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なぜ見た目重視ではないアイドルを探す?『ミスiD』小林司の発想

なぜ見た目重視ではないアイドルを探す?『ミスiD』小林司の発想

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インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子

人間というのは、物心がつくと、やっていいことと悪いことがわかるようになる。でも、そういうのは全部邪魔なんですよ、きっとこの世界では。

―では最後に、エンターテイメント業界に入りたいと思っている人、また興味はあるんだけど、業界の未来に不安も感じている人に対して、なにかメッセージをいただけますか?

小林:途中でも言ったように、今は答えをわかってる人なんて1人もいないので、ホントにチャンスが溢れている時代だと思いますよ。だから起業しないとしても、やり方によっては、会社のなかで好きなこともできると思います。まだこういうメディアが業界としてギリギリ成り立ってるうちに、会社が培ってきた知財を上手く使って、そこである程度のことを吸収してからフリーになってもいいし。

もちろん、出版社だって、所詮みな中小企業なので、「ここに入れば安泰」とは誰も思ってないと思うんですけど、とはいえコンテンツ会社は文化遺産をたくさん持っていて、今は「どうぞ盗んでください」という空き巣同然な状態だと思うんです。

―会社が持っている「文化遺産」を利用するのは、賢い選択肢のひとつであると。

小林:人間というのは、物心がつくと、やっていいことと悪いことがわかるようになる。そしてやっていいことだけを選択して、保守的になって、固まって閉じていく。特に会社にいったん入ってしまうと、そうですよね。

でも、そういうのは全部邪魔なんですよ、きっとこの世界では。やっていいことと悪いことの区別がついてないくらいのほうがいい。僕もややリアルについていません(笑)。だから若い人たちにはこの世界を面白がって、古い財産も人もどんどん利用して、非常識で新しいことにつなげてほしいです。

―10年~20年先の業界がどうなっているかはまだわからないけど、少なくとも現状は会社に属することによって、いろんなことを試しやすい状態だと言えそうですね。

小林:そう考えれば、まだキラキラしてると思うし、ギラギラも残ってる。面白い世界だと思いますよ。まあ、会社が残らなかったとしても、カルチャー自体は形を変えて残っていくでしょうから、自分がそれを伝えられる人間になれば、絶対その人も残っていけますからね。

小林司

―小林さんご自身は、今の仕事をやっていてどんなときに一番やりがいを感じますか?

小林:「やりがい」という言葉自体が、ホントにわからないんですよね。僕は「仕事をしている」という感覚がなくて、とにかく日々自分が楽しいと思えることをしていたい。はっきり言えば、仕事をするということが大嫌いなので、仕事だと思わないようにしているんです。「楽しい」と思うことで、自分を騙し続けています。

そのためには、いつも楽しいと思わないといけない。それって難しいことに思えるんですけど、映画を見るにしても、誰かとご飯を食べるにしても、家族と過ごす時間にしても、もちろん一人でいる時間だって、極端に言えば死にそうに悩んでるときだって、ちょっと冷静に見れば楽しいんです。どんなフェイズにも意味があるし、楽しさはどこにでも、何歳になってもあるんですよね。つまらないことが急に楽しくなることもあるし、その逆もある。それもまた面白い。

―すべての瞬間を楽しもうとするスタンスと、今日話していただいたように、あらゆる枠組みを取っ払って、とにかくコンテンツとしての面白さを発見しようとする小林さんの発想は、ある意味一貫していますね。

小林:僕、新しいことが死ぬほど好きなんですけど、歌舞伎や落語みたいに古いものも愛しているんです。それに、ミーハーもサブカルもさびれたジャンルも。ファッションも、政治も、哲学も、エロも。見境がない。

女の子というのは、僕にとって「媒介」というか。女の子は、森羅万象なんでもフラットに結びついてしまうすごい生き物なんですよね。男はビジョンを描いたり、ジャンルに括ったりするだけで四苦八苦して偉そうにしてるけど、女の子は描かなくても括らなくても、軽々と実現しちゃったりする。そっちのほうがすごいに決まっているんですよ。そういう女の子の森羅万象が自然と結びついている感じは、僕みたいなすべてが結びついて、仕事とそれ以外の区別がつかないような人間にとって、面白くてしょうがないし、心地いいんです(笑)。

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プロフィール

小林司(こばやし つかさ)

講談社第一事業局企画部所属。編集者。ミスiD実行委員長。別名「妄撮P」。入社後、『FRaU』『VoCE』の編集に携わる。2006年、男性誌『KING』にて「妄撮(モーサツ)」の連載を開始。夢眠ねむを被写体とした『アキバ妄撮』(角川グループパブリッシング、2011年)や、『吉木りさ×妄撮 リア充だけがハッピーじゃない』(講談社、2012年)など、ヒットを飛ばす。その他、水原希子や二階堂ふみなどにいち早く目をつけ、『水原希子フォトブック KIKO』(講談社、2010年)、『二階堂ふみフォトブック 進級できるかな。』(講談社、2012年)などの編集を手がける。2012年より、まったく新しいタイプの女の子を発掘し育てるオーディション『ミスiD』を開催。

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