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ネット時代に個性はどう表れる?tofubeats、tomadらの鼎談

ネット時代に個性はどう表れる?tofubeats、tomadらの鼎談

『MeCA | Media Culture in Asia: A Transnational Platform』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:馬込将充 編集:久野剛士

音楽は、どこまで飛んでいけるのだろう? アジアからメディアカルチャーを発信する国内初のプラットフォームとして、2018年2月9日から『MeCA(Media Culture in Asia:A Transnational Platform)』が東京にて開催される。その目玉となる音楽プログラム「BORDERING PRACTICE」は、Maltine Recordsを主宰するtomadをプログラムディレクターに招き、世界各国におけるインターネット以降の音楽文化の動向を探ろうとする企画だ。

それは、どんな経緯のもと、何を目的に企画されたのだろうか。今回はtomadに加え、インドネシア、台湾、フィリピンなど、世界各国からやってくるアーティストらと並んで本プログラムに出演するtofubeats、そしてこの企画を実現するために尽力した国際交流基金アジアセンターの廣田ふみの三人に、イベントが意図するもの、アジアの音楽シーンの動向、さらには音楽を用いた国際交流の新しい在り方について尋ねた。

自分の楽曲の再生回数のレポートを見ると、意外とインドネシアと台湾が多かったりするんです。(tofubeats)

—まず、2月に10日間に渡って開催される『MeCA(Media Culture in Asia:A Transnational Platform)』で、tomadさんがプログラムディレクターを担当する「BORDERING PRACTICE」とは、どんな意図と経緯のもと企画されたイベントなのでしょう? イベントの運営に携わる国際交流基金アジアセンターの廣田さんにお聞きしたいです。

廣田:そもそもの話からすると、いまから3年前に、国際交流基金アジアセンターにおいて東南アジアと日本の文化交流の一環としてデジタルクリエイティブを対象としたプロジェクトを構想したのが始まりで……。

—そんなに前からなんですね。

廣田:はい。文化交流というと、どうしても伝統芸能などの領域が主力になりがちなのですが、情報化社会の流れを考慮した場合、それとは違う交流のやり方があるんじゃないかと思ったのがスタートで。

そのときすでに、tomadさんはアジアの音楽シーンが面白くなっていることに気づいていて、ご自分でもいろいろとアジアのアーティストと交流されていたんですよね。

左から廣田ふみ、tomad、tofubeats
左から廣田ふみ、tomad、tofubeats

—tomadさんは、3年も前からなぜアジアの音楽シーンに注目していたのでしょう?

tomad:以前、アメリカとイギリスで、マルチネ(Maltine Records)のアーティストと現地のアーティストを集めて、何回か公演をやったんですけど、そこで共有できないものが結構あったんですよね。というのも、マルチネは、いわゆるクラブミュージックに特化したレーベルではないから。純粋なクラブミュージックのレーベルだったら、同じ土俵で共感できる人がアメリカやイギリスにも結構いると思うんですけど、マルチネのような振り幅を持ったレーベルは、あんまりなかったから共有できないものも多かったんですよね。

—なるほど。

tomad:で、どうしようかなって思っていたときに、結構アジア圏から面白い動きが出てきて。代表的なのは「88rising(アジア系のアーティストを抱える動画プラットフォーム兼レーベル)」とか……そういう動きがちょこちょこ見られるようになったんです。で、これは何かしら可能性があるんじゃないのかなって思っていた矢先、廣田さんからお声を掛けてもらいました。

tomad
tomad

—ピッタリのタイミングだったんですね。

tomad:はい。で、実際アジア各国に行って、「どういう感じなんだろう」と見てまわったら、かなりアンダーグラウンドなレベルですけど、現地のアーティストが集まってイベントを行なう動きが起こっていて。

たとえば、今回のイベントに出てもらうフィリピンのsimilarobjectsというアーティストは、マニラで「BuwanBuwan Collective」っていうレーベルを主宰していて、ノリがマルチネに近かったんですよね。要は、ポップスをやっている人もいれば、ビートミュージックをやっている人もいるっていう。そういう人たちとだったら、何か共有できるものがあるかもしれないって、話し合ったりして。そうやってアジア各国をまわりながら、共感できる人を集めていきました。

BuwanBuwan Collectiveのショートドキュメンタリー動画

イベントに出演するPARKGOLFのDJの様子

—tomadさんがアジア各国をまわっていることは、tofubeatsさんもご存知で?

tofubeats:そうですね。いや、もう「いいなあ」みたいな感じで見ていました(笑)。実際、フィリピンに行くときとかは、僕もお声を掛けてもらってたんですけど、仕事の都合でどうしても行けなくて。

自分の楽曲の再生回数のレポートを見ると、意外とインドネシアと台湾が多かったりするんです。なので、アジア各国のシーンに関しては、もともとすごく興味があって。だから、tomadさんが現地の情報を教えてくれるのは、すごくありがたいんですよね。さっき話に出てきた「BuwanBuwan Collective」の音源もtomadさんに教えてもらって聴き出したので。

tomad:だから、今回のイベントは、向こうでめっちゃ有名な人を集めたとかではなくて、外に目を向けながらも、それぞれ地元を盛り上げていくために俯瞰してシーンを見ているアーティストばかりを、各国から集めてきたっていう感じなんですよね。

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イベント情報

MeCAのポスター
『MeCA | Media Culture in Asia: A Transnational Platform』

2018年2月9日(金)~18日(日)
会場:東京都 表参道ヒルズ スペース オー、ラフォーレミュージアム原宿、Red Bull Studios Tokyo、WWW、WWW X

『MeCA | Media Culture in Asia: A Transnational Platform』音楽プログラム
『BORDERING PRACTICE at WWW X/Alternative SOUND + VISION at WWW』

2018年2月9日(金)
会場:東京都 渋谷 WWW、WWW X
『Alternative SOUND + VISION at WWW』出演:
Morton Subotnick
Lillevan
Alec Empire
Jacques
Young Juvenile Youth
Jean-Baptiste Cognet and Guillaume Marmin
X0809
『BORDERING PRACTICE at WWW X』出演:
tofubeats
KIMOKAL
Meishi Smile
Ryan Hemsworth
Meuko! Meuko!
PARKGOLF
similarobjects(The BuwanBuwan Collective)

プロフィール

tofubeats(とーふびーつ)

1990年生まれ、神戸在住。在学中からインターネット上で活動を行い、2013年にスマッシュヒットした“水星 feat.オノマトペ大臣”を収録したアルバム『lost decade』を自主制作で発売。同年『Don't Stop The Music』でメジャーデビュー。森高千里、藤井隆、DreamAmi等をゲストに迎えて楽曲を制作し、以降、アルバム『First Album』(14年)、『POSITIVE』(15年)をリリース。2017年には新曲“SHOPPINGMALL”“BABY”を連続配信し、アルバム『FANTASY CLUB』をリリース。SMAP、平井堅、Crystal Kayのリミックスやゆずのサウンドプロデュースのほか、BGM制作、CM音楽等のクライアントワークや数誌でのコラム連載等、活動は多岐にわたる。

tomad(とまど)

2005年、当時15歳でインターネットレーベル「Maltine Records」を開始して以降、これまでに150タイトルをリリース。ダンス・ポップ・ミュージックの新しいシーンと東京の同時代のイメージを象徴する存在として国内外のメディアで紹介され、注目される。2015年にはレーベル設立10周年を記念し、活動をまとめた『Maltine Book』(スイッチパブリッシング)を刊行した。また近年はロンドンやニューヨークでのイベント開催、海外アーティストの楽曲リリース、アパレルやアイドルとのコラボレーションも手がけている。

廣田ふみ(ひろた ふみ)

情報科学芸術大学院大学[IAMAS]修了。IAMASメディア文化センター研究員を経て、2008年より山口情報芸術センター[YCAM]にてメディアアートをはじめとする作品のプロダクション・企画制作等に携わる。2012年より文化庁文化部芸術文化課の研究補佐員としてメディア芸術の振興施策に従事。文化庁メディア芸術祭の海外・地方展開を含む事業を担当。同時期にメディアアート作品の修復・保存に関するプロジェクトを立ち上げる。2015年より現職。現在は日本と東南アジアの文化交流事業の一環としてメディアカルチャーをテーマにしたプロジェクトに取り組む。二松学舎大学都市文化デザイン学科非常勤講師。

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