インタビュー

スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士

スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士

インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:廣田達也 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
スチャとネバヤン

スチャがみうらじゅんらから受け取った「少しズレてる」電波。いつの時代にもいる、同じ電波を発する人、そこにしっくりきちゃう人

安部:僕は中学生前後くらいからスチャダラパーをあたりまえのように聴いてきて、子どもながらに豊かな軽やかさのようなものを感じていたんですよね。「なんなんだ、この人たちは」って思って(笑)。意識しなくてもそういう影響が自分のなかに入ってるんだと思います。

Bose:僕らはそういう感じをみうらじゅんさんたちから受け取って、その電波に汚染されてしまってるから。で、また僕らがその電波を出したときに絶対に引っかかちゃう子がいるんだよ。「あ、この感じなんかしっくりくる」みたいな。

僕らも自分たちで勝手にこうなったというよりは、その電波を受け取ってしまったという感じなんだよね。それこそ細野さんたちが発していた電波もあるだろうし。みんなとはちょっとズレてる電波を受け取って、自分たちも発してつなげてるだけ、みたいな。

―たとえば川勝正幸さんが編集者としてその電波を媒介していたんだろうし。

Bose:そう、川勝さんが翻訳してた。たとえば僕らもはっぴいえんどをリアルタイムで聴いてはなかったんだけど、安部くんたちと同じようにハタチくらいのときに後追いで聴いてみたら「あ、こうやって同じような電波を発してる人たちがいたんだ」って気づくみたいな。

―その電波について一昔前までは「サブカル」という言葉で片付けられていたけれど、いまはもうそういう時代ではないですよね。

Bose:そう、そういうところに集まってきちゃった人たちみたいな。そこにジャンルとかはあまり関係なくて、音楽をやってたり、お笑いをやってる人もいるというだけだと思う。そこに集まってる人のなかには売れる人もいるだろうし、ネバヤンだって僕らと同じ時代に出てきたらもっとマイナーな雰囲気を発してたかもしれないけど、時代が変わったからね。

―星野源氏だって、あきらかにその周波数を受け取っているけど、いまや大スターですから。

Bose:電波を受け取りつつどこかでチューニングをグイッと変えたんだと思う(笑)。

1990年デビューのスチャと2015年デビューのネバヤン。当時といま、どっちがいい?

―Boseさんは30年以上やってきて、1990年代のほうがよかったとか、そういうふうに思うことってありますか?

Bose:どこの部分に対してそれを感じるかだよね。インターネットもないから、みんながまだ手探りの状態でいまみたいに答えがすぐに出るような時代じゃなかったのがよかったと思う反面、自分たちも歌詞に書いてたりするけど、「って言いながらやっぱいまは最高だよ」という部分ももちろんあって。

スチャとネバヤン

Bose:悪くなってるなと思う部分もありながら、いまになってみて「あの時代は海外のモノとか情報が全然手に入らなくてつまんなかったな」と思う部分もあるし。前だったら「ラップが好きなやつがどこかにいるらしい」みたいな感じで、ラップが好きな人同士でつながるのも難しかったけど、いまなんか一瞬で友だちになれるじゃん(笑)。

―DM送ったら一発ですもんね。

Bose:そう(笑)。それはめちゃくちゃいいことだと思うし。

―勇磨くんがネバヤンでデビューした2015年にはもう音楽業界になにか期待するとか、そういう空気はとっくになかったわけじゃないですか。

安部:ああ、そうですね。全然期待とかしてなかったですね。

Bose:大人がいっぱいお金を持ってるとか、そういうこともなさそうだもんね。

安部:インディーズでデビューして、しかも6年前の北澤さん(ネバヤンが所属する「Bayon production」代表の北澤学)は本当にそんなにお金を持ってなかったと思うんですよ(笑)。「レーベルに入れるなんてそれっぽいじゃん」くらいにしか考えてなくて。

でも、レーベルに入ったらこういうふうになれたので。実際にやってみていいときもあれば、よくないときもあるんだろうし、それはしゃあないなという感じですね。

Bose:なにしろ安部くんがソロをつくれたんだから、そりゃもういまがいいに決まってるよ。これが3年前だったらつくれてないかもしれないんだしさ。

―いまだからこそスチャとネバヤンのコラボレーションも実現したわけで。

Bose:うれしいですよ。世間的にはニッチかもしれないけど、こうやって生き方が似たような人たち同士でどんどん寄り添って楽しくやっていけるのはすごくいいことだと思うから。

スチャとネバヤン
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リリース情報

スチャとネバヤン『ネバヤンとスチャやん』
スチャとネバヤン
『ネバヤンとスチャやん』

2021年5月26日(水)配信

1. ネバやんとスチャやん
2. スチャやんとネバやん

プロフィール

スチャダラパー

ANI、Bose、SHINCOの3人からなるラップグループ。1990年にデビューし、1994年『今夜はブギー・バック』が話題となる。以来ヒップホップ最前線で、フレッシュな名曲を日夜作りつづけている。デビュー25周年となる2015年にアルバム『1212』をリリース。2016年に『スチャダラ2016 ~LB春まつり~』を開催し、ミニアルバム『あにしんぼう』をリリース。2017年に『ミクロボーイとマクロガール / スチャダラパーとEGO WRAPPINʼ』、『サマージャム2020』の2曲を発売。2018年4月に日比谷野外大音楽堂で『スチャダラパー・シングス』を開催し、ライブ会場限定販売となる4曲入りCD『スチャダラパー・シングス』を発売。2019年11月に『ヨン・ザ・マイク feat. ロボ宙&かせきさいだぁ』を配信リリース。2020年4月8日、デビュー30周年記念アルバム『シン・スチャダラ大作戦』リリース。

never young beach(ネバーヤングビーチ)

土着的な日本の歌のDNAをしっかりと残しながら、USインディなど洋楽に影響を受けたサウンドと極上のポップなメロディ、そして地に足をつけて等身大の歌詞をうたった楽曲で、音楽シーンに一石を投じる存在として、注目を集めるバンド。2014年春に結成。2015年に1stアルバム「YASHINOKI HOUSE」を発表し、「FUJI ROCK FESTIVAL」に初出演。2016年に2ndアルバム「fam fam」をリリースし、様々なフェスやライブイベントに参加。2017年にSPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビューアルバム「A GOOD TIME」を発表。2018年に10inchアナログシングル「うつらない / 歩いてみたら」をリリース。そして2019年に、4thアルバム「STORY」を発表し、初のホールツアーを開催。また近年は上海、北京、成都、深圳、杭州、台北、ソウル、バンコクなどアジア圏内でもライブに出演。

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