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横浜の街で育んだ感性を糧に アジカン後藤正文×GREENROOM代表

横浜の街で育んだ感性を糧に アジカン後藤正文×GREENROOM代表

横浜市
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:廣田達也 撮影協力:横浜開港資料館 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「横浜のバンド」としての由縁――東京ではない場所の価値と、地域性を触れることで得られる豊かさ

―横浜はまさに、雑多に隣接し合ういろいろな要素が繋がりながら発展してきたバックグラウンドがある街ですもんね。

釜萢:今はうちのアートギャラリーもMARINE & WALK YOKOHAMA(横浜市中区新港にある野外モール)にあるし、横浜とずっと一緒にやっていく覚悟はすごくあります。フェスは365日のうちの1日だけどその日だけじゃなく、お店を作ったことで常に「横浜と一緒に」って気持ちでいる感覚なんですよね。

だからこそ『GREENROOM FESTIVAL』では、港ににぎわいを作れるように、クルーザーをDJシップにしたり、横浜ならではのコンテンツをどう作っていくのかはすごく考えています。海沿いを歩きながら何個もステージが観れるのって、本当に気持ちいいですからね。

―フェスが街づくりの一端を担っているような印象もあります。

後藤:自分が若かったら、絶対デートで行ってたでしょうね(笑)。肩肘張らない感じもいいし、「文化」って堅苦しい感じじゃなくて、本当に「カルチャー」って感じで、そういう雰囲気が居心地のよさにも繋がっているような気がします。

―アジカンも横浜アリーナで『NANO-MUGEN FESTIVAL』を開催したり、メジャーデビュー10周年のライブを横浜スタジアムで開催したり、メモリアルなライブを何度も横浜で開催してきたわけですが、改めて、バンドと横浜の繋がりをどう感じていますか?

後藤:やっぱり、僕は「東京ではない場所」としての価値を見ていたというか、中央集権的な「東京が中心」って考えがあるけど、本当はそうじゃなくて、いろんな街に面白いものがあるはずなんですよね。「俺たちは横浜なんだ」みたいなプライドも一種の反骨心として存在していて。

釜萢:それはあるなあ。

後藤:もちろん、恩もありますしね。先輩にブルースのことを教えてもらってなかったら、今の自分たちの考え方はなかったと思う。アジカンはいっぱいセッションをするんだけど、それ自体もそうだし、「人の演奏をよく聴け」っていうのも先輩たちの教えで。そういう考えが根づいているのは自分たちにとってすごく大きくて、他の街で活動していたらこうはなってなかったと思うから、そういう意味での愛着もものすごくあります。

左から:後藤正文、釜萢直起
ASIAN KUNG-FU GENERATION“夕暮れの紅”(2004年)を聴く(Apple Musicはこちら

音楽文化の大きな流れに身を置き、継承し、シェアし、パスを出すことに自覚的だった、後藤正文とアジカンの25年

―10月にKT Zepp Yokohamaで開催されたライブ(君島大空、羊文学、東郷清丸らが出演した『Tour 2020 酔杯2 ~The Song of Apple~』)でも下の世代のアーティストをゲストに呼んでいましたが、そうやって「下の世代に伝えていく」というようなことも、横浜で育ったからこそ身に着いた感覚なのでしょうか?

後藤:フックアップの文化は日本だと、特にロック畑では遅れていると思うので、それを新しいやり方でやりたいとは常に思っています。やっぱりね、シェアしないと広がっていかないと思うんですよ。「俺たちは十分儲けた。はい、終わり」じゃ何も繋がっていかない。

閉じることが一番よくないから、知識でも経験でも何でも持っている人が次の人にパスを出すのが一番いいことだと思う。僕たちは幸いにも少しヒットしたけど、それも預かっているもので、ある種の富みたいなものはどんどん次にパスしていかないと、呪われると思う。次々に面白い人が出てきたら、それはリスナーとしての自分の楽しみにもなりますからね。

―『NANO-MUGEN FESTIVAL』では日本のバンドだけで閉じてしまわないように、自分たちで海外からバンドを招いて開催していたわけで、その開かれ方は『GREENROOM FESTIVAL』にも通じるし、やはり港町である横浜らしいとも言えるなと。

後藤:昔はモアーズ(横浜駅西口にあるショッピングモール・横浜モアーズ)にTOWER RECORDSがあって、ビブレ(横浜市西区にある商業施設・横浜ビブレ)にHMVがあって、そこで買った海外のアーティストのCDを聴いてイメージが広がっていったと思うし。自分が生まれ持ったものだけでできることなんてなくて、混ざり合って、咀嚼して、自分なりの表現になっていくわけで。そういうことはすごく大事だと思う。一色になっちゃうのが一番怖いから。

『GREENROOM FESTIVAL』では、僕たちがThe Wailersのあとに出るのはおこがましいことだと感じつつ、ありえなかったはずの交流が生まれたら嬉しいと思ってステージに立ちました。アジカンを観に来た人が、「さっきのバンドなんだろう?」って、レゲエの虜になるかもしれないし、そういう越境のチャンスでもあったんじゃないかと思います(2018年の『GREENROOM FESTIVAL』でアジカンは、The WailersとSublime with Romeに挟まれる形で出演した)。

左から:後藤正文、釜萢直起
ASIAN KUNG-FU GENERATION“ナイトダイビング”(2008年)を聴く(Apple Musicはこちら

2021年も困難な状況が続くと見込まれるからこそ、オープンであることの可能性を信じていたい

―2020年はコロナの影響であらゆるフェスやイベントが中止となり、音楽業界全体が大きなダメージを受けました。ウイルスは人を遠ざけ、壁を作るものでもあって、だからこそ、開かれていて、混ざり合っている横浜のような場所の存在価値がこれからますます高まるようにも思います。横浜の可能性、2021年以降のお二人の展望についてはどのようにお考えですか?

釜萢:海外アーティストをブッキングするときに、はじめの頃は「横浜でやってる」と言っても反応がなかったんですよ。でも今は逆にみんな横浜を認識してくれていて、出演したミュージシャンに「ロケーションが最高だ」と言ってもらえるようになったんです。

なので、とにかくフェスを続けて、いろんなミュージシャンが横浜の海沿いのステージに立ち続けていくことで、横浜の文化に少しでも貢献できたら嬉しいです。歴史的建造物の赤レンガ倉庫をバックに、海の向こうには横浜ベイブリッジがかかっていて、みなとみらいの夜景も見えるーーそんな場所、他にないと思うし、しかもそれが街のど真ん中なんですよね。東京のど真ん中でこれはやれないと思うから、そこは横浜の懐の広さだとも思います。

―港を中心に発展してきた横浜だからこそのロケーションですよね。

後藤:空港からも近いですしね。自分が来日アーティストだったら、『フジロック』の会場に着くまで不安になると思うんですよ。「え、遠くない?」って(笑)。その意味でも、『GREENROOM FESTIVAL』は都会だから、アーティストみんな喜ぶと思いますよ。

釜萢:ホテルが揃っているのは、アーティストを呼ぶうえで大きいかな。

後藤:街にじんわりと溶け込んでるフェスですよね。『GREENROOM FESTIVAL』という全然違う空間を打ち立てるんじゃなくて、じんわりと街に溶けてる。やっぱり、そういうシェアの仕方が大事になっていくんじゃないかなって思います。

左から:後藤正文、釜萢直起
ASIAN KUNG-FU GENERATION“海岸通り”(2004年)を聴く(Apple Musicはこちら

後藤:閉ざして区切ろうとするから、密が生まれるわけじゃないですか? 今はシェアする強さ、繋がりの豊かさ、オープンであることの可能性をみんながどこかで感じているはず。

もちろん、フェスにもお金が絡むけど、「お金のためにやってます」って人はほぼいないと思うんですよ。こんな先が見えない状況でも、「じゃあ、やめます」とはなってないわけで、そこでもやっぱり「シェア」がすごく大事になってくるんじゃないかと思いますね。

―文化も土地も経済もシェアをして、パスを出して、バトンを繋いでいく。そのための場所としても、横浜はこれから大きな役割を担っていくのかもしれないですね。

後藤:『GREENROOM FESTIVAL』自体にもそういう機能がありますよね。これまで話したような「横浜のカルチャー」を担った昔の不良たちからのパスでもある。時代を超えた、街を使ったパスというかね。そこに参加する人に何かが少しずつ受け渡されて、それをどう活かすかはその人次第。あの場所はそういうものだと思いますよ。

釜萢:積極的にパスをしていきたいというのはすごく思っていて、フェスの開催はもちろん、映画を配給するのは魅力的な文化を伝えるためだし、アートギャラリーを経営するのもアーティストの作品を届けるためですから。そうやって横浜からパスを送り続けて行きたいと思います。

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新しい発見、ワクワクする高揚感、感性が磨かれるような感覚をいつも与えてくれる街、横浜。気軽に訪れるだけで非日常へとスイッチが切り替わり、そこには心躍るエキサイティングな体験や、穏やかでリラックスできる時間が待っています。様々な文化が溶け込んで独自に進化してきた横浜の街の魅力を、公式SNSアカウント「Find Your YOKOHAMA」で発信しています。

プロフィール

後藤正文(ごとう まさふみ)

1976年静岡県生まれ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギター。新しい時代とこれからの社会を考える新聞『THE FUTURE TIMES』の編集長を務める。インディーズレーベル『only in dreams』主宰。2020年12月2日、Gotch名義でソロアルバム『Lives By The Sea』をデジタルリリース。3月3日にはCDとLPがリリースとなる。

釜萢直起(かまやち なおき)

1973年東京生まれ。町田市で育ち、中学生のときにサーフィンやスケートボートと出会う。日本の大学へ進学するも、サーフィンを諦めきれずオーストラリアへ留学。サーフィンと旅の生活を送る。帰国後、広告代理店勤務を経て、1999年に独立。株式会社グリーンルームを設立し、サーフブランドのブランディング業を主軸に、イベント業やアートギャラリー、映画の配給などに携わる。2005年に同名の音楽フェス『GREENROOM FESTIVAL』を初開催した。

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