インタビュー

スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士

スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士

インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:廣田達也 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)

「いまだにどこかで、いつかは就職するんじゃないか? と思ってやってるところもあるんですよ」(Bose)

Bose:逆に言うと、そういう意味ではこっちが進歩してない部分が絶対にあって。30歳くらいまでは、この先年齢を重ねていくともっと変わっていくのかなと思ってたんだけど。投資とか資金運用のことを考えたりとかさ(笑)。

でも、そこは変わらなかったという戒めの意味も込めて「安部くん、20年後も同じようなことして遊んでるよ!」って言いたいですね。

安部:あははははは!

―昨年、スチャダラパーとRHYMESTERの対談をしたときもBoseさんは「自分たちにとって好きなことや面白いことってそんな変わらない」と言っていたのを覚えてます(参考記事:スチャダラパー×ライムスター対談 最初からズレてるから一貫できる)。

Bose:そうなんですよ。やっぱりどこかおかしいんですよね。宇多丸とかも自覚してるけど、僕らはもともとおかしいんだけど、そのおかさしさが50歳くらいになってくるとあたりまえになってきて。

若いころはみんなちょっと尖ったりもしてるし、そのなかでも「なんか違和感あるよね」という感じだったんだけど、気づいたら残ってたのはうちらだけ、みたいな。変な人だけが残るというね。

―だからこその、すごみがありますけどね。

Bose:いやぁ、懲りないというかね。

スチャとネバヤン

安部:僕はいま30歳なんですけど、20代後半に差し掛かったときに体力の衰えを感じたりして、「自分はいつまでいまと同じようなことができるんだろう?」って考えたことがあって。

でも、Boseさんたちがそのままのスタイルでやってるから「あ、僕も変わらないんだな」と思えたんですよね。それですごく気がラクになりました。

Bose:20代後半とか30歳くらいのときに僕らもよくそういうことを歌詞にしてたんだけど。「もう30歳だぜ」とか「30にもなってこんなことやってんのヤバい」みたいなさ。でも、50歳にもなったらヤバいというか、「そもそもそんなやついねぇし」ってなってきて。

30歳だとまだボーダーラインにいて、「周りに近い感じの人もいるけどだんだんいなくなってくるな」みたいな不安感もあったんだけど、それがだんだん「あ、このまま変わらないんだな」というあきらめの境地になってくる。

―ロールモデルがいないということは、不安を覚える要素もないという。

Bose:そう。でも、やっぱりいまだにどこかで「いつかは就職するんじゃないか?」と思ってやってるところもあるんですよ。

安部:(笑)。

―ほんとですか?(笑)。

Bose:ほんと、ほんと。こういうことを言うとみんな笑うけど、「いつか任天堂に入れるんじゃないか?」とか思ってる。

―任天堂とスチャは関係性もあるし、なくもなさそう(笑)。

安部:でも、いまもそういうこと考えるんですね。

Bose:若いときから「いつかは任天堂で働くんじゃないか?」と思ってたんだけど、「いつになっても呼ばれないな」みたいな(笑)。いまも一番カッコいいのは任天堂と宮本茂(現・任天堂株式会社代表取締役フェローで、『マリオ』シリーズの生みの親)という感覚だから。

スチャとネバヤン
スチャとネバヤン

2人に共通する、「ラッパー」「ミュージシャン」といった肩書きを背負うことの違和感について

Bose:あとは、スチャダラパーってラップで食っていくという発想がもともとなかったし、いまもこれが自分たちの職業とは思ってないところがどこかであって。

だから肩書きを書くときには、みうらじゅんさんに倣って「ラッパーなど」って書くんだけど。はっきりと「ミュージシャン」とか「ラッパー」って書くほど自信があるわけではなくて。

―公的な書類の職業欄にはなんて書いてるんですか?

Bose:会社役員(笑)。それも事実だからね。まぁ、でもいつか自分も社会的に普通の人になるのかなと思ってたけど、ならないというね。今回のコラボレーションではそういう戒めをネバヤンに伝えたいところもあって(笑)。実際に歌詞もそういうことがテーマになってるから。

―“ネバやんとスチャやん”の<たられば 言ってないで やらねば>ってまさにですね。

Bose:そう。「あのときスタジオをちゃんと建てればよかったなぁ」とか、「結局まだ賃貸だよ、やべぇな」とか言ってる感じ(笑)。

安部:僕いま、引っ越しを考えていて。書類とかに職業を書くときにミュージシャンって書くのは恥ずかしい気持ちもあって。それで、自営業とか自由業って書いてるんですけど。

いまは運よく音楽ができてるけど、こうやってコロナになったように今後もなにがあるかわからないし、いつか音楽とは違うことをやりたいと思うこともなくはないなぁと思って。実際に他に興味のあることもあるし、いまはライブもあまりやれないからミュージシャン活動を言うほどやってないんですよね。

Bose:だからね、自分の会社をつくって会社役員という肩書きを持つのは社会的に理由がつくからすごくラク(笑)。まぁ、名義をそうしてるだけなんだけど。ミュージシャンって通りが悪いからさ。家とかも貸してもらいにくいしね。「自由業という職業はないです」とか言われるんだから。

Page 2
前へ 次へ

リリース情報

スチャとネバヤン『ネバヤンとスチャやん』
スチャとネバヤン
『ネバヤンとスチャやん』

2021年5月26日(水)配信

1. ネバやんとスチャやん
2. スチャやんとネバやん

プロフィール

スチャダラパー

ANI、Bose、SHINCOの3人からなるラップグループ。1990年にデビューし、1994年『今夜はブギー・バック』が話題となる。以来ヒップホップ最前線で、フレッシュな名曲を日夜作りつづけている。デビュー25周年となる2015年にアルバム『1212』をリリース。2016年に『スチャダラ2016 ~LB春まつり~』を開催し、ミニアルバム『あにしんぼう』をリリース。2017年に『ミクロボーイとマクロガール / スチャダラパーとEGO WRAPPINʼ』、『サマージャム2020』の2曲を発売。2018年4月に日比谷野外大音楽堂で『スチャダラパー・シングス』を開催し、ライブ会場限定販売となる4曲入りCD『スチャダラパー・シングス』を発売。2019年11月に『ヨン・ザ・マイク feat. ロボ宙&かせきさいだぁ』を配信リリース。2020年4月8日、デビュー30周年記念アルバム『シン・スチャダラ大作戦』リリース。

never young beach(ネバーヤングビーチ)

土着的な日本の歌のDNAをしっかりと残しながら、USインディなど洋楽に影響を受けたサウンドと極上のポップなメロディ、そして地に足をつけて等身大の歌詞をうたった楽曲で、音楽シーンに一石を投じる存在として、注目を集めるバンド。2014年春に結成。2015年に1stアルバム「YASHINOKI HOUSE」を発表し、「FUJI ROCK FESTIVAL」に初出演。2016年に2ndアルバム「fam fam」をリリースし、様々なフェスやライブイベントに参加。2017年にSPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビューアルバム「A GOOD TIME」を発表。2018年に10inchアナログシングル「うつらない / 歩いてみたら」をリリース。そして2019年に、4thアルバム「STORY」を発表し、初のホールツアーを開催。また近年は上海、北京、成都、深圳、杭州、台北、ソウル、バンコクなどアジア圏内でもライブに出演。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

あらかじめ決められた恋人たちへ“日々feat.アフロ”

何かを我慢することに慣れすぎて忘れてしまいそうになっている「感情」を、たった10分でこじ開けてしまう魔法のようなミュージックビデオ。現在地を確かめながらも、徐々に感情を回転させていくアフロの言葉とあら恋の音。人を傷つけるのではなく、慈しみ輝かせるためのエモーションが天井知らずの勢いで駆け上がっていった先に待ち構えている景色が、普段とは違ったものに見える。これが芸術の力だと言わんばかりに、潔く堂々と振り切っていて気持ちがいい。柴田剛監督のもと、タイコウクニヨシの写真と佐伯龍蔵の映像にも注目。(柏井)

  1. ドラマ『ここぼく』が描いた日本社会のいま。危機感と真実の追及 1

    ドラマ『ここぼく』が描いた日本社会のいま。危機感と真実の追及

  2. 佐藤健とシム・ウンギョンが共演 サントリーウイスキー「知多」新動画 2

    佐藤健とシム・ウンギョンが共演 サントリーウイスキー「知多」新動画

  3. 記録映画『東京オリンピック2017』に七尾旅人らがコメント ポスター到着 3

    記録映画『東京オリンピック2017』に七尾旅人らがコメント ポスター到着

  4. スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士 4

    スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士

  5. 羊文学を形づくる「音」 6つの日本語曲を選んで3人で語り合う 5

    羊文学を形づくる「音」 6つの日本語曲を選んで3人で語り合う

  6. 坂口恭平が語る「死なないという勝ち方」。画狂老人・北斎に学ぶ 6

    坂口恭平が語る「死なないという勝ち方」。画狂老人・北斎に学ぶ

  7. ジム・ジャームッシュ特集上映ポスター&チラシ12種、大島依提亜がデザイン 7

    ジム・ジャームッシュ特集上映ポスター&チラシ12種、大島依提亜がデザイン

  8. 青春音楽映画『ショック・ドゥ・フューチャー』予告編、石野卓球らコメント 8

    青春音楽映画『ショック・ドゥ・フューチャー』予告編、石野卓球らコメント

  9. 自己不信や周囲の目にどう向き合う? 女性アスリートの6篇の物語 9

    自己不信や周囲の目にどう向き合う? 女性アスリートの6篇の物語

  10. ちゃんみなが経験した、容姿に基づく中傷と賛美 自らラップで切る 10

    ちゃんみなが経験した、容姿に基づく中傷と賛美 自らラップで切る