レポート

中村佳穂、TAMTAMら出演。歌声と歓声で会話するような親密な夜

テキスト
飯嶋藍子
撮影:Kana Tarumi 編集:山元翔一
中村佳穂、TAMTAMら出演。歌声と歓声で会話するような親密な夜

ころころと表情を変えるピュアな歌心。20歳のSSW、にゃんぞぬデシ

夏がこのまま永遠に続くんじゃないかと思ってしまうほど、まだ熱気をまとった空気が夜を包む8月30日。CINRAと音楽アプリ「Eggs」の主催による無料音楽イベント『exPoP!!!!!』が、TSUTAYA O-nestにて開催された。

トップバッターは、2016年に『モナレコード レーベルオーディション』でグランプリを獲得し、今年の7月に2枚目のミニアルバムをリリースした、にゃんぞぬデシ。

にゃんぞぬデシ
にゃんぞぬデシ
にゃんぞぬデシ

「にゃんぞぬデシです!」と一言挨拶したと同時に、“しろくま観覧車”からスタート。誰かを好きな気持ちはもちろん、そこから生まれる不安すらも楽しむような、ピュアな恋心をさわやかに歌い上げる。続く“am:pm”では、表情を変え、<無垢なドリーマーになれない>と、胸の底に溜まる澱をその旋律に乗せていく。

にゃんぞぬデシ

アコースティックギターでの弾き語りということもあり、誰かを見つめるたびに湧き上がる思いや、自分自身へのもどかしさを綴った歌詞は、よりクリアに真っ直ぐに観客へ響いていた。「成人式に行かなきゃいけないんですけど、行かないでワンマンライブをやります」と、2019年の成人の日にワンマンライブを開催するという、なんともフレッシュな発表もあった。

にゃんぞぬデシ
にゃんぞぬデシ

身体的なエネルギーみなぎるラップクルー、Dos Monos

2番手は、Death GripsやJPEGMAFIAを擁するアメリカのヒップホップレーベル「Deathbomb Arc」と日本人アーティストとして初めて契約を結んだことで話題のDos Monos。

Dos Monos
Dos Monos

インスト曲からはじまり、序盤からフロウがじわじわとアグレッシブになっていく。眼光鋭くじっとフロアを見つめる荘子it、TAITAN MAN、没の3人。

荘子it
荘子it
TAITAN MAN
TAITAN MAN
没

トラックが皆無の状態で、弾丸のようなライムのかけ合いがはじまり、彼らの肉声の響きのみによって、加速度的にフロアの熱量が上がっていく。そんな強い身体性が表出した3人の言葉の応酬から放たれたのが、現在、唯一ミュージックビデオが公開されている”“in 20XX”。

Dos Monos
Dos Monos

ステージングのメリハリも圧巻で、そこにいる誰もが釘づけになっていた。ラストの曲で、ステージの中央に向き合い、また肉声のみでフロアを掌握していく3人。声だけが絡まり、響き渡り、声から発せられるエネルギーが膨張していく。そんな最高潮の高まりのなか、ステージは終了。

MCで荘子itが「こんな人数の前でやったの初めてなんですけど」と話していたが、その言葉がまるで嘘のような、堂々たるパフォーマンスだった。

Dos Monos
Dos Monos

毒気と親しみが同居したayU tokiOの歌世界

続く3番手はayU tokiO。サックスとベースの丸みのある音のなかで、ミュージックソーやシンセの音が浮遊する“やどなし”、音の余白のリズムと猪爪東風(イノツメアユ)の甘い歌声が耳を転がって心地よい“hi-beam”など、7月にリリースされた約2年ぶりのアルバム『遊撃手』から5曲を披露した。

ayU tokiO
ayU tokiO
ayU tokiO

湿度の高い東京の夏の夜によく似合う、耽美な気だるさを音にまとわせながら、空気の形をオルタナティブにもポップにも変幻自在に操っていく。“あひる”に内包された柔らかな眼差しとかわいらしい毒気にも、猪爪の音と言葉の絶妙なバランス感覚が宿っていた。

ayU tokiO
ayU tokiO
ayU tokiO

夏の終わりを感じさせる“大ばか”では、季節に置いていかれそうになる小さな不安、心に少しでも芽生えた感情を決して見逃さない猪爪の視点が垣間見える。幽玄さもありながら、なぜか親しみのある風景が思い浮かんでくるayU tokiOの世界に、観客もゆったりと浸っていた。

ayU tokiO
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イベント情報

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume112』

2018年8月30日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest

出演:
ayU tokiO
TAMTAM
Dos Monos
中村佳穂
にゃんぞぬデシ
料金:無料(2ドリンク別)

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume114』

2018年10月25日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest

出演:
w.o.d.
MASS OF THE FERMENTING DREGS
and more
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

にゃんぞぬデシ
にゃんぞぬデシ

1998年8月4日生まれ。シンガーソングライター。小学校5年生の時に観た映画「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」に衝撃を受け、エンターテイナーを目指すことを決意する。中学校3年生の時にお弁当代からへそくりをして購入した中古ギターで曲を創り始め、高校2年生の時にライブ活動をスタート。みずみずしい感性から生み出されるポップセンス溢れる楽曲と、情感豊かな澄んだ歌声で支持を集める一方、慌てふためきがちなキャラクターとのギャップで見る者を翻弄する。2018年7月25日には待望の新作ミニアルバム『魔法が使えたみたいだった』をリリース。にゃんぞぬデシの言葉、アイデア、空想、全てを注ぎ込んだ十代最後の決定盤となっている。アーティスト名は、飼っていた猫の"にゃんぞう"を尊敬し自分はその弟子であるという思いから、"にゃんぞうの弟子"をもじって付けたもの。

ayU tokiO
ayU tokiO(あゆ ときお)

猪爪東風(イノツメアユ)によるソロ・プロジェクト。the chef cooks meのギタリストやMAHOΩでのソングライターとしての活動を経て、2013年よりカセットテープ・フォーマットのシリーズ『NEW TELEPORTATION』をsuburbiaworksよりリリース。ライヴではヴァイオリン、ヴィオラ、フルート、キーボード、ギター、ベース、ドラムスなどのサポートメンバーを迎えての大人数バンドセットから単独での弾き語りまで、様々な編成で活動中。2018年、2ndフルアルバム『遊撃手』、先行カセットシングル『あさがお』発表。その他、ギタリストとしてライブやレコーディングに参加、サウンドプロデュースや楽曲リアレンジ、録音エンジニア等、ジャンルを越えて幅広く活動中。

Dos Monos
Dos Monos(どす ものす)

荘子it(Trackmaker/Rapper)・TAITAN MAN(Rapper)・没(Rapper/Sampler)からなる、3人組HipHopユニット。荘子itの手がける、フリージャズやプログレのエッセンスを現代の感覚で盛り込んだビートの数々と、3MCのズレを強調したグルーヴで、東京の音楽シーンのオルタナティブを担う。結成後の2017年には初の海外ライブをソウルのHenz Clubで成功させ、その後は、SUMMER SONICなどに出演。2018年には、アメリカのレーベルDeathbomb Arcとの契約・フランスのフェスLa Magnifique Societyへの出演を果たすなど、シームレスに活動を展開している。今秋、満を持して初の音源となる1stアルバムをリリース。

中村佳穂
中村佳穂(なかむら かほ)

「彼女が自由に歌うとき、この世界は輝き始める。」数々のイベント、フェスの出演を経て、その歌声、音楽その物の様な彼女の存在がウワサを呼ぶ京都出身のミュージシャン、中村佳穂。ソロ、デュオ、バンド、様々な形態で、その音楽性を拡張させ続けている。ひとつとして同じ演奏はない、見るたびに新しい発見がある。今後も、国内外問わず、共鳴の輪を広げ活動していく。2016年、『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演。2017年、tofubeats『FANTASY CLUB』、imai(group_inou)『PSEP』、ペトロールズ『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? -EP』に参加。

TAMTAM
TAMTAM(たむたむ)

東京を中心に活動するフィール・グッドなバンド。メンバーはクロ(Vo,Tp,Syn)、高橋アフィ(Dr,Programming)、ともみん.(Key)、ユースケ(Gt)の4人。1stフルアルバムのリリース後FUJI ROCK FESTIVAL'12 ROOKIE A GO-GOに出演し会場投票1位を獲得。その後3作品のリリースを経て現体制となり、2016年Pヴァインよりフルアルバム『NEWPOESY』を発売。リリースライブはソールドアウトとなった。翌2017年に『EASYTRAVELERS mixtape』をカセットテープ+bandcamp等の配信限定でリリース、発売前週にはMotion Blue Yokohamaでワンマンライブを開催した。最新作は2018年発売のフルアルバム『Modernluv』。同作で客演のGOODMOODGOKU、入江陽らを迎えた渋谷WWWでのリリースパーティーは盛況となった。

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