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奥山大史監督って?インディーズ映画でシネコン上映の快挙

奥山大史監督って?インディーズ映画でシネコン上映の快挙

『僕はイエス様が嫌い』
インタビュー・テキスト
長嶋太陽
撮影:豊島望 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

「神様はいない」と思う人は、「神様が嫌い」だと思わない。

―幼い頃、奥山さんはどんな子どもだったんですか?

奥山:「カートゥーン ネットワーク」というアニメチャンネルにハマっていました。『ピンクパンサー』(1969年初放送)とか『トムとジェリー』(1940年初放送)とか『エド エッド エディ』(1999年初放送)とか。取り憑かれたように毎日見ていて、親が心配してましたね。幼稚園ぐらいから友達と遊ぶよりもそれを見るほうを選んでいて。考えてみると、映画にもカートゥーン ネットワークの影響があるなって思います。

―それはどういう部分でしょう?

奥山:作中のイエス様は、1回も喋らずにちょっとシュールな笑いをとってたりするんです。それって、まさにカートゥーン ネットワークで放送されるアニメの話法なんです。そもそもイエス様っていうあんまりいじっちゃいけないものをいじっているかのように見せるのもそうですね。タブーをちょっとだけいじるというか。

『エド エッド エディ』は、日本ではあまり知られてないんですけれど、すごい人気番組で、顔を描いた板きれをずっと持っているジョニーって男の子がいるんですけど、板に向かって、「おい、板っきれ!」って話しかけるんです。ユラとイエス様の関係も、そういうところから来てるのかもしれません。もともと意図していたわけではないんですけどね、あとから思い当たったんです。

奥山大史

―海外の映画祭でも多数受賞されていますが、どのように受け止められましたか?

奥山:『サン・セバスティアン国際映画祭』『ストックホルム国際映画祭』『マカオ国際映画祭』『ダブリン国際映画祭』。この映画で4つの映画祭を旅しましたが、国ごとに全く異なる反響がありました。『サン・セバスティアン国際映画祭』では日本語がわかる人がいて、「これって英題は『JESUS』だけど、もともと『I hate Jesus』ってタイトルじゃないの?」っていわれて、ちょっとドキッとしたんです。

でもその人は続けて「神様はいないって思う人は神様のことを嫌いだと思わないもんね。だから、嫌いになれるっていうのは、それぐらい存在を信じているってことだよね。英題もそのままでいいのに」っていってくれて、自分でも「I hate」がつくと過激すぎるだろうかと悩んでいた部分だったので、映画を観た方から、そういう意見が出たことはすごくうれしかったです。

ストックホルムでは日本の雪の映し方とか、子どもの成長とか、そういったことに興味を持ってくれて、最終的にストーリーではなく撮影に関する評価を頂いたので、うれしかったですね。この映画は基本的にワンシーン・ワンカットで撮ってるんです。その手法は、ストックホルム出身のロイ・アンダーソン監督(代表作に『さよなら、人類』がある)に影響を受けているんですけど、その人のスタジオでご本人に会えたんですよ。それがすごく幸せな時間で、一番の感動でしたね。

―どんな話をしたのでしょう?

奥山:ロイ・アンダーソン監督は写真や絵画からの影響を受けていて、彼の好きなエドワード・ホッパーという画家の画集を見ながら一緒に話しました。この絵は、あのカットと構図が似ているな、という発見もあって。彼は唯一無二のオリジナルだと思っていたんですけど、実は様々なものからインスピレーションを受けて、それを自分の表現としてひとつにまとめているということがよくわかりました。

―そういった出会いの中で、インスピレーションを得たと思うのですが、今後海外を意識していく、ということはありますか?

奥山:本作に関しては海外の映画祭で受賞したことがきっかけでいろんな人に観てもらえて、やっとスタートが切れたという感じです。学生の卒業制作がTOHOシネマズでロードショーされることは、なかなかありません。それが実現できた背景には、やはり海外映画祭での評価が大きかったように思います。もちろん受賞がゴールではないですが、作品を遠くまで届けるためのジャンプ台として、これからも出品していきたいと思います。

『僕はイエス様が嫌い』ポスター</p>
『僕はイエス様が嫌い』ポスター(サイトを見る

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作品情報

『僕はイエス様が嫌い』
『僕はイエス様が嫌い』

2019年5月31日(金)からTOHO シネマズ日比谷で公開
監督・脚本:奥山大史
出演:
佐藤結良
大熊理樹
チャド・マレーン
佐伯日菜子
北山雅康
上映時間:76分
配給:ショウゲート

プロフィール

奥山大史(おくやま ひろし)

1996年東京生まれ。初監督長編映画「僕はイエス様が嫌い」が、第66回サン・セバスティアン国際映画祭の最優秀新人監督賞を史上最年少で受賞。学生時代に監督した短編映画「Tokyo 2001/10/21 22:32~22:41」(主演:大竹しのぶ)は、第23回釜山国際映画祭に正式出品された。

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