロンドンオリンピックでは体操の寺本明日香選手が“時の扉”を使用。冬夏2シーズンに渡り、cobaの楽曲が世界の舞台で金字塔を打ち立てた。また、今日までプロデュースしてきた映画、舞台、テレビ、CM音楽は500作品を超える。その他演奏家やオーケストラへの委嘱作品を手がけるなど、作曲家としても多くの作品を生み出している。2016年11月デビュー25周年を迎え、12月21日、通算37枚目のオリジナルアルバム『coba?』をリリース。2017年1月より全国ツアー『coba tour 2017 25周年記念』を開催。

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